iPhoneの6年にわたる人生の中で、初めてAppleは守りに入ったようだ。正当な理由によって。Appleの世界市場シェアは徐々に縮小し、Androidの成長と共にSamsungがスマートフォン王への道を進んでいる。Galaxy S IIIは発売以来5000万台出荷された。
そしてこれはSamsungが毎年Android OSを載せて発売する何十台もの機種の1つにすぎないことに注意されたい。
Samsungのフラグシップシリーズの最新機種、Samsung Galaxy S4は3月14日木曜日にデビューを飾った。それはかなり見事な光景だった。2日後、Appleは“Why iPhone”というページを立ち上げた。そこには、なぜiPhone 5が優れていて、それ以外は・・・そうでないかを示す理由が列挙されている。
“Why iPhone” ページは、A6チップとiPhone 5のバッテリーが、バッテリー寿命を犠牲にせず大容量を実現するよう、「Appleの科学者」たちによって注意深く作られ、ライバルたちが「大型の既製品で妥協」しているのとは違うと説明している。
さらに”Why iPhone”には、iPhoneのカメラがFlickrで最も人気のあるカメラであることも書かれている。「他のスマートフォンはメガピクセル数の大きさを誇っているが、すばらしい写真を撮ることの方がはるかに重要だ」と言っている。Samsung、HTCらライバルのAndroid機が、つい最近8メガピクセル領域を卒業して13メガピクセルの世界に入ったことは興味深い。偶然?
さらに同ページでは、iPhoneのコンテンツが「世界一信頼されているエンターテイメントストア」であるApple iTunes Storeから来ることにも触れている。Appleからコンテンツを買えば、恐ろしいマルウェアの心配がいらない、とこのページは約束している。
これは、非常に珍しいAppleのPhil Schillerによるツイートともよく一致する。昨年第4四半期に行われたセキュリティー調査の結果を報告した後、Shillerは、「Androidの脅威が96種類発見されたので、Androidファンは注意されたし」と言った。
通常Appleは、何とかして競合のニュースに割って入ろうとする。この会社は、CESの期間中にプレスリリースを出し、Mobile World Congress中にiPadイベントの招待状を送ったことで知られている。しかし、今年は今のところ厚かましく高慢な邪魔はなく、防御的なインタビューとツイートだけだ。
さらにPhil Schillerは、Galaxy S4の発表前日にWSJのインタビューまで受けて、Android全体を叩いた。「Android端末を箱から出した後、iOSに内蔵されている体験を得るためには異なるメーカー9種にアカウント登録する必要がある。それらはシームレスに連携して動かない」とSchillerは言った。「
これは彼のAndroidバッシングの味見程度でしかない。
このAppleの新たな防衛に関して最も興味深いのは、Samsungの立ち振舞いだ。Galaxy S4の大がかりな発表の最中、あらゆる場面でSamsungのエゴに気付かずにはいられなかった。具体的に指摘するのは難しいが、とにかく私にはそう感じられた。Samsungは世界でスマートフォンメーカーのトップに立ったことを公に認めており、今後それらしく振舞うのを見る機会は益々増えるだろう。
一例を挙げると、発表イベントはラジオシティー・ミュージックホールの巨大な会場で行われ、マイナーな有名人が登場し、熱の入ったブロードウェイ寸劇が演じられた。通常この手のイベントでは、報道関係者には前列に特別席が設けられ、それなりに使えるWiFiが提供される。Samsung Unpackedイベントでは、われわれも一般消費者と同じ扱いを受けGalaxy S4発表を報じるための通信手段を確保するのにに苦労した。あれはSamsungのビッグなスマートフォンだが、あまりにビッグでわれわれがカバーできるかどうも気にしていなかったのだろう。
一方、Appleは守備的布陣へと後戻りしているらしく、Appleの参加していないカンファレンスの最中にニュースを発表してわれわれを驚かすことも、GoogleやSamsungの一面を指摘して嘲笑することもなくなったようだ。
そして、この成り行きを見るのは実に楽しい。
[原文へ]
(翻訳:Nob Takahashi)