Canooが自動車製造VDL Nedcarとの欧州EV委託生産契約を終了、VDL Groepと米国生産に向け提携へ

EV(電気自動車)スタートアップのCanoo(カヌー)は、米国時間12月15日に米証券取引委員会に提出された書類によると、オランダの自動車製造会社VDL Nedcarとの欧州における製造委託契約を終了するという。別の提出書類では、Canooは同じくオランダの自動車製造会社であるVDL Groepと、米国での車両生産に関する新たな契約を模索することも明らかになっている。

「VDL Nedcarが当社に製造委託の選択肢を提供するために投資した数カ月の努力に感謝します。ただ、米国での製造が、当社の使命と、当社と同じくハイテク製造に投資している地域社会や州に投資するという当社が現在注力する点に合致していると判断しました。それが、米国の雇用とイノベーションを生み出します」とCanooのCEO、Tony Aquila(トニー・アクィラ)氏は提出書類の中で述べている。「オクラホマ州とアーカンソー州からの支援により、多くの面でより早く、より少ないリスクで商業生産を開始することができます」。

提携解消の一環として、VDL NedcarはCanooからの前受け金3040万ドル(約34億6560万円)を返還し、また新しい提携の一環として、VDL GroepはCanooの株式を840万ドル(約9億5760万円)で取得する。

このニュースが発表される1カ月前に、Canooは本社と先進的な製造施設をWalmart(ウォルマート)の本社もあるアーカンソー州ベントンビルに移転する計画を発表していた。アクィラ氏は第2四半期決算発表で、VDL NedcarによりCanooの「Lifestyle Vehicle」が2023年には最大2万5000台生産されると予想していたが、今後はアーカンソー州で生産することになるようだ。

関連記事
EVメーカーCanooのバッテリーサプライヤーにパナソニックを選択、施設拡大計画も発表
EVスタートアップCanooがオクラホマの工場で量産準備を進める

Canooはオクラホマ州でも「メガ・マイクロファクトリー」を建設中で、2023年後半の稼働を目指している。同工場では、Canooのピックアップトラックや多目的配送車などを生産する。同州は、Canooの工場と製造の次の段階を支援するために、3億ドル(約342億円)の、希薄化のない金銭的な優遇措置を約束した。Canooは、アーカンソー州が提供する同様の優遇措置に関する情報提供の要請に応じなかったものの、それが存在する可能性は高いと思われる。SECへの提出書類によると、Canooは、VDL Nedcarとの委託製造の協議が終了した今、オクラホマ州とアーカンソー州の優遇措置を活用することができ、欧州で製造した場合にかかる25%の関税なしで、第4四半期に間に合うよう車を納入する能力を得ることになる。

バイ・アメリカン法を含む1兆ドル(約114兆円)規模のインフラ法案が正式に署名されたため、Canooは連邦政府との契約やその他の政府優遇措置を狙う可能性がある。この法律は、非国産品の用途を制限し、最終製品は米国内で製造されなければならないとするもので、米国内で使用され、連邦政府との契約に関わる製品に適用される。

「加えて、私たちの製造は100%米国で行われることになります。また、部品の96%を米国とその同盟国から調達するという、もう1つの大きなマイルストーンを達成したことを誇りに思います」とアクィラ氏は語った。

提出書類によると、製造パートナーを変えることで、Canooはサプライチェーンの脆弱性を減らし、市場投入のスピードを上げ、さらなるイノベーションと知的財産の創出をより安全にコントロールし、地域社会における高度な製造業の雇用を増やし「保証リスク、関税、海外輸送コストを排除」して1台あたり数千ドル(数十万円)を節約することが期待されるという。

また、Canooは12月15日、精緻化した2022年から2025年までの製造戦略と生産ロードマップに関するアップグレードされたガイダンスを発表した。来年は3000~6000台(従来見込みは500~1000台)の生産を目指す。2023年には、1万4000~1万7000台(従来見込みは1万5000台)、2024年は4万~5万台、2025年は7万~8万台の生産を目標としている。

画像クレジット:Canoo

原文へ

(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

EVメーカーCanooのバッテリーサプライヤーにパナソニックを選択、施設拡大計画も発表

2020年に上場を果たした電気自動車メーカーのCanoo(カヌー)は米国の施設を拡大中で、Walmart(ウォルマート)で有名なアーカンソー州ベントンビルに本社と別の施設を設置する計画だ。

2021年11月15日に行われた第3四半期決算発表ではまた、パナソニックをバッテリーサプライヤーとすることや他の施設拡大計画についても発表した。施設拡大には、アーカンソー州フェイエットビルでの研究開発センター設立、同社の米国初のオクラホマ工場でのオペレーション拡大などが含まれる。さらに同社は、ライフスタイル車両の生産開始時期を2023年初頭から2022年第4四半期以前に前倒しすることも発表した。

2021年初め、同社は製造に関する2つの発表を行った。同社は、ライフスタイル車両の生産委託先として、オランダのVDL Nedcarを指名した。VDL Nedcarは、Canooが米国にメガマイクロファクトリーを建設している間、米国およびEU市場向けの車両を生産する。Canooはこれまで、VDL Nedcarの工場で2022年に米国および欧州市場向けに最大1000台の生産を想定し、2023年には1万5000台を生産することを目標としていた。CEO兼会長のTony Aquila(トニー・アクイラ)氏は8月に、2023年の生産台数を2万5000台に引き上げた。

Canooは6月、オクラホマ州に最初の工場を建設する計画を発表した。その際、オクラホマ州は、この施設と製造のフェーズ2を支援するために、3億ドル(約342億円)の非希釈型金融インセンティブを約束した。アクイラ氏は11月15日、オクラホマ州がさらに1億ドル(約114億円)のインセンティブを追加し、合計4億ドル(約456億円)としたと発表した。

「我々は引き続き、『Big News or No News』をモットーにしています。ですので、米国での高度な生産を加速させて2022年第4四半期の前に開始します」とアクイラ氏は声明で述べ、施設がある州や大学から約1億ドルの車両注文を目標にしていると付け加えた。

オクラホマ州の工場には今後、研究開発、ソフトウェア開発、カスタマーサポート、ファイナンスの各センターが設置される予定だ。

第3四半期決算は純損失が8090万ドル(約92億円)となり、前年同期の2340万ドル(約26億円)から約4倍に拡大した。

画像クレジット:Canoo

原文へ

(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

EVスタートアップCanooがオクラホマの工場で量産準備を進める

EV(電気自動車)スタートアップのCanoo(カヌー)は、数百名の従業員を雇用し、生産開始に向けての準備を進めているが、バッテリーサプライヤーの決定などの重要なマイルストーンが残っていることが、第2四半期の業績報告書で明らかになった。

Canooは業績報告に数週間先立って、初めてIRイベントを開催し、オランダの VDL Nedcar(VDLネドカー)をライフスタイルビークルの製造委託先として発表していた。この発表の際には、CanooはVDL Nedcarの施設で、2022年には欧米市場向けに最大1000台を生産し、2023年には1万5000台を目標にするという見積もりを出していたが、米国時間8月16日の業績報告会では、CEOのTony Aquila (トニー・アクイラ)氏が、現在は2023年に2万5000台の生産を見込んでいると述べた。

またCanooは、ピックアップトラックと多目的配送車の生産のために、同社が「メガ・マイクロファクトリー」と呼ぶ工場を、米国に工場を建設する計画の最新情報についても説明した。6月に同社は、オクラホマ州に最初の工場を建設する計画を発表していた。オクラホマ州は、この施設と生産の第2段階を支援するために、3億ドル(約327億6000万円)分の非希釈性の投資を約束している。

関連記事:電気自動車のCanooがオクラホマに工場を建設、2023年から生産開始

「この2つの目立った戦略が重要なのは、いくつかの理由があります」とアクイラ氏は業績報告会で述べた。「新しいOEMのNedcarと協力することで、生産プロセスを洗練させることができます。またオクラホマ州の製造工場に展開される生産の専門性を強化すると同時に、製造業務を地理的に多様化し、変化する市場の需要に適応するために、コミットメント、製品、数量を増やし、販売における柔軟性を作り上げることができるようになります」。

アクイラ氏によると、オクラホマ州からの投資額の約3分の1が最初の36カ月間で利用可能になるという。これらの資金は、Canooがローンチに向けて準備を整えることを意味する「ガンマ」フェーズに移行する際の会社の進捗を支えることになる。前年比で、Canooの従業員は230人から656人に増え、そのうちの70%がハードウェアとソフトウェアのエンジニアだ。スタートアップの運営費は、前年同期比で1980万ドル(約21億6000万円)から1億430万ドル(約113億9000万円)に増えているが、その増加分の大半は研究開発費によるものだ。

収益計上前の費用が増加していることは、Canooが生産目標に向けて邁進していることを示しているが、オクラホマ工場の建設を開始するまでには、まだ課題が残っている。アクイラ氏によると、現在Canooは建築マネージャー、設計家、建築会社の最終選定を行っており、来四半期までには工事の進捗状況を詳しく報告する予定だという。

また同社は、第3四半期中にバッテリーのパートナーを最終決定することを目指しているが、これは、多くの既存メーカーがバッテリー合弁会社を設立してサプライチェーンをコントロールしようとする中で、ますます重要になってきている動きだ。そしてCanooもまた、他の業界同様、半導体のサプライチェーン問題に悩まされているが、製造プロセスの合理化により、より少ないチップで自動車を機能させることができるとしている。

IRイベント当日、Canooは50万マイル(約80万5000km)のベータテストを終えたことを発表した。6月30日の時点で、アクイラ氏は「ガンマ」ビルドを開始するためのエンジニアリングとデザインを決定したと語った。

「また、第1四半期は74%だった部品の調達率は87%となっていて、バルク材を除くと95%の調達が完了しています」とアクイラ氏は述べている。「当社のCTOとそのチームは、ライフスタイル・ビークルの部品の67%についてエンジニアリングデザインを完了し、それらの製造準備に移行しました」。

アクイラ氏によると、Canooは第4四半期中にライフスタイル・ビークルの標準生産プロセスへのカウントダウンを開始するという。おそらくライフスタイル・ビークルの生産は近付いているものだと思われるが、アクイラ氏によると、返金可能な9500件の予約のうち、最も人気があるのは、Canooの他の2つの車であるピックアップトラックと多目的配送車だという。

関連記事
Canooの2022年発売電動マイクロバス基本価格は380万円以下、4バージョン用意
Canooが仕事や遊びに使える新電動ピックアップトラックを発表
2022年発売のCanooの電動車両第2弾はラストマイル配達向け

カテゴリー:モビリティ
タグ:Canoo電気自動車オクラホマ工場トラック

画像クレジット:Canoo

原文へ

(文: Rebecca Bellan、翻訳:sako)

電気自動車のCanooがオクラホマに工場を建設、2023年から生産開始

SAPC(特別買収目的会社)との合併を通じて最近公開企業となった電気自動車(EV)スタートアップCanoo(カヌー)は最大2000人が働く工場をオクラホマに建設する計画だ。新たにCEOに指名されたTony Aquila(トニー・アクイラ)氏が米国時間6月17日に行われた投資家向け説明会で明らかにした。

工場はオクラホマ州のタルサから約45分のプライアーにあるミッドアメリカ工業団地内の400エーカー(約1.62平方キロメートル)の敷地に建設される。Canooが「メガマイクロファクトリー」と表現する工場は塗装、修理、総組立のプラントを擁し、2023年の開所が予定されている。周辺には多くの製造・ロジスティック企業が立地している、とアクイラ氏は述べた。

「信じられないほど成長すると考えているハブです」と同氏はイベントで話した。「それに加えて、北米のロジスティックと動きのど真ん中に位置し、どこにでもアクセスし、日帰りできることはかなり重要です」。

初のEVを2022年第4四半期に発売すると明らかにしているCanooはまた、工場建設の間、最初の生産を行うためにオランダ拠点の委託製造メーカーVDL Nedcarと提携すると発表した。

関連記事:Canooの2022年発売電動マイクロバス基本価格は380万円以下、4バージョン用意

Canooの今回の発表の1年近く前に、オクラホマはTeslaの工場誘致で破れている。Teslaは東海岸の顧客に販売するCybertruck、Tesla Semi、Model Y、Model 3を生産する工場の建設地として最終的にオースティン近くを選んだ

「とても胸躍らせています。我々は売れ筋の州で、生産に最適なところです」とオクラホマ州知事のKevin Stitt(ケビン・スティット)氏は述べ、同州の電気代が米国で最も安いことも指摘した。同州の安い電気代はGoogleのような企業をひきつけてきた。Googleはプライアーでデータセンターを稼働させている。

Canooの投資家説明会は、同社のビジョンの特定のカ所にフォーカスしているエンジニア、デザイナー、役員らを特集した。同社は消費者と商業客向けのプロダクトに注力している。同社のすべてのEVは同じスケートボードを共有し、ユニークな車両とするために組み合わせ可能な種類の異なるキャビンと「トップハット」を使う。電気マイクロバスやピックアップトラック、B2B応用のためのものなど、すでにいくつかの車両を発表した。CTOのPete Savagian(ピート・サバジアン)氏によると、同社は従業員数も増やし、2021年第1四半期末で約435人になった。そして2021年末までに690人へとさらに増やす計画だ。

投資家説明会は、多難続きだった同社をアクイラ氏が舵取りするようになってから初の大きな公開イベントだった。

Canooは2017年にEvelozcityとして始まり、Faraday Futureの元幹部のStefan Krause(ステファン・クラウス)氏とUlrich Kranz(ウーリッヒ・クランツ)氏によって創業された。2019年春に社名をCanooに変更し、その数カ月後に初の車両をデビューさせた。ユニークな外観の車両と、サブスクでのみ提供するという初期計画で投資家とメディアの注目を集めた。同社はまたHyundai(現代自動車)と共同開発の提携も獲得したが、アクイラ氏の2021年3月のコメントによると、この取引は2021年初めにCanooが事業モデルを変更し、エンジニアリングサービスを他のメーカーに提供しないと決めた後に反故になった。

Canooはまた、共同創業者も失った。まずクラウス氏で、直近ではクランツ氏が社を去った。そして5月、同社は米証券取引委員会の調査を受けていることを明らかにした。5月17日に発表された四半期決算によると、調査は広範にわたり、特別買収目的会社Hennessy Capital Acquisition Corp.のIPO、Canooとの合併、Canooのオペレーション、ビジネスモデル、売上高、収益戦略、顧客契約、収益、そして直近の幹部の退職などが対象となっている。

関連記事
電気自動車スタートアップのCanooが特別目的買収会社経由で株式公開へ
Canooが仕事や遊びに使える新電動ピックアップトラックを発表
Canooの2022年発売電動マイクロバス基本価格は380万円以下、4バージョン用意

カテゴリー:モビリティ
タグ:Canooオクラホマ工場電気自動車

画像クレジット:Canoo

原文へ

(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

Canooが仕事や遊びに使える新電動ピックアップトラックを発表

ロサンゼルス拠点のスタートアップCanoo(カヌー)は最新、そして3つめのモデルとなる電動ピックアップトラックを発表した。似たようなトラックや従来のディーゼルピックアップにあるシャープなコーナーや大きなエンジンハウジングをなくし、商用顧客や週末に冒険を楽しむ消費者のための電動車両だ。

市場に出回っているものの中で最もスペース効率がいいとCanooが謳うこのトラックは米国時間3月11日午後に予定されていた正式公開の前のに10日夜にリークされた。

3つのモデルのCanoo車両はすべてデザインランゲージを共有する。しかしCanooの重要な礎石は基礎だ。Canooは同じプラットフォームアーキテクチャーを全車両で使っており、客室やトップハットをモデルごとに変えているだけだ。Canoo独自仕様のプラットフォームは、EVパワートレインの重要な部品を搭載した薄くて平らなスケートボードのようだ。このタイプのデザインでは同社のトラックはよく売れている従来のピックアップのような平台型サイズに近くなる。

Canooのトラックは2021年第2四半期にプレオーダー受付を開始し、早ければ2023年に納車が始まる。

トラックの長さは約467cmだ(比較するとTeslaのCybertruckは約586cm、RivianのR1Tは約553cm)。しかしCanooのモデルが抜きん出ているのは、プルアウト式のベッドエクステンションだ。これはトラックベッドを約182cmから約243cmに伸ばし、車両の長さを競争力のある約541cmにする。また最大600馬力を誇り、航続距離は約321kmを超える。

画像クレジット:Canoo

Canooの他の車両と同様、ピックアップトラックにもさまざまなオプションが用意されている。例えばトラックベッド用の仕切りや、トラックをバンに変えることができるキャンパーシェルがある。ルーフトップテントすらある(少なくとも写真では確認できる)。これはCanooが車両に合うアクセサリーの事業も考えていることをうかがわせる。

また折りたたみ式の作業机や追加のコンセント、折ることができるサイドテーブル、さらにストレージのあるトラックベッドへの隠れた階段、ルーフラックを備えた貨物ストレージエリアもある。

「当社のピックアップトラックは最もタフなそこらのトラックと同じくらい強く、飛躍的にもっと生産的となるようにデザインされています」とCanoo会長のTony Aquila(トニー・アクィーラ)氏は声明で述べた。「このトラックはあなたの役に立ちます。トラックを仕事、週末、アドベンチャーで使う人のためにアクセサリーも作りました。ありとあらゆるものを手がけました。というのもこれはあなたのプラットフォームだからです。まったくすごいヤツです」。

2020年12月、Canooは特別買収目的会社Hennessy Capital Acquisition Corp.との合併取引で上場し、評価額は24億ドル(約2610億円)となった。Fisker Inc.、Nikola Corp.、Lordstown MotorsなどNASDAQに上場するのに従来のIPOを回避した一連のEVメーカーや充電インフラ企業の仲間入りを果たした。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Canoo電気自動車トラック

画像クレジット:Canoo

原文へ

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

2022年発売のCanooの電動車両第2弾はラストマイル配達向け

12月下旬にNasdaq(ナスダック)上場を予定しているロサンゼルスを拠点とする電気自動車スタートアップCanoo(カヌー)は12月17日、全電動の多目的配達車両を発表した。

ハイルーフで、荷物ロッカーと車両を管理するためのサービスプラットフォームとしてのソフトウェアを有する電動配達車両は小規模の事業所や、宅配企業、小売業者、大企業、ロジスティック企業のようなラストマイルの配達を行う企業をターゲットとしている。

2019年のデビュー以来Canooにとって2つめのプロダクトとなるこの最新車両は、Canooのフレキシビリティと、消費者とB2Bへの応用に向けたプロダクトを作るという同社の意思を示すのが目的だ。Canooの全ての車両は同じ基礎アーキテクチャを共有し、車内や外観が異なる。

多目的配達車両の他のバリエーションも出る予定で、Canooは今後サービスネットワークの発表も計画している。

画像クレジット:Canoo

Canooは2017年にEvelozcityとして始まった。創業したのは元Faraday Futureの幹部、Stefan Krause(ステファン・クラウス)氏とUlrich Kranz(アルリッチ・クランツ)氏だ。同社は2019年春に社名をCanooに変え、その数カ月後に最初の車両をデビューさせた。同社にとって初の車両はサブスク限定で提供する予定で、これは投資家や企業、メディアの関心を集めた。

従来の電動SUVというよりマイクロバスのような外観の最初の車両は、キャビン下のキャシーにバッテリーと電動ドライブトレインを搭載する「スケートボード」式のアーキテクチャだ。これは今年初め、Hyundai(ヒュンダイ、現代自動車)の関心をひいた。Hyundaiは2月に、Canoo独自仕様のスケートボードデザインを元にして、Canooと共同で電動車両プラットフォームを開発する計画を発表した。開発するプラットフォームはHyundaiとKiaの将来の電動車両、そしてHyundaiグループの「多目的車両」に使われる。HyundaiがCES 2020で発表したPBVは、レストランやクリニックなどさまざまな目的のために使うことができる移動可能なポッド状の車両だ。

この新しい配達車両はまず2つのサイズで提供される。その後違うバージョンも展開される見込みで、特定の要件を満たすためにCanooとカスタム車両を共同開発するオプションも提供されるとCanooは述べた。

電動配達車両の価格は3万3000ドル(約340万円)からだ。ただし、購入は待たなければならない。販売は2022年からで、大量生産の開始は2023年が予定されている。1台あたり返金可能なデポジット100ドル(約1万円)でプレオーダーできる。

米国での商業デビューに続き、カナダやメキシコ、欧州といった他のマーケットでも多目的配達車両を立ち上げる計画だとCanooは話した。

同社の会長Tony Aquila(トニー・アクイラ)氏によると、配達車両はドライバーのエルゴノミックを念頭に置いてデザインされ、ドライバーが快適に、そして生産的に仕事ができるようディテールにこだわった。アクイラ氏はこの車両はリーズナブル価格であり、現在市場に出回っている同等クラスの電動配達車両よりも積載許容量が大きいとも説明した。

画像クレジット:Canoo

「車所有にかかる全体のコストを下げ、ローカルの零細企業から大企業までみなの投資に対するリターンを増やすことを目的としています」と声明で述べた。

実際、Canooは配達車両を注文する企業に対し、ユースケースにもよるが他社の最も売れている配達車両と比較したときに6年から7年で5万〜8万ドル(約517〜827万円)分の業務改善ができると約束している。

Canooはまた、配達車両にフレキシビリティを持たせ、異なるワークステーション用に生産できるとしている。バッテリーパックサイズは40〜80キロワットアワーの間でいくつか用意され、備品やツールを充電するのに使える双方向のチャージャーも搭載される。

Canooはまた、車両に搭載したテクノロジー、特に高度なドライバー補助システム、無線ソフトウェアアップデート、ソフトウェア・アズ・ア・サービスのプラットフォームが機能の管理やルートのプラン、走行の診断を行い、ドライバーをサポートすると宣伝した。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Canoo、電気自動車

画像クレジット: Canoo

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

電気自動車スタートアップのCanooが特別目的買収会社経由で株式公開へ

米国ロサンゼルスに拠点を置く電気自動車の新興企業であるCanoo(カヌー)は、SPAC(特別目的買収会社)であるHennessy Capital Acquisitionとの合併契約を締結し、時価評価額は24億ドル(約2530億円)となった。

スタートアップでは伝統的なIPOのパスをスキップし、SPACとの合併契約を通じて株式を公開したのは、米国時間8月18日の発表は、この電気自動車メーカーが今夏で4社目となる。同社以外としては、Nikola.、Fiske、Lordstown MotorsもSPACを通じて株式を公開している。

Canoo は、大手資産運用会社のBlackRockが管理するファンドや口座からの投資を含め、公開株式 (PIPE)への民間投資で3億ドル(約316億円)を調達したことを明らかにした。今回の買収によりCanooは、スケートボードの技術をベースにした電気自動車の生産と発売に向けて、約6億ドル(約632億円)の資金を得ることになる。

この取引が完了した後、統合された事業会社はCanoo Inc.と名付けられ、引き続きNasdaq株式市場にティッカーシンボル「CNOO」で上場される。

HCAC(Hennessy Capital Acquisition Co)のDaniel Hennessy(ダニエル・ヘネシー)会長兼CEOは、Canooのビジネスモデルとスケートボードのアーキテクチャと技術に賭けており、声明の中で「韓国・現代自動車(ヒュンダイ)グループとの提携などの重要なパートナーシップによってすでに検証されている」と述べている。

Canooは、電気自動車メーカーのFaraday Future(ファラデー・フューチャー)の幹部だったStefan Krause(ステファン・クラウゼ)氏とUlrich Kranz(ウルリッヒ・クランツ)氏が設立したEvelozcity(エヴェロズシティ)として2017年にスタートした。2019年春にCanooにリブランドし、昨年9月に初代車両をデビューさせた。サブスクリプションとしてのみ提供される最初のCanooの車両は、2021年までに公道デビューすると予想されていたが、8月18日の発表内容によると、その計画は2022年に変更されたようだ。

伝統的な電気SUVというよりはマイクロバスのように見えるCanooの初代車両の心臓部は、車のキャビンの下のシャーシにバッテリーと電気ドライブトレインを収容する「スケートボード」アーキテクチャだ。このアーキテクチャは、今年初めに現代自動車の関心を集めた。現代自動車は2月に、新興企業のスケートボードのデザインに基づいた電気自動車プラットフォームをCanooと共同開発する計画を発表した。このプラットフォームは、現代自動車と起亜自動車の将来の電気自動車や、同グループのいわゆる「目的別自動車」に使用される予定だ。現代自動車がCES 2020で展示した空飛ぶ車であるPBV(パーパス・ビルド・ビークル)は、ポッドのような乗り物で、レストランや診療所などの交通機関でさまざまな機能を発揮できるとしている。

Canooは消費者向けの製品だけに注力しているわけではない。B2B向けの車両も提供することを目指している。「CanooのEVはすべて同じスケートボードをアーキテクチャを共有し、異なる座席やトップハット(ブレーキディスクをホイールハブに備え付ける部分)などを組み合わせてユニークな車両を作ることができる」と同社は述べている。同社は2023年の供給を目標に設計された最初のB2B車両の生産を目指している。このB2B車両は、密集した都市環境での運行を想定して設計されており、ラストマイル配送に重点を置いたものになるという。

関連記事:現代自動車とEVスタートアップのCanooがプラットフォームを共同開発

カテゴリー:ニュース

タグ:電気自動車 Canoo

画像クレジット:Canoo

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)