米百貨店コールズがAmazonの返品を全店舗で受付け開始

あらゆる商品を自宅の玄関まで届けてもらえるようになっても、うまく(あるいはまったく)使えなかったとき、商品を箱に詰めなおして送り返すために家を離れなくてはならないのは面倒だ。通常それは近所のFedExかUPSの店に出かけていくことを意味している。Amazonと百貨店チェーンのKohl’s(コールズ)は2年前に特別な契約を結び、全米100か所のKohl’s店舗で返品を受け付けている。米国時間4月23日、両社はこのプログラムを全米1150カ所のKohl’s全店舗に拡大したことを発表した

つい先月、Kohl’sとAmazonは、Kohl’sの200店舗でAmazon商品を取り扱うことを発表したばかりだ。一部の店舗でAmazon Smart Home Experienceも提供している。もしAmazonがKohl’sを買うことになっても、誰も驚かないと私は思う。

このプログラムの良いところは、返品は無料で、理由も一切聞かれないことだ。残念だったAmazonの買い物を箱に入れ直す必要もない。Kohl’sの店員が全部引き受けてくれる。

これはKohl’sにとって何がよいのか?Bluetoothスピーカーを買ったけれど結局いらなかったとKohl’sにやってき客は、店の名前を覚えるだけでなく、シャツやAmazon Echoを手に取ってみるかもしれない。Amazonの返品を受け付けるようになって以来、テストに参加した店舗の来客数は増え、売上も上がったので、どうやらこのコンセプトはKohl’sにとってうまく働いているようだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

返品代金の即日返還サービスReturnlyが320万ドルを調達

Shot of a young man delivering a box to a woman

オンラインで買った物を返品するという行為は、本質的に顧客の不満足を表すものだ。しかし一部の賢いショップオーナたちはある事を学んだ。それは、返品の要望に対して守りに入ってしまうのではなく、逆にその不満足さの表現を広い心で受け入れた方が良いのだということだ。なぜなら、スムーズに返品プロセスを完了させることができれば、その不幸な出来事のあとに顧客がリピーターになってくれる可能性が高いことが分かったからだ。

サンフランシスコ北部の街を拠点とするReturnlyは、返品にともなって顧客とショップとの間に張り詰める緊張の糸をほぐしてくれるスタートアップだ。創業者兼CEOのEduardo Vilarが目指すのは、データの力を駆使することで返品によって一度失った収入をもう一度ショップの元に戻すことなのだ。

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Returnly創業者のEduardo Vilar。サンフランシスコのミッション地区にて。

それを実現するため、Returnlyはショップと消費者との間に立ち、よりスムーズな返品プロセスを提供している。それは、商品を返品してから代金が返還されるまでの恐ろしい待ち時間を省略するというサービスだ。

先日、同社はシードラウンドにて320万ドルの調達に成功した。リード投資家はIndex Venturesが務め、他にもSV Angel、FJ Labs、Mundiventures、そしてエンジェル投資家のAriel Polerも出資に参加している。

Returnlyのサービスでは返品代金が同社から消費者へと前払いされ、その代金はまず、同じショップの商品の購入のみに利用できるオンライン・ウォレットに返還される。そして、ショップが返品された商品を受け取った後には、最終的に返品代金が消費者の銀行口座に振り込まれるという仕組みだ。このオンライン・ウォレットのことを、子犬のような目で「また当店でお買い物してください」と訴えるお金だと思っていただいても差し支えないだろう。

このようなシチュエーションでは様々な行動経済学の原理が働くことになる。だが、このサービスを利用すれば再購買の確率がぐんと上がることは言うまでもない。

また、VilarはGlassdoor出身のサイエンティストを数名雇い、ショップオーナーにA/Bテストを提供して前払いされた代金が再購入に使われる確率の違いを視覚化するということも行っている。

SV AngelのパートナーであるBrian Pokornyによれば、この有名なVCがReturnlyへの出資に踏み切ったのは、同社のサービスを利用するショップオーナーとの会話がきかっけだったと語っている。

ショップオーナーたちはReturnlyから実にざまざまな利点を得ている。Returnlyの収益は返金前の商品代金をもとに計算される手数料収入だ。この他にもサービスの導入時には初期料金も発生する。しかし、FanaticsCotopaxiなどの企業は、これらのコストを合わせたとしてもReturnlyは低いリスクかつ利点の多いサービスだと判断した。

Vilarは数学と保険数理学のバックグランドを持っており、この知識が同社の初期段階のビジネスを支えたという。将来的には、彼が創りあげた金融ビジネスは予測可能であるだけでなく、利益を生むものなのだと機関投資家に示したいとVilarは語る。

返還されたお金をすぐに他のショップで使うことができないことに苛立つ消費者もいることだろう。しかし、覚えておかねばならないのは、Returnlyのサービスがなければ最大で21日ものあいだ代金が返還されないこともあるということなのだ。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter