ジャック・マー氏率いる大手フィンテックAntが香港と上海でIPO手続きを開始

Jack Ma(ジャック・マー)氏が率いるAnt Group(アント・グループ)が、市場が長年にわたって期待してきた動きをついに実現した。この金融サービスと決済の巨人は、中国時間7月20日に、香港証券取引所(HKSE)と上海証券取引所のナスダックスタイルのStart Market(スターマーケット)の両方で、株式公開のプロセスを開始したと発表した。

株式が公開されることで、アリババのeコマースネットワーク全体で使われるAlipay(アリペイ)を運営するAntは、いくつかのゴールに向かうことになる。1つは中国のサービス産業のデジタル化である、例えば、遠隔地にある家族経営の店舗が支払いサービスを利用できるようにする。また別のゴールは国内需要の喚起である。例えば、新型コロナウイルスパンデミックの最中に政府発行のクーポンを消費者に配ることができる。そして9カ国に展開するeウォレットパートナーを通した国際的な拡大や、新技術への投資に取り組むこともできる。

Ant GroupがHKSEとStar Marketを選択したのは、両都市がリスクの高いイノベーション主導型企業の資金調達へのアクセスを容易にしているために、中国のハイテク企業がより手近なところで取引を行うようになった流れに従ったためだ。習近平主席によって発表されたStart Marketは、中国を技術的に独立させたいという習主席の求め(Bloomberg記事)に応じて、2019年に開設された(未訳記事)。

「2つの市場は、世界の投資家が世界で最もダイナミックな経済から生まれる最先端テクノロジー企業にアクセスし、またそれらの企業が資本市場にさらにアクセスしやすくするための扉を開きました。私たちはこの発展の一翼を担うことができることに興奮しています」と声明で語るのはAnt Groupの会長を務めるEric Jing(エリック・ジン)氏だ。

ロイターの情報筋によれば、銀行家たちはAntを2000億ドル(約21兆4500億円)という驚異的な額で評価しているらしい(Reuters記事)。Antはその評価額についてのコメントは拒んだ。

同社は最近、自社製金融商品を縮小するために「Ant Group」の古いブランド「Ant Financial」の看板を下ろした。実際、Antの33%を保有するAlibabaからの最近の報告によれば、Antの2019年の収益の約半分が自身の金融商品ではなく、企業クライアントに提供した技術インフラストラクチャから得られた(未訳記事)ことが示されている。

現在、世界で13億人のユーザーを抱えていると主張するAlipay(未訳記事)は、単なる支払いアプリから、マイクロローンや保険などのサードパーティの金融商品への、オンラインゲートウェイとして拡大している。また、WeChat(ウィーチャット)がメッセンジャーからオールインワンサービスプラットフォームに成長したように、Alipayアプリもスターバックスメンバーシップや遠隔医療などの多数の日常的なサービスをサポートしている。

関連記事:Jack Ma’s fintech giant tops 1.3 billion users globally(未訳記事)

画像クレジット:Ant Financial via Weibo

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(翻訳:sako)

Beyond Meatの代替肉バーガーが中国アリババのスーパーに登場

Beyond Meat(ビヨンド・ミート)の商品が中国のスーパーマーケットの棚に登場する。同社は4月、Starbucks(スターバックス)の植物ベースのメニューへの供給で中国マーケットに参入した。それから数週間して、Beyond MeatはYum China(ヤム・チャイナ)帝国下のKFC、Taco Bell、そしてPizza Hutの店舗にも進出した。

肉消費量が世界一の中国では植物ベースのタンパク質に対する需要が増大している。植物ベースの代替肉を含め、中国の「動物肉フリー」市場は2018年に100億ドル(約1兆1000億円)以下だったのが、2023年までにおおよそ120億ドル(約1兆3000億円)になる、とEuromonitorは予測した。

Nasdaq(ナスダック)に上場する食品大手Beyond Meatはいま、同社を代表する商品Beyond Burgers(ビヨンド・バーガー)をAlibaba(アリババ)のスーパーチェーン、Freshippo(中国語では「Hema」)で展開しようとしている。Freshippoの30分配達サービスは、人々が店舗での買い物を避けた新型コロナウイルスパンデミック中に注文が急増した。

Beyond Meatとのタイアップでは、中国の1級都市と2級都市にあるFreshippoの200店舗超の顧客に動物肉フリーのバーガーを提供する見込みだ。まずは上海の50店舗で提供を始め、9月に取り扱い店舗を拡大する。

「小売が中国での我々の成功の鍵を握っている。中国マーケット参入から数カ月で初期のマイルストーンを達成できたことを嬉しく思う」とBeyond Meat創業者兼CEOのEthan Brown(イーサン・ブラウン)氏は声明で述べた。

植物ベースの肉は中国では長い歴史を持つ。幅広い都市部のライフスタイルとして登場する以前に、仏教徒の間で食されてきた。健康問題が注目されるようになり、中国政府は2016年に肉の消費を減らすように市民に呼び掛けた。中流階級の都市居住者は気候変動への対応としても人工肉製品をとるようになっている。

「国際ブランド、地元ブランドにかかわらず、中国の消費者は植物ベースの製品の第1世代を目にしているだけだ。購入は前向きな実験者にほぼ限定される」と中国のフードテック業界を専門とするベンチャーキャピタルファームBits x Bitesの創業者兼マネージングディレクターのMatilda Ho(マチルダ・ホー)氏はTechCrunchに述べた。「中国の1人あたりの植物ベースのタンパク質の消費は世界で最も多い」

「大衆消費者向けに展開したり、アーリーアダプターのリビート購入を引きつけるには、食感やフレーバー、こうしたプロダクトを中国の食事にいかに合うようにするか、かなり改善する余地がある。健康意識の高いフレキシタリアン(植物性食品を中心にしながらも肉や魚も食べる人のこと)やベジタリアンにアピールするには、よく食べられている豆腐や精進料理の肉代替品との比較で栄養価を改善する必要もある」とホー氏は付け加えた。

人工肉マーケットはすでに競争が激しい。中国企業のQishan Foods(斎善食品)は1993年から展開している。香港のOmniPork(オムニポーク) Alpha Foods(アルファ・フーズ)も中国で素早く人気を獲得した。まだ若いスタートアップZhenmeat(ゼンミート)は積極的に資金調達を模索していて、「中国の味」を承知しているとうたう。

一方、Beyond Meatの米国でのライバル、Impossible Foods(インポッシブル・フーズ)は、同社の遺伝子組換えの大豆成分が健康を気遣う中国人の間で不安要素になる可能性があり、マーケット開拓は難航するかもしれない。

画像クレジット: Beyond Meat

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(翻訳:Mizoguchi

アリババが米国販売業者向けに繰り延べ支払いとオンライントレードショーを提供

Alibaba(アリババ)は米国の販売業者向けに新しいツールを公開した。

どうやら中国のeコマース巨人は米国進出の道をすでに切り拓いているようだ。アリババグループの中核事業であるB2BマーケットプレイスであるAlibaba.comで北米・欧州担当プレジデントを務めるJohn Caplan(ジョン・キャプラン)氏はオンライン記者会見で「米国はAlibaba.comにとって最速成長中の市場であり、同社プラットフォームの米国バイヤーは前年より70%増え、米国企業に関わる取引数は100%増えた」と語った。

新たに加わった機能の1つがAlibaba.com Payment Termsで、バイヤーは購入した商品の支払いを最大60日間繰り延べできる。アリババはMSTSと財務提携を結んでこのサービスを実施している。

同氏は以前、ほとんどの国境を超えた売買には前払いが必要であり、それは「中小企業は国際サプライチェーンの恩恵に預かれない」ことを意味していると語っていた。

たとえばアリババが紹介したノースカロライナ州グリーンビル拠点の美容用品店であるB.A.A.B.S. BeautyのNecia Boston(ネシア・ボストン)氏は、財務状況が在庫コストに圧迫されることがたびたびあると語った。

「Alibaba.com Payment Termsを使うことで、大規模な美容ブランドと対等なコストを維持できるようになり、将来の製品ライン計画を立てたり、新学期セールやホリデーシーズンのストックをはるか前から準備できるようになった」とボストン氏が声明で語っている。

アリババはほかにも、Alibaba.com Freightも発表した。売り手は配送の料金比較、申込み、船便、航空便の追跡などをFreightosとの提携で実現できる。

そしてアリババは、ライブストリーミングによる業界別のトレードショーを同社の新しいトレードショー・ハブで開催することを発表した。今後4カ月間に20回のショーが予定されており、まず栄養補助食品に特化したイベントが開催される。

「これは米国の中小企業にとって膨大なチャンスであり、人々はこれを小さな会社が互いに繋がり協力する方法の転換点になると話している。3日間と何千ドルもの旅費を投資する必要はなくなった」とキャプラン氏は語った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

2億近いユーザーを抱えるBilibiliは中国のYouTubeになりつつある

中国のビデオストリーミングサイトBilibiliは、かつて若者のサブカルチャーの聖地と見なされていたが、ユーザーの高年齢化およびコンテンツの多様化により、着実にメインストリームになっていった。NASDAQに上場している同社は、第1四半期に前年同期比で70%の成長を記録し、月間アクティブユーザーは1億7200万に達した。同社は今は、TencentとBaiduが運営しているビデオサービスであるiQiyiと肩を並べている。

ユーザーの1日の滞留時間は87分間という記録的な長さになったが、それはおそらく新型コロナウイルス(COVID-19)による在宅命令が延長されたためだろう。

同四半期にTencent Videoは1億1200万のサブスクライバーを報告し、iQiyiは1億1890万を集めた。ほぼ全員が有料ユーザーだろう。対照的にBilibiliは、MAUのわずか約8%が有料ユーザーだ。

しかしBilibiliの成長要因は独特だ。Tencent VideoとiQiyiがNetflixのようにプロが制作した商業的コンテンツ中心であるのに対して、BilibiliはYouTubeのようにユーザーが作成したコンテンツが中心だ。クリエイターの数は毎月146%増えており、現在は180万で彼らが提出するコンテンツ数は毎月490万本だ。上位のクリエイターの中には、なんとCommunist Youth League of China(中国共産主義青年団)がいる。

Bilibiliはゲームやアニメファンのフォーラム、または中国版の最新のYouTubeだと思ってるかもしれないが、AlibabaとTencentがバックについてからは、1億3000万の愛国的な若者たちにもサービスを提供している。Youth LeagueはBilibiliの上位から7番目のクリエイターで、下のグラフに示すように、いいね!の数では最高だ。ここやその他の国が公認しているサイトにはウイルス関連の陰謀説が氾濫し、反アメリカ的な感情を煽っている。

Bilibiliは収益化の方法も独特だ。若いユーザーが多くてモバイルゲームのプラットフォームという性格もあるので、Q1の売上の半分はビデオゲームだ。その他の売上源は、ライブのブロードキャストにおける仮装アイテムの売上、広告収入、そしてBilibiliにショップがあるコンテンツクリエイターの売上だ。

ユーザーは順調に伸びているが、Bilibiliは今期、損失が7610万ドル(約82億円)に増えている。前年同期の2738万ドル(約29億5000万円)と比べて急激な増加だ。その原因としては、新型コロナウイルスによる商品配送の遅れが挙げられている。

しかしそれでも、同社の現金準備はSony(ソニー)からの4億ドル(約431億円)の巨額投資もあって11億3000万ドル(約1217億5000万円)と厚い。Sonyは両社間のアニメとゲームのシナジーに期待している。また、長年のライバルだったAlibabaとTencentはこのところ共同投資の事案が増えており、Bilibiliもその対象のひとつだ。

同社のCFOであるFan Xin(ファン・シン)氏は決算報告の席で「弊社のキャッシュフローはプラスであり、損失よりも大きい。全体として弊社の財務状態は健全である」と述べている。

画像クレジット:Bilibiliホームページのスクリーンショット

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa