シボレー・シルバラードがついにEV化、2023年に生産開始

General Motors(ゼネラルモーターズ)は、Chevrolet Silverado(シボレー・シルバラード)のEVを発表した。航続距離は400マイル(約644キロメートル)、最高出力は664HP(馬力)、ベーシックなワークトラック版の価格は3万9900ドル(約462万円)からだ。フル装備で4輪駆動のRSTファーストエディションは10万5000ドル(約1218万円)となっている。どちらも2023年に生産ラインに載る予定だ。待てない方は、少し高価なGMC Hummer EV(GMCハマーEV)の列に並ぼう。ほぼ同じクルマだ。

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General MotorsのCEO、Mary Barra(メアリー・バーラ)氏は米国時間1月5日、CES 2022のバーチャル基調講演でこのクルマを発表した。同社は、Ford F-150 Lightning(フォード・F-150ライトニング)に対するChevy(シボレー)の答えの他に、複数の大衆向け電気自動車を発表した。また、2020年代半ばまでに個人向け自動運転車を販売する計画も発表した。

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Silverado EVは、Hummer EV、Sierra Denali(シエラ・デナリ)に続き、General Motorsが発表した3台目のEVピックアップトラックだ。同社はデナリのティーザー広告を2021年12月に発表したばかりで、それについてはほどんど何もわかっていない。しかし、Silveradoは、印象的なHummer EVと部品の大部分を共有しているようだ。Silverado EVが「付け足し」だと勘違いしないで欲しい。Silverado EVは、この3つの中で最も重要だ。Chevy Silveradoは長い間、主力製品であるFord F-150ピックアップの主要な競争相手だった。

画像クレジット:GM

発売時に用意されるのは、3万9900ドル(約462万円)のWork Truck(ワークトラック、WT)エディションと、フルスペックのRSTファーストエディション(約1218万円)の2種類。どちらも航続距離は400マイル(約644キロメートル)とされている。装備品を含めると、最終的には、5万〜8万ドル(約580万〜930万円)の価格帯になりそうだ。

Silverado RSTファーストエディションは、多くの技術的な改良が施されている。Hummer EVと同じ4輪駆動と適応性のあるエアサスペンションを使用している。中央には17インチの巨大な液晶画面、運転席には11インチの画面と巨大なHUD(ヘッドアップディスプレイ)が備わっている。このエディションには、Chevyのアドバンストトレーラリングシステムも搭載されている。

3万9900ドル(約462万円)のWork Truckエディションについて、公表された情報はより少ない。パワーはより小さく、510HP(馬力)、トルクは615ポンド・フィートだ。RSTエディションは664HP(馬力)、トルクは780ポンド・フィート。また、牽引力は8000ポンド[約3600キログラム](RSTエディションの1万ポンド[4500キログラム]より小さい)。インテリアも大きく変わり、ダッシュボードには10万5000ドル(約1218万円)のRSTモデルに搭載されている巨大な液晶ディスプレイがないのが特徴だ。

また、RSTエディションは、キャビンとベッドの間に取り外し可能なパネルがあるため、収納容量が大きい。また、センターコンソールも大きくなり、ルーフも固定ガラスになった。

WTとRSTエディションは、公共のDC急速充電ステーション対応機能(350キロワット)を備え、10分で100マイル(約161キロメートル)の航続距離が得られる。Silverado EVは、Ford Lightningと同様に110ボルトの発電機として機能するが、Chevyの最大出力は10.2キロワットで、Fordの9.6キロワットを上回る。

ChevyとFordの間には歴史がある。両社は長い間、互いの開発を追いかけてきた。2021年5月にFord F-150 Lightningを発表した際には、FordがChevyに数カ月先行した。それ以来、Fordに予約が殺到した。同社は今週初め、生産を倍増し、2023年半ばまでに年間15万台の生産を達成すると発表した。

General Motorsは米国時間1月5日、3万9900ドル(約462万円)のChevy Silverado Work Truckの生産を2023年春に開始する意向だと発表した。さらに、RSTファーストエディションは2023年秋から生産する。最終的には、同日プレビューされたオフロードをテーマにしたTrail Bossエディションなど、Chevyはより多くのモデルを市場に投入する見込みだ。

Ford F-150 LightningとChevrolet Silverado EVは、初めて根本的に異なる車種となった。これらは、それぞれ異なるアプローチをとった。Ford F-150 Lightningは、伝統的なボディオンフレーム・プラットフォームを採用している。これは、現在のFord F-150 LightningやChevy Silveradoなど、ピックアップ市場で採用されているものと同じアレンジだ。しかし、General Motorsは、ボディとフレームを一体化したユニボディを採用。Tesla(テスラ)のCybertruck(サイバートラック)にも採用されている構造だ。この構造により、剛性は向上するが、牽引力と積載力が犠牲になることが多い。

電動ピックアップトラック市場は急速に拡大している。Silveradoは一部の競合他社よりも遅れて市場に投入される予定だ。SilveradoのいとこであるHummer EVは生産中であり、一部の顧客には納車が始まっている。Rivian(リヴィアン)も同様で、最初のピックアップトラックであるR1Tの生産を開始した。2021年12月に予約したピックアップトラックを受け取った顧客もいる。

TeslaのCybertruckは、わかっていないことが多い。Elon Musk(イーロン・マスク)氏は2019年11月、このワイルドなピックアップを発表したが、多くの詳細がまだ明らかにされていない。Teslaのウェブサイトからは、生産予定時期が削除された。市場では、サイバートラックがまだ開発中であることはほぼ一致しているが、時期は不明だ。

General MotorsのEVへのアプローチは広がりつつある。2008年の自動車メーカー救済の暗黒時代に、Chevy Voltでスタートした。次に、2017年にChevy Boltで初の量産型EVを生産した。そして、新型コロナウイルスの数週間前の2020年3月4日、CEOのバーラ氏は、次世代EVプラットフォーム「Ultium(アルティウム)」を発表した。その後、チップ不足や世界的なパンデミックにもかかわらず、Hummer EV、GMC Sierra Denali、Cadillac Lyriq(キャデラック・リリーク)、シボレー・シルバラード、Chevrolet Blazer EV(シボレー・ブレイザーEV)、Chevrolet Equinox(シボレー・エクイノックス)を発表した。

画像クレジット:GM

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(文:Matt Burns、翻訳:Nariko Mizoguchi

GMのシボレー・ボルトEVのリコール費用はLGがほぼ全額負担

GM(ゼネラルモーターズ)は、何万個ものBolt EVのバッテリーを交換することになるかもしれないが、その費用の大半を負担する必要はなさそうだ。同社は、Chevy Bolt(シボレー・ボルト)EVとEUVのリコールにかかる費用のほぼ全額をLGが負担するという約束を取り付けた。GMは、費用20億ドル(約2270億円)のうち19億ドル(約2155億円)をLGが「補填する」と見積もっている。第3四半期決算でその費用は回収される見込みだ。

「高く評価され、そして尊敬されているサプライヤー」と契約に至ったことをうれしく思う、とGMは述べた。とはいえ、GMがこの契約を責任転嫁のために利用していることは間違いない。同社は、リコールの原因がLG製バッテリーの「製造上の欠陥」であることを強調した。LGは、陽極と陰極-陽極セパレータの問題を指摘し、これらの問題が重なるとバッテリーが発火する可能性が高くなることを突き止めた。

その後、LGはバッテリーの問題に対処し、生産を再開した。しかし、このリコールによる直接的なコストは二次的なものかもしれない。電気自動車の分野では比較的脆弱な両社の評判は打撃を受けた。特にGMにとっては、主力の2つのEVが一時的にでも路上から姿を消すというのは良いことではない。GMのHummer EVと電動ピックアップはそのイメージを回復させるかもしれないが、短期的にはあまり役に立たなさそうだ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のJon FingasはEngadgetの寄稿者。

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(文:Jon Fingas、翻訳:Nariko Mizoguchi

GMがリコール対象となったシボレー・ボルトEVの交換用バッテリーモジュールの出荷を開始

General Motors(ゼネラルモーターズ)が、半導体不足の影響で複数の製造工場が操業を停止したことにより製造が遅れていた、リコール対象となった電気自動車「Chevrolet Bolt(シボレー・ボルト)」の交換用バッテリーモジュールを、販売店へ向けて出荷し始めた。

ミシガン州のホランドとヘイゼルパークにある2つのバッテリー組立工場は、9月末に生産を再開している。その際、GMは交換用バッテリーモジュールを、早ければ10月中旬に販売店へ出荷すると述べていた

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GMは「特定のビルドタイムフレーム」の車両、つまり欠陥が集中していると思われる車両の一群を、優先させていくと述べている。交換作業は販売店で2日程度で完了し、新しいバッテリーには8年または10万マイル(約16万キロメートル)の限定保証が付く。また、GMは11月中旬までに、EVのバッテリーをモニターするための新しい診断ソフトウェアの提供も始める予定で、これも販売店でのインストールが必要になる。

今回のリコールは、バッテリーに陽極タブの破損とセパレーターの折れという2つの製造上の欠陥が発見されたため届け出されたもので、これらの欠陥が重なると火災発生のリスクが高くなる。GMが同車のリコールを行うのは3度目で、今回は2017年以降に製造されたBolt EVおよびBolt EUVの全車両が対象という、最も広範囲なものとなった。

火災のリスクに備えて自宅から離れた場所に駐車するようにと、米国運輸省道路交通安全局から勧告されていたBoltのドライバーにとって、今回のニュースはきっと歓迎されるだろう。GMもまた、Boltの所有者に対し、他の車両から50フィート(約15メートル)以内に駐車しないように忠告していたと、Bloomberg(ブルームバーグ)が報じている

GMは、欠陥の見つかったBoltのバッテリーの修理に関連する費用を、全体で約18億ドル(約2041億円)と見積もっている。同自動車メーカーは、バッテリー製造パートナーであるLG Chem(LG化学)に、約10億ドル(約1134億円)の補償を求めると述べている。

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画像クレジット:GM

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

GMがリコール対象となったシボレー・ボルトEVの交換用バッテリーモジュールの出荷を開始

General Motors(ゼネラルモーターズ)が、半導体不足の影響で複数の製造工場が操業を停止したことにより製造が遅れていた、リコール対象となった電気自動車「Chevrolet Bolt(シボレー・ボルト)」の交換用バッテリーモジュールを、販売店へ向けて出荷し始めた。

ミシガン州のホランドとヘイゼルパークにある2つのバッテリー組立工場は、9月末に生産を再開している。その際、GMは交換用バッテリーモジュールを、早ければ10月中旬に販売店へ出荷すると述べていた

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GMは「特定のビルドタイムフレーム」の車両、つまり欠陥が集中していると思われる車両の一群を、優先させていくと述べている。交換作業は販売店で2日程度で完了し、新しいバッテリーには8年または10万マイル(約16万キロメートル)の限定保証が付く。また、GMは11月中旬までに、EVのバッテリーをモニターするための新しい診断ソフトウェアの提供も始める予定で、これも販売店でのインストールが必要になる。

今回のリコールは、バッテリーに陽極タブの破損とセパレーターの折れという2つの製造上の欠陥が発見されたため届け出されたもので、これらの欠陥が重なると火災発生のリスクが高くなる。GMが同車のリコールを行うのは3度目で、今回は2017年以降に製造されたBolt EVおよびBolt EUVの全車両が対象という、最も広範囲なものとなった。

火災のリスクに備えて自宅から離れた場所に駐車するようにと、米国運輸省道路交通安全局から勧告されていたBoltのドライバーにとって、今回のニュースはきっと歓迎されるだろう。GMもまた、Boltの所有者に対し、他の車両から50フィート(約15メートル)以内に駐車しないように忠告していたと、Bloomberg(ブルームバーグ)が報じている

GMは、欠陥の見つかったBoltのバッテリーの修理に関連する費用を、全体で約18億ドル(約2041億円)と見積もっている。同自動車メーカーは、バッテリー製造パートナーであるLG Chem(LG化学)に、約10億ドル(約1134億円)の補償を求めると述べている。

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画像クレジット:GM

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

2022年型シボレー・シルバラードに大規模なテクノロジー系アップグレード、ハンズフリー運転支援機能も採用

GMは米国時間9月9日、フルサイズ・ピックアップトラック「Chevrolet Silverado(シボレー・シルバラード)」の2022年モデルを発表した。ハンズフリー走行が可能な先進運転支援システム「Super Cruise(スーパークルーズ)」や、Google(グーグル)サービスを組み込んだインフォテインメントシステムなど、大きなテクノロジー系のアップグレードを受けた他、インテリアが一新されている。また、新たなフラッグシップモデルとして、工場出荷時にサスペンションのリフトアップを施したオフロードトラック「ZR2」もラインナップに加わった。

シルバラードのリフレッシュは、シボレーとGMCのピックアップトラックを含む、GMの電気自動車攻勢に先駆けて行われた。GMは2025年までに30台の新しい電気自動車をグローバル市場に投入し、2035年までに全車をゼロエミッション(排ガスを一切出さない)車に移行することを目指している。GMによれば、この新しいシルバラードは2022年春よりディーラーに並ぶ予定だという。

2022年モデルのシボレー・シルバラードは、エクステリアもリフレッシュされ、新しいフロント・フェイシアや、ドライバーが車両に近づいたり離れたりすると光がアニメーションするデイタイム・ランニング・ライトなどが採用された。しかし、本当の意味での変化は、このトラックのキャビンと、そこに搭載されたハードウェアとソフトウェアの根幹に見出すことができる。

2022年型シボレー・シルバラード ZR2と新型ヘッドライト(画像クレジット:GM)

最もベーシックなエンジンは、2.7リッター直列4気筒ガソリンターボ「High-Output(ハイアウトプット)」エンジンで、その最大トルクは前モデル比20%増の420 lb.-ft.(569Nm)を発生する。これを搭載する2輪駆動モデルの最大牽引力は9500ポンド(約4.3トン)。組み合わされる8速オートマティック・トランスミッションはシフトスケジュールが見直され、シフトがスムーズになっただけでなく、すばやくシフトダウンして必要なパワーを引き出せるようになった。

3.0リッター直列6気筒ターボディーゼル「Duramax(デュラマックス)」エンジンも改良され、最大牽引力が1万3300ポンド(約6トン)になった(2輪駆動車)。グレードによっては、5.3リッターと6.2リッターのV8ガソリンエンジンも選ぶことができる。

より広々とした印象に刷新されたインテリアには、13.4インチのタッチスクリーンと12.3インチの表示変更可能なデジタル・メーターパネルを「LT」以上のグレードに標準装備。オーナーはリアカメラミラーやヘッドアップディスプレイを追加することもできる。

2022年モデルで追加されたシボレー・シルバラード ZR2(画像クレジット:GM)

インテリアは新色が用意され、シートのデザインも変更を受けた。新たにプレミアムな素材も採用されている。バケットシートを装備するモデルでは、センターコンソールに電子制御式シフトコントローラーが内蔵された。

シボレー・トラックのリード・インテリア・デザイナーを務めるAlexandre Scartezini(アレクサンドル・スカルテジーニ)氏は、より現代的で洗練された「デザインのDNAにCorvette(コルベット)からの影響を感じさせる」ものになったと述べている。

すべてGoogle

車内のさらに奥、すなわちインフォテインメントの部分では、Google、さらに言えばAndroid Automotive(アンドロイド・オートモーティブ)がオペレーション・システムの中核を担っていることにユーザーは気がつくだろう。つまり、Googleアシスタント、Googleマップ、Google Playが、すべてインフォテインメント画面に統合されているのだ。

Android Automotive OSと、Android Auto(アンドロイド オート)を混同してはいけない。後者はオペレーション・システムの上に載せる二次的なインターフェースだ。ユーザーのスマートフォン上で動作するアプリであり、車両のインフォテインメントシステムと無線で通信する。新型シルバラードは、Android AutoとApple CarPlay(アップル カープレイ)の両方に対応している。GMによると、このシステムはAmazon Alexa(アマゾン アレクサ)とも連携するという。

一方、Android Automotive OSは、Linux上で動作するオープンソースのモバイルOSを原型としているる。しかし、スマートフォンやタブレットを動かす代わりに、Googleは自動車メーカーが自動車内で使えるように改変した。Googleは以前から、このOSのオープンソース版を自動車メーカーに提供してきた。近年では、自動車メーカーはグーグルと協力して、Googleのすべてのアプリやサービスが組み込まれたAndroid OSをネイティブに構築している。

ハンズフリードライブ

シルバラードの全車には、自動緊急ブレーキ、車線逸脱警告および車線逸脱防止支援、前方衝突警告、車間距離表示、ハイビーム自動切り替え式ヘッドライト、前方歩行者検知ブレーキという6種類のアクティブセーフティ機能が標準装備されている。

今回の大きな変更は、さらにハンズフリー運転支援技術「スーパークルーズ」が追加されたことだ。これは最上級トリムの「High Country(ハイカントリー)」にオプションとして設定される。シルバラードのスーパークルーズは牽引中でも使用できるのが特徴だが、レーンチェンジ・オン・デマンドやオートマティック・レーンチェンジなど一部の機能は、牽引中には制限される。

スーパークルーズは、LiDARマップデータ、高精度GPS、カメラ、レーダーセンサー類の組み合わせで実現する機能だ。併せて、運転者が注意を払っているかどうかを監視するドライバー・アテンション・システムも搭載されている。Tesla(テスラ)の運転支援システム「Autopilot(オートパイロット)」とは異なり、スーパークルーズのユーザーは、ハンドルから手を離しても大丈夫だ。ただし、目線は前方に注意を向けていなければならない。

GMは2017年にスーパークルーズを導入して以来、着実に改良を重ねてきたが、その採用は何年もの間、同社の高級ブランドであるCadillac(キャデラック)に限定されており、ハンズフリー運転が可能な場所も特定の高速道路の定められた区間に限られていた。しかし、それは2019年にGMがより多くのモデルやユースケースに拡大する計画を発表してから変わった。現在、このシステムは米国とカナダの20万マイル(約32万キロメートル)以上の道路で作動させることができる。

他にもシルバラードには、牽引するトレーラーの長さも考慮に入れて、車線変更時に死角にある車両を警告する機能など、牽引時に役立つ運転支援機能が採用されている。

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GMがシボレー・ボルトのリコール損失約1100億円をLG Chemに請求すると表明
画像クレジット:GM

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

GMがシボレー・ボルトのリコール損失約1100億円をLG Chemに請求すると表明

米国の自動車メーカーであるGeneral Motors(ゼネラル・モーターズ、GM)は米国時間8月20日、バッテリーの製造上の欠陥による火災の危険性を理由に、電気自動車(EV)であるChevrolet Bolt(シボレー・ボルト)のリコールを拡大した。そしてGMは、バッテリーセルの製造パートナーであるLG Chem(LGケム)に、10億ドル(約1097億円)相当の損害賠償を求めることも発表している。

関連記事:GMがシボレー・ボルトEVに3度目のリコール、欠陥バッテリーから火災のおそれ

GMがこの車両に対して行った3回目のリコールのニュースを受けて、LG Chemの株価は米国時間8月23日に11%下落し、60億ドル(約6582億円)の市場価値を失った。またGMの株価は市場終了時に1.27%下落した。

LG Chemのバッテリーが自動車メーカーのリコールにつながったのは、今回が初めてではない。2021年初め、現代自動車(Hyundai)が同様のバッテリー発火の危険性があるとして8万2000台のEVをリコールたが、その費用は約8億5190万ドル(約934億7000万円)に上ると推定されている。現代自動車の共同バッテリー事業は、9月の新規株式公開(IPO)を準備しているLG Chemの、バッテリー専門部門であるLG Energy Solution(LGエナジーソリューション)とのものであったが、専門家によれば今回のリコール費用のためにIPOが延期される可能性があるという。

GMが行ったバッテリーの不具合調査では、陽極タブの破れや曲がったセパレーターなどの、バッテリーセルの不具合が見つかっている。今回のリコールは、LG Energy Solution製のバッテリーを搭載したフォルクスワーゲンAG ID.3 EV で火災が発生して1週間後から始まった。2021年に入ってから、フォルクスワーゲンやテスラは、LG Chemブランドのパウチ型リチウムイオンバッテリーセルから、CATLやサムスンSDIのようなプリズム型のバッテリーセルに移行する動きを始めている。

このリコールによって、GMには北米で販売できる完全な電気自動車がなくなり、電気自動車の販売が伸びているTesla(テスラ)や他の自動車メーカーに対抗することができなくなる。販売台数の減少、安全面でのリスク、さらにはより優れた技術が登場する可能性があることから、GMは他のビジネスに向かうかもしれない。

だが今はまだ、一緒にやるべきことが残されている。GMは、シボレー・ボルトEVおよびEUVに搭載されている欠陥のあるバッテリーモジュールを、新しいモジュールに交換すると発表しており、これが10億ドル(約1097億円)の損失の原因になっているとしている。これは、2020年11月に発生したボルトのリコールのためにGMがすでに支出している8億ドル(約877億8000万円)に加えての支出となる。エネルギーストレージの調査会社であるCairn ERA(ケアンERA)のデータによれば、バッテリーパックは電気自動車の中で最も高価な部品であり、平均して1kWhあたり約186ドル(約2万円)かかっている。GMは1kWhあたり約169ドル(約1万9000円)を支払っており、ボルトは66kWhのバッテリーパックを搭載している。

なお、LG ChemとGMが問い合わせに回答していないため、4月に両社が発表した、米国2カ所目のバッテリー工場をテネシー州に建設する計画を、進めるつもりがあるのかどうかは不明だ。この合弁会社はUltium Cells(アルティウム・セルス)という名で、70GWh以上のエネルギー生産を目指すとされていた。

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画像クレジット:Veanne Cao

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(文: Rebecca Bellan、翻訳:sako)

GMがシボレー・ボルトEVに3度目のリコール、欠陥バッテリーから火災のおそれ

General Motors(GM、ゼネラルモーターズ)は、バッテリーセルの欠陥により火災のリスクが高まる可能性があるとして、さらに多くの電気自動車「Chevrolet Bolt EV(シボレー・ボルトEV)」のリコールを行っている。この最新のリコールは、米国時間8月20日にGMから発表されたもので、同社がユーザーにBolt EVのリコールを通達するのは、これが3度目となる。

7月に出された2度目のリコールは、2017年から2019年型のBolt EVが対象だった。今回はそれがさらに拡大され、新たに2019年型のBolt EVが9335台と、2020~2022年型のBolt EVおよびBolt EUVが6万3683台、対象に含まれた。

関連記事:GMの電気自動車Bolt EVが2度目のリコール、LG化学製バッテリーに発火のおそれ

「GMに供給されたこれらの車両用バッテリーには、まれに同一バッテリーセル内に、破損した陽極タブと折れたセパレーターという2つの製造上の欠陥が存在する可能性があり、これによって火災の危険性が高まる」と、GMはニュースリリースで発表した。この問題については、バッテリーセルのサプライヤーである韓国のLGと協力しているとのこと。

GMでは、これまでのリコール対策費用としてすでに見積もられている8億ドル(約878億円)に加え、今回のリコールによりさらに10億ドル(1098億円)の費用がかかると見込んでいる。

同社は2021年8月初めの決算説明会で、Boltに搭載された欠陥バッテリーの修理に関連する費用が、前四半期の保証費用13億ドル(約1427億円)の大半を占めていると述べていた。

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米幹線道路交通安全局が火災リスクのあるシボレー・ボルトを屋外に駐車するようオーナーに警告

GMはBoltのドライバーに対して、充電を最大90%に制限するとともに、航続可能距離が70マイル(約113キロメートル)以下にならないようにしておくことを推奨している。また、火災の危険性があるため、充電が済んだらすぐに屋外に駐車し、屋内で一晩充電したままにしないように勧めている。米運輸省高速道路交通安全局は、Boltのドライバーに向けて、火災のリスクを減らすために、車を家から離れた場所に駐車するようにと、独自の勧告を発表した。

画像クレジット:GM

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

GMの電気自動車Bolt EVが2度目のリコール、LG化学製バッテリーに発火のおそれ

GMは、電気自動車「Bolt EV(ボルトEV)」の2017年から2019年モデルに、発火の可能性がある問題が見つかったとして、2回目のリコールを行っている。同社によれば、欠陥のあるバッテリーを交換する計画だというが、それを行うまでの間、充電を90%までに制限するとともに、バッテリー残量が航続可能距離70マイル(約113キロメートル)を下回らないようにするようにと顧客に注意を促している。また、屋内に駐車したり、夜間に充電状態のまま放置することは避けるようにと、先週から繰り返し呼びかけている。今回のリコールは、2020年11月にGMが行った6万8000台以上のBoltのリコールに続くものだ。

GMはまた、Boltの顧客に、最寄りのシボレーEV販売店で、近い将来に起こるバッテリー問題を事前に警告する高度診断ソフトウェアを利用することも提案している。GMと同じくLG Chem(LG化学)からバッテリーを調達しているHyundai(現代自動車)は、Kona EV(コナEV)に搭載していた7万5000個以上のバッテリーを交換することになった。

このリコールは、2017年から2019年モデルのBoltで、これまで5件の火災が起きていることがきっかけとなって届け出されたものだ。これは憂慮すべき問題のように聞こえるかもしれないが、FEMA(アメリカ米国連邦緊急事態管理庁)の報告書によると、ガソリン車では1日に平均約150件の火災が発生していることも記しておく価値があるだろう。それでもEVメーカーは、より多くの人を傷つけることになる前に(そして電気自動車に対する否定的な感情が増える前に)、潜在的な問題に責任をもって対処できることを証明する必要がある。

編集部注:この記事はEngadgetに掲載されている。本稿を執筆したDevindra Hardawarは、Engadgetのシニア・エディター。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:GM電気自動車リコールシボレーLGバッテリー

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(文:Devindra Hardawar、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

米幹線道路交通安全局が火災リスクのあるシボレー・ボルトを屋外に駐車するようオーナーに警告

Chevrolet Bolts(シボレー・ボルト)のニュースが再び届いた。幹線道路交通安全局(NHTSA)は新たな消費者向け警告を発行した。同様の問題に関するリコールからまだ1年も経っていない。

NHTSAは、2017~2019年型Boltのオーナーに対し、火災の恐れがあるため家の外に駐車するよう推奨した。対象となっているのは、2020年11月に後部座席下のバッテリーパックに火災の可能性があるためにリコールされたのと同じ車種だ。そのリコールは2017~2019年型Chevrolet Bolt、5万932台に影響を与えた。

しかし今回の警告は、前回のリコールの一環で修正されたはずの車両で最近起きた2件の火災事故がきっかけだとGeneral Motors(GM、ゼネラル・モーターズ)がウェブサイトに書いている。

「慎重を期して、先のリコール対象だった2017~2019年型Chevrolet Bolt EVのオーナーのみなさまには、当社が調査している間、車両を充電後は直ちに屋外に駐車し、終夜にわたっての充電を行わないようお願いいたします」。

GMは、このバッテリー異常の修復方法を発見しており、対象のBoltディーラーで対応すると述べている。2019年型Boltのオーナーは去る4月29日から、2017年および2018年型Boltのオーナーは5月26日からこの改修を受けることが可能になっている。GMがこの異常を見つけるために使用している診断ソフトウェアは2022年型Boltおよびそれ以降のGM車両に標準搭載される、と同社は言っている。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Chevrolet電気自動車火災GMNHTSA

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nob Takahashi / facebook

【レビュー】GMの最先端技術を戦略的な価格で実現したシボレー・ボルトEUV、「スーパークルーズ」追加でテスラModel Yと互角に

2022年型Chevrolet Bolt EUV(シボレー・ボルトEUV)は、Chevrolet Bolt EV(シボレー・ボルトEV)よりもわずかに長くて大きく見えるが、その少し角ばった車体には数多くの最先端技術が手の届く価格で詰め込まれている。シボレー・ボルトEUVと、オプションで追加できる先進運転支援システム(ADAS)の発表により、GM(ゼネラルモーターズ)はADASと電気自動車を大衆の手が届く価格で提供する自動車メーカーになる。

今回発表された改良型「ボルトEV」と新型「ボルトEUV」(EUV:SUV型電気自動車)は、GMが声高に宣言してきた「今後4年間で30車種の電気自動車を発表する」という目標の一環である。筆者は、GMの先進運転支援システムSuper Cruise(スーパークルーズ)を搭載したボルトEUVのプロトタイプ車両に2回試乗する機会を得た。

ボルトEVとボルトEUVは基本的に似ている部分もあるが、互いにまったく異なるモデルである。ボルトEUVの方が車体が大きめで、スーパークルーズなど、利用できる機能がボルトEVよりも多い。ちなみにスーパークルーズとは、認可されている道路区間でハンズフリー運転を可能にする先進運転支援システムだ。ただし、このシステムは標準装備ではないため、2200ドル(約24万円)の追加料金を支払ってアップグレードする必要がある。ちなみに2022年型ボルトEVはスーパークルーズには対応していない。

ボルトEUVの基本概要

ボルトEUVには288セル、65キロワット時(kWh)のバッテリーパックが搭載されている。最高出力は200馬力(hp)、最大トルクは360ニュートンメートル(Nm)だ。メーカー推定航続距離は満充電時250マイル(約402キロメートル)で、急速充電(DC充電器で30分充電)すればさらに95マイル(約152キロメートル)走れる。

住宅用の電源(240V)を使った場合、100%充電できるまで約7~8時間かかる。ほとんどのボルトEUVオーナーは住宅用電源で充電するとシボレーは想定している。そのようなオーナーをサポートするために、シボレーは家庭用のEV充電器設置サービスを提供するQmerit(キューメリット)と提携し、ボルトEVまたはボルトEUVの新車を購入またはリースする顧客に、通常であれば2000ドル(約22万円)かかる家庭用EV充電器の設置サービスを無料で提供することを決めた。これはかなりのインセンティブになると思う。

GMがHmmer EV(ハマーEV)やCadillac Lyric(キャデラック・リリック)をはじめとするEVに搭載すると発表した新しいUltimum(アルティウム)バッテリーは、ボルトEUVには採用されていない。ボルトEUVの車台は2021年型ボルトEVと同じく「BEV2」と呼ばれる電動プラットフォームだ。前述したように、スーパークルーズは標準装備ではないため、追加したい場合はオプション料金を支払う必要がある。

スーパークルーズは、2017年に導入されて以来、2018年にはCT6、2021年にはCT5と、キャデラックのモデルにのみ搭載されてきた。有料アップグレードが必要ではあるが、ボルトEUVはGMがラグジュアリー車以外でスーパークルーズを導入した初のモデルである。

ボルトEUVのベース価格は3万3995ドル(約370万円)で、現在ディーラーに並んでいる2021型ボルトEVより2500ドル(約27万円)安い。2022年型ボルトEVも3万1995ドル(約348万円)で、2021年型ボルトEVより4500ドル(約49万円)安い。シボレーの広報部によると「誰でも手が届く価格でEVを提供する」ことを目指しているとのことだ。もちろん、7500ドル(約82万円)の連邦税控除の対象となっていた前身モデル各種と価格面で整合させる目的もあるのだろう。この連邦税控除は各自動車メーカーの米国内納入台数が20万台に達すると廃止されるのだが、GMはその上限台数をすでに超えているからだ。

初期限定モデルLaunch Edition(ローンチ・エディション)のメーカー希望価格は、オプションでスーパークルーズを追加でき、照明付き充電ポートとスペシャルバッジが付いて、4万3495ドル(約474万円)だ。この記事の執筆時点でローンチ・エディションの予約枠はすでに完売しているが、LTトリムまたはプレミアトリムであればまだ予約可能だ。しかし、2200ドル(約24万円)の有料アップグレードでスーパークルーズを追加できるのは、ベース価格3万8495ドル(約419万円)のプレミアトリムのみである。ちなみに、ここで紹介した価格はどれも州または地方自治体によるEV対象の税控除や割引を考慮する前のものだ。

対照的に、Tesla(テスラ)のModel Y(モデルY)の中で最もお買い得なロングレンジモデルでも、インセンティブを考慮する前のベース価格は4万1990ドル(約457万円)だ。テスラの「Full-Self Driving(完全セルフ運転)」機能(実際はセルフ運転ではなく運転支援システムなのだが)を追加するには、さらに1万ドル(約109万円)かかる。

スーパークルーズの使用感

スーパークルーズはすばらしいシステムなのだが、実用面ではまだエラーが多い。スーパークルーズとは、米国各地の認可された道路区間(合計すると約32万キロメートル以上)で、ハンドルから手を、ペダルから足を離して自動運転することを可能にするシステムである。

筆者が2回目に試乗したとき、ボルトEUVのエンジニアリング、開発、検証、テスト、製造を統括するチーフエンジニアのJeremy Short(ジェレミー・ショート)氏は次のように語ってくれた。「渋滞や衝突事故をゼロにする可能性を持つ完全自動運転の技術は開発しがいがある。自動運転は今後10年が本当に楽しみな分野だ。スーパークルーズが今実現している機能を本当に開発できるなんて、5年前には想像もしていなかったはずだよ」。

とはいえ、スーパークルーズには改善の余地があるため、GMは今後も開発を継続していく予定であり、それはボルトEUV用のスーパークルーズも同じだ。筆者がボルトEUVの1回目の試乗でマリーナ・デル・レイからバーバンクへ行き、ラッシュアワーのロサンゼルスに戻ってきた際、スーパークルーズは「少し調子が悪い」感じがした。ハイウェイの広い車線の中で大きく蛇行することが多く、時速30マイル(約50キロメートル)以下になると、交通量が非常に多い認可道路の1つである405号線で、まるで車線を見失ってしまったかのように隣の車線に寄ってしまい、手動運転に切り替わったことが何度もあった。

2022年型シボレー・ボルトEUV(画像クレジット:GM)

それから数週間後、2回目のプロトタイプ試乗でカーソンから出発して50マイル(約80キロメートル)ほど走行したときは、スーパークルーズはかなり安定して作動した。しかし、筆者も、別のプロトタイプ車両で筆者の後ろを走っていたショート氏も、時速10マイル(約16キロメートル)以下になるとボルトEUVのスーパークルーズがおかしな動作をすることに気づいた。前を走っているクルマが減速すると、ボルトEUVも適宜減速するのだが、その後にクルマが流れ始めて加速すると、まるで車線を見失ってしまったかのように車線から逸れてしまい、そのうちに、手動運転に切り替えるための警告音が鳴ってスーパークルーズがオフに切り替わるのだ。

試乗を終えたショート氏も「低速時に蛇行しましたね、私も気づきました」と言っていた。そして、蛇行せずに走行することをスーパークルーズのシステムに教え込むために、もっとエンジニアを呼んで、同じ車両で同じ道路を走らせないとだめだな、なんてジョークを飛ばしていた。同氏によると、低速走行時には、カリフォルニア州の車道でよく見かける奇妙なコンクリート路面加工をAIが車線区分線だと誤認識し、それがスーパークルーズに影響する可能性があるとのことだ。「これは、軌跡がわかる曳光弾のようなものです。インプットされるデータが多いほど、車両はより正確にデータに沿って動こうとします」と同氏は述べる。

スーパークルーズは、すでにキャデラックCT5やCT6などのモデルに広く搭載されているとはいえ、継続的に学習し更新されていくシステムだ、とショート氏は語る。車の重量、可能速度域、寸法、ステアリング、ブレーキ、センサーまでの距離やその機能は、モデルによって異なる。そのため、スーパークルーズを新しいモデルに採用する際は、その都度センサー、ソフトウェア、データ処理機能に手を加えて更新することが必要だ。例えば、2022年型Cadillac Escalade(キャデラック・エスカレード)に搭載されたスーパークルーズには自動的に車線を変更する機能が含まれている。しかし、2022年型ボルトEUVには対応するセンサーが搭載されておらず、自動的に車線変更する機能は備わっていない。

ショート氏は次のように説明する。「スーパークルーズの詳細はモデルによって異なるため、処理するデータや提供する機能も異なります。ボルトEUVに搭載されたスーパークルーズは、エスカレードに搭載されるスーパークルーズと同じタイミングで開発されましたが、この2つのモデルはステアリングもブレーキもまったく異なるため、それぞれのスーパークルーズもやはり異なってきます」。

スーパークルーズは、先進的なレベル2の自動運転システムとして認定されている。ドライバーは依然として油断せずに周囲の状況に注意を払う必要があるが、スーパークルーズが利用可能な道路では、ハンドルから手を離したり、ペダルから足を離したりできる。ハンドルに搭載されたセンサーがドライバーの視線を追跡し(夜間や色の濃いサングラス着用時にも追跡できる)、ドライバーが映画を観たり、居眠りしたり、スマホを見たりしていないか、きちんと前方に注意を払っているかどうかを監視する。スーパークルーズの起動中でも、前方の道路からあまり大きく外れた場所を見ることはできない。例えば、時速65マイル(約105キロメートル)で走行している場合、10.2インチのインフォテイメント画面に手を伸ばしてラジオのチャンネルを変えることくらいはできるのだが、それでも、視線が数秒以上逸れただけで警告音が鳴る。

ショート氏は筆者からの質問に答えて次のように説明してくれた。「ロサンゼルスからラスベガスまで長距離ドライブをする場合、ドライバーはまるで『前列シートに座っている同乗者』になったように感じると思います。ドライバーも同乗者も道路状況に注意を払い、危険がないかどうか前方を見ることでしょう。私もスーパークルーズを使ってこの区間を走ってみましたが、同乗していた友人と同じ程度の疲労しか感じませんでした。つまり、ドライバーとしてずっと運転するときほど疲れなかったのです」。

その他の機能

通常はまる1週間かけて試乗して余すところなくレビューするのだが、今回の2022年型ボルトEUVではそれがかなわなかった。とはいえ、このクルマが持つ特徴の一部をレビューする時間は取ることができた。

シボレーの車載インフォテイメントとナビゲーションをつかさどるシステムを動かすのは、GMのInfotainment 3ソフトウェアだ。このシステムの音声制御には自然言語処理が実装されているため、筆者は最寄りの充電ステーションを音声制御ですばやく検索できた。

ただし難点があった。音声で検索すると同システムに複数の充電ステーションが表示されたのだが、どのステーションが利用可能か、営業時間中なのか、営業時間外なのか、GMが提携している充電サービス企業EvGoのネットワークに加盟しているかどうか、といった情報は表示されなかったのだ。さらに、スーパークルーズの使用中は検索結果の表示ページを移動できない。なぜなら、ドライバーの視線が前方の道路から逸れると、モニタリングシステムがそれを検知するからだ。

EvGoの充電ステーションを見つけるにはmyChevroletアプリを使う必要があり、見つかった充電ステーションまでの道順を車載ナビゲーションシステムに送信しなければならない。運転中は一部の機能がロックされて使えなくなる。また、ショート氏が指摘するように、myChevroletアプリのページを移動することもできなくなる。

ボルトEUVが市場に出てしばらく時間が経った頃にこの問題がどのような展開を見せているのか、楽しみに待ちたいと思う。そうは言っても、テスラの充電ステーションほどシームレスな体験は難しそうだ。

総評として、2022年型シボレー・ボルトEUVは、現在利用できる自動運転支援テクノロジーの中で最先端の機能を電気自動車に搭載し、それを入手しやすい価格で提供しているモデルだと思う。1回4時間のプロトタイプ試乗を2回体験してみて、コンパクトでありながら広い車内スペースが確保されているボルトEUVは、パワーの面でもテクノロジーの面でも、テスラのモデルY、ボルボのXC40リチャージ、フォードのマッハE、フォルクスワーゲンのID.4などと互角に渡り合えるモデルだと感じた。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Chevrolet電気自動車レビューSUVGM

画像クレジット:GM

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(文:Abigail Bassett、翻訳:Dragonfly)