本物のGalaxy Foldだ。本当に手にした。実際には1つではなくいくつか手にした。サムスンの今朝のイベントは、異なる色や状態のFoldで賑やかだった。1カ月ほど前は触れもできなかった。
折りたたみデバイスをチラつかせて8年、サムスンはようやく昨年あったデベロッパー会議で引き金をひいた。しかしデバイスは見せないままだった。そして2月、Galaxy Foldとしてお披露目した。それでも取材陣向けの端末は用意されていなかった。その1週間後にあったMWCでも状況は同じで、Galaxy Foldはカーボナイトのハン・ソロのようにガラスディスプレイの向こうに閉じ込められていた。
4月26日に予定されている発売を前に今日からプレオーダーの受付が始まり、サムスンはいよいよ本格的に動き始めた。そして今朝、ニューヨークで開かれたイベントでは、スペックを確かめられるようGalaxy Foldがフルに展示された。もちろん我々は喜んで1時間かそこら手にしてあれこれチェックした。
現実のものであり、間もなく出荷が始まるという驚きが収まると、次はサムスンが成し遂げたことにかなり感銘を受けている自分に気づく。2011年に初めて折り畳みディスプレイを見せびらかし、以来サムスンのプロダクトのチラ見せは不満の対象ではあるが、かなり斬新なフォームというのは初代製品にとっては武器になる。その一方で、Foldの開発はかなりの困難を伴った。
サムスンはすでにFoldのテストの様子を、数週間前に公開したプロモーションビデオで明らかにしている。Foldはマシーンによって20万回も折り畳みを試された。この回数はこのプロダクトが実生活で使われる場合よりも多い。そして尋ねられる前に言うが、落下のテストも行われた。サムスンが他のガジェットでも実施している「ガジェット虐待」のようなテストで、開いた状態、折り畳んだ状態どちらでも行われた。
Galaxy Note 7以来、サムスンの全デバイスに影響を及ぼしてきた8ポイントバッテリーテストも同様だ。Galaxy Foldがバッテリーを2つ搭載している事実を考えれば、そのテストの重要性は倍になる。計4380mAhの容量があり、Foldの両面に分けられている。サムスンによると、この容量は「1日もつだけのもの」なのだという。もっともこれは、こうしたデバイスの発売前によくある売り文句と同じ。ひとたびこの端末が消費者の手にわたってしまったときに、消費者がどのようにこの端末を使用するのかをサムスンが完全に把握できない点を踏まえると、実際に使ってみないとわからない。
折り畳みのメカニズムは上々で、エッジ近くに隠されたマグネットのおかげでパチンと音を立てて閉まる。実際、スクリーンを下にしてFoldを置くと周辺にある金属のものを引き寄せようとする。私はぼんやりとしながらFoldを開け閉めしていることに気づいた。使っていないときはFoldはかなり高価なフィジェットスピナーのようだ。
サムスンは、他のGalaxy製品のデザインランゲージを維持するという素晴らしい仕事をやってのけた。しかし奇妙な形状にもかかわらず、FoldはS10やその類とそっくりだ。丸くメタリックなコーナー、カメラの配置。そう、BixbyボタンなどすべてFoldにも見られる。
エッジは2つに分かれ、それぞれがスクリーンの半分を担う。Foldを開くとそれぞれの面が隣同士になり、その間には小さなギャップがある。そして端末を畳むときは、それぞれの面がつがい部分で90度動き一緒になる。使い続ける限り畳んだり開いたりを可能にするこの連結ギアは優雅なソリューションだ。
驚くことではないが、サムスンはあらゆるフォームを試したが、このような初代製品にとってはこれが最も直感的だった、とのことだ。もちろん、多くの競合製品が異なるアプローチをすでにとっている。なので、この手の製品が世に出回った時、この業界がどのフォームに落ち着くのかを見るのは楽しみだ。
開いた状態ではFoldはかなり薄い。iPhone XSをほんの少し下回るくらいだ。折り畳むと、ディスプレイ間にあるギャップのためにiPhone2台より少しかさばる。閉じるとデバイスのエッジがくっつき、開くにつれてギャップが大きくなり、細長い二等辺三角形を形成する。
完全に開くと、ディスプレイ真ん中に来る継ぎ目が目につく。わずかなものではあるが。おそらく、指でドラッグしながらまたぐ時、あるいは開けてスクリーンのライトがパッとついた時にだけその継ぎ目に気づく。これは折り畳みスマホの一部であり、慣れるしかない。
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内側のディスプレイは7.3インチだ。たとえばiPad miniの7.9インチに比べると、タブレットとしては小さく、しかし畳まないでポケットに滑り込ませるには大きすぎる。この内側ディスプレイのサイズでは、ノッチに議論の余地を残している。実際、上部右側のコーナーには自撮り用カメラのために相当の切り抜きがある。
サムスンは、この端末を最初に使うユーザーの体験がきちんとしたものになるよう、グーグル、そしてWhatsAppやSpotifyなど一握りのデベロッパーと共に開発を進めてきた。この共同開発では2つの重要な点がある。アプリの連続性と、複数のアプリのウィンドウだ。連続性では、小さなスクリーンでアプリを開き、端末を開いたときにそれを大きなスクリーンでも使えるようにする。2つめに関しては、一度に最大3つのアプリを表示する。これは近年タブレットではスタンダードになったものだ。
どちらもシームレスに作動したが、この機能はこの共同開発にたずさわった企業のアプリに限定されている。このように機能するようにするのは簡単だとサムスンは言うが、デッベロッパーがそれを受け入れるスピードはこのデバイスが成功するかによるところが大きいだろう。しかしながら、この機能についてサムスンがグーグル/アンドロイドと手を携えてやってきたということはサムスンが競争に手を貸したことになる。
結論としては、私はこの初代製品にかなり感心している。この手のものは、つくるのに長い時間を要する。そして明らかにサムスンはきちんとしたものを作りたかった。サムスンは、発表から数日後にファーウェイが自前の折り畳みデバイスを発表したとき、向かい風を受けたのは間違いない。
ファーウェイのプロダクトは、小さなフロントスクリーンといくらかかさばるデザインをふくめ、Foldの欠点を浮き彫りにした。Foldは完璧ではない。しかし新たなスマホのパラダイムという意味では極めて確かなものだ。値段は1980ドル〜で、見合うだけの価格設定だ。本質的には、2つのスクリーンに倍の金を払う。
この分野で開発を進める、サムスンやファーウェイ、そして他の企業は、この価格設定では最初の需要時にだけ多く売れるということを知っている。人々はまだ、折り畳みメカニズムのようなアスペクトを探索中で、最初の購入者は実験台となる。
しかし、Foldは最終形にたどり着いた端末のようには思えない一方で、驚くほど良く製品化された初代端末だ。
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(翻訳:Mizoguchi)