Google Cloudがアプリケーションパフォーマンスモニタリングのツール集を提供

Googleのクラウドプラットホームでは、社内用に作ったツールやサービスがGoogleのプロダクトとして顧客に公開提供されることが多い。今日(米国時間3/28)同社は、その一環として、Google Cloud Platformの上でアプリケーションを構築するデベロッパーにとって重要な、アプリケーションのパフォーマンス管理(application performance management)ツール集Stackdriver APMを発表した。

APMの考え方はやや変わっていて、問題の責任をオペレーションに渡すのではなく、デベロッパーがアプリケーションを調べる。つまりアプリケーションを作ったデベロッパーがコードにいちばん近いところにいるので、そこから出てくる信号もいちばんよく理解できるはずだ、とする。

StackDriver APMは、三つのツールで構成される: プロファイラーとトレース(トレーサー)とデバッガだ。トレースとデバッガはすでに利用できるが、しかしプロファイラーと併用することによって、三つのツールが協働してコードの問題を特定し、調べ、そして修復できるようになる。

Stackdriver APMを発表するブログ記事でGoogleのプロダクトマネージャーMorgan McLeanはこう書いている: “これらのツールのすべてが、どんなクラウドの上で動くコードやアプリケーションでも扱えるし、オンプレミスのインフラでも使える。つまり、アプリケーションがどこで動いていても、一貫性がありアクセス性の良いAPMのツールキットを使って、アプリケーションのパフォーマンスをモニタし、管理できる”。

ほかにStackDriverにはモニタリングとロギングのツールもあり、これら完全なAPMのスイートが、SplunkやDatadog、New Relic、AppDynamics(Ciscoが買収)などのベンダと競合することになる。しかしGoogleのプロダクト管理担当VP Sam Ramjiによると、これらのベンダは競合他社であるだけでなくパートナーでもあり、お互いのツールが協働して問題解決に取り組むことを、Googleも十分に理解している。

“しかし、コアシステムがみんなによく見えるようにする点では、うちが一番だ。人びとはこれまで使ってきたお気に入りのツールをこれからも使って、彼らの企業の事業目的という見地からプロダクションシステムを検査したり、適切なタイミングでアラートしていくだろう”、と彼は述べる。

まず最初は、プロファイラーの出番だ。これによりデベロッパーは、軽量級の(全量ではなく)サンプリングベースのツールで、アプリケーションのすべてのインスタンスからデータを収集する。

Stackdriver Profiler. 画像提供: Google

プロファイラーが集めたデータから問題を判定したプログラマーは、次にトレースを動かす。Ramjiによると、コードの問題はほとんどつねにクリティカルパスの後(あと)にあるから、このツールを使えば、問題が分散システムの全域にわたって伝搬していく様子を理解できる。トレースの画面(下図)は視覚化されたアナリティクスのような形をしていて、これらにより問題の性質と、計算資源に対するそのインパクトが分かる。

Stackdriver Traceツール。 画像提供: Google

そして最後がデバッガだ。Ramjiがこれをとくに好きなのは、若き日の90年代のツールを思い出させるからだ。当時はデバッガでアプリケーションを止めたり動かしたりしながら、問題の所在を突き止めていた。このAMPのデバッガもやはり、指定した箇所でコードを止めて、問題の核心を見つける。

ただしこの現代的なデバッガには、Ramjiが“マジック”と呼ぶものがある。デベロッパーによるコードの停止や再開が、顧客に影響を及ぼさないのだ。McLeanもこう書いている: “プログラマーにおなじみのブレークポイント方式のデバッグ処理を提供するが、それによって顧客へのネガティブなインパクトはない”。

Stackdriver APMは今日(米国時間3/28)から可利用になり、完全なサービスから成る完全なモニタリングスイートが提供される。これでGoogleは、モニタリング〜デバッグという分野でも、既存の選手たちと競争するつもりのようだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

多様なコンテキスト情報でデバッグを支援するBacktraceが$5Mを調達

Back view of modern programmer sitting and writing code in dark room

CEOで協同ファウンダーのAbel Mathewによると、デバッグ・サービスBacktrace I/Oを立ち上げたのは、協同ファウンダーたちがアドテック企業AppNexusの技術者だったとき実際に直面した問題を解決するためだった。

Mathewによると、Backtraceのねらいは“デバッグという工程を解決すること”。それは、多くの企業が、“古い時代遅れのソリューションのつぎはぎ細工”や手作りのツールで対応している工程だ。

“多くの場合、開発に要する時間の50%以上がデバッグに費やされるのも、そのせいだ”、と彼は語る。“業界全体としては、デバッグのコストはとてつもなく大きい。デベロッパーが正しいソリューションを採用していないときには、そのコストはさらに高騰する”。

同社はこのほどシリーズAで500万ドルの資金を調達し、その調達総額は610万ドルになった。ラウンドをリードしたのはAmplify Partners、これに、Work­-Benchとこれまでの投資家Rally VenturesとTribeca Venture Partnersが参加した。AmplifyのSunil Dhaliwalが、Backtraceの取締役会に加わる。

“技術者が冷戦時代に発明されたデバッグ技術を使ってるかぎりは、ソフトウェアが世界を食べるという事態にはなりえない”、今回の投資のプレスリリースでDhaliwalがそう述べている。“今のソフトウェア開発は、継続的デリバリやWebスケールのデプロイメント、そしてエンタープライズクラスの信頼性が、その特徴と性格を指すキーワードだが、Backtraceはそのような時代にふさわしい必要不可欠なデバッグ能力を自動化することによって、より良いソフトウェアを作る”。

Backtraceには、検索可能なエラー報告、すべてのクラッシュのデータベース、デバッグアシスタント、自動化アラート、などなど独自の機能がある。Backtraceの違いを示す例としてMathewが挙げるのは、アプリケーションがクラッシュすると従来的にはスタックトレースに頼ることが多いが、Backtraceはそれに加えてさまざまなコンテキスト情報(そのときの変数の値など)も提供するから、クラッシュしたときの全体的な状況がよく分かる。“デベロッパーは十分な量のデータを効率的に調べることができる”、と彼は主張する。

顧客には、Mathewが前にいた会社AppNexusのほかに、MediaMath, Circonus, Fastlyなどがいる。彼によるとBacktraceはこれまで、エンタープライズソフトウェアやインターネットのインフラストラクチャなど、要求の厳しいソフトウェアに注力してきた。その多くが、大企業の顧客だ。しかしBacktraceそのものは、どんな規模のソフトウェア開発でも、そしてどんなデベロッパーでも、十分に利用できる、という。

“小さなスタートアップでも、インディーのビデオゲームデベロッパーでも、Backtraceはそのニーズに応えることができる。ソフトウェアがあるところには、必ずエラーとバグがある。Backtraceは規模の大小を問わず、エラーの管理と分析という問題解決のお手伝いをする”、と彼は述べている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))