NianticがポケモンGOユーザーがアップした画像データで独自の3Dマップ構築へ

ポケモンGOを開発したゲームデベロッパーのNiantic(ナイアンティック)は会社評価額40億ドル(約4300億円)で4億7000万ドル(約505億円)の資金を調達し、AR(拡張現実)サービスの構築に乗り出すことを宣言した。

NianticはポケモンGOの成功で一般消費者にも認知されるメインストリーム企業になった。このブランド力とここで得たノウハウを活かしてFacebook(フェイスブック)やApple(アップル)のものに匹敵する本格的なARプラットフォームを制作するという。

米国時間5月26日にNianticはポケモンGOプレイヤーからの情報を3Dデータ化することを発表した。ユーザーは他のユーザーがアップした実際のポケストップやジムの画像、動画を共有できるようになる。Nianticはこのクラウドソーシングで詳細な3Dマップを作成する。

Nianticのブログ記事によれば「コンピュータで処理可能な3Dマップにより各種デバイス(スマートフォンや将来はスマートヘッドセットなど)を通じて、現実世界をその複雑さのままに立体的に把握できるようになる」という。

Nianticがユーザーからのリッチデータを収集し高度に処理を行うことなるため、このプロジェクトはプライバシー上の議論を引き起こす可能性がある。データ収集のターゲットをポケストップとジムに限定したのは、個人の家の中などのプライベートな場所のデータを収集してしまうリスクを最小化するためだ。プレイヤーは(少なくとも当初は)この機能を利用するために事前承諾する必要がある。同社によればサーバーにアップロードされたデータは匿名化され、顔やナンバープレートは自動的にぼかされる。

この発表は、世界の3Dマップをクラウドソースで構築することを目標としたARスタートアップ6D.aiをNianticが買収してからわずか2カ月後に行われた。

ポケモンGOは2016年に発表され大評判となったが、このタイトルはNianticにとって現在も金の卵だ。アナリストの推定によれば、ポケモンGOの2019年にこのゲームとして最高の9億ドル(約967億円)の売上を記録したという。

Nianticは3Dデータ収集のターゲットを多くのユーザーに拡大することでARプラットフォームの構築でライバルに対する優位性を確立しようしている。「ハリー・ポッター」をベースにした新しいゲームタイトルに加えて、同社はNiantic Real World Platformを構築中だ。サードパーティデベロッパーはこのプラットフォームを利用して独自のゲームやソフトウェアを開発できる。

デベロッパーを集める上で、NianticはアップルのARKitプラットフォームやフェイスブックがスタートさせたSpark ARプラットフォームとの厳しい競争に直面している。3Dマップのデータへのネットワークアクセスをデベロッパーに提供できる点を同社のプラットフォームの優位性のカギとしようとしているのかもしれない。これにより大規模かつ画期的なARプロジェクトが可能となる。そのサービスのユーザーがデータをNianticに送り返してくればプラスのフィードバックがかってプラットフォームはさらに強化されるだろう。

3Dデータの収集機能はレベル40以上のポケモンGOユーザーに対して、2020年6月に公開される。その後すぐに他のユーザーにも拡大される計画だ。

画像クレジット:LLUIS GENE / AFP / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

絶滅危惧種の動物とその保護を扱うARゲーム「Wildeverse」がローンチ

ケニアの拡張現実ゲーム開発会社Internet of Elephants(インターネットオブエレファンツ)は米国時間4月3日、Borneo Nature Foundation、Goualougo Triangle Ape Foundation、Zoo Atlanta、Chester Zooの保護科学の専門家と提携して、最新のゲームをローンチした。

Wildeverse」という名前のこの新しいゲームは、ARを使って仮想の森を作り、そこでプレイヤーは特定の動物を探したり、動物の居場所を知る手がかりを探したりすることができる。

本来は屋外でのプレイを想定していたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響から、方向転換を行い、ゲーム内の操作で仮想的に移動したり、より狭い場所で歩き回ったりできるオプションを開発した。

ゲームは、まずチャット形式でゲームプレイを紹介し、プレイヤーが探索する仮想環境をセットアップするところから始まる。そのグラフィックは没入型のジャングル環境を完全に再現することには焦点を当てていないが、プレイヤーが探索するための理想化された木々に覆われた森が生成される。例えば特定の動物の識別や、彼らの存在の痕跡を探すミッションを、ARで作られた森の中で行い、プレイヤーがどのくらい時間がかかったかが計測される。

ミッションが完了した後は、プレーヤーは、実際の自然保護活動家による解説を読むことができる。その保護活動家はInternet of Elephantsのゲーム開発者たちにゲームのコンセプト作りで協力し、調査を助け、そして実際にゲームの中に登場する実際の動物に関するサポートを提供した。

画像提供: Internet of Elephants

ゲームは、ARKitまたはARCoreをサポートするiOSまたはAndroidデバイスでプレイできる。

ゲーム内で与えられるミッションは、動物自身やその足跡、食べ残しや糞を探すことから、違法な人間の活動や、実在のオランウータン、チンパンジー、ゴリラ、テナガザルの生息地への脅威を探すことまで、多岐にわたっている。

このゲームを作るために、創業者Gautam Shah(ゴータム・シャー)氏が率いるInternet of Elephantsの開発者たちは、実際にボルネオとコンゴのジャングルに行き、保護活動家とその仕事についての話を聞いたり、ゲームの中で使用するための野生動物のスカウトを行った、という。ゲーム開発者は複数のサルの家族を追跡した。

「類人猿の人口は世界中で減少しています。野生生物の保護は、十分な数の人々が関心を持って初めて、世界的な優先事項になるのです。世界の保護活動家たちは、ほんのひと握りの人びとの支援だけで困難な戦いを繰り広げています」とシャー氏は声明で述べている。「私たちには、今日世界でゲームをプレイしている20億人を、野生生物愛好家かつ保護活動の支援者に変える使命があるのです」。

シャー氏にとって、Internet of Elephantsの最新製品の立ち上げは、同社の使命を堅持するものだ。その使命は、アメリカ生まれのシャー氏がARベースのゲーム会社を立ち上げるためにコンサルティングのキャリアを投げ捨てた2015年に始まった。Internet of Elephantsチームの他のメンバーたちも、同様に興味深いストーリーを持っている。Aardman Animationsのクリエイティブディレクターとして6年を過ごした製品責任者のJake Manion(ジェイク・マニオン)氏もその1人だ(Aardman Animationsは「ウォレスとグルミット」や「ひつじのショーン」を作成したアカデミー賞受賞スタジオである)。

関連記事:Internet of Elephants uses AR to get up close to endangered species, turns their migrations into a game(Internet of ElephantsはARを使用して絶滅危惧種に近づき、その移動をゲームに変える、未訳)

シャー氏は、Wildeverseゲームの中に3つの大事な保護要素を見ている。第1に、それはゲームプレイヤーと、会社が協力する保護活動団体の間に絆を生み出す。なぜならゲームが保護団体の実際の活動を理解させる役割を果たすからだ。またこのゲームでは森林火災、違法伐採、密猟などの問題や、開発や人間の消費によって、動物たちが住むジャングルの構成が変化してしまい悪化する保護活動を取り巻く課題に、プレイヤーは立ち向かうことになる。最後に、ゲームは教育的な要素を持つ。

「本当に本当に興味深いことをたくさん学びます、そして私たちは専門的になることをためらいません」とシャー氏は言う。「これらを総合することで、セントルイスで座っているあなたと、オランウータンを研究している誰かとのつながりを生み出すことができるのです」。

本来このゲームは完全に楽しむためには屋外の半径30メートルのエリアを使ってプレイすることを想定していたが、ローンチ前にチームが修正を加えたことによって、ロサンゼルスの小さなワンルームマンションでも十分にプレイできるようになった。

ゲームのテキスト部分は有益な情報を含み、プレイヤーはオランウータンの食べ物や、彼らの生息地、そしてジャングルにおける彼らの生活について学ぶ機会を得られる。解説は少しぎこちないが、退屈すなものではなく、異なる森で働いている実際の自然保護活動家との会話に基づいている。

最終的にシャー氏は、生息地の数とゲームの幅を拡大して、プレイヤーがさまざまな地域を探索し、すべての大陸の絶滅危惧種について学ぶことができるようにしたいと考えている。

ゲームにはまだ収益化手段がなく、この先も無料でプレイできる予定だが、マルチプレイヤー機能の開発とともに、何らかの収益要素を付け加えたいとシャー氏は語った。

最終的には、このゲームは、最新のテクノロジーとゲームプレイを通じて、新しい世代の人たちに自然保護のすばらしさを伝え、教育することを目的としている。

「私たちは野生動物を、現在保護活動とは無縁の大勢の人びとにとって、日常会話の中のポジティブでエキサイティングな話題にしたいと思っているのです。私たちは、ゲームに登場する実在の類人猿たちであるFio(フィオ)、Buka(ブカ)、Chilli(チリ)、Aida(アイーダ)を、Kim Kardashian(キム・カーダシアン)、Messi(メッシ)、Donald Trump(ドナルド・トランプ)に並ぶくらい有名にしたいと思っています」とシャー氏は言う。「人びとの注目を集めることは、とても重要です」。

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(翻訳:sako)