Facebookの「空からインターネット中継」プロジェクトが前進―ソーラー発電ドローンAquilaが飛行に成功

2016-07-22-aquila-drone

Facebookが2年がかりで開発してきたソーラー・パワー・ドローンのAquilaは滞空時間90日、幅が60マイル〔約100km〕の地域にインターネット接続を提供できるようにするのが目標だ。FacebookはAquillaの最初の公式テスト飛行を実施し、無事に成功させた。

Aquilaはインターネットが使えないでいる16億人もの人々にインターネット接続を提供することになるはずだ。無人飛行機の主翼幅は113フィート〔34m〕あり、ボーイング737より広い。しかし消費電力はヘアドライヤー3個以下だという。この効率の高さが途上国の辺鄙な地域での長時間の滞空を可能にする秘密だ。Aquillは地上との間でインターネット接続を確立し、地元の人々がインターネットに参加できるようにする。

以下のビデオでAquilaの離陸と飛行のようすを見ることができる。

〔日本版〕Googleも遠隔地にインターネット接続を拡大することを目標にProject Loonを推進している。気球利用の他にAquilaタイプのドローンを開発するTitan Aerospaceを買収している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook、インターネット中継ソーラー・ドローン1号機をお披露目― Googleとの先陣争い激化

2015-07-31-facebook-drone

今日(米国時間7/30)、Facebookは太陽電池を動力として強力なレーザーで通信するAquilaドローンによるインターネット接続の提供について 詳細な計画を発表した。 それによると、Facebookは自身でISP(インターネット・サービス・プロバイダ)になる意図はないという。記者会見でFacebookのエンジニアリング担当副社長Jay Parikhは「われわれはFacebook ISPを作るつもはない」と述べた。

Facebookの計画は、このドローンと通信テクノロジーを世界のキャリヤに提供し、それによって既存のモバイル網から取り残されている10%の人々がインターネットに接続できるようにしようというものだ。

Connectivity Ranges.001

Facebookはこの人道的計画を推進しているNPO、Internet.orgが必要とする資金の大半を供給している。Facebookはインターネット接続の普及を通じて世界のすべての人々を知識経済に参加させることだ。ただし、私の質問に対してParikhは「ソーラー・ドローン、フリースペース光学レーザー通信、その他のテクノロジーをわれわれがライセンスないし販売することはあり得る」と答えた。つまりFacebookは「世界を結びつける」目的を達成すると同時にその過程で利益を挙げることも可能なわけだ。

昨日発表された四半期決算でFacebookは対前期比で大幅に支出を増加させている。昨年の15億ドルから$27億ドルへと増加した支出の大半はこのドローン・プロジェクトのようなR&D関連だ。その成果を販売ないしライセンスすることができればこうした経費を回収できる。

Facebook's VP of Engineering Jay Parikh details Aquila's progress at its Menlo Park HQ

メンローパークの本社でAquilaプロジェクトの詳細を説明するエンジニアリング担当副社長Jay Parikh

Facebookはこのプロジェクトで2つの重要な成果を発表した。

  • Aquilaドローン1号機の完成:この太陽電池を動力とするドローンは最大90日間滞空できる。飛行高度は6万から9万フィート〔1万8000mから2万7000m〕と通常のジェット旅客機の高度よりはるかに高く、気象条件も安定した成層圏だ。 このドローンは直下の直径50マイル〔80km〕の範囲にインターネット接続を提供できる。主翼の幅は140フィート〔42m〕と737なみだが、重量はわずか880ポンド〔400kg〕しかない。トヨタ・プリウスの3分の1くらいだが、高高度の極低温下でも作動する。Facebookは現在地上テストを実施中で、飛行テストは来年アメリカで実施される予定。

Facebook Laser

  • Facebookの高強度レーザーは10 Gbpsを達成: データは地上局で光ケーブルからレーザー波に変換されてAquilaドローンに送られる。Aquilaドローンはやはりこのレーザーで他のドローンにデータを伝送してネットワークを構成する。このためにはレーザーは飛行中のドローンの10セント硬貨ほどの大きさの受信機に正確に向けられなければならない。これまでNASA、大学、研究機関などではこの方式では最大1Gbpsの伝送速度しか得られていなかったので、Facebookはブレークスルーを達成したことになる。

2013年後半に、 Facebookがリーダーを務めるInternet.orgはテレコム企業各社と提携して、インターネット接続を「残りの50億の人々」に届けるためのイニシアチブを発表した。テレコム業界もオンラインへの新規参加者が低減しつつあるという問題を抱えており、Facebookのプロジェクトに賛同したわけだ。50億人を新たにインターネットの世界に引き入れる上での課題は大きく分けると以下の3つとなる。

  • 経済的バリアの引き下げ: インターネットが普及していない原因の多くは経済的なものだ。そこでFacebookは現地のキャリヤと提携してFacebook自身とWikipedia、Google検索などの限定されたサイトへの接続が無料で提供されるInternet.orgアプリ の配布を始めた。パートナーのキャリヤはこの無料接続がきっかけとなってその地域での有料契約者が増えることを期待してこのプロジェクトに参加している。
  • 啓蒙: 教育、健康、医療、求職などさまざまな面でインターネットの持つ価値を知らせる。
  • インターネット接続テクノロジー:–Facebookは人工衛星による僻地へのインターネット接続の提供も構想しているが、今日の発表でAquilaドローンの開発が大きく前進したことが明らかになった。

インターネット接続の拡大についてはGoogleも力を入れている。成層圏に多数の気球を滞空させて接続を提供するプロジェクトLoonについて、昨日Googleとスリランカ政府は、スリランカ全土をこのプロジェクトでカバーする計画を発表した。先に接続を提供した陣営がその地域で大きな影響力を獲得できるため、FacebookとGoogleは激しい先陣争いを繰り広げている。

Facebook's Yale Maguire details Facebook's research into where the unconnected people live

FacebookのYale Maguireはまだインターネット接続が得られない地域はどこか詳細に調査している

携帯無線網の中継塔は土地の取得、建設、警備すべてに費用がかかり、しかもごく近距離しかカバーできない。通常の携帯無線網の方式は人口密度の低い僻地では経済的にまったく成り立たないのだ。

Facebookは地上の光回線、ドローン、人工衛星の組み合わせによって最終的には地球上のすべての人々がインターネットに接続できるようになると期待している。

マーク・ザッカーバーグは「飛行機とレーザーでコミュニティーを結びつけるなんてサイエンス・フィクションみたいだが、サイエンス・フィクションというのは実際、未来のサイエンスであることがたびたびある」とコメントした。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

F8:FacebookのAquilla大型太陽光ドローンはインターネット接続を万人に提供する

今日(米国時間3/26)はFacebookのデベロッパー・カンファレンス、F8 2015の2日目だが、今朝のキーノートでCTOのMike Schroepferkが何十億人もの人々に新たにインターネット接続を届けようとする同社の試みのカギとなるハードウェアを明かした。

Aquila〔ラテン語でワシの意味〕というコードネームで呼ばれる巨大ドローンは翼幅がボーイング767ほどもある。しかし極めて軽量の素材を用いるので、重量は自動車1台分程度だという。

今日のF8ではこの他にもオープンソースの開発ツール、React Nativeやビデオやテキストのコンテキストを理解する新しい人工知能のデモも行われた。

Aquilaが信じられないほど軽いのは、太陽光を動力源に連続して3ヶ月も滞空しなければならないからだ。大型ドローンを6万から9万フィート〔18kmから27km〕の高空に長時間飛ばすだけでも難しい課題だが、Facebookの目的はこのドローンを利用して地上の人々にインターネット接続を提供しようというところにある。

Aquila is the first complete concept we’ve seen come out of Facebook’Facebookがイギリスのドローン・スタートアップAscentaを主として人材獲得のために買収したのは約1年前になるが、その成果がまとまった形で公表されたのは今回が最初だ。〔Googleも同じ頃インターネット接続提供のためにドローン・スタートアップ、Titan Aerospaceを買収している。〕Aquilaはこの夏にも試験飛行が予定されているが、実用化開始までにはさらに数年かかるもようだ。

画像: Harvest Zhang/Facebook

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+