NASAでもリモートワーク、Curiosityチームが自宅から火星探査機を運用中

何百万マイルも離れた惑星に存在する、天文学的に高価なローバーを運転するのは、そもそも極めて困難だ。しかしNASAのCuriosityチームはそれを成し遂げている。

NASAは米国時間4月15日、数百人が参加する重要かつ現在進行系のミッションを直接会わずに管理しなければならないという前例のない状況に、チームがどのように適応してきたかについて投稿した。

「通常、我々は全員が1つの部屋で画面や画像、データを共有する」と、チームリーダーのAlicia Allbaugh(アリシア・オールボー)氏は語る。「今では別々の部屋にいるだけでなく、スケジュールやコンピュータのセットアップも異なる。「私は15ほどのチャットチャンネルを常時監視している。通常よりも複雑な状況だ」。

もちろんビデオ通話も利用され、ときには数ストリームが同時進行する。一方、これまで高性能ワークステーションで行われていた処理は、現在はラップトップとウェブサービスで処理される。複雑さが増したことでプロセスの効率は低下しているが結果は出ている。

3月中旬には、カリフォルニア州パサデナにあるジェット推進研究所(JPL)のオフィスは空となり、別の場所での作業は中断していた。しかし、Curiosityはまだ稼働している。探査者は岩まで走り、サンプルを採取し、チームに確認のメールを送った。そして今も作業は続いている。

「火星は我々を待っておらず、また我々も探査を続ける」とオールボー氏は語る。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

NASA探索車が火星にて生命存在の可能性を示すガスレベルを検知

NASAの探査車「キュリオシティ」が、火星地表から高レベルなメタンの存在を検知したことを、New York Timesが報じた。6月19日のミッション中に発見され、NASA研究者によって観測されたこの発見は、微生物が火星地下に存在していたことを証明する可能性がある。

地球上において、メタンは生物からの排出物により高密度で存在していることが多いため、研究者たちはこのガスが火星地下の微生物からの排出物である説を裏付ける、より確証の高い証拠を調査しようとしている。すべてが計画通りに進めば、早ければ6月24日にはキュリオシティによる新たな調査手段による結果が報告されるはずだ。

火星研究者にとって、測定可能な量のメタンの検知は注目に値する。なぜなら、メタンの測定値が正しいとすれば、それは最近生物によって生成された可能性が高いのだ。もしそうでなければ、比較的短時間で自然に分解されてしまう。一方で、地中に溜まっていたガスが小さな割れ目から噴出した場合など、メタンは生物がいなくても生成される。

NYTによると、研究者が火星でメタンを発見したのは初めてではないが、これまで観測された中で最も高い濃度であり、また少なくとも探査車の数値はNASAのMRO(マーズ・リコネッサンス・オービター)によっても暫定的に裏付けられている。地球以外で生命の存在の可能性が発見されたのは今回が初めてではないことを忘れてはならないが、また同時に、地球だけが生物を保持する唯一の存在である証拠が確認されたこともないのだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

NASA、火星表面の360度ビデオを公開

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今日(米国時間2/8)NASAのジェット推進研究所は、新たな360度ビデオを公開し、火星表面の仮想ツアーを可能にした。ビデオは火星探査車キュリオシティが2015年12月18日に撮影した画像をつなぎ合わせて作られた。

映像はナミブ砂丘と地平線上に見えるシャープ山から始まる。探査車キュリオシティに塔載されたマストカメラは、ミッションの1197ソル(火星の日)目にこれらの画像を撮影した。火星の一日は地球よりも約40分長い。

ビデオはスマートフォンのYouTubeアプリで見るのが一番だ。端末を動かすことによって、キュリオシティと周囲の火星表面を360度高画質で見ることができる。

このビデオの最初のバージョンは、1月30日にFacebookで公開されたが、画像接合の方法により地平線が歪み、その結果360度パノラマ画像の方向が不安定だった。今日の360度画像は初期バージョンより大きく改善され、はるかに明瞭なバーチャル体験を与えてくれる。

キュリオシティの写真から360度画像が作られたのはこれが初めてではない。去る2012年、NASAはキュリオシティから撮った同様のパノラマ画像を公開した 。しかし、今やFacebookとYouTubeでユーザーによる360度ビデオのアップロードが可能になり、視聴者は赤い惑星をインタラクティブに見る手段を得た。

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キュリオシティの自撮り/画像提供:NASA

NASAはもう一つ、キュリオシティー塔載カメラの1台を使って「ローバーセルフィー」[探査車自撮り]を撮ったことでも知られている。上記のシーンは、キュリオシティーのロボッティックアームに取付けられた火星ハンドレンズを使って2016年1月19日に撮影された57枚の画像を組み合わせて生成された。

火星探査車キュリオシティは全部で17台のカメラを装備し、ナビゲーション、危機回避、科学分析等に用いられている。

Curiosity's 17 cameras / Image courtesy of NASA

キュリオシティの17台のカメラ/画像提供:NASA

キュリオシティはNASA最大の火星探査車で、2012年8月6日にスカイクレーンという新技術によって火星に着陸した。同機は火星に生命を維持する能力が存在したかどうかを評価する目的で作られた。

昨年春、キュリオシティは「ガーデンシティ」と呼ばれる地域で岩石の特異な配列を発見し、それが火星の歴史上水の存在する時代が2回あったことを示唆していた。液体の水が生命体の重要成分であることから、これは現在あるいはかつて、火星で生命が維持されたかどうかを、今後科学者が探る手がかりになる。

原子力駆動の同探査車は、超高密度のシリカ(二酸化ケイ素・石英)を含む岩石を発見した。超高密度シリカは、大量の水の活動から作られかと考えられるため興味をそそられる。おそらくさらに興味深いのは、地球上の高密度シリカ鉱脈が、しばしば微生物の生命が維持された場所と関連づけられていることだ。

現在キュリオシティの研究チームは、探査車の発見を説明するために複数の仮説を立て、火星の過去の謎を解明しようとしている。それを待つ間も、われわれは未だすべてを理解できていない赤い惑星を、360度画像で見ることができる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

NASAとマイクロソフト、ホロレンズを使って火星での遠隔作業を可能に


MicrosoftとNASAが協力して、赤い惑星での遠隔作業を現実にしようとしている。新たに発表されたHoloLensヘッドセットとそれをサポートするWindows Holographicテクノロジーを使用する。このプラットフォームはOnSightと呼ばれ、カリフォルニア州パサディナにあるNASAのジェット推進研究所(JPL)で開発されている。火星探査機キュリオシティーをテレプレゼンス・ロボットのように使い、科学者が比較的快適な地球で作業することを可能にする。

キュリオシティーから送られたデータを使って、OnSightのソフトウェアが火星表面の3Dシミュレーションを行い、科学者はバーチャル環境を物理空間に投影するHoloLensのおかげで、直接調べることができる。その後科学者はキュリオシティーの操作対象を一人称視点から確かめ、今後探査機の作業計画を練ったり、予想される結果のシミュレーションを見たりするることができる。

Microsoftがヘッドセットで使用しているHoloLensとホログラフィック・コンピューティングは、火星の地形を3Dで送ってくるだけではない。画面上に、距離、センサーデータの値、その他補促情報を重ね合わせることによって、使用者が他の端末へ調べに行かなくても、キュリオシティー視点のまで作業を続けることができる。

OnSightは、JPLのロボット制御による宇宙船および探査装置に関する、現在進行中の研究の一環であり、これは人間が現地に出向く前に、火星へのロボット計画がもっと見られるかもしれないことを意味している。キュリオシティーのOnSightテクノロジーを利用した作戦は、年内にスタートする予定であり、2020年火星探査ミッションには、HoloLensおよびMicrosoftのクレイジーな拡張現実イノベーションが入るだろう、とNASAは言っている。

私は小説『火星の人』をまさに読み終えたところなので、これを言わずに記事は終れない。もしHoloLensとOnSightがあの近未来フィクションに存在していれば、マーク・ワトニーの救出にさぞかし役立ったことだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook