500 Startups Japanが50億円の新ファンドでCoral Capitalに生まれ変わる

500 Startups Japanのメンバーが独立する。このVCは2015年に3000万ドル(約33.5億円)のファンドを発表し、そして今回そのフォローアップがCoral Capitalと呼ばれる4500万ドル(約50億円)のファンドだ。

James Riney(ジェームズ・ライニー)氏と澤山陽平氏が仕切るCoralは、500 Startups Japanと同様、この米国VCが日本で行う事業を継続する。500 Startups Japanはすでに40件あまりの投資を行っており、その中にはカケハシ、衛星通信のインフォステラSmartHR日本語版記事)、American Expressに買収されたポケットコンシェルジュなどがいる。

本誌のインタビューでライニー氏はこう述べた。「Coral(サンゴ)は海洋生態系の中で基盤的な役割を担っている。われわれは日本のスタートアップのエコシステムにおいて同様の基盤的役割を提供したい。そこで、それを象徴する名前にした」。

このファンドのLPには、500 Startups Japanを支援しているみずほ銀行や三菱地所、ソフトバンクのCEO孫正義氏の弟でMistletoeのファウンダー孫泰蔵氏、新生銀行らがおり、非公表の機関投資家たちもいる。その機関投資家たちは、ライニー氏によるとLPの半分近くを占める。ファンドの資金調達は2年半で完了し、関心を示した一部の将来的投資家を断らざるをえなかった。

ライニー氏によると、セクハラを認めて2017年に退陣した創設パートナーDave McClureの一件は「Coralの創設にあたって重要な考慮事項ではなかった」という。

「Coralはそれよりもずっと前からあたためていた企画だからね」と彼は説明した。

Coral Capitalの創設パートナーであるジェームズ・ライニー氏と澤山陽平氏はこれまで500 Startups Japanを率いていた。

ライニー氏によると、Coralが500 Startups Japanの投資とバッティングすることはないし、Coralをやりながらそのポートフォリオの管理も継続する。

理屈の上では、500 Startups Japanからの継続という計画になり、全体として、スタートアップの初期段階の投資が主力になる。彼のこれまで4年間の経験では、安定した仕事を辞めてスタートアップを始めるファウンダーが多く、それが日本の場合はうまくいっている。

インタビューで彼は曰く、「今のキャリアに深入りすればするほど、自分の業界を抜本的に変えるには起業家精神しかない、と思えてくる人が多い。日本人はリスクを避けようとする気持ちの方が一般的に強いが、そういう人たちにおいてはリスク回避よりも起業指向の方が強くなるんだ」。

彼は、Coralの誕生が日本におけるスタートアップ文化をプッシュし続けていくための機会になる、と見ている。これまで圧倒的に企業社会で、仕事は会社でするもの、という慣行の強かった日本では、ファウンダーたちの初期段階の資本獲得の機会が不在だったのだ。

「ここではわれわれにやれることがたくさんあり、日本でわれわれが作り出すインパクトは、シリコンバレーなどよりずっと強いものになるだろう」と彼は展望している。

「今ではどこの企業にもスタートアップの計画はあるが、シードや初期段階を強力に引っ張れるところはほどんどない。彼らが比較的安心してやれるのは、後期段階の投資だ。スピンオフする勇気のある企業に投資する投資家も、昔からいないことはないが、他の国に比べるとあまりにも少なすぎる」と彼は付け加えた。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

500 Startups 22期のスタートアップ36社一挙紹介――デモデーは10月24日

立ち上げ直後のスタートアップを支援、育成する500 Startupsの22回目のデモデーは10月24日に予定されている。36チームがこの22期のバッチに選ばれている。

500 Startupsではこのアクセラレーター・プログラムに参加するスタートアップは「グロースとマーケティングに関する総合的な支援が受けられる」としている。参加する各社はみなこの主張に沿ったものとなっている。業種は金融からデジタル・ヘルスまでさまざまだが、いずれも大きくスケールする可能性があり、かつそのためには有力な支援者を必要とするスタートアップだ。

ただし今回のデモデーはやや微妙なものになりそうだ。500 Startupsの顔だったデイブ・マクルーアが女性に対するセクハラを繰り返したことを認めて辞任した後だからだ。マクルーアはデモデーではいつも奇抜なコスチュームを身に着けて走り回っていることで知られていた。10月のデモデーにはマクルーアの姿はないはずだ―しかしある種の亡霊のようにつきまとうことになる。

しかしタイムマシンを作動させて現在のバッチに選ばれた36社を簡単に紹介しておこう(ABC順)。

Agentbong — アジア発のマーケットプレイスで、家庭における介護、家事補助などのサービスを希望する家庭と資格をもった信頼できる人材との間を仲介する

Botsociety — 会話的なインターフェイスをデザインしプレビューするためのプロトタイピング・ツール。

COR — 専門的サービスを提供する企業のプロジェクトを管理し、収益性を改善するためのプロジェクト・マネジメント・ソフト。

Core Labs — 資格情報、評判、口コミなどを総合して若い知識労働者を助ける「目的志向型」のマイクロ・ネットワーク作成サービス。

Cryptomover — 各種の暗号化デジタル通貨を総合したインデックスファンドを作成して投資家の安全性を向上させ煩雑な手間を省く。

curio.io — フィナンシャルタイムズ、ガーディアンなど一流媒体に掲載された優れた記事を注意深く選択し、プロが読み上げるキュレーション・サイト。

Cushion — ユーザーに代わって不当な手数料に対し銀行に抗議するボットを提供。

Elyse28 —ヘルスとウェルネスを維持するために一対一のアドバイスを提供する女性剥けブスクリプション・プログラム。

FalaFreud —モバイル・デバイスを通じて音声、テキストを通じて資格を有する専門家によろセラピーを受けられるブラジルのユーザー向けサブスクリプション・サービス(ポルトガル語)。

FreightRoll — ユーザーと信頼できる輸送会社、ドライバーとを仲介し、貨物輸送の手配を効率化するマーケットプレイス。

Fyodor Biotechnologies — 血液の代わりに数滴の尿を用いることで発熱の原因がマラリア感染であること非侵襲的に診断するテクノロジー。

Jones — 保険の適用を受ける際の煩雑なコンプライアンス・チェックを自動化して企業の負担を軽減する。

Judolaunch — ドイツ市場参入を目指す中小eコマース企業向けにグロースを助けるサービス。

LaborVoices — 実際に働く労働者の声により外注先企業の労働実態を明らかにしアパレル企業を守るサービス。

MailHaven — 郊外居住者が配線やWiFi接続の必要なしに安全に荷物や郵便の受取りができようになるスマート郵便受けと専用モバイルアプリのペア。

Mediation Online — ブラジルにおける企業と消費者との紛争を迅速、経済的、かつ強制力をもって仲裁するウェブ・サービス。

Mira — 新しいテクノロジーと機械学習にハイリスク・グループを生命保険に加入しやすくするサービス。

Mobile Forms — アフリカ企業の地域および国際的ビジネス展開をクラウドソーシングで助けるプラットフォーム。

Myndlift — 有資格セラピストの指導による「脳波トレーニング」でユーザーの集中力を増強する。

Next Play — 規模拡大可能な個人別メンターによる社員の能力開発プログラム。

Ohalo — 金融機関に対し、データの正当性確保やコンプライアンスを助けるブロックチェーン・ベースのデータ管理ツール。

OpenUp — オンライン、オフラインを総合して消費者行動における広告効果を測定する。

Payment24 — 企業における多数の車両の燃料消費、ガソリンスタンドへの支払処理を一括管理、不正請求を排除して効率性を高める。

Plum — ユーザーの金銭処理を自動化して貯蓄を助け不正請求を防ぐチャットボット。

Prodsmart — 工場におけるペーパーワークを追放し、スマートフォンを利用して製造過程の情報をリアルタイムで入手するトラッキング・システムをメーカー企業に提供する。

Public Goods — 健康によい家庭向け製品を手頃な価格でパッケージで提供する。

Rapa — 外国不動産を購入するアメリカ居住者に対して不動産抵当による新しい資金貸付の枠組み。

reDock — 大企業による複雑な提案募集に応募する専門知識企業がプロポーザルを作成するためにオンデマンドで 企業情報を発掘、カスタマイズするサービス。

Rever — 世界のバイク・ライダーがツーリングの体験や各種のノウハウを投稿、交換できるモバイルアプリ。

Sendoso — B2B企業が潜在顧客の注目を引きつけるためのメール、手書きメモ、ギフトなどのマーケティング・ツール一式を提供。

ShortPoint — コーディングの知識を必要とせずにOffice 365のような既存のコンテンツ・システムをを利用してイントラネットが簡単に作成、管理できるサブスクリプション・ベースのソフトウェア。

Sofy.ai — テスト、デプロイ、サポートなどソフトウェア・デベロッパーの時間を大量に食う反復的作業をインテリジェントかつ訓練可能なボットが代行する。

Texel — ユーザーの既存の行動、視聴データを分析し、VR/ARによるストリーミングの帯域幅を50%以上圧縮するテクノロジー。

TrueFace.Ai — プライバシーに注意を払う企業に対し顔認証システムをターンキー方式で提供する。

VCV — 求職者の履歴書や音声通話をAIを利用して自動的に予備審査し、面接のビデオ録画するなど企業の求人を効率化する求人用ボット。

WayPay — 中小企業向けオンライン支払いシステムを効率化し、地元または国際的企業のオンライン・システムと自動的に統合する。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

デイブ・マクルーア、500 Startupsのゼネラル・パートナーも辞任

TechCrunchはデイブ・マクルーアが500 Startupsのゼネラル・パートナーを辞任したという情報を得た。リミッテッド・パートナーに送られた書簡によれば、共同ファウンダーのChristine Tsaiがマクルーアに辞任を求め、マクルーアもこれを受け入れたという。

われわれは500 Startupsに対しコメントを求め、マクルーアの辞任を確認した。マクルーアはすでに500の経営から離れている〔訳注〕。

リミッテッド・パートナーに送られた書簡によれば、Tsaiおよび経営陣は長期的な見地から500 Startupが成功を収めるためにはマクルーアが500グループのすべてののゼネラル・パートナーの職を含め同社から完全に離れることが最善であるという結論に達したという。500はアメリカだけでなく全世界に10を超える投資機関を持っている。

Tsaiはまた(当初報じられたものとは)別のセクハラが報告されたことについても調査を行い、「受け入れがたい行動であったという結論に達した」と述べている。。

Tsaiによれば、500はマクルーアに今後さらに同種の問題が発覚する可能性がないとはいえず、マクルーアを降板させことが必要だと考えた。しかしマクルーアは共同ファウンダー、ゼネラル・パートナーであり、そうするためには本人の同意が必要だった。マクルーアは辞任に同意した。

先週、マクルーアは500を襲った嵐の中心だった。 ニューヨークタイムズの記事でファウンダーのSarah Kunstに対してマクルーアが不適切な性的ほのめかしを行ったことが報じられた。マクルーアは500の運営中、女性に対して不適切な行動を取ったことが複数回あることを公開状で認め、謝罪した。昨夜、500 Startupsはオーストラリアの投資パートナー、LauchVicに対し、マクルーアのセクハラの苦情に対する社内調査を隠していたことについて謝罪した

社内調査が行われた時期、マクルーアの降板の経緯、また500との関係等についてはまだ不明な点がある。さらに取材中だ。

リミッテッド・パートナーに対するTsaiの書簡は下記のとおり。

〔日本版〕 原文はstepped down as CEOだが、500 Startup JapanによればCEOの職は新設されたものでマクルーアはもともとCEOではなかったという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

500 Startupsのデイブ・マクルーア、セクハラでCEO辞任――ゼネラル・パートナーには残る

500 Startupsのファウンダーであり顔だった著名な投資家、デイブ・マクルーアが会社の運営から退くこととなった。500 Startupsは非常に有名でありかつ大きな成果を挙げてきたアクセラレーター・プログラムだ。マクルーア自身が500 Startupsのイメージそのものだった。マクルーアの離任は最初にNew York Timesで報じられた。

職業的あるはメンター、投資家として女性に接する際にセクハラないし不当な性的行動があったという疑惑による社内調査の結果、失脚した著名な投資家はマクルーアが初めてではない。

InformationがBinary Capitalの共同ファウンダー、Justin Caldbeckのセクハラ問題を報じて以後、 ベンチャーキャピタルのコミュニティーでは多くの女性起業家がハラスメント(場合によっては不適当な物理力の行使)を訴えるようになった。

Uberへの投資の成功などで知られる有力投資家のChris SaccaもNew York Timesの報道を契機に投資事業から離れた。Saccaは今日(米国時間7/1)Mediumに謝罪を掲載した。【略】

Saccaが投資から離れた後、Saccaの元パートナー、Matt MazzeoはBinary Captialに参加していたものの、Coldbeckと共にBinariy Captalから去った

一方、500 Startupsの新しいCEO、Christine Tsaは次のように声明を発表した。

最近、テクノロジー・コミュニティーに属する女性に対し共同ファウンダーのデイブ・マクルーアに不適切な性的言動があったことが判明した。マクルーアの言動は受け入れがたいものであり、500 Startupsの企業理念に反する。【略】

このため、われわれは数ヶ月前に500の経営体制を抜本的に改革する必要を認め、私がCEOに就任することとなった。この職務は経営チームを指揮すると同時に500の日常業務全般を監督する。

デイブ・マクルーアの役割はゼネラル・パートナーとして既存の投資家に対する義務を果たす範囲に留められる。またマクルーアは過去の不適切な行動を改めるべくカウンセリングを受ける。【略】

画像: Jared Goralnick/Flickr UNDER A CC by-ND 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+