9ヵ月を経て、ソフトバンクのスプリント買収は7月10日に完了へ

SoftbankがSprintの過半数を206億ドルで買収するという噂を本誌がキャッチしてから9ヵ月後、物語はいよいよ結末を迎える。

日本のモバイル通信会社、Softbankは、今日(米国時間7/8)、9ヵ月にわたり様々な障壁を越え、7月10日水曜日に契約を完了する予定であることを発表した。FCC(連邦通信委員会)は7月5日に買収を承認した。

正式な声明は以下の通り。

SoftBank Corp.は、Sprint Nextel Corporationに約216億米ドル(約1兆8000億円)を投資し、2013年7月10日に契約を締結する予定である。

これ以前、最近のDishによる255億ドルという驚きの金額提示があり、契約目前のSoftbankからSprintを横取りしようとした。Dishは4月に名乗りを上げた時、SoftbankとSprintの婚約が整ってから長い時間がたっており、両ネットワークは様々な面で統合を進めていた。

当時Dishは、T-Mobileにも興味を持っていたと言われていたが、T-MobileもMetroPCSと買収交渉の最中だった。

米国第3位のキャリアで、5500万人のユーザーを持つSprintは、Dishの提案を評価するための委員会を設置したと公表した。Dishは携帯電話ユーザーのモバイルビデオ利用に明確な関心を持ち、マスコミ、アナリスト、および投資家に向けてアイデアを提示していた。

検討はしたものの、SprintはFCCに対してSoftbankとの契約審査を継続するよう依頼した。その日は、Dishが買収を提案しFCCに依頼した手続き停止期間180日の140日目だった。契約にこぎつけるまでに、両者は多大な作業が必要だった。

この数ヵ月前の12月、Softbank-Sprintの取引は、SprintとClearwireの二次的契約に関わるささいな問題を経験した。Softbankの買収条件の一つに、SprintがClearwireを1株当たり2.97ドル、計22億ドル以上で買収しないという条項があった。当初Sprintは、Clearwireの100%を1株当たり2.90ドルで購入する提案をしていた。

12月中頃Clearwireはロイターに、提示額が低すぎる、1株5ドル程度は見込んでいたと語った。しかしその3日後、Sprintはちょうど2.97ドル/株で契約を結ぶことを発表した。Softbankとの契約で許されていた最高額だった。

そして今日、SprintのClearwire買収から7ヵ月後、Dishがsprintを横取りしようとしてから3ヵ月後、そしてFCCが契約にゴーサインを出した3日後、Softbankはゴールが近付いていることを確信している。

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(翻訳:Nob Takahashi)


衛星放送のDishがSprint買収でソフトバンクに対抗―50億ドル上乗せの255億ドルで買収を提案

アメリカ第3位のモバイル・キャリヤ、Sprintを巡って劇的な展開があった。大手衛星放送サービスのDish Networkが255億ドルでの買収提案を発表した。内訳は173億ドルがキャッシュ、82億ドルが株式だ。この試みが成功すれば日本の大手キャリヤ、Softbank昨年10月に発表した205億ドルでSprintの株式の70%を買収するという計画は失敗することになる。.

有料衛星放送サービスの巨人hsSprintも1株につき4.76での買収を提案した。4月12日のSprintの終値は6.22ドルだったが、Dishの買収提案のニュースで急騰した。先週の下落の後、場外取引価格は15%もアップした

Dishが今朝(米国時間4/12)SEC(証券取引委員会)に提出した報告によれば、Dishはこの買収によってユーザー・ベースと売上を大きく伸ばす(ただし投資負担も増加する)ことになる。現在Sprintには4750万人の契約ユーザーがいる。これに対してDishの契約者は1420万人にすぎない。自社が流している有料テレビコンテンツをSprintのユーザーにも配信するのがDishの狙いだろう。

スマートフォンとタブレットがますます広く普及し、多くのユーザーにとってモバイルが主要な受信チャンネルとなりつつある現在、有料テレビのプロバイダがこの分野にいっそう深く参入しようと大胆な試みをするのはうなずける。

昨年のSoftbankによる買収提案はSprintの存在価値を高く認めさせるものだった。プレスイベントでSoftbankのファウンダー、CEO、孫正義は両者が同じ周波数のLTEを利用していることを強調し、両者の統合による相乗効果を説明した。同時にSprintのCEO、Dan Hesseも孫に支持を与えた。これに対してDishの提案は敵対的買収に近い雰囲気がある。

SprintがSoftbankによる買収を断った場合、6億ドルの違約金を支払う義務が生じる。このニュースを最初に報じたWSJのErgenに取材したところ、提案にはこの違約金をDish側で負担することも含まれているという。

Dishは最近これ以外にもモバイル・キャリヤの買収に動いている。先週はT-Mobile USAの買収を試みていると報じられた。Dish はまたSprintが株主であるモバイル・キャリヤ、Clearwireにも興味を示している

Dishは40MHz帯と2GHz帯に周波数を所有している。しかしそこでサービスを提供するキャリヤ機能を持っていないので、遅かれ早かれ何らかの行動を起こす必要に迫られていた。しかしこの買収が失敗すれば、Dish自身が買収のターゲットになるかもしれない。ひとつには大手キャリヤにおける周波数帯の不足が深刻化しているからだ。今年に入って、AT&TがDishを買収しようとしているという情報が流れたことがある。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+