GVA TECHの次の一手は「エンタープライズ向け」、大手の“法務格差解消”目指し「AI-CON Pro」α版リリース

AI契約書レビュー「AI-CON」や法人登記支援サービスの「AI-CON 登記」を提供するGVA TECH。2017年1月設立のLegalTech(リーガルテック)スタートアップである同社の次の一手は「エンタープライズ向け」。GVA TECHは9月2日、エンタープライズ向け“⾃社専⽤”のAI契約法務サービス 「AI-CON Pro」のα版をリリースした。

開発の背景に関して、GVA TECH代表取締役の山本俊氏は「AI-CONはスタートアップ、中小企業向けに提供を想定していたものの、エンタープライズからの問い合わせも非常に多かった」と話す。GVA TECHの理念は「法務格差を解消すること」。今後はスタートアップや中小だけでなく、エンタープライズにおける「法律業務の民主化」もGVA TECHのミッションとなった。

「エンタープライズにおいても法務部と事業部間での法務格差はもちろんのこと、法務部内でも知識や経験の差があるため、法務格差が生じていることがわかった。そこで、大手企業の中でのノウハウや方針を生かしてエンタープライズ企業内での法務格差の解消を行うことにより、法務を企業の中に浸透させることができればと考えている」(山本氏)

山本氏いわく、大手企業からの問い合わせでは「自社の基準を反映させたいという要望が非常に多かった」という。そのため、従来のAI-CONでは「GVA TECHの設定による法務基準」でリスク判定をしていたが、AI-CON Proでは「自社の法務基準で契約書レビューがしたい」という大手企業からの要望に応えた。「顧客企業が使用している契約書の雛形や法務知識をGVA TECHのAIにセットアップすることで、導入企業の法務基準に則した契約書レビューを実現した」そうだ。

「スタートアップや中小企業と違い、内部にノウハウがあるエンタープライズ企業は内部に法務知見があるため、知見を集約して法務部間の法務格差を解消することを当初の目標とし、その後は経営や事業部に一部法務機能を移管することを目指している。また、法務部の時間も効率化や移管によって増加するため、アメリカのように経営や事業に密着した創造的な法務を生み出すことができるようにしたい」(山本氏)

GVA TECHいわく、AI-CON Proでは以下の付加価値を提供することが可能になるという。

  1. 法務担当者の業務効率化および契約書レビュー期間を短縮することができる
  2. 法務担当者の知識をAIにセットアップして自社の法務部門へ共有することで、契約書レビューの精度を標準化し、属人化を防止することができる
  3. 法務部門だけではなく、法務知識が浅い各部門も「AI-CON Pro」を使用することで、契約書をレビューする際の観点がわかる

GVA TECHは年内にはAI-CON Proの正式版をリリースする予定だ。山本氏はこれまでにリリースしてきたプロダクトに関し、次のようにコメントしている。「AI-CONについては多様な企業の利用が増えている。今後はよりスタートアップや中小企業のニーズにマッチするような機能や価格帯により特化していく予定。 AI-CON登記は評判が非常に良く、毎月利用が伸びている。本日も商号変更対応機能が追加されたが、今後も登記事項を随時増加していく予定だ」(山本氏)

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GVA TECHが法人登記に必要な書類を自動作成する「AI-CON 登記」をリリース

AI契約書レビュー「AI-CON レビュー」や契約書作成支援サービス「AI-CON ドラフト」などを開発・運営するLegalTech(リーガルテック)企業のGVA TECHは1月15日、新たにスタートアップ向け法人登記支援サービスの「AI-CON 登記」をリリースした。

AI-CON 登記は必要書類をアップロードし、最低限の必要事項を入力するだけで法人登記の申請書類を自動作成するサービスだ。

オンライン上に登記情報と株主名簿をアップロードすると、情報が自動的に入力され、あとは移転先の住所など最低限の不足情報を入力するだけで法人登記の際に必要な書類が完成する。なおアップロードのための登記情報はサービス上にて無料で取得することができる。

このサービスにより自動で作成された書類に押印し、法務局に送付するだけで登記手続きが完了する。

「どこの法務局に持っていけばわからない」場合でもAI-CON 登記が機械的に判別し、教えてくれるのもポイントだ。

なおAI-CON 登記は登記に通るための必要な手続きのほか、株主総会、取締役会の実施、議事録の作成など会社法の観点からも適切な手続きを含めたスケジュールを案内する。

GVA TECHによると司法書士に依頼すると通常数日を要するところ、AI-CON 登記を利用すれば最短で数十分から数時間で書類を作成することができる。

GVA TECH代表取締役の山本俊氏は登記申請は「一文字間違えただけで補正しなければならないような世界。少しのミスが大きな面倒を生む。その面倒がビジネスを阻害していた」とAI-CON 登記の開発に関して説明する。

同社いわく、会社の設立、商号や本店住所の変更、役員の変更など、ビジネスを行う上で登記の機会は数多く存在し、これら各種の登記手続きは事由が発生してから2週間以内に行う必要がある。

申請期限を過ぎた場合は裁判所より過料の制裁に処せられる可能性があるため、正確性と迅速性が求められるが、登記書類の作成・申請は複雑であるためビジネスのスピードを損なう原因となっていた。

AI-CON 登記の開発には所属司法書士数において城南5区(渋谷、目黒、世田谷、太田、品川)内で最大規模を誇る司法書士法人ライズアクロスが業務提携先として全面協力している。

ライズアクロスの代表社員、髙橋圭氏は「司法書士に頼むか自分でやるかという話だが、世の中の司法書士は基本的にITリテラシーが低い。適切なプレイヤーがいなかった」とGVA TECHとの業務提携について話す。

AI-CON 登記に関しては「司法書士に本店移転を頼むと5万円くらいする」ため、頼む人がいない場合には自社内でやろうとする傾向にあり、結果、一文字間違えただけで役所に出向く必要が出てくるケースもある、と説明した。

「(スタートアップが)そんなことに時間を使うのであれば、サービス開発に注力してほしいと願っている」(高橋氏)

AI-CON 登記が対応のサービスは登記情報の取得が無料、本店移転と募集株式の発行が5000円ととてもリーズナブルだ。なおAI-CON 登記上で作成した書類を法務局への郵送用封筒と共に届ける「お任せレターパック」というオプションも5000円。

届いた書類には押印箇所が付箋で明示してあるので、付箋に従った押印や簡単な作業、郵便局での印紙購入と送付のみで手続きが完了する。

なおライズアクロス所属の司法書士にメール、電話、Chatworkでの相談が可能で、これは無料となっている。

GVA TECHとライズアクロスは「今後も対象となる登記手続きを順次拡大していく予定」だという。開発中の登記支援サービスは商号変更、目的変更、株式分割、そして発行可能株式総数の変更だ。

2017年1月に設立されたGVA TECHはこれまでに人工知能による契約書レビューのAI-CON レビュー、ならびに契約書作成支援サービスのAI-CON ドラフトをリリースしてきた。2018年4月のリリース以降、事業規模を問わず2000社以上のユーザーに利用されている。

2018年にはTechCrunch Tokyo 2018のスタートアップバトルやInfinity Ventures SummitのLaunch Padなどのピッチバトルに参加してきたGVA TECHだが、リーガル面でスタートアップをサポートする同社が本年、さらに躍進することを期待したい。