NDAの統一化を図るプロジェクト「OneNDA」が統一ポリシーの「スマート要約」と概要を公開

NDAの統一化を図るプロジェクト「OneNDA」が統一ポリシーの「スマート要約」と概要を公開

契約書を中心とした法務書類のバージョン管理サービス「Hubble」(ハブル)運営のHubbleは12月18日、秘密保持契約書(NDA)の統一化を図るプロジェクト「OneNDA」において、予備知識がない方でも「『OneNDA』秘密保持ポリシー」の内容について理解できるよう「スマート要約」(平易な要約)および概要を公開した。

今回の取り組みは、以下の実現とともに、今後の参加企業の増加を目指したものとしている。

契約実務のバックボーンを有しない方でも合意内容を理解できること

NDAを締結する際、実際には契約当事者がその正確な内容を把握していない場合がある。しかし契約が当事者間の合意である以上、その合意内容を当事者が理解していない状態は健全とはいえない。このためOneNDAでは、NDAの統一規格化を通じて、契約実務のバックボーンを有しない方でも自らが合意する内容を理解できることを目指している。

開示者側が秘密情報を自らコントロールするという、新たな情報の管理意識の醸成

同時に、「とりあえずNDAを結んでおけば安心」といった体裁でNDAが締結される場合もある。NDAを締結したとしても、秘密情報を開示する以上は、当該秘密情報のコントロールを相手方に委ねることになる。

これに対して同プロジェクトでは、「OneNDA」というひとつのルールを理解し正確に把握することで、「そもそもどの情報を開示するのか」「誰に開示するのか」「どのように損害を回復できるのか」など、開示者側が秘密情報を自らコントロールするという新たな情報の管理意識が醸成されるようにしたいという。

OneNDAとは

OneNDAは、NDAの統一規格化を目指すコンソーシアム型のNDA締結プラットフォーム。OneNDAに参画した企業同士の取引であれば、取引ごとに個別のNDAを締結することなく、OneNDA内のルールに基づいて企業活動を進められる。これにより、従来個別に締結されていたNDAに関する業務の効率化を図り、迅速に取引できるようになる。2020年8月のOneNDA正式リリース後、約1ヵ月でが約100社が参画。参画企業は、野村不動産・ネスレ日本・ウォンテッドリーはじめ、業界業種を問わず広がりを見せているという。

なお、OneNDAに参画している企業同士の取引の場合であっても、OneNDAを利用せず、別途個別にNDAを締結することも可能。
関連記事
リーガルテックのSmaConが取引先と短時間・低コストで秘密保持契約を締結可能な「NDA統一標準規格」公開
AI契約書レビューのGVA TECHが契約書管理サービスのHubbleと提携、オンラインでの契約締結までを一気通貫で
Wordで作った契約書のバージョン管理を自動化する「Hubble」が1.5億円を調達
紙の契約書にまるでクラウドのような体験を、法務書類の共有サービス「Hubble」に新サービス
Wordの法務書類をワンクリックでクラウドに自動共有、履歴管理も自動化する「hubble」が先行リリース

カテゴリー:リーガルテック
タグ:HubbleOneNDA日本(国・地域)

AI契約書レビューのGVA TECHが契約書管理サービスのHubbleと提携、オンラインでの契約締結までを一気通貫で

企業向けのAI契約書レビュー支援サービス「AI-CON Pro」(アイコン・プロ)を開発・提供するGVA TECH(ジーヴァテック)は5月18日、契約書の管理・共有サービスを開発・提供するHubble(ハブル)との提携を発表した。両社の提携により、契約書の内容確認(レビュー)はもちろん、交渉内容や契約書のバージョン管理、電子サインによる締結までの契約書審査業務のフローをオンラインでワンストップ提供可能になる。なお、電子サインには別途契約が必要だが、弁護士ットコムが提供しているCLOUDSIGN、もしくは米国のDocuSign(ドキュサイン)が提供しているDocuSignを利用可能だ。

契約書のレビューから契約の締結までの流れは以下のとおり。

  1. 相手企業から自社の営業担当にひな型がメールで届く
  2. 自社の営業担当がHubbleを使用して法務部に契約書のレビュー依頼をする
  3. 自社の法務部はAI-CON Proを使用して「自社基準」で契約書レビューをする
  4. 自社の法務部はHubbleを使用して営業担当に返答する
  5. 自社の営業担当はメールで相手企業に返答して交渉(2〜5を繰り返す)
  6. 契約合意が取れた内容を法務部から電子サインで締結する

なお両社は今回の提携で生まれたサービスついて6月4日13時からオンラインセミナーを開催予定だ。

地球から110光年先のスーパーアースに液状の水

氷やガス状の水は私たちの銀河系宇宙でそんなに珍しくはないが、液体の水は極めまれだ。そして、地球に似た太陽系外惑星上の液状およびガス状の水どうだろう?それはまだ、見つかっていなかった、これまでは。天文学者たちはこの、天空の珍獣とも言うべき系外惑星K2-18bを、今や古色蒼然たるハッブル宇宙望遠鏡を使って発見した。

K2-18bは、質量と大きさが地球に近いので「スーパーアース」と呼ばれる。それだけでなく、太陽系の「可住ゾーン、ハビタブルゾーン」に存在し、水を液状に維持できる。それは、110光年先の獅子座の中にある。

スーパーアースや可住域の惑星、それに水のある惑星の数はとても多いけど、この3つの条件が揃った惑星はこれまでなかった。3連勝は今回が初めてだ。

研究者たちはハッブルの過去のデータを使って、K2-18bの太陽の光がその大気を通過するときのスペクトル特性を調べた。彼らは液状ガス状両方の水の証拠を見つけ、それは地球上のような水循環を示唆していた。蒸発、凝縮、などなどの。

関連記事:There is liquid water on Mars(火星に液状の水がある、未訳)

しかしそれは、そこに小さな宇宙人がいるかも云々という話ではない。K2-18bの太陽は赤色矮星で、惑星はその放射を浴び続けている。宇宙望遠鏡科学研究所のHannah Wakeford(ハンナ・ウェイクフォード)はNature誌に「生命や生物が私たちが日頃知ってるようなものだとすると、この世界が生存可能であることはほとんどありえない」とコメントしている。

残念だが、そもそも科学者たちはそれを見つけようとしていたのではない。しかし、地球に似た惑星がハビタブルゾーンにあって地球に似た水循環があることを見つけたのは、本当にすごい。これまで調べた系外惑星の数の少なさから見れば、奇跡に近いのかもしれない。銀河系宇宙だけでも系外惑星はものすごく多いから、K2-18bののような星もまた、意外と多いのかもしれない。

この発見は、別の意味でも興味深い。最近の天文学の研究の多くがそうであるように、これもまた、一般公開されている(2016年から2017年までの)過去データの分析により発見された。そして分析にはオープンソースのアルゴリズムが使われた。つまり、データも研究方法もどちらも、そこらにオープンに存在している。でもそれを使いこなせるためには、本格的な科学的努力を要する。

K2-18bに関しては2つの資料が公開されている。1つはモントリオール大学、もうひとつはユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンからだ。前者は原本が昨日Arxivに掲載され、後者は本日、Nature Astronomy誌に載った。

画像クレジット: ESA/Hubble, M. Kornmesser

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Wordで作った契約書のバージョン管理を自動化する「Hubble」が1.5億円を調達

契約書を中心とした法務書類のバージョン管理サービス「Hubble(ハブル)」を展開するHubbleは8月19日、複数のVCやエンジェル投資家などから総額で1.5億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

同社では2019年1月よりHubbleの本格販売をスタートし、現在は三井不動産を含むエンタープライズ企業を始め、ITベンチャーやスタートアップ、弁護士事務所にサービスを提供。今後は社外のユーザーとドキュメントを共有できる機能の開発も予定していて、調達した資金で組織体制の強化やプロダクトのアップデートに取り組む計画だ。

なお今回Hubbleに出資した投資家陣は以下の通り。同社では昨年にも既存株主のANRIなどより数千万円の資金調達を実施している。

  • Archetype Ventures
  • DNX Ventures
  • マネーフォワード
  • ベンチャーユナイテッド
  • 三菱UFJキャピタル
  • 国内外のエンジェル投資家数名

Wordで作った法務書類を一箇所に集約、履歴管理も自動化

Hubbleは企業の法務担当者を始め、事業部のメンバーや弁護士事務所のスタッフが法務書類を作成する際に直面するバージョン管理(履歴管理)やコミュニケーションの課題を解決するSaaSだ。

具体的には「Wordで作成した契約書のドキュメントが複数存在し、どれが最新版かわからない」「契約書に関するコミュニケーションがメールやチャットツールに散らばってしまっている」といったような問題を解消する。

昨年7月の先行リリース時にも紹介したように、作成したファイルの履歴を自動的に整理・管理してくれることと、その情報に関連するやりとりをサービス上に集約してくれることが大きな特徴だ。

ファイルがアップデートされた際の変更点(差分)も自動で抽出されるので、変更点をたどったり過去のバージョンに立ち戻ることも簡単。もともと「GitHubのような仕組みがあれば契約書のバージョン管理が簡単になるのではないか」という思想から生まれたプロダクトでもあるため、ブランチなど同サービスからヒントを得た概念や機能も盛り込まれている。

使い方はシンプルだ。従来はメールを使って「ダウンロード→内容の更新→最新のファイルを添付」という流れで何往復も共有し合っていたWordファイルを、Hubble上に一度アップロードするだけ。あとはファイルを保存すれば自動で履歴が管理されるとともに、最新版がサービス上に保存されていく。

ここまでの説明で「Googleドキュメントと何が違うの?」と思われるかもしれないが、ポイントは「これまでのワークフローを崩さず、クラウドの恩恵を受けられる」点にある。

特に契約書のような法務書類は今でもWordで作成されるのが一般的。そのためHubbleでもこの文化を崩さず、ユーザーが書類を作成・編集する際はいつも通りWordを使う。ただし保存ボタンを押せばHubble上に履歴が自動で蓄積されていくので、やり方を大きく変えずにバージョン管理の悩みを解消できるわけだ。

「新しい作業や努力をしなくても『これまで通りWordで書類を作っているだけで差分が自動でトラッキングされること』はどの顧客からも好評。Word文化を残したまま使えるというのは初期から大事にしてきた考え方だ」(HubbleでCEOを務める早川晋平氏)

Hubbleでは各バージョンに対する担当者のコメントも集約されるため、修正した意図やこれまでの経過を把握するために過去のメール・チャットを検索する作業も不要。一方で閲覧権限の範囲は細かく調整できるので「法務部が検討したプロセスやコメントが表示されない形で事業部のメンバーに共有したい」といった現場のニーズにも対応する。

従来のワークフローで自社のリーガルDBを構築

Hubbleにはこれまで時間のかかっていた業務を効率化するだけでなく、情報を残していくことで自社のリーガルデータベースを自動的に構築していく効果もある。

要は従来であれば特定の担当者のみに帰属しがちだった知見や情報が社内に集まり、受け継がれていくということだ。

「『契約締結に至るプロセスや意思決定の意図』が集約されたデータベースは会社の大きな資産。担当者が変わったり、新入社員が入社してきた時もここにアクセスすれば今までの知見を活かせる。情報が蓄積されていけば会社のリーガルリテラシーを一段上げることにも繋がる」(HubbleのCLOで弁護士でもある酒井智也氏)

時代の流れ的にも人材の流動性が高くなり、リモートワークなど新しい働き方を取り入れる企業も増えつつある。そういった背景もあり法務書類やそれに関する情報を特定の担当者ではなく、クラウド上で1箇所に蓄積しておきたいというニーズ自体も高まっているそうだ。

酒井氏によるとこの傾向は企業に限らず、弁護士事務所でも同様とのこと。「弁護士事務所こそ優秀な弁護士の考え方が社内に残っていく効果は大きい。今は弁護士業界も競争が激しくなったことで『チームとしてどう戦っていくのか』という考え方が広がり、複数人で情報を共有する文化ができ始めている」(酒井氏)

Hubbleは2019年1月に本格販売を始めてから業界や企業規模問わず導入が進んでいるが、特に大企業や弁護士事務所からの反応が良いそう。当初想定していた契約書の管理だけでなく、最近では就業規則のほかIR用の資料や株主総会用の書類など、利用される書類の幅も広がってきているようだ。

利用者も法務担当者のみならず事業部メンバーへと拡大していることに伴い、幅広い場面で利用できるように8月からはスマホ版の提供も始めている。

リーガルテックの波に乗りさらなる事業拡大へ

これまで法務・法律の分野といえば比較的レガシーな領域で、セールスやHR、会計と比べてもテクノロジーの導入があまり進んでいなかった。ただ近年は「クラウドサイン」のようなプロダクトを代表に、日本国内でもリーガルテック周りのクラウドサービスが少しずつ浸透し始めている。

早川氏や酒井氏も、実際に法務部や弁護士事務所の担当者と接する中で「業界全体のITリテラシーがどんどん高くなってきていることを実感するようになった」という。

「(周辺業界のIT化の流れも受けて)日本全体として法務も変わる必要があるという考えのもと、リーガルテックの活用などを軸とした議論が活発になってきた。現時点ではアーリーアダプター層だけかもしれないが、リーガルテックがあることを前提に自分たちの業務や働き方をアップデートしようという考え方も徐々に広まってきていて、業界内でも差が生まれ始めている」(酒井氏)

もちろんクラウド上で法務書類を扱うことや契約書の履歴を保存していくことに抵抗がある企業もまだまだ存在するだろうし、一般的に広く普及している段階とは言えない。

ただ「まずは書類の内容によって(従来の方法とHubbleを)使い分けていく形にはなるかもしれないが、今後リーガルテックが加速していく感覚やHubbleをより多くの企業に使ってもらえる手応えはある」というのが2人に共通する考え。今回の資金調達も組織体制を強化し、さらなる事業拡大を目指すためのものだ。

ターゲットユーザーが慣れ親しんだWord文化を残しつつ、現場の課題を解決できる仕組みを取り入れたのがHubbleのポイントだ

早川氏の話では新たな取り組みとして、今秋頃を目処に外部共有機能の提供とフリーミアムプランの追加を計画中とのこと。現在は月額数万円からの有料プランのみ提供しているが、「社外ユーザーは一定の機能を無料で利用可能」というようにフリーミアムプランと外部共有機能を組み合わせることで、社内だけでなく取引先など対外的な交渉にもHubbleを使える仕組みを整える。

「外部共有機能は多くの導入企業から要望があった機能でもあると同時に、ネットワーク効果を最大化しユーザーを拡大する仕掛けにもなる。契約書を敵対した関係性で作るのではなく、共同でドキュメントを作成するような感覚で作ってもらえるようにHubbleをもっと浸透させていきたい」(早川氏)

契約書のバージョン管理というニッチな領域に絞ったプロダクトはないものの、顧客のニーズによっては導入検討時にクラウドストレージサービスの「Box」や契約マネジメントサービスの「Holmes」と比較されることもあるそう。

他のサービスに比べるとHubbleは特化型で用途は限られるが、今の所はこれまで通り「(クラウドサインやDocuSignなど)API連携によって他の領域の優れたサービスとシームレスで繋げられるような環境を整えつつ、多機能化はせずニッチでも尖ったサービスを目指す」方針だ。

「何かに尖っていないと、使ってもらったお客さんに『このプロダクトは使いやすいから他の部署にも広めたい』とは思ってもらえない。自分たちの理想は全ての契約書がHubbleを使って交渉されて、履歴もきちんと管理されていくこと。それに向けてより尖ったプロダクトを作っていきたい」(早川氏)

紙の契約書にまるでクラウドのような体験を、法務書類の共有サービス「hubble」に新サービス

最近、TechCrunch Japanでも「リーガルテック」と呼ばれるサービスを紹介することが多くなった。クラウド契約サービスの「Holmes」や、TechCrunch Tokyo 2018のスタートアップバトルにも登場したGVA Techの「AI-CON」シリーズなどがその例だ。

ただその一方で、特に契約書など法務関連の書類はいまだにWord文化が強いとの考えから、Wordとクラウドのあいだの「橋渡し」を担うリーガルテック系サービスを開発するスタートアップがある。Wordドキュメントの共有サービス「hubble」を手がけるRUCだ。

契約関連書類の共有・管理に適したhubbleの特徴は大きく分けて3つある。ローカルのWordファイルを従来よりも簡単に共有・管理できること、ドキュメントの編集履歴やコメント履歴を自動で記録(バージョン管理)できること、そして複数人で同時に並行編集できることだ。保存ボタンひとつで書類を簡単に共有することができ、編集ログも残るので複数人での契約書作成などにも使いやすい。

また、電子契約サービスのクラウドサイン、DocuSign、AgreeとのAPI連携しているため、hubbleで作成した契約書であれば電子契約までシームレスに行うことができる。

hubbleについては2018年7月の先行リリース時にも紹介しているが、その後2018年10月に正式リリース。導入社数などの数字は公表されていないが、サービスへの問い合わせは約300件。上場企業から弁護士事務所まで幅広い法人から引き合いがあり、上場済みのIT企業を中心に導入が進んでいるという。

そのRUCは本日、新サービスの「押印代行サービス」を発表。従来のhubbleはデータ化された契約書を扱うサービスだったが、それに加えて「紙の契約書」の保管・管理業務にも拡大する。

本サービスでは、ユーザーがhubble上のボタンをクリックすると、RUCがhubbleに保存された契約書を印刷し、押印、契約先への郵送および保管までのすべてを一括して代行する。契約先に郵送された書類が押印されて返ってくると、その書類はhubbleにデータとして保存される。そのため、郵送などのアナログな部分はRUCが行うものの、ユーザーは紙の契約書でもクラウドサービスのような体験を得ることができるというわけだ。

RUCはプレスリリース上で、「昨今、日本において電子契約の普及が著しいものの、その普及率は約2割に過ぎない」とサービス開発の背景を説明。紙の契約書でもクラウドのような体験をユーザーに与えることが目標だという。

価格設定などはまだ検討段階だが、月あたり10通を上限として、月額1万円プラス送料などの実費分を課金することを検討している。サービス開始は2019年2月の予定だ。

Wordの法務書類をワンクリックでクラウドに自動共有、履歴管理も自動化する「hubble」が先行リリース

Wordで作ったファイルを複数人で管理していると、やがていろいろな箇所にちらばっていき「最新版はどこにあるんだっけ」問題が発生する。TechCrunch読者のみなさんも、一度くらいはそのような体験があるかもしれない。

特に契約書など法務関連の書類は、IT系のベンチャーでもいまだにWordを使って作成することが多いと聞くから、その共有方法や管理方法はもっと改善できそうだ。

7月2日に先行リリースとなったリーガルテックサービス「hubble」を開発するRUCは、まさにその課題に取り組むスタートアップ。hubbleを通じてWordファイルの共有方法を変えることで、バックオフィスの業務効率の向上を目指している。

ローカルのWordを使いながら、クラウドの恩恵も受けられる

hubbleを使ってできることは大きく3つ。ローカルのWordファイルを従来よりも簡単に共有・管理できること、ドキュメントの編集履歴やコメント履歴を自動で記録(バージョン管理)できること、複数人で同時に並行編集できることだ。

hubbleではPC上で編集したWordを、保存ボタンひとつでクラウドに自動共有できる仕組みを構築。そのため毎回いちいちファイルをダウンロードしたり、アップロードしたりすることもなく、常に最新版がhubbleに残る。最大の特徴は「ローカルのWordを使っているけど、クラウドの恩恵も受けられる」(RUCのCEO早川晋平氏)ことだ。

「弁護士事務所や企業の法務部にヒアリングをしてみてもWordの文化が根強く、そこを一気に変えるのは難しい。GoogleドライブやDropboxのような使い勝手をいかにWordでも実現するかを追求してきた」(早川氏)

特に複数の契約書や法務書類を扱うようなフェーズの企業では、ファイルがチャットツールやGmailなど複数のチャネルに散らばってしまうことも多い。hubbleは特に難しい操作や面倒な作業なく、ファイルを保存さえすれば最新版が常に一箇所に集約されることがウリだ。

書類の作成や編集はなじみのあるWordを呼び出して実行。ファイルを保存すると最新版が自動でhublle上に共有され、ローカルには何も残らない

契約書や利用規約の作成過程を蓄積

早川氏によると現在クローズドな形で複数の企業(弁護士事務所や企業の法務部など)がhubbleを導入しているそう。そこでファイルの自動共有機能に加えて反響があるのが、バージョン管理機能だという。

hubbleではブランチと呼ばれるコピーのようなものを作ってファイルを作成し、そのファイルを原本(マスターブランチ)に統合するというフローを採用。毎回の変更履歴は編集者の名前とともに自動で記録されるため、必要に応じてこれまでの道のりを振り返ることもできるし、ファイルにコメントを入れることで変更の意図も確認できる。

たとえばサービスの利用規約を例に考えてみたい。複数人で利用規約を作る場合、メンバー間でその都度フィードバックしながら内容を磨いていくことが多いはずだ。法律の改正や機能の追加があった場合には、本文をアップデートすることもあるだろう。

その時に「誰が、どんな意図で編集したのか。どんなことを考慮する必要があるのか」といった情報が一箇所にまとめられていた方が、内容に手を加える際にもスムーズに進むはずだ。

「法務担当者が変更になってしまった場合、利用規約や契約書がなぜ現在の内容になっているのか、どのようなリスクがこれまで検討されてきたのかが新しい担当者にはわからない。hubbleを見れば作成過程をナレッジとして残すことができる」(早川氏)

変更部分(差分)もわかりやすい仕様になっている

それ、GitHubなら簡単にできるかも

RUCは2016年4月の設立。CEOの早川氏はもともと会計事務所の出身だ。ちょうどその頃にマネーフォワードやfreeeの手がけるプロダクトが界隈でも広がり、業務効率が大きく向上する場面を目の当たりにしたのだという。

「専門スキルのある会計士が領収書の入力に時間をかけているのはもったいない。専門家の方々が本来やるべき仕事により多くの時間を使えるように、その他の業務を簡単にするサービスを作りたいと考えた」(早川氏)

CTOの藤井克也氏がAI領域に詳しかったこともあり、最初は紙の書類をスキャンして保存すると、自動で整理してくれるプロダクトを考案。2017年7月にはANRI、TLM、CROOZ VENTURESから資金調達もして開発を進めていたが、データの不足などいくつかの課題もあり、そこから軌道修正をしてhubbleのアイデアに行き着いた。

hubbleのきっかけは、現在RECのCLO(最高法務責任者)で当時は同社の顧問弁護士だった酒井智也氏とのブレスト。酒井氏から「書類のバージョン管理に困っている」という話を聞いた早川氏が、「GitHubのような仕組みがあれば簡単にできるのに」と思ったことから具体的にプロジェクトが始まったのだという。ブランチの概念などはまさにGitHubからきたものだ。

数千万円の資金調達も実施、8月の正式リリースへ

RECでは2018年6月に既存株主のANRI、CROOZ VENTURESから数千万円を調達。まずは書類管理などに課題を抱えているようなステージの企業の法務部と、スタートアップ企業の2軸を中心にhubbleの導入を進めていく。

なんでもスタートアップに関しては、CLOの酒井氏が以前あるM&A案件に携わった時、事業は評価されているものの「契約書の管理などがきちんとされておらず、法務のリスクからバリエーションが下がってしまった」ことがあったそう。

将来のエグジットも見越して初期からhubbleを導入してもらうことで、「全ての法務書類がhubble上できちんと管理されている」という使い方を広げていきたいという意向もあるようだ。

本日より問い合わせベースで少しずつ企業への提供を開始。ユーザーの反応も見ながら、8月を目処にWeb上での正式リリースを予定している。機能面については現状のものに絞って強化しつつ、他サービスとのAPI連携に取り組みながら利便性の向上を目指す。

「(社員数が数名の)自分たちですら、ファイルがどこにいってしまったのか探すのに時間がかかるということはありがち。同じような課題を抱える企業のバックオフィスをサポートしていきたい。まずは契約書などの管理や内容調整ならhubbleという立ち位置の確立を目指していく」(早川氏)