GoogleはPixelのヘッドフォーンジャックをなくしてベゼルのないスマートフォンに接近

ヘッドフォーンジャックの消滅は、まるでドミノ倒しのように各企業に伝染している。今日(米国時間10/4)倒れたGoogleドミノは、同社のスマートフォンからあの、かつてはどこにでもあったポートをなくしたが、それは今となっては勇気や度胸とは無縁の決断だった。ジャックを取り去る動機は、最近のモバイルの動向を見れば明らかだ。そしてPixelも、近いうちに、エッジツーエッジ(ベゼルレス)のディスプレイに移行したいのだ。

GoogleのプロダクトチーフMario Queirozは今日(米国時間10/4)のイベントのあとで本誌にこう語った: “ジャックを消した主な理由は、今後のメカのデザインに備えるためだ。ディスプレイをできるだけエッジに近づけたい。それをやるなら、早い方がいい、というのがチームの意見だ。昨年はまだ早すぎたかもしれないが、今年はすでに、市場にいくつも登場している”。

Queirozによると、今回、AppleのAirPodと競合するPixel Budsを出したのも、もちろん同じ動機からだ。同社はジャックを外して市場への開口部を作り、Assistant〔マイク/スピーカ内蔵〕をもっと身近にするハードウェアにも近づいている。そして一方では、TranslatorがDouglas AdamsのBabelfishの実世界バージョン〔SFではないバージョン〕に変わる。

ベゼルの避けられない死が迫っていることは、同社が大型のPixel XLでP-OLEDを採用したことにも表れている。プロダクトマネージャー相当VP Brian Rakowskiはこう語る: “たしかにまだ新しい技術だけど、スクリーンがサイドまで回りこむ設計にはぜひ挑戦したい。それでいてしかも、手に持ちやすくて、ディスプレイそのものを握る必要はない。ユーザーに接近感を与えるデザインになり、背板がなくなることによって、カーブがもっとまるくなる”。

今回のPixelを見るかぎり、Googleがまだそこまで行ってないことは明らかだが、なぜそれでは、AppleやSamsung、LGなどの後(あと)をすぐに追わないのか? それは、前面スピーカーがスクリーンの側面にある、という設計のせいでもある。

Queirozによると、ユーザーにスマートフォンを持つための場所(どこを持つのか)を与える、という意味合いもある。“ディスプレイを握っている、という感じにはしたくなかった。そのために、かなり苦労した”、と彼は説明する。そしてHTC U11のActive Edge機能〔エッジがタッチインタフェイスになる〕からヒントを得たPixel 2は、人間が手で握る場所を増やすことにも、貢献しているのだ。



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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Apple、ヘッドフォンジャック(1878 – 2016)を廃止―安らかに眠れ

2016-09-08-apple-headphonejack

新しく発表された新しいiPhone 7でAppleはほとんど140年間続いたテクノロジーに別れを告げた。このテクノロジーは十分に役立ってくれたが、Appleはすでに役割を果たし終えたと結論したようだ。その後継者はBluetoothとLightningケーブルだ。

といってもAppleはレトロなテクノロジーを完全に捨て去る勇気はなかったとみえ、出荷されるiPhone 7にはヘッドフォン・ジャック用のドングルが同梱される。フィル・シラーは「〔これにより〕旧来のアナログ・デバイスも接続できる」と強調した。

Apple hedging its bets

Appleは古いテクノロジーを完全に捨てたわけではない。アナログ・ヘッドフォン用ドングルが同梱される

ジャックは巧妙なデザインだった

3.5mmジャック(ミニジャック、ヘッドフォン・ジャック、TRSジャックとして知られる)は4分の1インチ・ジャックの子孫だ。ジャックという接続テクノロジーは1870年頃、巨大なスイッチボードで通話を接続していた電話交換手の仕事をやりやすくするために発明された。シンプルなデザインながら確実な接続を実現できることが証明され、時の試練に耐えて今日まできた。
毎日使われている140年前のテクノロジーというのは珍しい。

Such a simple design, but so powerful. The sleeve (1) is ground. The tip (3) carries one data signal, and the ring (2) carries another. On headphones that include a microphone, manufacturers simply include another ring. The isolating grommets (4) help ensure isolation between the different data channels.

上の図のとおり、シンプルだが極めて堅牢なデザインだ。上がステレオ、下がモノ。 (1)がスリーブ部分、(3)の先端が信号を伝える。ステレオの場合、(2)のリングが追加される。(4)の絶縁体がチャンネルの混信を防ぐ。

ジャックの先端のすぐ下に設けられた凹みでジャックはソケットに固定される。簡単に外れないと同時に繰り返しの抜き差しに耐える。この4分の1インチ〔標準〕ジャックも現役だ。オーディオマニアやギタリスト、ベーシストにはお馴染みだろう。高級マイクをアンプに接続するのにも用いられている。

この発明は画期的だった。完全に円筒形であるため、どの角度であろうと問題なく挿せる。普通のUSBプラグだと特定の角度でしか正しく挿せないことにお気づきだろう。ジャックが採用されたおかげで電話交換手はいちいちスイッチボードのプラグを見ずにジャックを抜き差しできた。

1960年代になると、標準ジャックと同じデザインで直径が3.5mmのミニ・ジャックが開発された。 大型の標準ジャックほどの強度はなかったが、トランジスター時代に適合し、可搬性が高くなっていた。やがてオーディオ・テクノロジーの発達にともない、ジャックはステレオ接続が必要になった。メーカーはコネクター部分にもうひとつリングを追加することでこれを可能にした。これが今日われわれがTRRS〔ステレオミニジャック〕とよぶ堅牢なシステムで、今日まで使われ続けることになった。

TechCrunchの読者2500人の意見が参考になるのであれば、過半数(55%)はヘッドフォン・ジャックのポートがなくてもiPhoneを買いたいと考えている。しかし45%は「それならいらない」という意見だ。

時代は新テクノロジーへ

しかし、時代は進歩する。新テクノロジーの普及も大きく進んだ。Bluetooth接続のヘッドフォンは市場に広く出回っている。ヘッドフォンだけでなく数多くのアクセサリーがBluetoothやApple独自のLightningケーブルで接続される。Appleは時代おくれになったとみなしたテクノロジーを思い切りよく切り捨ててきた。これは古いポートが場所を塞ぎ、デザインと利用法を煩雑化することを防いできた。たとえば現在のMacbookシリーズにはたった2つのポートしかない。USB-Cとd…何を隠そう、ヘッドフォン・ジャックだ。

一部のユーザー(読者かもしれない)は、ヘッドフォン・ジャックがなくなることによって被害を受けるかもしれない。たとえば私の例でいば、最近かなり高価かつ優秀な有線接続のヘッドフォンを買ってしまった。そういう個人的な事情を別にしても、多くのスタートアップがスマートフォンでミニジャックが利用できることを前提にデバイスを開発、販売している。

残念ながらミニジャックの時代は去っていくらしい。親愛なるミニジャック。われわれはきみのことを忘れない。きみはいい仕事をした。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+