台湾の電動スクーターGogoroが新ブランドバイクを5月に米国で発売

電動スクーターで知られる台湾のGogoroが新たな電動バイクブランドを発表した。まずは米国で発売される。Eeyoと呼ばれる電動バイクの詳細はまだ明らかになっていないが、Gogoroが米国で展開する初のプロダクトとなり注目に値する。

Eeyoは欧州と台湾で2020年夏発売される前に、5月に米国で購入できるようになる。

Gogoroは元HTC 幹部のHorace Luke(ホレイス・ルーク)氏とMatt Taylor(マット・テイラー)氏が2015年に創業した。同社のスマートスクーターは台湾において最もよく売れている電動二輪車ブランドだ。同社はまた、交換・再充電ができるバッテリーなどの技術をヤマハやAeon、PGOなどのメーカーにライセンス供与している。

欧州ではBoschが展開し、2019年に終了したスクーターシェアリングサービスCoup向けにバイクを提供した。

Gogoroはスマートスクーターで最も知られ、また間もなくEeyoを立ち上げるにもかかわらず、自社を電動車両メーカーだと考えていない。2019年のExtra Crunchでのインタビューの中で、CEOのルーク氏は同社の未来は省エネのためのプラットフォーム提供にある、と話している。

2019年に同社は「あらゆる形状」の車両ですぐに使えるソリューションとして他のモビリティ企業に提供される車両シェアリングプラットフォームのGoShareを立ち上げた。

画像クレジット:Gogoro

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(翻訳:Mizoguchi

Zero Motorcyclesから最高速度200kmのフルフェアリング型スポーツEV「SR/S」が登場

米国カリフォルニアに本拠を置く電動バイクメーカーのZero Motorcycles(ゼロ・モーターサイクルズ)に新たなラインアップが加わった。米国時間2月19日、ニューヨークにてフルフェアリングタイプのSR/Sがお披露目された。

同社のCEOであるSam Paschel(サム・パッシェル)氏は、昨年発売されたSR/Fのプラットフォームをベースにしたその二輪EVのカバーを取り去った。

新型SR/Sは、SR/Fと共通のバッテリーと駆動系を搭載し、スペックも近い。最高速度は時速124マイル(約200km)、走行距離は最大200マイル(約322km)、トルクは140ft-lb(約19.4Kgf-m)、充電時間は60分で95%と、パッシェル氏は発表会場でTechCrunchに話してくれた。

このZeroの最新型電動バイクはIoT対応だ。エンジン出力や操縦性など、全体的なパフォーマンスをデジタルライディングモードを通じて管理できる。

SR/SがSR/Fと大きく違う点は、フルフェアリングの追加、より楽なライディング・ポジション(バーとペグの位置を変更)、そして空力性能の向上により高速走行距離が13%伸びたことだ。

フェアリングによって、車重はSR/Fの約220キロに対して9キロほど可算された。価格は、SR/Sのベースモデルが1万9995ドル(約222万5000円)。SR/Fの1万9495ドル(約217万円)をわずかに上回る。SR/Sの最上位モデル(大容量バッテリー搭載)は2万1995ドル(約245万円)となっている。

SR/Sは本日から全世界のZeroディラー・ネットワークに出荷される。ディーラーは米国内で91カ所、その他の世界では200カ所あり、パッシェル氏によれば電動バイクのメーカーとしては世界最大とのこと。

SR/Fよりも、スポーツ・ツーリングに適したバイクとして位置づけられたSR/Sには、よりアグレッシブなライディング・ポジションになるが高速走行時の空力はやや劣るフェアリングのないネイキッドタイプも用意されている。

Zeroの最新エントリーとなるSR/FとSR/Sは、スタートアップ企業がオートバイ業界の電動化を進めるこの時期に投入されたものの、すべての新型モデルが売れるだけの十分な需要があるという確証がない。

米国のオートバイ市場は、この10年間停滞しているにも関わらず、数多くのEVメーカーがひしめく状態になっている。同国でのオートバイの新車販売台数は2008年からおよそ50%減少しており、特に40歳以下の所有者数は激減し、戻る兆しが見られないことを米モーターサイクル産業審議会の統計が示している。

2019年には、売り上げと若いライダーの興味を呼び戻そうと、大型バイクメーカーとしては初めて、ハーレーダビッドソンが公道を走れる電動バイクLiveWire(ライブワイヤー)を米国で発売した。これがハーレーの電気自動二輪生産ラインの先駆者となった。

ハーレーダビッドソン初の電動バイクLiveWire

ハーレーは、いくつもの電動バイク・スタートアップの失敗(Alta Motors、Mission Motors、Brammo)の後に参入を果たし、ZeroなどのEVベンチャーとともに市場で生き伸びている。その数は増加中だ。

イタリアの高性能EVメーカーEnergica(エネジーカ)は、スウェーデンの電動バイクメーカーCake(ケイク)と共にマーケティングとセールスをアメリカに拡大した。今年も、カリフォルニアを拠点とするLightning Motorcycles(ライトニング・モーターサイクルズ)が参入し、フランスとアメリカの資本で設立されたFuell(フュエル)が価格1万ドル(約110万円)で走行距離約240kmのFlow(フロー)を発売する予定だ。

Zeroには、ハーレーのLiveWireよりも有利な点があるように見える。価格がハーレーの2万9799ドル(約332万円)よりも100万円ほど安いのだ。だが、電動バイクの信頼できる売り上げ統計がまだ発表されていないため、2019年に両者がどれだけ奮闘したかはまだわからない。

Zeroは売り上げを公表していない(CEOのサム・パッシェル氏にダメもとで当たってみたのだが)。

ハーレーのLiveWireに対する価格での優位性は、Zeroの新型SR/Sにも引き継がれたが、発売が待たれるDamon(デーモン)のHypersport(ハイパースポート)が最大の強敵になるだろう。

バンクーバーに拠点を置く電動バイクのスタートアップDamonは、最高速度約320kmの電動バイクHypesportをデビューさせようとしている。価格は2万4995ドル(約278万円)で、ターゲットはTesla(テスラ)のオーナー。独自のデジタル安全技術と、人間工学的にポジションを調整できる機能を備えている。Zeroにはないものだ。オートバイ市場全体でも、これに匹敵するものは存在しない。

どのメーカーが、すべての電動バイクの中から市場に好まれ利益を獲得できるかは、時間とバーンレートと売り上げに掛かっている。

Zeroは財務状況を公表していないが、スタートアップの中では、同社はかなり抜きんでている。過去にベンチャー投資1億2000万ドル(約134億円)を調達し(Crunchbase調べ)、もうこれ以上調達する予定はないとパッシェル氏は話していた。

「必要ありません」と彼はTechCrunchに言った。また、2019年のベンチャーの最大の挑戦は、バイヤーの需要に追いつけるようSR/Fの生産速度を保つことだったとも語っていた。Zeroでは、そんなうれしい問題が2020年に新型SR/Sでも起きることを期待している。

関連記事:テスラオーナーをターゲットにした最高速度320kmで超安全な電動バイク

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(翻訳:金井哲夫)

テスラオーナーをターゲットにした最高速度320kmで超安全な電動バイク

Damon Motorcycles(デーモン・モーターサイクルズ)は、オートバイメーカーのTesla(テスラ)になるつもりはない。しかし、その電動二輪車はテスラのオーナーの精神を最初に捉えるものだと、このスタートアップは考えている。2万4995ドル(約270万円)というDamonの新型バイクHypersport(ハイパースポート)がターゲットとする市場はそこにあると、Jay Giraud(ジェイ・ジロー)CEOは語る。

カナダのバンクーバーに本社を置くスタートアップであるDamon Motorcyclesは、12月に動画で予告していた電動バイクを、1月7日に米国ラスベガスで開催されているCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)で披露した。

Damon Hypersportは、最高速度は時速200マイル(時速約320km)、高速走行距離200マイル(約320km)、トルクは147フィート重量ポンド(約199.3N·m=ニュートンメートル)、80%までの充電時間は20分、重量は500ポンド(約226.8kg)に満たないと、ジロー氏はTechCrunchに電話で伝えてくれた。この電動バイクはクラウドに接続され、デジタル乗車モデルを通して性能が管理される。その結果、停止状態から時速60マイル(時速約95.6km)に達するまでの時間は3秒を切る。

この性能だけをとっても、Hypersportは競争が激化しつつある電動バイク市場でひと際目立つ存在だが、それはDamonが提供するパッケージの一部に過ぎない。現在シードステージのこのメーカーには、オートバイの構造に共通する欠陥(と彼らが見ているもの)を克服するために開発した独自のデジタル安全技術がある。

COPILOTセンサー・アレイ:荷重センサー、テレマティックス・アレイ、非視覚センサー・アレイ、1080pカメラ、77Ghzレーダー

「私たちは、安全性、操作性、快適性、そして現在のすべての電動バイクメーカーを含む、この業界の全員が訴えてきた問題に対処することで、業界を変革したいと考えています」と、ジロー氏は12月、TechCrunchに話していた

その目的のためにDamonは、独自の技術的機能を搭載することで、Hypersportを、超高速のスマートで安全なバイクとして位置づけた。まず手始めに、同社独自のCoPilot(コパイロット)システムを搭載した。これは、センサー、レーダー、カメラを使い、死角を含むバイクの周囲で動くものを追跡し、ライダーに危険を知らせてくれる。

Damonはまた、オートバイのデザインにおける「全サイズ共通」という問題にも、調整可能な人間工学的システムをHypersportに導入し対処した。彼らのデビュー作となるこのバイクでは、ウインドスクリーン、シート、フットペグ、ハンドルバーの位置が、街中での体を起こした乗車姿勢から攻めの高速走行での姿勢まで、姿勢や状況に応じて電子的に位置を変えられる。DamonではHypersportの予約を受け付けているが、ディーラーは通さず、消費者へ直接販売しサービスを行うモデルを採用している。

同社は、電動バイクで混み合う様相を見せつつある、停滞した米国のオートバイ市場に参入する。米国自動二輪工業審議会の統計によれば、米国でのオートバイの新車販売台数は2008年のおよそ半数に落ち込み、40歳未満のオーナー数は激減しており、改善の傾向は見られていない。

若いライダーへの販売と興味を復活させるために、ハーレーダビッドソンは2019年、大型バイクメーカーとしては初めてとなる道交法上合法な電動バイクLiveWire(ライブワイヤー)の販売を米国で開始した。これが、ハーレーダビッドソンの電動バイク製品ラインの先駆けとなった。

ハーレーダビッドソンLiveWire

ハーレーダビッドソンは、Alta Motors(アルタ・モータース)、Mission Motors(ミッション・モータース)、Brammo(ブラモ)など、いくつもの電動バイクのスタートアップが経営破綻した後、2019年に1万9000ドル(約200万円)という最高速度120マイル(約193km)のSR/FをデビューさせたZero(ゼロ)など、今も存続する電動バイクのベンチャー企業とともに市場参入した。

イタリアの高性能電動バイクメーカーであるEnergica(エネルジカ)は、米国でのマーケティングと販売を拡大しており、2020年にはカリフォルニアのLightning Motorcycles(ライトニング・モーターサイクルズ)が電動バイクの発売を開始し、仏米資本の企業Fuell(フュエル)が1万ドル(約108万円)で走行距離が約240kmというFllow(フロー)を発売する予定だ。

電動バイクメーカーの参入が目白押しの米国のオートバイ市場で、Damon Motorcyclesはどのようにスケールを拡大していくのだろうか。同社のCEOであるジロー氏は、飛び抜けた高性能と安全機能を融合させることで、Damonは競合他社に差を付けられると信じている。彼はまた、DamonのHypersportと計画中の後続モデルは、既存の、しかし電動バイクにはまだほとんど手を出していない市場セグメントに売り込めると考えている。つまりそれは、テスラのオーナーだ。

「彼らは電動ドライブというものをよく知っています。あの強烈な加速感とか。さらに彼らは、信じられないような性能のみならず、EVの安全性を保つ技術についても正しく認識しています」とジロー氏は語る。ジロー氏はカナダ人のDominique Kwong(ドミニク・クオン)氏とDamonを共同創設した。

ジェイ・ジロー氏とドミニク・クオン氏

だが、四輪のテスラのオーナーが、果たしてバイクを買うのだろうか?「もちろん買います」とジロー氏。「大変な数のテスラオーナーがバイクを所有しています。私たちのウェブサイトのフォームで興味ありと答えてくれた方のうち1700人が(テスラの)オーナーだと教えてくれました」

Damonは、ジロー氏が言うところのテスラ効果に期待している。「テスラを買ってからほぼ6カ月以内に人々は家やガレージの中で他に電動化すべきものを探すようになります。私たちが最初に追いかけるのは、そうした人たちです」とジロー氏は言う。

Damonが裕福な電気自動車の所有者たちに270万円で最高速度320kmの電動バイクを売り込めるのかは、時間と販売台数が教えてくれる。

さらに、その核心的なデザインがDamon効果を生み出すか否かにも注目したい。OEMや電動バイクのスタートアップに対する市場の期待が、高性能と高度なデジタル安全機能を備えたバイクへと変化していくかどうかだ。

関連記事:Zero MotorcyclesのCEOに話を聞き、2020 SR/Fを持ち帰ってみた(未訳)

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(翻訳:金井哲夫)

LiveWireで考えるハーレー・ダビッドソンの電動シフト

ハーレー・ダビッドソンは、9月にその初の量産型電動バイク「LiveWire」を発売する予定だ。そのとおり、内燃機関、クロムと鋼鉄に関わる米国のシンボルが完全電動二輪車に向かうのだ。

1903年にミルウォーキーで創業されたハーレー・ダビッドソンは、2018年になってシリコンバレーオフィスを開設した。これはオートバイから自転車そしてキックボードに至る将来の電動車両のラインアップ追加の計画のもとに行われた。これらの動きによって、HDもまた、グローバルモビリティの変革の中で自らを再定義している既存の移動車両メーカーの仲間に加わった。

TechCrunchは、ニューヨークのフォーミュラEレーストラックで、EVへの転換に関して同社の上級管理職と話し、LiveWireに試乗する機会に恵まれた。

このバッテリー駆動のハーレーは、時速0〜60マイル(0〜約97km)の加速を3秒で行い、最高時速は110マイル(約177km)に達し、60分で充電を完全に終了する。標準小売価格はそれは2万9799ドル(約320万円)だ。

このオートバイの15.5 kWhのバッテリーとモーターは、146マイル(235km)の都市範囲で105馬力と86 ft-lbs(116.6Nm)のトルクを生み出す。都市と高速道路走行を組み合わせた場合は、95ft-lbs(128.8Nm)。

Harley Davidson Livewire static 1

ハーレー・ダビッドソンは、ガソリンバイクのミニマリズムとは対照的な形で、LiveWireを開発した。同社のEVテクノロジー担当チーフエンジニアであるショーン・スタンリー(Sean Stanley)氏によれば、この電動バイクには性能とアプリベースの接続性を管理するために、5つのプロセッサが搭載されている。

LiveWireのタブレット型ダッシュボードはスマートフォンと同期し、プリセットおよびカスタマイズされたデジタルライディングモードを可能にする。利用者はダッシュボードやスマートフォンから、LiveWireの出力、充電状態、トラクションコントロール設定、そしてABSブレーキ特性を調整し監視することができる。このEVは、ナビゲーション機能を持ち、音楽再生、ヘルメット通信、および着信電話を受けるためのBluetoothシステムを備えている。

ハーレーダビッドソンのバイクは、そのエンジンの特徴的な音で有名だ。なのでLiveWireの機械的動作から生み出される特徴的な電動サウンドも当然存在している。「私たちはそれを最適化するために多くの時間を費やしました。音は電気モーター、トランスミッションそして駆動系の組み合わせからやってきます」とスタンリー氏は説明した。

家庭用コンセントでLiveWireに電力を供給することも可能だし、Tesla車に電力を供給するのと同じ急速充電ネットワーク(ChargePointなど)を使用することで、高速道路走行に向かうこともできる。

ハーレー・ダビッドソンはまた、LiveWireディーラーにも充電ステーションを追加しており、先週にはElectrify Americaとの提携により、新規購入者に500kWを無償で提供することを発表した。同社は電動シフトを行うことで、伝統的なオートバイ会社の間でEVリーダーとして正面に飛び出すことになる。これはこの象徴的な米国の会社を、電動バイクスタートアップとの競争から守ることになる。

有名なガソリンバイクメーカーは電動バイクの取り込みが遅れている。大メーカーである、ホンダ、カワサキ、BMWのいずれもが、公道用の電動モーターサイクルを米国内では提供していない。これに対してKTMはFreeride E-XCオフロードモーターサイクルを2018年に発売し、ほどなくそのジュニア版を、完全電動スーパークロスレーシングクラスのために発売する。

関連記事:Supercross to debut first EV class and tap startups to go digital(未訳)

ハーレーの電動への動きが起きたのは、会社の収益が減少し、電動二輪車市場が停滞したことを受けてのことだ。

米国のオートバイ産業は、リーマンショック以降極めて悪い状況に置かれてきた。2008年以降、40歳未満の購買層による急激な落ち込みによって、新規売上は約50%減少していて、以来一度も回復していない。

LiveWire Charging Harley DavidsonUBSのロビン・ファーリィ(Robin Farley)氏のようなアナリストたちは、高齢のベビーブーマー世代よりも、よりテクノロジーに精通したミレニアル世代の嗜好に訴えることの方が、ハーレーダビッドソンにとって優先されるべきであると主張している。

ここ数年、電動バイクのスタートアップたちは、若い世代の興味を再び喚起するモデルを生み出し、その一方でガソリンバイクの乗り手に対して乗り換えを促してきた。カリフォルニアを拠点とするZeroなどの企業は、新しいライダーを引き付けるためにより多くのハイテク機能を提供することに加えて、ガソリン駆動のオートバイと比較したときの、価格、航続距離、充電時間、およびパフォーマンスのギャップを埋めることにずっと取り組んでいる。同スタートアップは、1万8995ドルのSR/Fモデルの出荷を始めた。これは潜在的にLiveWireの競争相手となる。市街地の航続距離は161マイル(約259km)、充電時間は1時間、そして最高速度は時速124マイル(約時速200km)である。

また別の電動バイクのスタートアップFuellは1万995ドルのFlowを発売する。こちらは0〜60(0〜97km)の加速が2.7秒、航続距離150マイル(約241km)、そして充電時間は30分だ。発売は今年まずヨーロッパで行われ、次に米国が続くと、創業者のエリック・ビュエル(Erik Buell)氏は語っている。

Harley Davidson LiveWire Trackそれでは、市場での競争はさておき、ハーレー・ダビッドソンのLiveWireの乗り心地はどのようなものだろうか。ニューヨークのフォーミュラEサーキットを十数回走行することで、しっかりとした第一印象を得ることができた。LiveWireは、電動バイクのエクスペリエンスとなりつつあるものそのものだ。ほとんど騒音の起きない鋭い加速とともに、風を切り裂いて進むことができる。

LiveWireとガソリンバイクの最大の違いは、そのモンスター級のトルクと、途切れることのない前進である。マシンはギアを1つしか持っていないので、クラッチもシフト操作も存在しない。スロットルから後輪に動力を機械的に伝達するためには、バッテリー、プロセッサーそして駆動系だけが必要で、これまで必要だった仕掛よりも大幅に少ない。あとはスロットルを回して走り始めるだけだ。

ハーレーダビッドソンがこのアドレナリン誘発マシンのLiveWireを発表するときに注目したいものがいくつかある。1つ目は、競合可能でより安価な電動バイクを発売するZeroなどのスタートアップ競合企業と比較した場合の、2万9000ドルという価格の市場競争力だ。同社のポール・ジェームズ(Paul James)氏(ビデオ参照)は、性能とハーレーのサービスならびにディーラーネットワークが、Zeroに対するLiveWireの有利な点だと語った。買い手が納得したかどうかは、売上によってすぐにわかるだろう。

ハーレーダビッドソンのEVへの進路は、ガソリンオートバイ産業を電気に向ける刺激を生み出す可能性もあるだろう。その場合は、同社は追い詰められたメーカーの立場から自ら破壊者へと転身したことになる。

そして、LiveWireのリリースよりさらに重要なのは、ハーレー・ダビッドソンが次に提供するものだ。同社は、近い将来に、より軽量で低価格の電動バイクはもちろん、電動キックボードや電動自転車を発売することを明言している。

今年の春のイベントで、ハーレー・ダビッドソンのプロダクト担当副社長であるマーク・マカリスター(Marc McAllister)氏は、同社がオンデマンドの都市型モビリティ時代向けの製品を開発しながらも、プレミアムモーターサイクル企業に留まり続ける必要があることを強調した。

ハーレー・ダビッドソンのLiveWireはその方向への跳躍だ。しかし同社の次の電動二輪車のラウンドとそれに対する市場の反応が、人びとがある場所から別の場所へと移動する手段が変革していく中における同社の立ち位置について、より多くのことを教えてくれるだろう。

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(翻訳:sako)

電動バイクのスタートアップLightning Motorcyclesが300キロ以上の航続性能を備えるモデルを発表

Lightning Motorcyclesが数カ月前からじらすように宣伝していた電動バイクが、ようやくお披露目された。1万2000ドル(約133万円)から1万9000ドル(約210万円)の価格帯で売られるStrike電動バイクには、200マイル(約322キロ)の航続距離、時速150マイル(約240キロ)の最高速度、そして35分のDC急速充電時間のオプションが提供されている。

新しいマシンは、LightningのデビューマシンであるLS-218よりも、より直立したライディングポジションと、よりお財布に優しい価格で提供される(最高時速218マイル、時速約351キロ)で3万8888ドル(約430万円)のスーパーバイクLS-218は、世界最速の量産型ストリートバイクであることが売りだった)。

LS-218では、Lightningは販売量を望めないニッチなハイパーパフォーマンス市場に注力していた。

今回このスタートアップは、Strikeを乗り手と価格の観点からより広い市場に魅力と買いやすさを提供するモデルだと予告していた

Strikeが登場した今年は、EVスタートアップたちがよりスペックと価格の厳しい競争にさらされ、大きなバイクメーカーたちが電動への切り替えの圧力をより強く感じている年である。

Strikeは3つのバリエーションと価格帯を提供する。その1万9998ドル(約222万円)のCarbonエディションは20kWhのバッテリー、約322キロまでの航続距離、そして時速約240キロの最高速度を誇っている。もっとも低価格である1万2998ドル(約144万円)のStandardエディションは、バッテリーの容量は半分、ハイウエイと市街地における航続距離は70マイル(113キロ)から100マイル(161キロ)、そして最高速度は時速135マイル(時速約217キロ)である。

Lightningはこの数カ月の間、Strikeのチラ見せを行いながら注文を受け付けていたが実際の出荷は7月に始まる。

ここ数年、電動バイクのスタートアップたちは、ガソリンバイクと比べた際の、価格、走行距離、エネルギー充填時間、そしてパフォーマンスのギャップを埋めるモデルを生み出そうと努力を重ねてきていた。彼らはまた、若い世代に対する新しいオートバイの販売を活性化させたいという希望も抱いている。

米国のオートバイ産業は、リーマンショック以降かなり悪い状況に置かれてきた。2008年以降、新規売上高は約50%減少し、40歳未満の所有者は急激に減少した。例外は女性たちであり、唯一の成長を続けるオートバイ所有セグメントとなっている。

ホンダ、カワサキ、スズキ、BMWなど、 ビッグネームのメーカーのいずれも米国内では量産型の路上走行電動バイクを提供していない。だがハーレー・ダビッドソンはこの夏に2万9000ドル(約322万円)のLiveWireで市場に参入を予定している。LiveWireの時速0〜100キロ加速は3秒であり、航続距離は177キロを予定している。ハーレーはまた、さらなる電動バイクモデルの投入だけでなく、電動自転車、電動スクーターの生産にも参入し、完全に電動化へ舵を切る計画であることも明らかにしている。

また別のカリフォルニアのスタートアップであるZero Motorcyclesは、より広い市場を相手にモデルラインアップを提供している。その最も安い機種は8000ドル(約87万円)のFXモデルである。 Zeroは最近そのゲームをさらに進め、出力110馬力で価格1万8000ドル(約222万円)のSR/Fモデルを発表した。航続距離は322キロ、充電時間は1時間、そして最高速度は時速124マイル(約200キロ)である。

さらにイタリアに本拠を置くEnergicaというメーカーもある。これは高性能バイク市場に応える電動バイクスタートアップであり、米国内で重点的なマーケティングを行っている。同社は研究開発と各種の支援を、筆頭投資者であるCRPグループから得ている。CRPグループは、F1やNASCARの支援経験を通したエンジニアリングの裏付けを持つイタリアの企業だ。

この先の会社の競争を考えるときに、Lightningの新しいStrikeには注目すべき2つの観点がある。1つ目は、新しい低価格モデルに関する資金繰りと収益の伸び方だ。

(四輪の世界の)Teslaのように、Zeroのような電動バイクのスタートアップたちは、皆その資本燃焼率に苦しんでいて、最終的には閉鎖に追い込まれてしまう企業もある。そうした例には、Brammo、Mission Motorcycles、そして最近では、VCから4500万ドルの資金を受けていたが昨年10月に操業停止したカリフォルニアのEVベンチャーであるAlta Motorsなどがある。

Lightningがどのようにして資金を得ているのかはよくわかっていない(CrunchbaseにはVCからの5万ドルが書かれているだけである)し、Zeroよりも売上が少なく、Energiaのような研究開発支援も受けていないこの電動バイクスタートアップが、一体どのようにして新しい低価格のStrikeのための資金繰りを行っているのかも不明なのだ。

そして、それは注目すべき第2の観点につながる。それは、バイク乗りの人々(もしくは非バイク乗りの人びと)は、Strikeの新しいデザイン、性能、そして価格の組み合わせを気に入ってくれるのかという問題だ。

Strikeのデザインが、ほとんど明らかにされていなかったチラ見せ期間の間、私はLightningがもっとスポーツ要素が少なく姿勢を起こした状態で乗るものを発表するものだと思い込んでいた。 Zeroの新しいSR/Fにより近いものだ。そうすることで初心者と、電動に切り替えたいと考えている旧来のバイク経験者に対するアピールができるからだ。

だが発表されたスポーティな形状は、Strikeをレース仕様に触発されたEnergicaの高価なEGO(2万2000ドル、約244万円)の競争相手として位置付けるものだ。これはLightningが新しいバイクのターゲットとして予告していた、より大衆的な客層からは乖離したものである。

タイミング、需要、そしてスタートアップが新しいVCを引き付ける能力によって、Lightningの新しい自転車が購入予定者を魅了できるかどうかが決まるだろう。

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(翻訳:sako)