SpaceXがFalcon Heavyのフェアリングを専用船でキャッチ

 SpaceXが衛星打ち上げロケットの再利用をまた一歩前進させた。6月25日のFalcon Heavyの打ち上げで宇宙から落下してきたロケットのフェアリングを専用船、Ms. Treeに装備された巨大な回収ネットで洋上キャッチすることに成功した。

ペイロードを大気との摩擦から守るノーズコーンは非常に高価な部品だが、通常は洋上に落下したまま失われてしまう(まれに海から拾い上げるのに成功することもあった)。

SpaceXはノーズコーンのフェアリングが大気中を落下し、回収船のネットにキャッチされるまでのビデオを公開した。SpaceX がフェアリングや回収船にセットしたオンボードカメラの映像でMs Treeのネットにフェアリングが無事タッチダウンする瞬間を見ることができる。下にエンベッドされたビデオを見れば、フェアリングがくぐってきた試練が実感できる。フェアリングは大気中を落下するときに高熱と激しい衝撃にされている。

STP-2打ち上げミッションの際、フェアリングに取り付けられたカメラからの映像。フェアリングは摩擦で高音となり、大気の分子が明るい空色に輝いて見える。

一方、フェアリングがパラシュートで操縦されながらMs. Treeにキャッチされる瞬間の映像はあまり劇的なものではない。夜間のことでもあり、ネットがわずかに変形するのが分かるだけだ。

SpaceXのCEOであるイーロン・マスク氏によれば回収の目的は、「600万ドルを海に捨てない」ことだ。SpaceXはすでに「飛行済み」のブースターを安全に着地させ、再利用することによってFalcon の打ち上げコストを6200万ドルから5000万ドルに削減することに成功している。Falcon Heavyの場合も、再利用なしなら1億5000万ドルの打ち上げコストが再利用ありの場合は9000万ドルになるという。ここでさらに600万ドルの部品を安定して回収、再利用できれば収益性の改善に貢献するのは明らかだ。

ただしフェアリングの回収が実際に収益性の改善に役立つかどうかは今後の問題だ。今後、SpaceXは回収された部品が再利用できる状態に整備可能だと実証しなければならない。また今回は回収に成功したが、今後も専用船が安定して部品をネットで受け止めることができるのかどうかも注目だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

SpaceXの大型ロケットFalcon Heavyが初の夜間打ち上げ

米国時間6月24日、SpaceXは大型ロケットFalcon Heavyの3回目になる打ち上げを行う。計画通りに進めば、太平洋標準時午後11時30分(日本時間6月25日12時30分)に始まる4時間の発射時間帯に、フロリダ州ケネディ宇宙センターの発射施設39Aから打ち上げられる。

Falcon Heavy初の夜間打ち上げとなる今回のSTP-2ミッションでは、複数の企業、米国防総省、国立海洋大気庁(NOAA)およびNASAの貨物を運搬する。ミッションには、24種類の宇宙探査機を3種類の軌道に載せる作業も含まれている。うち1つは空軍研究所の実験衛星であり、NASAの積荷には、同局が今月詳細を発表した原子時計を始めとする4種類の実験機器が入っている

ロケットには、TV番組ホストとして知られるBill Nye(ビル・ナイ)氏のPlanetary Society(惑星協会)が呼びかけたクラウドファンディング宇宙船「LightSail 2」も搭載される。LightSail 2は巨大な帆に文字通り太陽風を受けて進む。SpaceXは今回初めてFalcon Heavyのブースターロケットを再利用する。サイドブースターは4月に飛んだArabsat-6Aミッションで利用されたものであり、今回も3体の第1ステージロケット全部をケープカナベラルの着陸施設および洋上の着陸ドローンで回収する予定だ。

打ち上げの模様は上記の画面でライブストリーミングされる。予定発射時間帯の15分前頃から配信が始まる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

クラウドファンディングで資金調達した太陽帆走宇宙船が間もなく打ち上げへ

米国時間の6月24日に打ち上げが予定されているFalcon Heavyには、数多くの宇宙船や人工衛星が搭載されるが、Planetary Society(惑星協会)のLightSail 2には、中でも一番興味が惹かれる。すべて順調にいけば、打ち上げから1週間後に、ゆっくり、しかし着実に、太陽光の力だけで航行し始める。

LightSail 2は、太陽光発電エンジンを搭載しているわけではない。太陽エネルギーや熱を別のものに変換して使うこともない。これは文字通り、非常に大きな輝く帆に光子を受けて、その物理的な力で推進する。間違えないで欲しいのは、太陽風ではないということ。これとはまったくの別物だ。

このアイデアの起源は、Planetary SocietyのCEOで、テレビ番組『Bill Nye the Science Guy』のホストとしても知られるBill Nyeが打ち上げ前の記者会見で話したことによると、数世紀前に遡るという。

NASAは深宇宙原子時計などの実験をSpace XのFalcon Heavyで行うと詳細を発表(本文は英語)

「それは実に1600年代にまで遡ります。ケプラーは、太陽が発する力が、彗星の尾やその他の効果を生み出しているに違いないと推測した。そして、いつの日か勇敢な人々が虚空を帆走するようになると、思いを巡らせていました」という。

現代の天文学者やエンジニアたちが、その可能性をもっと真剣に考えるようになれば、実現するかも知れない。

「私がこれを知ったのは1970年代、ディスコ時代でした。私はカール・セーガンの天文学クラスを受講していました。なんと、42年前です。彼は太陽帆走の話を聞かせてくれました」とNyeは振り返る。「私は、1980年、創設とともにPlanetary Societyに参加し、そこを中心に、当時から太陽帆走について議論してきました。実用的な応用性が驚くほど高い、ロマンチックなアイデアです。太陽帆走の利用が間違いなく最適なミッションも、いくつかあります」。

それらは、基本的に、地球から少し離れた、地球に似た惑星の中軌道に長期的に滞在するミッションとなる。また、太陽光やレーザーでゆっくり着実に加速を続けられるために、将来的には、他の推進方式よりも実用的となる長距離ミッションも考えられる。

ミッションの概要

目ざとい方なら、ミッション名の「2」が気になっていることだろう。LightSail 2は、事実、このタイプの2番目のミッションだ。第1号は2015年に打ち上げられたが、帆を開くことだけを目的とし、1週間ほどで燃え尽きることになっていた。

このミッションには、ちょっとした欠陥があった。帆が完全に開かず、コンピューターの異常で通信が途絶えてしまったのだ。太陽帆走は想定されておらず、実際に行われなかった。

「私たちはCubeSatを打ち上げ、無線、通信、エレクトロニクス全般の検査を行い、帆を展開させて、宇宙で開いた帆の写真を撮りました」と、COOのJennifer Vaughnは話してくれた。「純粋な展開テストであり、太陽帆走は行いませんでした」。

宇宙船本体。もちろん、帆は別

しかしそれは、夢のような乗り物の形を目指す後継者への道を均すことになった。その他の宇宙船も貢献している。なかでも有名なのが、金星を目指すJAXAのIKAROSミッションだ。これはもっとずっと大きい。しかし、LightSail 2の開発者たちは、彼らの宇宙船とは効率がまるで違い、目的もまったく違うと指摘した。

この最新の宇宙船は、ほぼ食パン1斤の大きさの3U CubeSatのエンクロージャーに収められ、アメリカ軍のペイロードに便乗して約720キロメートルの高度に運ばれる。そこでペイロードは切り離され、1週間ほど自由に浮遊し、放出される他のペイロードから遠く離れる。

安全が確保されると、LightSail 2はペイロードから撃ち出され、帆を広げ始める。その食パンほどのパッケージからは、32平方メートル(ボクシングリンクと同じほど)の反射マイラーが展開される。

この宇宙船には、リアクションホイールと呼ばれるものが内蔵されている。これを回転させたり速度を落としたりして宇宙船に相反力を加え、宇宙での姿勢を変更できる。この方式によりLightSail 2は、常に光子が当たる角度を保ち、目的の方向へ進み、目的の軌道に乗ることができる。

1HP(ハエ・パワー)のエンジン

開発チームの話では、推進力は、ご想像のとおり非常に小さい。光子には質量がない。しかし(なぜか)運動量がある。どう見てもそんなに強くはない。しかしゼロではない。それが重要なのだ。

「太陽光が私たちに与える力の量はと言えば、マイクロニュートンの単位です」とLightSailのプロジェクト・マネージャーDave Spencerは言う。「化学推進に比べたら、微々たるものです。電気推進と比較しても非常に僅かです。しかし、太陽帆走の鍵は、その力が常にそこにあるということなのです」

「数字にまつわる面白い話がたくさんあります」とNyeが割って入り、そのひとつを解説した。「その力は1平方メートルあたり9マイクロニュートンです。なので32平方メートルなら100マイクロニュートンになります。わずかに聞こえるでしょうが、Daveが言うように、それが連続するのです。ロケットエンジンは、燃料が切れて停止すればおしまいです。しかし太陽帆は、昼も夜もずっと力を受け続けます。あれ……」(と彼は、夜ってあるのかどうか自問自答を始めた。下の図のような感じだ)。

LightSailの主任科学者Bruce Bettsも、もっと信頼性の高い数値を示そうと割って入ってきた。「帆に加わる力の全量は、地球上で手の平にハエを乗せたときとほぼ同じです」。

しかし数時間続けて、毎秒新しいハエを増やしていけば、たちまちその力は加速度的に増加する。このミッションは、その力を捕まえることができるかどうかを確かめるためのものだ。

「私たちは今回の打ち上げを大変楽しみにしています」とNyeは言う。「なぜなら、大気圏から十分に離れた、実際に軌道エネルギーを蓄積して、できるならば、感動的な写真が撮影できる高高度に打ち上げることができるからです」。

前回と(ほぼ)同じ第2の宇宙船

今週打ち上げられるLightSailには、前回の宇宙船から改良が加えられている。とはいえ、全体的にはほぼ変わらない。しかも、比較的シンプルで、低コストな宇宙船だと彼らは主張する。この10年間に、クラウドファンディングと寄付で相当な額の現金を集めてプロジェクトを進めてきた。それでもNASAが同等のプロジェクトを行った場合の数分の1に過ぎないとSpencerは言う。

「このプロジェクトは、前回のLightSail 1よりもずっとしっかりしていますが、前にも言ったとおり、小さなチームでやっています」と彼は言う。「私たちの予算はNASAよりもずっと小さく、同じようなミッションをNASAが行うとして、恐らくその20分の1程度です。これはローコスト宇宙船なのです」。

展開した太陽帆のサイズは5.6×5.6m、支柱の長さは46m、総面積は32平方6mで、ボクシングリングとほぼ同じ。推進材は数cm幅で碁盤の目状に糸を縫い付け、スペースデブリなどによる損傷が広がらないように対策している。帆の厚さは4.5ミクロンで、人間の髪の毛の幅よりも薄い。加速度は0.058ミリ毎秒毎秒。帆の展開方式は、4本のコバルト合金の支柱が巻き尺のように収納されていて、モーターによってそれぞれが伸びる(解説図提供:Planetary Society)

この改良は、LightSail 2の前任者が遭遇した問題にた対処するものだ。まず、内蔵コンピューターは、より頑丈にして(ただし、放射線対策は強化されていない)、不具合を検知でき、必要に応じて再起動できる能力を追加した。LightSail 1のときのように、コンピューターやケースが予測不能な宇宙線の攻撃を受けて、勝手に再起動するのを待たずに済む(実際にそれが起きていたのだ)。

帆の展開方法も改良された。以前のものは、完全展開された状態の90%までしか開かず、後からそれを修正する手段を持たなかった。その後、100%展開するにはモーターを正確に何回転させるべきかを調べるテストが続けられたと、Bettsは話してくれた。それだけではない。伸びる支柱に印を付け、どこまで展開したかをダブルチェックできるようにした。

「さらに、完全に展開されていないとわかったときに、軌道上でもう少し広げられる機能も追加しました」と彼は言った。

ひとたび打ち上げられたなら、そこは未開の領域だ。このようなミッションを実行した者はまだいない。まったく異なるフライトプロフィールを持つIKAROSも行っていない。センサーやソフトウェアが正常に機能することを、彼らは祈っている。それがハッキリするのは、帆を展開してから数時間内だ。

もちろん、これはまだ実験段階だ。ここで習得した知識は、彼らが目指す将来のLightSailミッションに活かす予定になっている。しかし同時に、宇宙飛行コミュニティや太陽帆走を目指す人々にも公開される。

「私たちはみな顔見知りなので、すべての情報は共有しています」とNyeは言う。「実際に、これ以上の言葉では言い表せないのですが、やっとこれが飛ばせるようになって、本当に興奮しています。間もなく2020年です。私たちはこのことを、そう、まさに40年間話続けてきたのです。本当に最高に嬉しい」。

LightSail 2は、SpaceXのFalcon Heavyで6月24日以降に打ち上げられる。最新情報はPlanetary Societyのサイトで確認できる。打ち上げ間際になったら、ライブストリームをチェックしよう。

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(翻訳:金井哲夫)

SpaceXのFalcon Heavyが全ブースターの着陸に初成功

SpaceXのFalcon Heavyによる初の商業ミッションが米国時間4月11日に成功し、通信衛星を投入することで大型ロケットとしての性能を証明した。さらに、3つのロケットコアの地球への自動着陸にも成功している。これらは、すべて再使用が予定されているのだ。

搭載されていた人工衛星「Arabsat-6A」は、予定軌道に投入されてミッションは成功。Falcon Heavyは大型ペイロードが搭載できる他社の競合ロケットと比較し、非常に廉価な打ち上げを可能にする。なによりも、すでに運用が開始されているというアドバンテージがあるのだ。

今回の打ち上げは強風のために1日延期されていた。米国東部時間6時35分にケープ・カナベラルから打ち上げられたFalcon Heavyは2機のブースターを切り離し、それぞれがLZ-1とLZ-2に着陸。そしてセンター・コアはドローン船「Of Course I Still Love You」に着陸した。動画中継が一時途切れるなど不安な場面もあったが、すぐにドローン船にそびえ立つセンター・コアが映し出された。

興奮の瞬間は打ち上げから10分以内(T-0からT+10 min)に集中した。なぜなら、3機のブースターの着陸はこれまでなし得なかったミッションで、かつドローン船への着陸は失敗例もあったからだ。

なお、打ち上げ時にペイロードをカバーするフェアリングの回収が実施されたかどうかについての言及はない。これについても、後に情報がもたらされることだろう。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

成功すれば宇宙産業を変革 、SpaceXの超大型ロケット「Falcon Heavy」

Falcon Heavyは1年前に飛行テストに成功しているが、米国時間4月7日の日曜に予定されているのは、本番の商用衛星打ち上げだ。ライバルの宇宙企業は固唾をのんで成否を注視している。SpaceXの新ロケットが成功すれば、大重量のペイロードを経済的かつ頻繁に軌道に送り込むことできる時代の幕開けとなる。我々は打ち上げを、(ロケット発射場の)ケープ・カナベラルの現場から報じる予定だ。

来る4月7日(日本時間4月8日の月曜)に予定されているFalcon Heavyの打ち上げは、昨年2月のテスト成功以来、初の飛行となる。テスト飛行のときのペイロードはイーロン・マスク愛用の電気自動車、赤いTeslaロードスターでデビッド・ボウイの曲をBGMにダミー宇宙飛行士のスターマンがハンドルを握っていた。今は火星軌道を過ぎているはずだ。この成功によりSpaceXはローンチ・カスタマーを獲得できた。日曜の打ち上げはロッキード製のArabsat-6A通信衛星を静止軌道に送り込む予定だ。下は昨年、私(Coldeway)と同僚のEtheringtonがFalcon Heavyのテスト打ち上げを取材したときのものだ。

今日の地上テスト噴射も成功しているので天候に問題がなければ打ち上げは予定どおり実施されるはずだ。SpaceXのCEOであるイーロン・マスク氏もツイートしているとおり、今回のFalcon Heavy Block 5(つまり商用バージョン)はオリジナルに比べて推力が10%アップしているという。つまり安全率もそれだけ向上しているとみていいだろう。

なぜFalcon Heavyは宇宙産業にとって非常に重要なのか?アポロ計画の成功以来、何百トンという衛星が地球周回軌道に(あるいはそれを超えて)打ち上げられている。簡単にいえばFalcon Heavyが革命的なのは打ち上げ費用だ。

衛星打ち上げはそれ自身きわめて複雑、困難な仕事であり、重量と軌道高さが増えると難しさは指数関数的に増大する。ロケットの素材、燃料が大きく進歩したことは、中型、小型のシステムに最大限のメリットをもたらした。ミニ衛星、マイクロ衛星はきわめて安価に可能となり、われわれは何千もの小型衛星のネットワークが地球を取り囲む新しい時代の入り口に差し掛かっている。

Rocket LabのElectron(使い捨て)やFalcon 9(再利用)などのシステムは中小型衛星の打ち上げコストをそれまでの何分の1にも引き下げた。

しかし大重量の衛星を高い軌道に打ち上げる能力がある大型システムのコストは依然として極めて高価なままだった。多数の小型衛星10トンぶんを軌道に投入することはスタートアップにも可能になったが、100トンを打ち上げる能力は依然として超大企業に限られる。

Falcon Heavyは大型衛星の打ち上げコストをミニ、マイクロ衛星並みに引き下げられる可能性を初めて示したシステムだ。Falcon Heavyのコストは1億ドル前後と推定されている。これは小銭とはいえないが、ライバルのDelta IVが3.5から5億ドルすると考えられているのに比べれば画期的に安い。

これほどの価格引き下げはあらゆる宇宙事業を根本的に変える。NASAは同じ費用ではるかに多くの惑星探査ミッションを実行できるだろう。もちろんDelta IVの打ち上げ実績は優秀で、過去15年以上にわたって100%の打ち上げ成功率を誇っている。この信頼性がDelta IVのプレミアム価格の理由の一部となっている。しかしFalcon Heavyが実績を積めば状況は変わってくる。

Delta IVの打ち上げ(2016)

大型衛星の打ち上げは(ミニ衛星の場合も同様だが)、 極端にサプライサイド優勢だ。つまり打ち上げ能力が最大の制約要因となっている。政府や巨大企業は衛星(ないし惑星探査機)打ち上げの順番を待つために何年も行列に並んでいるのが現状だ。SpaceXではFalcon Heavyのペイロード・スペースをロケットが製造される端から埋めていくことができる。Flacon Heavyの中央本体は使い捨てだが、両側のブースターは再利用可能だ。これはライバルに比べてはるかに大きな供給能力を約束する。Falcon Heavyが成功すれば巨額のビジネスとなるだけでなく、その影響は宇宙産業全体に及ぶだろう。

低軌道への衛星投入50トン以上というFalcon Heavyの能力には、今のところライバルがほとんどいない。しかしこの閾値の下は競争が激しい。ロッキードとボーイングの共同事業であるULA、EUの宇宙事業、Arianeをはじめ、ロシア、中国、さらにはジェフ・ベゾス氏のBlue Originのようなスタートアップも低価格の次世代衛星打ち上げシステムの開発に全力を挙げている。この宇宙事業の将来も我々にとって重要な課題だが、詳しく論じるのは別の機会に譲りたい。

現時点ではFalcon Heavyは桁外れの打ち上げシステムだ。能力を高めたほか、大きくコストを引き下げ数多くの宇宙事業を手の届くものにするというのは、野心的であるだけでなく歓迎すべきビジョン。現地時間日曜の打ち上げはこの変化が起きる瞬間を目撃するチャンスになるかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

イーロン・マスクのテスラとスターマンはここにいる――軌道追跡サイトでチェックしよう

先日、イーロン・マスクのSpaceXの最新大型ロケット、Falcon Heavyで宇宙に飛び立ったチェリーレッドのTesla Roadsterとその運転席に座ったダミー、スターマンは火星と地球の軌道を横切りながら太陽を周回する巨大な楕円軌道を描いている。しかし搭載バッテリーが切れて、通信が途絶した今、Teslaとスターマンがどこにいるかの知るにはどうしたらよいだろう?

SpaceXの大ファンで、航空宇宙産業でエンジニアとして働いているBen Pearsonが、Where is Roadster(ロードスターは今どこ?)というサイトを開設している。これはJPL(NASAジェット推進研究所)の Horizonsシステムを利用してTeslaの軌道を表示している。これによればTeslaとスターマンのコンビは火星だけでなく、太陽や他の惑星にも接近することがわかる。

このサイトではスターマンの任意の時間における位置や速度も示してくれるので、火星に近づきつつあるのか遠ざかりつつあるのかなどもわかる。このサイトは公式にSpaceXやTeslaと提携しているわけではないが、イーロン・マスクがツイートで取り上げているのが面白い。

たしかこのあたりに駐めたはず。 ―イーロン・マスク

Falcon Heavyが飛び立った後も、このサイトがあればマスクは自分のTeslaをパーキングした場所を探してうろうろせずにすむわけだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

【動画】Falcon Heavyの発射を見守るイーロン・マスク

この1週間、SpaceXの間違いなく巨大なFalcon Heavyロケットの初打ち上げを、私たちは眺めながら、果たしてちゃんと打ち上げることができるのだろうかと、固唾を飲んでいた。イーロン・マスクもそれは同じだった。

ナショナル・ジオグラフィックが、打ち上げの際の素晴らしい舞台裏映像を掲載した。それは打ち上げの約15秒前から、ミッションが大成功を収めたことをイーロンが認識するまでを撮影したものだ。彼らは完璧な打ち上げを成し遂げただけでなく、3つのロケットコアのうち2つを(同時に!)驚嘆すべき美しさで、着陸させたのだ。

この打ち上げは、SpaceXの本当に何年にも及ぶ努力の集大成だった。それでも何が起こるかについては、誰も絶対確実なことは言えなかったのだ。イーロンは 打ち上げ前の夜、 記者団に対して 「発射台から飛び立って、粉々に砕けなければ満足だよ」と語っていた。以下のビデオでは本当に嬉しそうな彼の様子を見ることができる。

Falcon Heavy発射直前のイーロン・マスクの様子を追った、独占舞台裏映像

(上記の動画がモバイルでは再生できないという報告が来ている。もしその場合はこのリンクを試して欲しい)。

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(翻訳:sako)

スターマンからの信号が途絶えた

スターマンと彼のSpace Teslaから地球軌道最後の自撮り写真が送られてきた、とElon Muskが報告した。マネキンドライバー(本物のSpaceX宇宙服着用)を乗せたこの車は昨日(米国時間2/6)Falcon Heavyロケットに乗せられて飛び立ち、最終的には地球軌道を離れ太陽系の彼方へ向かう。

Elon Muskはスターマンの「最後の写真」をInstagramに投稿した。これは最後の数分間の中でもおそらくベストショットだろう。昨日の記者会見で、Muskはこの#DrummondPuddleWatch以来の奇妙で魅力的なライブ中継が、近々終了することを覚悟するよう予告していた。

「バッテリーは打ち上げから約12時間持続する」と彼は言った。「その後は宇宙の奥深く何百万年、おそらく何十億年も存在し続けるだろう。きっとどこかのエイリアンが発見して、『これは何のためなのだろう? この車を崇拝しているのか? なぜ車の中に小さな車があるんだ?』などと言うのだろう」。

(車のダッシュボードにはおもちゃのドライバーを乗せたおもちゃのRoadsterが接着されている)

実際にいつオフラインになったのかははっきりしないが、それまではたのしい時間だった。Muskがこの打ち上げを、自ら所有する別の大企業を宣伝する一種の相乗りPRイベントにしていることに疑問を挟む向きもあるが、本人は純粋に楽しみのためだと言っている。

「馬鹿馬鹿しくて楽しい。しかし馬鹿馬鹿しくて楽しいことは大切だ」と彼は言う。「文字通り普通の車が宇宙にある。私はその不条理さが好きだ。普通はコンクリートのブロックを山ほど飛ばすが、そんなのは面白くない」

スターマンと車は外宇宙に向かってゆっくりと進み続け、やがて火星の軌道を横断して小惑星帯に入ると、たくさんの岩つぶてを見舞われるだろう。しかし軌道の角度によっては、黄道を離れて衝突死を避けられるかもしれない。

いずれにせよ、まだまだ先の話だ。Roadsterの速度は知らないが、速いわけではなく火星は恐ろしく遠い。危険な目にあうほど遠くへ行くまでには数十年、数百年はかかるだろう。それまでにElon Muskが永遠の若さの秘密を発見していれば、それもきっとインスタするのだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

赤いテスラには「スターマン」が乗っていた――イーロン・マスクのFalcon Heavy、打ち上げ準備完了

イーロン・マスクはケープカナベラルでSpaceXが始めて発射するモンスター、Falcon Heavyの最終点検に忙しい。今回のペイロードはマスクの愛車、チェリーレッドのTesla Roadsterで、ロケット先端のファエリング内に設置されて宇宙に飛び出す。

このTelsaにはドライバーが乗っていることがInstagramに投稿された写真で判明した。SpaceXが開発したクールな宇宙服を着用したダミーの宇宙飛行士だ。マスクはこのドライバーをデビッド・ボウイーの曲にちなんでStarmanと名付けている。

打ち上げは火曜日の東部時間午後1:30に予定されている〔日本時間2/7明け方〕。願わくば、ボウイーの名曲に乗って無事に宇宙に飛び出してもらいたい。

Instagram Photo

今回のペイロードはもちろんFalcon Heavyのテスト用ダミーだが、宇宙に送られる物体としていちばん愉快なものだろう。同時に人類が環境に与える負荷を最小限にするためにイーロン・マスクが挙げてきた業績や地球外に植民するというビジョンを巧みに象徴するものとなっている。

TechCrunchでは記者がケープカナベラルに出向き、現地からこの歴史的打ち上げをレポートする。ご期待いただきたい。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

SpaceX、Falcon Heavyエンジンの地上テストに成功――本番打ち上げは「来週あたり」

SpaceXは巨大な新ロケット、Falcon Heavyの地上エンジン・テストに成功した。 いよいよ本番打ち上げの幕が開く。今日(米国時間1/24)実施された発射台上でのロケット噴射は実際の打ち上げに向けて必須のステップだった。各ブースターに9基ずつ、トータル27基のMerlinエンジンがすべてが正常に働くことが確認された。

テストはSpaceXのケープ・カナベラル発射施設で行われたが、実際の打ち上げもこの場所からとなる。SpaceXではテスト後に「すべて順調だった」と発表した。SpaceXのCEO、イーロン・マスクはこのテストが成功したので最初のフライトは「来週あたり」になるととツイートした。

今朝のFalcon Heavyの静止噴射の結果は良好だった。 蒸気が巨大な積乱雲を作った。打ち上げは来週あたりになる ―イーロン・マスク

これはグッドニュースだ。打ち上げは昨年の暮に予定されていたが延期となった。今年に入ると、予算が議会でブロックされて政府の活動が一時停止した。これでSpaceXが打ち上げに利用しているケープ・カナベラルのNASAの施設も閉鎖され、さらに遅れが出るのではないかと懸念されていた。議会における妥協により連邦政府の活動は(当面)再開され、SpaceXは巨大ロケット打ち上げ準備を再開できることとなった。

Falcon Heavyは現在のFalcon 9の3倍近い大重量のペイロードを搭載できる。1回のミッションで複数のクライアントのために多数の衛星を打ち上げることが可能になれば宇宙利用の経済性が一層高まるものと期待されている。また最終的にはイーロン・マスクのビジョンである有人火星旅行にも利用されるはずだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

SpaceXの新しい巨大ロケット、Falcon Heavyが発射台に姿を現す

衛星打ち上げで順調に成功を重ねているSpaceXだが、新しいFalcon Heavyロケットのテストフライトに向けての準備も進んでいる。Falcon Heavyは地球低軌道に大重量のペイロードを運び上げることを目的としたヘビーデューティー・ロケットだ。1段目には従来のFalcon 9のブースターを3基束ねたものが用いられている。テスト発射は向こう数週間以内にフロリダ州ケープカナベラルの施設から行われる。

Falcon Heavyは昨年暮にケープカナベラルに到着していたが、いよいよ発射台に垂直に設置された姿を表した。発射を控えて詳細なチェックが行われているところだという。SpaceXは新ロケットのをドローンで撮影した驚くべきビデオと発射台上の巨大ロケットの姿をクリアにとらえた新しい映像を公開した。

Falcon Heavyの発射時推力は226トン以上。これはボーイング747旅客18機の最大推力に匹敵する。現在運用されるものとしては2位を2倍以上回って世界最大のロケットとなる。

Falcon Heavyのトップには大きなカーゴポッドが装着されFHのロゴがはっきり読み取れる。われわれがよく知っているとおり、ペイロードはイーロン・マスクの愛車、チェイリーレッドのTesla Roadsterだ。 実験が成功すればFalcon Heavyはイーロン・マスクの野心的ビジョン、火星植民を実現するために用いられることになる。

しかし今回はなんといってもFalcon Heavyの最初の打ち上げの試みであり、すべてが計画どおりに進まない可能性は十分にある。マスク自身、超特大の火の玉が中継される可能性を認めている。いかにシミュレーションを繰り返そうと、実際の打ち上げはコンピューターが予言するのとは何かしら違ったコースをたどるものだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

SpaceXの巨大ロケット、Falcon Heavy、ケープカナベラルで最終調整中

SpaceXは新しい巨大ロケット、Falcon Heavyを2017年中に打ち上げることできなかった。しかしこのモンスターはフロリダ州ケープカナベラルに到着し、打ち上げを控えて各種のテストが行われている。これには静止状態でのエンジンのフル出力テストや最終組立が含まれる。テスト飛行は来年早々に予定されている。

SpaceXのCEO、イーロン・マスクはケープカナベラルの同社施設でほぼ組み立てを終えたFalcon Heavyの写真を公開した。今後ロケットの先端にフェアリングやペイロードが取り付けられることになる。横に3本並んでいるのはそれぞれが9基のMerlinエンジンを搭載したブースターだ。このブースターは基本的に現在打ち上げに用いられているFalcon 9のブースターと同じものだ。しかも左右に取り付けられたブースターはSpaceXの過去のミッションですでに飛行したブースターだという。

Falcon HeavyはSpaceXの新しいハイキャパシティー打ち上げシステムで、最大63トンのペイロードを低軌道に投入する能力がある。SpaceXは1回のミッションで多数の衛星を打ち上げることができるようになる。あるいはまったく新しい大型のペイロードを扱う能力も得る。

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SpaceXではFalcon Heavyのテスト飛行を来年1月に予定している。ペイロードはマスクの愛車、Teslaロードスターだという。最初はジョークだと思われていたが、そうではなかった。もちろんFalcon Heavyの初打ち上げは花々しい大爆発に終わる可能性もなくはない。マスク自身が過去に「ロケットにはいつも打ち上げ直後に炎上する可能性がある」と警告していたとおりだ。

新しいロケットのテストには大きなリスクが付きものだ。Falcon Heavyのような強大な推力のモンスターとなれば、それがどのように作動するかは、いかに地上でテストやシミュレーションを繰り返しても、実際に発射してみる以外に知るすべがない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

イーロン・マスクは彼の個人所有のTesla車を火星の軌道にのせる

これまでで最も強力な再利用可能ロケットであるSpaceXのFalcon Heavyは、その壮大な最初の打ち上げに際して、イーロン・マスク個人の所有するTesla車を搭載する予定だ。

(もともとは11月に予定されていた)打ち上げが2017年内には間に合わないという報告に続けて、SpaceX CEOのイーロン・マスクは、その打ち上げが1月に行われる予定だと述べた。そしてマスクらしいことだが、そこで話は終わらなかった。

マスクは、ロケットに搭載される荷物が、彼自身のTesla Roadster(ミッドナイトチェリー色)であること、そして発射の際にはデビッド・ボウイのSpace Oddityが流されることを発表した(同曲の中にはカウントダウン音声が入っている)。

計画されている目的地は火星である。マスクは、うまくいけば、彼の個人所有の車は、惑星の軌道に「10億年」留まるだろうと語った。

マスクのツイートは、Falcon Heavyの打ち上げが2018年の早期に行われるだろうという報告と共に行われた。

SpaceXの社長であるGwynne Shotwellは、Aviation Weekに対して、同社が2017年末までに、27基のMerlinエンジンを同時に使ったFalcon Heavyロケットの静止点火試験を計画していると語った。それが大きな問題なく進んだならば、実際の打ち上げは数週間以内に行われるだろう。

時間的制約は厳しいものの、イーロン・マスクはイーロン・マスクだ。すれが素晴らしい光景になることは確かだ。

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(翻訳:sako)

SpaceX、Falcon Heavyの発射と2段目ロケットの回収に挑戦へ―火星植民への第一歩

Falcon 9ブースターの再利用の成功を受けて、イーロン・マスクはSpaceXがさらに大型のFalcon Heavyロケットのテストを実施することを発表した。このフライトでは2段目のロケットを地表に回収することも試みる。Falcon Heavyのブースターだけでなく2段目も再利用できるようにするのが目的だ。地表と宇宙をロケット全体が繰り返し往復できるようにすることは、SpaceXの最終目的である火星植民にとって欠かせないテクノロジーとなるという。

マスクによれば、Falcon Heavyのテストのスケジュールは「この夏の後半」だ。昨年9月、発射台上で点検中のFalcon 9が爆発するという事故により計画に遅れが出ていたが、Falcon Heavyのテスト時期は昨年暮に新たに設定されたスケジュールに沿ったものだ。

SpaceXのFalcon Heavyは商用打ち上げ企業としてまったく新しいビジネスチャンスを開くはずだ。Falcon Heavyのブースター部分は現在のFalcon 9のブースターを3基まとめたもので、Merlinエンジンは27基合計で22,819 kN(2327トン)の推力を発生する。NASAもSLS(Space Launch System)と呼ばれる独自の大型ロケットを開発しており、2018年には最初の打ち上げが行われる予定だ。

ロケットの完全な再利用化を目指す第一歩として、Falcon Heavyの打ち上げテストで2段目の回収実験を考えている。成功確率は低いがやってみる価値があると思う。

Falcon Heavyの低軌道打ち上げの最大ペイロード重量は54トンとされる。これは現在最大級の商用ロケット、ULA〔ロッキード・マーティンとボーイングの宇宙合弁事業〕のDelta IV Heavyの2倍のペイロードだ。ただしペイロードはミッションの内容によって大きく変化する。またロケットを使い捨てにするのではなく、再利用を図るのであればその分の燃料を必要とするためペイロードは減少する。SpaceXでは打ち上げ費用をULAのDeleta Heavyの3分の1にまで減少させることでNASAのSLSを打ち負かす計画だ。

SpaceXはFalcon Heavyに用いられるFalcon 9ブースターの回収に繰り返し成功している。この木曜日には回収したロケットを再利用した打ち上げに最初の成功を収めた。イーロン・マスクにとって次の目標は真空中で運用されるMerlin 1Dエンジンを搭載したFalcon Heavyの2段目を回収することだろう。

先に述べたように、ロケットの完全な再利用はSpaceXの火星プロジェクトの実現に必須となる。地表と軌道上の宇宙船を何度も往復して大量の燃料、資材などを積み込む必要があるからだ。この宇宙船が最終的に火星に向かうことになる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

NASA、火星有人飛行用ロケットエンジンをテスト

rs-25

NASAは、次期重量物打ち上げロケット、Space Launch System(SLS)用の最初のロケットエンジン、RS-25を500秒間テスト噴射させることに成功した。SLSはコアステージ(第2段)に4基のRS-25エンジンを使用し、小惑星や火星等の深宇宙へ人間を運ぶために設計されている。

NASAは、「次回はロケットエンジン No. 2059を同じ時間噴射させ、45年ぶり以上となる人間を深宇宙に送り込むミッションを実行する」と発表した。

このテストに使用されたエンジンは、スペースシャトルプログラムで使われたものであることが興味深い。スペースシャトルの引退後、RS-25エンジン(スペースシャトルの主要エンジンとしても知られている)は16基残っていた。

RS-25エンジンの主契約業者であるAerojet Rocketdyneは、SLSの性能要求を満たすようにエンジンを改造した。この改造によって、エンジンは109%の推進レベルで動作することが可能になる。一般にスペースシャトルの通常の推進レベルは104%だった。

4基のRS-25ロケットエンジンには、1対のブースターロケットが加わり、初のSLS飛行用に構成される。

Illustration of Space Launch System / Image Courtesy of NASA

Space Launch Systemおよび内蔵された4基のRS-25エンジンと2基の固体燃料ブースターロケット/画像提供:NASA

RS-25エンジンは、1981年から2001年の間に、135回のスペースシャトル作戦で使用されたことから、Aerojet Rocketdyneはこれを「世界で最も信頼性の高いロケットブースターエンジン」と呼んでいる。

スペースシャトルプログラム期間中、RS-25エンジンはスペースシャトル軌道船と共に地球に戻り、調整後に再利用された。SLSでは、エンジンは戻ってこない。

ロケットエンジンが使い捨てとなるため、現在ある16基のRS-25エンジンで、4回のSLS飛行が可能となる。昨年11月、11.6億ドルの契約がAerojet Rocketdyneと結ばれ、RS-25エンジンの開発が再開された。この契約でNASAは、追加で6基のRS-25エンジンを発注できるため、第5回目のSLS飛行が可能になる。

エンジンのテストは、引き続きミシシッピー州のNASAステニス宇宙センターで行われ、SLSプログラムはアラバマ州のNASAマーシャル宇宙飛行センターが管轄する。最終的に、SLSはフロリダ州ケネディー宇宙センターの地上部隊と発射設備を使用する予定だ。

今週のテストは、改造されたエンジンの能力を検証し、SLSに必要な異なる動作環境を確認するために行われた。

「このテストが、SLSの初飛行に向けた現行の設計が正しいことを証明する重要な一歩であるだけでなく、このエンジンがSLSの有人飛行で再び飛行士を宇宙に運ぶための改造を受ける前に、あれほど多くの宇宙飛行士を乗せてきたことを思うと非常に感慨深い」― Steve Wofford、NASAマーシャル宇宙飛行センター、エンジン管理責任者

SLSは、Orionカプセルに最大6名の乗組員を乗せ、NASAの火星探査プロジェクトで計画された深宇宙の目的地へと運ぶ。ただし一部には、資金不足やミッションの目的が不明確であるとして、実現しないのではないかと疑う向きもある。批判者はSLSを、”Rocket to Nowhere” と呼んでいる。

Image courtesy of NASA

画像提供:NASA

SLSプログラムの運命を決める要素は、来たるべき大統領選挙や政権交代を含め数多くあるが、NASAの次期重量級ロケットが維持可能かどうかは、時期を待つほかない。

RS-25エンジン4基を塔載したSLSの初飛行は、無人のOrionに13基のCubeSatを載せて2018年に実施される予定だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook