現役エンジニアが執筆した教材で“作りながら”プログラミングを学べる「Techpit」が資金調達

CtoCのプログラミング学習プラットフォーム「Techpit」を運営するテックピットは9月26日、​F Venturesなどを引受先とする第三者割当増資により、​総額3000万円​の資金調達を実施したことを明らかにした。

同社が手がけるTechpitは現役エンジニアが執筆した学習コンテンツを用いて、アプリを作りながらプログラミングスキルを磨けるCtoCの学習プラットフォームだ。未経験者や初学者向けに基本からレクチャーするプログラミング教室や学習サービスとは異なり、入門レベルの文法を学んだ後「自分でWebアプリケーションを作ってみたい」と考えるユーザーに実践的なコンテンツを提供する。

たとえば「Instagram風簡易SNSアプリを作ってみよう」や「Tinder風マッチングアプリを作ってみよう」、「Trello風ToDoタスク管理アプリを作成しよう」といった教材は実際にTechpit上で販売されているものだ。

現在公開されているコンテンツは約50種類。各教材は基本的にテキストベースで作られていて、項目に沿って開発を進めていけば目的のアプリが完成するようになっている。

動画とテキストという違いはあれど、サービスの仕組み自体は「Udemy」に近い。コンテンツ執筆者は自ら作った教材を有償で公開し、購入された場合には代金の65%を受け取れるモデル。運営側はコンテンツ公開前のレビューやマーケティングのサポートをする代わりに残りの35%を手数料として取得する。

執筆者として登録しているエンジニアは現在150人ほどいて(テックピットの基準を満たした人のみが登録)、その内約30人がすでにコンテンツを公開しているそう。顔ぶれも大企業やベンチャー企業で働くエンジニアからフリーランスまで幅広く、経験豊富な熟練者もいれば新卒3年目の若手エンジニアもいるのだという。

エンジニアにとっては「受託開発など、労働時間に対して収入を得られるものとは違ったスタイルの副業」という捉え方もでき、実際に副業の1つとして執筆に取り組むユーザーもいるそう。「隙間時間などを活用して自由なペースで進められるのがメリット。1度作ってしまえば、コンテンツが売れるごとに継続的な収入を見込める」(テックピット代表取締役の山田晃平氏)のが特徴だ。

執筆者向けの画面

「実際のサービスの作り方がわからない」を解決

慢性的なエンジニアの人材不足という背景もあってか、近年はオフライン・オンライン問わず未経験者であってもプログラミングを学びやすい環境が整い始めている。

「progate」や「ドットインストール」のようにオンライン上で手軽にスタートできるものから、講師のサポートを受けながら一定期間集中して学習に取り組む「テックキャンプ」や「テックアカデミー」といったものまで選択肢は多い。

Techpitは2018年10月のローンチで後発とも言えるが「言語の文法を初歩から学べるサービスはあるが、その次のステップとしてプロダクトの作り方を実践的に学べる場所がない」というユーザーの課題に着目して開発した。

テックピットのメンバー。左から取締役COOの辻岡裕也氏、代表取締役CEOの山田晃平氏、取締役CTOの前山大次郎氏

「これまでであれば、Web上で公開されているブログ記事などで調べながら作っている人が多かった。ただ無償のため質にバラツキがあったり情報が古かったりもする。有償になったとしても現役のエンジニアが作ったコンテンツを通じて、実務に基づく形でサービスの作り方を学べるのであれば十分に価値があると思った」(山田氏)

初学者向けの学習サービスが受験勉強における「教科書」的な位置付けだとしたら、Techpitはそこから一歩エンジニアに近くづくための「参考書・問題集」のようなものをイメージしているそう。初学者のレベルから企業で求められるようなレベルへ橋渡しをする役割を担いたいという。

正式ローンチ前にプロトタイプを作ってTwitterにポストしたところ反響があったため、教材数を増やしながらプロダクトをブラッシュアップ。10月のローンチ初日には1000人の登録者が集まった。

山田氏いわく、今後のポイントはユーザーが満足する良質なコンテンツをいかに集められるか。特にTechpitはCtoCという性質上、自分たちで教材を作るわけではないため「執筆者となるエンジニアの負担をなるべく減らしつつ、わかりやすい教材が継続的に生み出されるための環境整備」が必要だ。

「プログラミング言語や技術はアップデートが頻繁に行われ、新しいものもどんどん生まれる。その中でCtoCの仕組みがうまく回れば、内省でやる以上に最新のトレンドに沿ったものやニッチな領域のものまで、豊富な種類の教材を提供することもできる。だからこそ執筆の環境作りには重点的に力を入れていて、フォーマットやテンプレートを使うことで少しでも楽に書ける仕組みを整えたり、章ごとにフィードバックをしたりなど、教材づくりのサポートをやってきた」(山田氏)

今後は執筆者の工数をさらに削減するべく執筆者向けのプロダクトのローンチも計画。入門レベルを終えた中級者向けのプログラミングサービスとして、より充実した場所を目指していく。

なおテックピットは2018年7月の創業。代表の山田氏と取締役CTOの前山大次郎氏が同年4月にガイアックスへ新卒入社後Gaiax STARTUP STUDIOに採択され、会社を立ち上げた。

中古車のC2Cマーケット「Ancar」に“いつ売れるかわからない”を解決する新サービス

中古車を個人間で売買できるマーケットプレイス「Ancar」を展開するAncarは2月22日より、車を売りたいユーザーが従来よりもスピーディーに現金を受け取れる新しい切り口のサービスを始める。

サービス名は「おまかせ出品」。その名の通り、純粋なC2Cの中古車売買ではなくAncarの運営に車の売却を“おまかせ”するような仕組みだ。

これまでのAncarはメルカリのようなフリマアプリと同様に「車を売りたいユーザーと買いたいユーザーをマッチングする役割」だったので、車の写真や情報の登録、売却の交渉は基本的にユーザー自身で行う必要があった。

一方で本日からスタートするおまかせ出品では、Ancarの運営が売買をサポートする。同社が売却を希望するユーザーから車を預かり、車両検査を実施。査定した最低買取保証金額を最短3日で支払う。

預かった車は運営側がAncar上に出品して従来の形式で売却を試みるのだけど、その際に30日間という期間が設定されているのがポイントだ。期間内に当初合意した買取保証金額よりも高い価格で売れれば、ユーザーは収益の一部を追加で獲得することが可能。反対に売買が成立しなかった場合でも、運営が買取保証金額で車を買い取る(手数料を払って返却を希望することもできる)。

「買取保証金額は一般的な買取相場と同等かそれ以上の金額を提示する。車を売りたいユーザーは中古車買取店で売却する金額にプラスアルファが見込めるようになり、単純な買取の仕組みを利用するよりもメリットが大きい」(Ancar代表取締役の城一紘氏)

売買が成立した際にシステム利用料と手数料6万円がAncarの収益となるビジネスモデル。同社では1月に自社整備工場を川崎市にオープンしていて、期間中はそこで車を管理する。

おまかせ出品の仕組み

さて、Ancarが今回おまかせ出品を始めるに至った背景にはどんな考えがあったのだろうか。城氏によると「いつ売れるかわからない」というフリマサービスに共通する課題が原因で、「けっこうな数のユーザーの離脱に繋がっていた」状況を打開したかったようだ。

「Ancarは腰を据えてじっくり車を売りたいユーザーには刺さっていたが、その一方で『駐車場を解約するから』『次の車がくると駐車スペースが足りないから』『新しい車を買うための頭金が必要だから』などの理由から、早く現金化したいというユーザーも一定数いる。一度出品してもこれ以上は時間をかけられないと売却を断念するケースも多く、それが機会損失になっていた」(城氏)

そんなユーザーに新たな選択肢としておまかせ出品を提供することで、上述したような課題の大部分は解消されそうだ。まずAncar側で車を預かるためユーザーの駐車場が空き、管理コストや駐車スペース不足の問題はなくなる。デポジットのような形で最低保証金額が振り込まれることで、スピーディーに現金化したいニーズにも応えられる。

加えて出品に必要な作業や、購入希望者との交渉も経験豊富なプロに任せられるので成約率が上がる可能性もあるだろう。もちろん成約すればユーザーはさらなる収益を手にすることもできる。

城氏は以前から、従来の中古車買取の仕組みでは買取業者や業者オークションなど複数の業者が介在して中間コストが多重に発生するため、買取価格も店頭販売価格に比べてかなり安くなるという話をしていた。これまでは素早く車を現金化しようと思えば、ある程度安い価格で売却せざるを得なかったところを、「(売りたいユーザーにとって)アップセルできる可能性のある」おまかせ出品で変えていくのが狙いだ。

成約率が上がればAncarの収益も増える。そもそもAncarのビジネスモデル自体も売買が成約した際にのみ手数料を受け取る仕組みなので、成約に至る前に離脱されてしまうのは同社にとって大きな痛手だった。

「これまで途中で売却を断念してしまっていた人たち全員が使うとは思わないが、そういったユーザーを繫ぎ止めるひとつの手段として自社にとっては重要な位置付けになる。実際に自分たちが車を預かり、C2Cで売れる前に最低保証金額を振り込むことで、コミュニケーションの仕方も変わる」(城氏)

おまかせ出品に近しい仕組み自体は「委託販売」という形で一般的な買取市場でも存在したが、Ancarの場合はオンラインのC2Cマーケットと組み合わせることで、「預かった車を全国のユーザーに対してオンライン上で販売できる」(城氏)のが特徴だ。

Ancarは2015年の創業。2018年10月にベクトル、AGキャピタル、クロスベンチャーズなどから4億円を調達していて、累計の調達額は7億円に及ぶ。

“高級輸入車も売れる”C2Cの中古車マーケット「Ancar」が4億円を調達、カギは整備工場とのネットワーク

中古車を個人間で売買できるマーケットプレイス「Ancar」。同サービスを展開するAncarは10月29日、ベクトル、AGキャピタル、クロスベンチャーズ、個人投資家らを引受先とした第三者割当増資により総額4億円を調達したことを明らかにした。

同社にとっては2016年10月に日本ベンチャーキャピタルやニッセイ・キャピタルから約2億円を調達して以来、約2年ぶりの資金調達となる。今回調達した資金を基に新機能開発や人材採用、マーケティングを強化していく方針。具体的には購入ユーザー向けのローンやリース機能の追加、クレジット決済機能の導入などを進めるという。

近年メルカリを筆頭に、オンライン上にて個人間でモノや情報を売り買いできるC2Cマーケットプレイスが増えてきた。Ancarはその中古車特化版のサービスと言えるだろう。

一般的な中古車売買の構造では、売り手と買い手の間に買取業者やオークション業者、販売店など複数のプレイヤーが介在する。そのため中間コストが余分にかかり、売り手の売却額と買い手の購入額の間に大きな開きが出ていた。

Ancarの場合は買い手と売り手を直接マッチングするため、中間業者に支払う手数料を削減できるほか、消費税も非課税。結果的に従来の仕組みに比べると売り手は高く売りやすく、買い手は安く買いやすい。売買が成約した際にのみ双方から5%ずつ、合計10%のシステム利用料がAncarに支払われるモデルだ。(任意のオプション代のほか、輸送料や名義変更などの諸費用は別途買い手が負担)。

とはいえ、このような特徴は何もAncarに限った話ではなく、C2Cのサービス全般に言えること。それこそメルカリ上でも中古車の個人間売買はされているし、GMOカーズの「クルモ」や中古車の買取・販売大手のIDOM(ガリバー)が展開する「ガリバーフリマ」など特化型のフリマサービスも存在する。

中間コストや消費税をカットできるのはAncarの特徴のひとつではあるものの、それ以上に同サービスのウリと言えるのが購入前後のサポートだ。

「(扱っている商材が)車という特性上、高額であると同時に命に関わるものでもある。だからこそ売買のハードルを下げながらも、安全性や信頼性の担保も必要。ユーザーにとって安心できる場所じゃないと、高単価の車種を売買するのは難しい」(Ancar代表取締役の城一紘氏)

Ancarでは初期から売買のハードルとなる手続き面のサポートや、安全性を担保するための情報開示を行ってきた。

売り手ユーザーは車の写真を撮影し基本情報を入れればすぐに出品できる反面、買い手が購入前に整備工場へ無料で点検依頼できる機能も実装。気になった車の状態を第三者のプロに診断してもらえる仕組みを整えた。また車の輸送はもちろん、Ancarでは名義変更や車庫証明もサポートする。

中古車の売買に特化したC2Cサービスではいくつか近しいサポートを行っているものはあるが、事前点検から一連の工程をまるっとカバーしているのは珍しい。この仕組みを実現する上で不可欠な要素が、全国にある自動車整備工場とのネットワークだ。

Ancarでは2016年に整備工場の検索サービス「Repea(リペア)」をリリース。全国約1000店舗の整備工場と提携することで、ユーザーが車を取引する際のサポートはもちろん、アフターケアも充実させることができている。

結果的にAncarで売買される中古車の平均成約単価は約250万円と高く、城氏も「高級輸入車が多いのはひとつの特徴」と話す。

もちろん良い仕組みが整っていても肝心のユーザーが集まらなければビジネスとしては成立しないため、Ancarでは前回の調達以降、売り手ユーザーの集客や出品体験の改善に注力。1年前と比べて売却価格の査定件数や出品台数も約20倍に増え「暗闇の中で試行錯誤を続けてきた結果、出品量の確保については目処が立ち始めてきた」(城氏)という。

そんな状況下での今回の資金調達。集めた資金は出品者集めを加速させるためのマーケティング強化に加え、購入者側の体験改善に向けた新機能開発やそれに関わる人材採用に用いる計画だ。

たとえば購入者に対しては現在の現金振込のみの決済方法だけでなく、ローンの提供やクレジット決済の対応を早ければ2018年内に開始する予定。Repeaに登録されている整備工場とユーザーをAIでマッチングする機能などを導入していく計画もあり、サービス間の連携を強化して購入後のケアを受けやすい仕組みを整える。

また車を保有するにあたってのハードルと言える保管場所の問題や、保有コスト、次の買主が決まるまでの駐車場問題に関しても、それらを解決するサービスを新たに始める方針だ。

「Ancarというサービスだけではこの仕組みは成り立たない。Repeaと両方がうまく回ってこそ、ユーザーにとって安心でき、価値のあるサービスになる。そういった意味では単に中古車の売買を効率化したいわけではなく、買った後のメンテナンスや困りごとの解決など、ユーザーのカーライフをトータルでサポートしていきたい」(城氏)

メルカリがC2Cのスキルシェアサービス「teacha」を発表、2018年春にリリース

フリマアプリ「メルカリ」を提供するメルカリは12月8日、語学学習や習い事など個人が持つスキルや知識をシェアするサービス「teacha(ティーチャ)」を発表した。サービスの運営はグループ会社のソウゾウが行い、リリースは2018年春の予定。

また本日からティザーサイトを公開していて、ユーザーの事前登録受付とパートナー企業、地方自治体の募集を始めている。

teachaは語学学習、習い事などのスキルや、個人が持っている知識を教えたり、学んだりできるサービスだ。語学やプログラミング、資格取得などに加えて、料理やスポーツ、ハンドメイドといった趣味の領域も対象とし、1時間単位でスキルのシェアが可能。従来の習い事や講座に比べて気軽にチャレンジできるのが特徴だ。

メルカリでは各フリマアプリを通じて簡単にモノを売買できる世界の実現に向けて取り組んできた。teachaを通じてモノと同じく知識やスキルというサービスにおいても気軽にシェアできる「スキルシェア」領域の促進を目指す。

teachaに近しいサービスとしてはコーチ・ユナイテッドの「サイタ」やストリートアカデミーの「ストアカ」、グローバルウェイの「TimeTicket(タイムチケット)」などがある。また語学学習領域で外国人講師と学びたい人をマッチングする「フラミンゴ」はメルカリファンドの投資先だ。

 

スキルのC2Cサービス「ココナラ」が物販にも進出ーー今春からハンドメイド作品の取り扱いを開始

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個人のスキルのマーケットプレイス「ココナラ」は、本日ハンドメイドのEC領域に進出することを発表した。「ココナラ ハンドメイド」は2017年3月8日に正式ローンチする予定で、出品者の登録は本日より受け付ける。

2012年にサービスを開始したココナラは、ユーザーが自身の知識・スキル・経験を売買できるC2C型のマーケットプレイスだ。もともと出品サービスは一律500円だったが、現在は購入者がおひねりを追加したり、価格設定も5万円を上限に変更したりできる。人気の商品は占いやイラスト作成などだが、ビジネス用途でもリサーチ代行やプレスリリースのチェック作業といったサービスの出品がある。

ココナラ自体は無形サービスに特化したマーケットプレイスだが、「ココナラ ハンドメイド」のローンチでモノの出品もできるようになる。ココナラのユーザーとハンドメイド作品のマーケットプレイスのユーザーの親和性が高いとココナラ代表取締役の南章行氏は話す。

例えば、これまでココナラでは結婚式のウェルカムボード用のイラストを作成するサービスなどの出品があり、完成した作品を郵送したいというニーズがあった。これまでは商品の郵送には対応していなかったが、「ココナラ ハンドメイド」ではそれができる。「ココナラ ハンドメイド」はココナラとは別サイトで運営するが、ココナラのカテゴリーの1つのように見せ、相互送客していくという。

ココナラの創業当初から、ハンドメイド作品を扱う構想はあったと南氏は話す。ただ、ココナラのミッションは、個人の知識・スキル・経験を可視化し、必要とする人に結びつけるプラットフォームを提供することだ。それを体現するのが無形サービスのマーケットプレイスと考え、ココナラを開始したという。今回、ハンドメイド作品のマーケットプレイスへの需要を感じ、「ココナラ ハンドメイド」を開始するに至った。

ココナラの最終的な目標は「相談のゲートウェイ」になることと南氏は説明する。「何か相談したいことがある場合、人はその先のソリューションを求めていて、それは大きなマーケットです」と言う。例えば人間関係で悩んでいる人は、まずは弁護士に相談し、その先で弁護士に調停の依頼するといったようにだ。悩みがあるとき、これまで多くの人はGoogleを使ってソリューションを検索することが多かっただろう。一方、ココナラでは、悩んだときは誰かに相談してから、ソリューションを決めるという流れを作り出したい考えだ。

人は様々な悩みを抱えている。ココナラは分野に特化してサービスを展開するのではなく、様々な分野を取り揃えることで、どんな悩みでも「悩んだときはココナラ」という立ち位置を確立する戦略だという。

ココナラは2016年8月、「ココナラ法律相談」サービスをローンチしているが、これも相談のゲートウェイの先にあるソリューションとユーザーをつなぐ位置付けにある。ココナラ法律相談では、ユーザーは登録弁護士に無料で法律相談ができる。ココナラは、ユーザーが弁護士に有料の法律サービスを依頼するときに送客手数料を得るモデルを採用している。現在、250名ほどの弁護士が登録しているという。

ココナラの出品数は10万件を超え、流通高は創業以来、毎年約3倍の成長率で伸びていると南氏は説明する。単価は低くても、このような売上が立つのは継続課金率が高いためで、この継続課金率の高さも、多様な分野を取り揃えていることが貢献しているという。ユーザーはずっと同じカテゴリーの出品サービスを購入するのではなく、異なるカテゴリーの出品サービスを購入する傾向にあるそうだ。今回の「ココナラ・ハンドメイド」は、ココナラの間口を広げ、集客エンジンを強化する位置付けと南氏は説明する。

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ハンドメイドのC2Cサイトには、Creemaやminneなどが先行している。他サービスと競合することについて南氏は、ハンドメイド領域は一社総取りではなく、ユーザーは欲しいと思えるモノがある場所を訪れるため、後発でも十分にマーケットを取れるだろうと話す。また、ココナラには、ハンドメイド作品のマーケティングやノウハウの相談やアドバイスをするサービスとして出品しているユーザーもいるそうだ。ココナラではモノとサービスの両方を提供していくことで、ハンドメイド作家を生み、育てられるマーケットになることを目指すと南氏は話している。

経済圏の拡大に向けてハンドメイド作品のマーケットプレイス「Creema」が総額11億円を調達

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ハンドメイド作品のマーケットプレイス「Creema」を運営するクリーマが総額11億円の資金調達を実施したことを発表した。グロービス・キャピタル・パートナーズをリードインベスターとし、既存株主のKDDI Open Innovation Fund、SMBCベンチャーキャピタル、そしてクリーマ創業者の丸林耕太郎氏が出資している。今回、ファウンダーで代表取締役社長を務める丸林氏に話を聞いた。

Creemaはクリエイターがハンドメイド作品を掲載し、買い手は気に入った商品をサイト上で購入できるC2Cマーケットプレイスだ。作品カテゴリーや素材、モチーフ別に240万点以上の掲載作品からお目当てのものを探したり、気に入った作家をフォローしたりすることができる。アクセサリーや時計などのファッション雑貨が多いが、陶器や家具、アート作品などもある。2016年4月からは食品の取り扱いも始めている。

クリーマ創業者の丸林耕太郎氏

クリーマ創業者の丸林耕太郎氏

Creemaの理念は「ものづくりを頑張っている人がフェアな評価を受けられるサービスであること」と丸林氏は言う。丸林氏は学生時代、DJや楽曲製作など音楽活動に打ち込んでいたと話す。そこでは音楽やファッション関係のクリエイターとの接点が多くあったが、実力があって努力していても、必ずしもそれが収入や評価に結びつくものではないという状況に違和感を感じたという。丸林氏はセプテーニ・ホールディングスを経て、独立した。新規事業を考える際、数あるアイディアの中からハンドメイド作品のマーケットプレイスに取り組むことに決めたのは、クリエイターの才能や頑張りが正当に評価される環境ができると感じたからだと話す。作品の評価は主観的なもので、見る人によって価値を感じるものは違うだろうが、買い手と作品が直接つながることで、より多くの作品が評価されることになると丸林氏は説明する。

Creemaで掲載している作品の一部

Creemaには現在6万人ほどのクリエイターが登録している。クリエイターは趣味としてものづくりをしている人や美大生などが多いそうだ。中には、趣味と副業を兼ねて作品をCreemaに出品していたものの、人気が出て、ものづくりを専業にするために独立した人もいると丸林氏は話す。ハンドメイド作品と言えば低価格だと思われがちだが、Creemaには高額商品も多いそうだ。サービスを開始した当初、インターネットで作品を買う人なんていないと思われていたと丸林氏は言う。しかし、今ではCreemaの作品は安いから購入されているのではなく、良い作品であれば5万円、10万円でも購入につながることが分かってきたと丸林氏は話す。

Creemaバッグ特集

上記はCreemのバッグ作品の特集だが、5000円の帆布トートバッグから2万円のカゴバッグといった高単価のものも並んでいて、どの作品のデザインも仕立ても良さそうな印象だ。

Creemaは2010年5月にローンチし、2014年6月にはKDDI Open Innovation Fundから1億円を調達した。Creemaはクリエイターの売上高に基づき、8%から12%の成約手数料を得るモデルで運営している。出品自体は無料でできる。Creemaの流通総額は年間450%以上成長し、5年連続の成長を果たしたと丸林氏は説明する。

この成長の理由は、買い手のハンドメイド作品に対する価値観が変わってきていることも影響しているのではないかと丸林氏は話す。例えば時計を買うにしても、ブランド商品より世界に1つしかない作品やクリエイターのこと、あるいは作品のストーリーを知った上で気に入った商品を購入することに価値を感じる人が増えているのではないかという。Creemaでは、買い手がクリエイターに連絡を取ることもでき、作品に関する質問をしたり、オーダーメイドや発注数の相談したりといったコミュニケーションを通じてクリエイターのファン構築にもつながっているという。Creemaでは他にも5000名以上のハンドメイド作家が集まるイベント「HandMade In Japan Fes」を東京ビッグサイトで主催したり、常設ショップ「クリーマストア in ルミネ新宿2」を商業施設内に出店したりなど、リアルの場でも買い手とクリエイターの接点を作る施策を行ってきたという。

今回の資金調達ではマーケティング、開発、採用に力を入れる計画だという。クリエイターを支援する新規事業やサービスの海外展開も視野に入れているそうだ。ハンドメイド作品のC2Cサービスと言えばGMOペパボが展開する「minne」やNASDAQに上場し、日本からも利用できるニューヨーク発の「Etsy」などがある。競合は何社かあるが、丸林氏はこれまでCreemaがクリエイターにとって価値のあるサービスとして確立するためのサービス開発に注力してきたという。今回の資金調達、そしてリピーターからの購入が流通総額の大半を占めるようになったことを機に、今後マーケティング活動を強化してCreemaの経済圏を広げていく計画という。また、Etsyに関しては世界で初めてハンドメイド作品の経済圏を作ったことは尊敬しているとしつつも、C2Cでは買い手とクリエイターのコミュニケーションも重要であり、各地域に密着したサービスが台頭する余地もあると考えていると丸林氏は話す。