アドビがデザインツール「Adobe XD」にリアルタイム共同編集機能を追加

今週は、毎年恒例となったAdobe(アドビ)のCreative Cloudイベント「Adobe Max」の週だ。そして例年どおり、同社のさまざまな製品に対して各種のアップデートが発表される。ものによっては、わずかな変更や、小さな機能の追加にすぎない場合もある。しかし、ウェブとアプリ開発用のデザイン/プロトタイピングツールAdobe XDについては、注目に値する興味深いアップデートが目白押しだ。

中でも最も目立ったアップデートは、ドキュメントをリアルタイムで共同編集できるようにするもの。これにより、離れた場所で作業するデザイナーの仕事がかなり効率的になる。この新しい共同編集機能は現在ベータ版だが、複数のデザイナーが1つのドキュメントに対して同時に作業できるようにするもの。AdobeのCreative Cloudバックエンドを使用して変更をリアルタイムで同期する。1つのドキュメントを共同編集できるようにするには、まずそのドキュメントをクラウドに保存してから、一緒に作業するチームメイトを招待すればいい。

またXDチームは、既存の共有機能もXDに取り込んだ。デザイナーがフィードバックを集めたり、アセットを分配できるようにするものだ。そうした機能を集めて「共有」という独立したモードにまとめ、既存の「デザイン」、「プロトタイプ」モードに並べて配置した。

「共有モードは、他の人と作業を共有する必要があるときに行く場所です」と、同社は説明する。「そこでは、対象となる作業への、共有可能なウェブリンクの作成と管理が可能です。その際には、共有される新しいプリセットを使用して、さまざまに異なるユースケース用の共有体験のカスタマイズもできます。そうしたユースケースとしては、デザインレビュー、開発の移管、プレゼンテーション、ユーザーテストなどが含まれます」。

XDは、Creative Cloudアプリケーションの中でも、完全に無料のモードを含む希少なものの1つ。無料モードのユーザーも、2020年4月までは、この新しい共同編集機能にアクセスできる。そして、他のすべての新たな共有、コラボレーションツールは、期限なしで、「XDスタータープラン」に加入している無料ユーザーにも使える。

XDの他の新機能も挙げておこう。まず、コンポーネントのステートのサポートが強化された。これによりデザイナーは、一貫したユーザーインターフェイスの作成が容易になる。また、ホバートリガーが追加され、デザインしたアイテムの上にホバーするとアクションを起動できるようになった。さらに基本的なインタラクションのプロトタイプを開発する新しいツールも加わっている。また、再設計されたプラグインマネージャによって、Jira Cloud、UI Faces、Stark、Arrangerなど、200以上のプラグインをサポートしている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

AdobeのプロトタイピングツールXDがAlexaを統合

このところ人気が増しているプロトタイピングとデザインのツールAdobe XDに、Echo DotやEcho Showなどの上のAmazon Alexaによる音声体験をテストする機能が加わった。そのサポートは昨年10月に発表されたXDの音声プロトタイピングツールをベースとし、Adobeの初めてのAlexaスキル、すなわち制作中のプロトタイプをテストするためのスキルもある。

音声テクノロジーに関するAdobeの最近の調査によると、ユーザーは確かに音声テクノロジーを使うことに関心があるが、しかしこれまでのXDはWebやモバイルが中心だった。しかしAdobe自身も、最近の数か月で音声アプリの構築にいくつかの投資をした。また長年通常のアプリを作り慣れているデザイナーやデベロッパーも、音声アプリを任されることが多くなっている。そこで彼らのためには、使い慣れたツールで新しい音声アプリのテストができたほうがいい。

今回の統合に含まれるのは、上述のテスト用のAlexaスキルのほかに、音声プロトタイプをAlexaへエキスポートしプレビューするためのXDのAlexaプラグインだ。Adobeの音声UI/UX担当ディレクターMark Webster(マーク・ウェブスター)氏は「自分が作っているプロトタイプを実機の上で体験すると、投資家などがデザイナーやデベロッパーの意図をよく理解できる。それだけでなく、EchoなどのAlexaデバイスの上で音声プロトタイプを体験できれば、デザインについてより具体的な議論ができるようになる。そして部分的手直しも、製品開発のサイクルを一からやり直さずにできる」とコメントしている。

XDの音声サポートの初期的な段階はとても素朴で、単語を理解したら、それに対応して話をするだけだ。初歩的な機能をデモするにはこれでよくても、本物のデバイスでスキルをテストすることの代わりにはなりえない。

でも今後は、ほかの音声アシスタントもサポートされるのではないだろうか。当面は、Alexaだけだが。

XD Amazon Alexa Plugin 01

関連記事: Adobe XD now lets you prototype voice apps (Adobe XDで音声アプリをプロトタイピングできる、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アドビがUI/UX開発ツール「Adobe XD」テコ入れのためデベロッパーを約224万円で勧誘

デザイン業界は本格的な競争状態にある。これまでの歴史を振り返って見ても、デザイナーやそのチームにとって、これほど豊富なオプションが選択肢として揃っていることはなかった。需要と供給が共に増加するにつれて、デザインのためのツールを作る側は、ユーザーに対してなるべく包括的な体験を提供できるように努めてきた。

この分野の重要なプレーヤーであるAdobe(アドビ)は、米国時間4月16日にAdobe Creative Cloud Plugin Accelerator(アドビ・クリエイティブクラウド・プラグイン・アクセラレータ)を発表した。Adobe XD用のプラグインの開発に集中して取り組んでみたいと考えている個人、またはチームは、Adobeの本社で3カ月間を過ごすことになる。その間は、Adobeの製品を自由に使い、デザイン、開発チームと協力して仕事を進めることができる。また経費として、1人あたり2万ドル(約224万円)の固定給が支払われる。

ただ、Adobeはこのプロジェクトに対して公平な立場を取ってないことは承知しておくべきだ。参加者はその間に開発したものに関する知的財産権の100%をAdobeに引き渡さなければならない。

このAdobe Creative Cloud Plugin Acceleratorは、2018年5月に発足した1000万ドル(約11億2000万円)のAdobe主催のベンチャーファンドのFund for Designからサポートを受けている。このファンドも、そしてこのアクセラレータも、これまではかなり閉鎖的なエコシステムを築いてきたAdobeを、よりオープンなものにすることを目的としている。

「Adobeのような会社にとっては、外部の人材を本社に招き入れることによって、体質を解きほぐすことが重要です」と、Adobeの主席デザイナー、Khoi Vinh氏は述べている。「5年から10年前のAdobeと比べれば、考え方は大きく変わっています。さらに、コミュニティの活力を取り込もうとしているのです」。

AdobeがAdobe XDのAPIを開放してから、まだ1年も経っていないが、それによってUserTestingやAirtableなど、他のツールとの統合が可能となった。

Vinh氏によると、どれほどの数のチームや個人に、アクセラレータに参加してもらうことができるのか、現時点ではまだAdobeとしてもはっきりしていないという。会社として、このようなことをするのは今回が初めてなので、特定の数の参加者や固定的なカリキュラムに固執することはなさそうだ。Vinh氏が見たところ、自分たちが開発しようとしているものについて明確なビジョンを持っていて、あとはAdobeの技術部門、あるいは製品開発チームから個別にアドバイスを受けたいと考えているチームもあれば、コラボレーションが可能な環境でのブレインストーミングによって、アイディアそのものを開拓したいというチームもあるようだ。

1つだけ明らかなことは、Adobeが探し求めているのは、超初期段階のプロジェクトであるということ。

「結局のところ、Fund for Designで起こったことは、創立者、あるいはすでに自分の会社を持っている人々にとって、助成金と投資が大きな役割を果たしたということです」と、Vinh氏は述べている。「プラグインアクセラレータがターゲットにしているのは、創業することを考えるよりも前の段階の人で、自分の会社を始める準備もできていない人なのです」。

希望としては、2、3のチームが素晴らしいプラグインを開発し、Adobe XDというプラットフォームをより魅力的なものにすることができること。ちょうどFigmaやInVisionが、同じ領域のユーザーのために実現しているのと同じように。

Adobeはベンチャー基金を立ち上げた最初のデザインツール会社というわけではない。たとえばInVisionは、2017年末に500万ドル(約5億6000万円)のDesign Forward Fundを立ち上げている。

Creative Cloud Plugin Acceleratorに興味がある人は、ここから応募することができる。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)