Y Combinatorが支援するスタートアップのAstranis(アストラニス)は、来年の第4四半期にFalcon 9ロケットで初となる商用通信衛星を打ち上げる予定だ。Astranisの目標は、現在ブロードバンドインターネットにアクセスできない世界の膨大な人々の市場を開拓することで、既存の衛星よりもはるかに早く製造して打ち上げられる低コストな人工衛星を使い、既存のグローバルな携帯通信ハードウェアの価格を大幅に下げることだ。
今日の地上テスト噴射も成功しているので天候に問題がなければ打ち上げは予定どおり実施されるはずだ。SpaceXのCEOであるイーロン・マスク氏もツイートしているとおり、今回のFalcon Heavy Block 5(つまり商用バージョン)はオリジナルに比べて推力が10%アップしているという。つまり安全率もそれだけ向上しているとみていいだろう。
この打ち上げは、着陸機だけのものではない。実際に着陸機は副ペイロードで、主ペイロードはインドネシアの通信衛星「Nusantara Satu」となり、同国の遠隔地に通信網を提供する。またこれが静止軌道に到達すると、U.S. Air Force Research Labの「S5」実験衛星を分離する。S5は同高度付近の物体やデブリを追跡する。
SpaceXはアメリカ空軍が運用する新しいGPS、Global Positioning System IIIの第1回打ち上げに成功し、2018年のすべてのミッションを完了した。今日(米国時間12/24)、ケープカナベラルから打ち上げられた新しい衛星はVespucciと名付けられた。SpaceXにとって初の国家安全保障に直結するミッションだった。
GRACEはGravity Recovery and Climate Experiment(重力取得による気候実験)の頭文字でFOはフォロー・オンの意味だ。Gravity Recovery and Climate Experimentはドイツの地球科学研究センターとの共同プロジェクトだ。オリジナルのGRACE衛星は2002年に打ち上げられ、15年間にわたって地球の水(地下水を含む)の循環をモニターしてきた。これは気象学の進歩にきわめて大きな影響を与えたが、今回のGRACE-FOはさらに精度をアップさせてその続きを行う。
今日(米国時間4/9)のWall Street Journalの報道によれば、今年初めに軍事衛星Zumaの打ち上げが失敗した問題で、アメリカ政府は打ち上げを実施したSpaceXに責任はないと判断した模様だ。Zuma衛星はFalcon 9に搭載されて発射されたものの、軌道投入に至らず太平洋上に落下して破壊された。
〔日本版〕上のInstagramビデオは再生時に音が出るので注意。キャプションにある"Of Course I Still Love You"はSpaceXが運用する2隻のドローン艀の1隻の船名。もう1隻は"Just Read the Instructions"。どちらもSF作家、イアン・M・バンクスの作品名から。