OpenStackクラウド設営サービスのAnsibleがCiscoやCSC、HP、Rackspaceなどとパートナーして大幅アップデート

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IT自動化サービスAnsibleが今日(米国時間5/18)、HPやRackSpace、CSC、Ciscoおよびオープンソースのコミュニティとパートナーシップして、OpenStackによるクラウドの展開と管理を容易化するサービスを提供して行く、と発表した。

オープンソースのクラウドコンピューティングプラットホームOpenStackは、今やきわめて強力だが、その実装と展開はきわめて容易とは言いがたい。このプラットホームは構成部位の数が多くて、それらをシームレスにまとめて構成するのが難しい。AnsibleはOpenStackクラウドの管理サービスをすでに部分的に提供していたが、これからはこれらのパートナーとの協働で、その過程をさらにシンプルにしていく。

その新しいサービス名”Simple OpenStack Initiative”によりAnsibleの既存のOpenStackモジュールが改良され、またそのほかのOpenStack関連プロジェクトも、ITユーザの使い勝手を中心に見直しが行われる。それらがすべて、Ansibleのオープンソースプラットホームと同社の商用サービスAnsible Tower(AnsibleのUI)に統合される。

Ansibleはすでに多くの点で、OpenStackを構成しオーケストレーションする際のデファクトスタンダードだが、今ではPuppetや、CanonicalのMAASJujuのツールなど、コンペティタも現れている。セットアップしたいクラウドのタイプに合わせて、サービスやツールを選ぶ時代になりつつある。

OpenStackは複雑なシステムだから、競合はむしろ、そのエコシステムを強力に前進させる契機になりえるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

CiscoがコミュニケーションAPIのプロバイダ(Twilio的な)Tropoを買収

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Ciscoといえば、誰もがネットワーキング機器のメーカーだと思う。でもCiscoには、WebExで知られるように、通信(コミュニケーション)やコラボレーションの側面もある。そのCiscoが今日(米国時間5/7)は、Tropoの買収を発表した。TropoはTwilioに似たコミュニケーションプラットホームで、デベロッパはここのAPIを使って、電話やメッセージングなどのコミュニケーション機能を自分のアプリケーションに加えることができる。

昨日(きのう)も書いたように、今のデベロッパはAPIを利用することによってアプリケーションにさまざまな機能を簡単迅速に加えられる。中でもデベロッパにいちばん人気があるのが、コミュニケーションの機能だ。先週行われたTechCrunch Disruptのハッカソンでも、何か重要なことが起きたらテキストメッセージを発信する、という機能をアプリケーションに持たせていたものが多かった。

コミュニケーションAPIのプロバイダとしてはTwilioがいちばんよく知られているが、でもTropoを買ったことによってCiscoは、20万あまりのデベロッパのコミュニティにアクセスできるようになる(数はCiscoの発表による)。Tropoはそのプロダクトをデベロッパに無料で提供しているが、アプリケーションのユーザがそのアプリケーションのコミュニケーション機能(==TropoのAPI)を使うたびに、課金が発生する(それをユーザでなくデベロッパが払うなら‘無料’とは言えない)。Ciscoがどういう料金モデルを採るのか、それはまだ明らかでない。

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Tropoのチームは、CiscoのCollaboration and Communications Groupに加わる。大企業の傘下に入ったチームとその熱心なコミュニティが、独立時代の活気を失わないようにすることが、Cisco側の重要な課題だろう。大が小を買うときには、いつもこの問題がつきまとう。

今年の初めにIBMがAlchemyAPIを買収したときも、同じ問題を抱えた。ITの巨大老舗企業に買収されたこの機械学習ツールにも、大きな熱心なコミュニティが形成されていたのだ。

CiscoはTropoのチームを歓迎するブログ記事の中で、この点に触れている: “両者が協力してCiscoのプラットホームを拡張し、現代的なAPIを通してサードパーティのエンドポイントやアプリケーションに奉仕し、Ciscoがデベロッパのコミュニティにより良い貢献をできるようにしていきたい”。もちろんこれは、今の事実ではなくて、あくまでも目標だ。

一方でTropoのユーザであるデベロッパたちは今後、Ciscoのより大きなエコシステムの一員になり、その多様なリソースにアクセスできるようになる。Ciscoのような成熟企業が小企業の買収を成功させるためには、この側面を強調することが重要だろう。

なお、買収の価額等は公表されていない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

調査報告:無人運転カーを信頼する人は全世界で57%、ただし子どもを乗せても良いという回答は46%

コンピューター制御の自動運転(運転手なし)カーに対する消費者意識調査は既にご覧になっただろうか。Ciscoがとりまとめたものだ。調査のほとんどはネットワーク経由での購入についてのものだが(やはりカーディーラーが嫌いだという人は多い様子だ)、自動運転カー(driverless car)についての意識調査も掲載している。回答者のうち57%が、無人運転カーが辺りを走っていても平気であるとしている。ただし、それぞれのマーケットによっても受け取り具合は異なるようだ。

どうやら、新興国の方が自動運転カーを許容する意識が高い様子。たとえばブラジルでは回答者の95%が自動運転カーを許容すると述べている。また、インドでも86%、そして中国でも70%という数値が出ている。

しかしアメリカではその割合が60%に下がり、ロシアでは57%となる(ロシアでは、ともかくまずはきちんと制御できるようにするのが先決だ)。未だにマニュアル車が人気を集めるドイツでは自動運転カーなど認めないという人も多い(許容すると回答したのは37%に過ぎない)。ロボット慣れしているだろうと思われる日本では、許容する人が28%しかいないという結果も出ている。

ちなみに、自分の子どもを自動運転カーに乗せるかと問えば、上の数値はいずれも低くなる。しかしそうは言っても、自動運転カーが市場に投入されれば、それなりの普及は期待できそうだと言って良いのではないかと思われる。

技術に対する信頼性という点で見ると、保険やメンテナンスコストの低減に繋がる可能性があるのなら、運転習慣を車によって記録されてもかまわないと考える人が74%にのぼっている。また65%の人が、自分に適した車を提案してくれるのなら、身長や体重、および運転習慣を自動車メーカーとシェアしても良いと考えているそうだ。

テクノロジーを使ってセールスマンを排除すること

車の購入行動について問うと、ほとんどの人が営業マンと直接に話をせずにすませたいと考えているという結果が出た。回答者の半数は、直接的に営業マンと話をする必要がある場合でも、販売機のような機械を経由して話したがっているそうだ。半数以上(55%)はビデオチャットなどの仕組みによって購入が完了出来れば良いと考えているのだそうだ。こちらでも、新興市場における方がアメリカやドイツにおけるよりも比率が高くなっている様子だ。

ブラジル、インド、ロシア、そして中国などの新興マーケットにおいて、購入時にも機械経由でという希望が大きくなっているようだ。ドイツや日本では、機械を通すのみで購入を完了したいと考える人は少なくなる。アメリカは新興マーケットと、日本やドイツにおける数値の間くらいになるのだろう。

尚Ciscoは、自動運転カーが単純に道を辿る機能を持つだけではいけないとも言っている。車は今ではほとんど日用品化している。そこに着目してメーカー(およびスタートアップ)は、「サービス」の拡充に注力すべきだと、レポートを結んでいる。駐車場を効率よく発見したり、より快適で自動化したネットワーク機能を提供すべきだと言っているわけだ。

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(翻訳:Maeda, H)


企業のローカルネットワーク(LAN)をクラウド上に作れるPertino–もうハードウェアは要らない

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Pertinoが今日立ち上げたサービスを利用すると、中小企業などが自社のローカルネットワークを、ハードウェアもケーブルもいっさい使わず、完全にクラウド上に構築できる。

PertinoはAmazon Web Service(AWS)を使ってそのサービスを提供し、ユーザである企業はその上にセキュアなネットワークを大小を問わず作ることができる。かつて、そのようなネットワークを作るためには、高価なネットワーク機器に一財産を投じなければならなかった。今ではPertinoが、世界中にあるAWSのデータセンターでソフトウェアを動かすことによって、それを提供する。

Pertinoのサービスにログインした顧客は、適正なネットワークを構成するデータプレーンに接続することになる。それにより顧客企業は、社内的なネットワークをセットアップしてもよいし、あるいは契約企業や契約技術者たちとの一時的なネットワークを作ってもよい。そのネットワークの上では、ファイルの共有やリモートデスクトップサービスなども提供できる。ネットワークの規模の拡大〜縮小や高速化などの維持管理業務は、“software defined networking (SDN)”(ソフトウェア定義ネットワーク)によって行われる。

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SDNはいわば、ハードウェア上に構築されるネットワークのもろもろの機能をラップして抽象化するソフトウェアの層だ。ユーザはもはやハードウェアを操作せず、そのソフトウェアをネットワーキング装置として利用し操作する。SDNは、エンタプライズ市場に今起きていることを象徴している。ソフトウェアがハードウェアをリプレースして、新しいサービスを、顧客がハードウェアを直接購入していたときよりも安価に、かつよりベターに提供するのだ。今はどの業界にも、この変化が起きつつある。たとえば消費者はもはや、自分で店へ行ってビデオを借りない。自分でDVR機器を持たない。ビデオはすべて、Netflixがストリーミングしてくれる。消費者のところでディスクが陳腐化するように、企業がCisco、Juniperといった企業から買っていた高価なネットワーキング機器も陳腐化する。

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Pertinoは今非公開ベータだが、すでにそのソフトウェアを世界中のデータセンターにインストールしている。まだデータセンターの世界的な遍在という状況がなかった3年前には、同社のようなサービスは不可能だっただろう。最近の2年間でAWSは、シドニー、東京、サンパウロ、北米北西部地域などにデータセンターを開いてきた。そのデータセンターネットワークは、今ではほとんどグローバルだ。アフリカが、まだ弱い。そこでPertinoは、AWSで間に合わない部分をほかのデータセンターで補うつもりだ。

Pertinoは、今雨後の筍し始めているSDN企業の一翼だ。Big Switch NetworksやVMwareが買収したNiciraなどは、それまでCitrixやCiscoなどのベンダが支配していたエンタプライズ市場を、徐々に横取りし始めている。しかし今現在は、SDN企業の多くが顧客企業のデータセンターを利用してSDNのインフラストラクチャを構築している。Pertinoは、それをすべてクラウドでやろうとする…主なターゲットはネットワーキングに大金を投じられない小企業だ。その料金は、人員3名/使用機器3台までが無料、その後利用者が一人増えるたびに10ドルが課金される。Aerohive や、Ciscoが買収したMerakiもクラウドネットワーキングを提供しているが、それらはWiFiのアクセスポイントとコントローラを使う。

ただし、今のPertinoには制約があって、対応ユーザ機器はWindows 7搭載機のみ、モバイルのサポートはない。今年の終わりごろまでには、互換機をもっと広げるそうだ。

Pertinoは、ソフトウェアがハードウェアをリプレースするというディスラプトの好例で、これからの中小企業は、Ciscoなどから高価な機械装置を買わなくても堅牢なネットワークを構築できるのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))