Kiip、開発者向けに続き広告主向けにもセルフサービスモードを提供開始

Kiipが広告プラットフォームのセルフサービス版を全世界の企業に公開した旨をアナウンスした。

Kiipが何なのかよく覚えていないという人のために書いておこう。Kiipとはモバイルデバイス上で「景品」(reward)を提供し、それにより広告効果を狙うという仕組みを運営するプラットフォームだ。モバイルゲームの利用者がレベルクリアをしたときなどに、そのご褒美として「景品」を提供する。消費者の気持ちが盛り上がっているときに、タイミングよく広告(景品)を提供するわけだ。

(訳注:タスク管理のAny.DOもKiipを活用している)

Kiipは昨年からディベロッパー向けにセルフサービス機能の提供を開始していた。また5ヵ月前からはとくに選んだ広告主を対象として、広告主向けのセルフサービス機能もテスト的に提供していた。以来、Hulu、Hotels.com、Lyft、Beachmint、そしてHomejoy等、TechCrunch読者には耳馴染みの企業と広告運用を行ってきていたのだそうだ。

今やKiipは1,500のアプリケーションで利用されており、リーチするユーザー数は7000万人となるのだそうだ。テスト中の広告エンゲージメント率は5ないし7%となっていて、またメールの開封率は30%を超えていたとのことだ。

共同ファウンダー兼CEOのBrian Wongは次のように言っている。

広告代理店を経由するPepsiやMcDonaldなど大企業にもKiipを使ってもらっています。但し、セルフサービスで利用してくれている広告主の方がより高いコンバージョンレートを記録しているようです。もちろん状況を分析したり、また新たに広告を出稿するためのシステムも用意してあります。

セルフサービス版の提供を開始するまで、Kiipへの出稿は広告代理店を経由するものがほとんどだった。しかし契約ベースで広告を出稿してもらうよりも、必要なときに必要な人に自由に出稿してもらうセルフサービスモードでこそ、「Kiipをより多くの人に使ってもらえるようになり、また国際展開もやりやすくなると思うのです」とのこと。

繰り返しになるが、広告主に対するセルフサービスモードの公開は全世界に向けてのものであり、どの国からの広告出稿も可能になっているとのことだ。

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(翻訳:Maeda, H


子供のアート作品をクラウドに残せば、Kiipを使った「ご褒美」を受け取れるるCanvsly

iPhone用に、Canvslyというアプリケーションが登場してきた。これは、子供の「アート作品」を写真に撮って保存およびシェアしようという目的に利用するアプリケーションだ。既にママブロガーたちの注目を集めつつあるArtkiveと、直接の競合となるサービスだ。しかしサービスの内容をよく見ると、大きく異なる部分もあることがわかる。子供アート作品を登録していって、一定のマイルストーンに達する度にリアルないしバーチャルな「ご褒美」(リワード)がもらえるのだ。

そもそもの発想はArtkiveと同じだと言ってよかろう。子供の「作品」を捨ててしまうことに罪悪感やもったいなさを感じる人は多いが、そういう人たちにデジタルアルバムで思い出を残してもらおうとしているわけだ。Artkive同様に子供ごとにプロフィールページを作成して、そこにお気に入りの作品を登録していって、ギャラリーを作成することができるようになっている。

スタートアップ企業の技術コンサルタントとしての経歴ももつファウンダーのAmit Murumkarは、子供時代に自分でいろいろな「作品」を生み出していた経験から、このアプリケーションを考えだしたのだそうだ。「学校の発表会レベルではありますが、何度も賞をもらいました。ただその頃の『作品』は何も残っていないのです」とのこと。

大人になってみて、そうした子供時代の「作品」をすべてとっておくことは不可能なのだと理解した。しかし3歳の子供の父親として、娘の思い出を一瞬のものとして消してしまいたくはないと考えるようにもなった。

そうして立ち上げたCanvslyには、同じようなターゲットを狙うArtkiveとは大きく異なる点がある。たとえばCanvslyは「ソーシャル」面により重点を置いている。シェアすることで家族や友人の注目を集める仕掛けに力点が置かれ、コメント機能や「いいね」機能(Canvslyでは「high-five」という名前になっている)も実装されている。

また、長く使い続ける中でさまざまな「ご褒美」獲得の機会も用意されている(最もたくさん投稿した人や、最も多く「high-five」と獲得した人には「artist of the month」の称号が与えられる)。「ご褒美」には、アプリケーションの世界に存在する「バッジ」のようなものもあるし、またKiipを使った「リアル」世界で通用するものもある。実のところCanvslyは2013 Kiip Build Fund Creationアワードも獲得している(Kiipをご存じない方のために説明しておくと、無料の製品サンプルなどをご褒美としてアプリケーションの利用者に対して提供する仕組みを構築するサービスだ。提供しているプロダクトにはギフトカード、MP3のダウンロード権など。何らかを「達成」するためのアプリケーションにおいて、褒賞システムとして多く利用されている)。

尚、Artkiveの方はフォトブック機能も実装するようになった。Canvslyは、今のところはフォトブック機能を提供していない。その代わりに写真を使った25種類に及ぶ小物類の提供を行っている。マグネット、マウスパッド、コーヒーマグ、ウォーターボトル、ポストカードなどといったものに「作品」写真を貼り付けて提供しているのだ。

アプリケーションが登場してきたのは1週間ほど前のことだ。宣伝もFacebookを使ってほんの少しだけ行なったにすぎない。したがって、まださほど多くの注目を集めるにはいたっていない。しかし地元の幼稚園や絵画教室などで紹介するといった地道な活動を通じて、口コミによる利用者拡大をはかろうとしているところだ。

私自身、3歳の子供の親である立場から、双方のアプリケーションを使ってみた。ただ、以前ArtKiveを試したときに感じたのと同じ不満をCanvslyに対しても感じてしまった。双方ともに、「作品」の登録に手間が掛かり過ぎるのだ。

たとえば、Canvslyでは登録作品にタイトルを付けることが必須となっている。ときに、子供の作品がいったい何を描いたものなのかわからず、タイトルに困ることもある。これは改善点ではなかろうか。また、双方ともに過去の写真を登録して、それをタイムスタンプにしたがって整理するという使い方ができない。

現在では、子供の「作品」とっておこうと考えるママ(ないしパパ)は、まずスマートフォンで写真を撮っておき、しかる後にFacebook、Google+、Flickr、Shutterflyといった一般的なクラウド環境に保存しておくというのが一般的スタイルになっている。こうしたソーシャルサイトが簡単に使える中、Canvslyのような「ニッチ」サービスが生き残っていくためには、「ご褒美」の仕組み以外にも、利用者を惹きつけるアイデアがより多く必要になってくると思う。

Canvslyはニュージャージー州プリンストンにて、個人提供のサービスとして成長を目指しているところだ。試してみようという方はこちらからダウンロードできる。

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(翻訳:Maeda, H)


Kiipの報奨システムを統合したAny.DO。To-Doアプリに愉しみを実装し、習慣化を企図

To-Doリストが好きだという人は、もちろんAny.DOをご存知のことだろう。この分野中、大いに注目を集めているサービスで、つい先日も350万ドルの資金を調達したばかりだ。さらにサービスの質を向上させていくのに資金を活用していくそうだ。ところでこのAny.DO、さらなる進化を目指してKiipの報奨プラットフォームを組み込んでいる。To-Doを達成すると「ご褒美」を受け取ることができるのだ。

これはAny.DOにとってもKiipにとっても面白い試みだといえよう。Kiipは利用者が何かを達成した際に、広告主からのプレゼントを配布するためのプラットフォームで、多くはゲームで利用されている。To-Doアプリケーションというのは従来と比べて少々変わった世界であり、Kiipの可能性を拡げるものともなる。Any.DO側の狙いについては、同社のファウンダー兼CEOであるOmer Perchikが次のように述べている。すなわち、「ご褒美」の仕組みを組み込むことで、利用者のタスク管理作業に対するモチベーションを上げようとしたのだ(訳注:Kiipの仕組みについてはこちらの記事などもご参照ください)。

Kiipはゲームやフィットネスアプリケーションのみならず、To-Doリストアプリケーションの利用中に生じる「モーメント」(何かを達成した喜びの瞬間)においても利用できる。PerchikはAny.DO自体をゲーム化するのではなく、その「モーメント」をKiipと繋ぐことによってマネタイズをはかり、そして利用者のエンゲージメント向上を狙ったわけだ。

「日常の習慣を形成するにはポジティブな動機付けループが必要になります。この面でKiipは非常に役立つ仕組みを提供してくれるのです」とPerchikは述べている。Kiipをアプリケーションに組み込んで以来、Any.DOの利用者は250万件に及ぶ「ご褒美」を受け取っているのだそうだ。利用者が何かを達成した瞬間に「ご褒美」を提供することにより、利用者の「達成感」とブランドないしプロダクトが結びつくこととなる。広告提供ブランドにとっても、利用者から非常に好意的な反応を引き出すことのできるチャンスとなるわけだ。

「ご褒美」を受け取った利用者が「満足」できるのも良いところだ。受け取った「ご褒美」をツイートする利用者もいる。これについてはよく考えてみて欲しい。利用者が、自分の元に流れてきた広告を、喜びを持ってツイートしているのだ。こういう好感ループがあるので、多くの開発者がマネタイズプラットフォームとしてKiipに注目しているわけだ。バナー広告により、利用者のエクスペリエンスを邪魔するのとは、全く違ったアプローチであると言える。

Kiipはこれまでに1530万ドルの資金を調達している。そして、従来利用されていた「インプレッション数」などにより測定される旧来の広告システムとは異なる仕組みを提供しようとしているのだ。すなわちKiipでは、利用者にどういう行動を促すことができるかという観点から広告を考えている。利用者、開発者、そして広告主のそれぞれの立場を考えつつ、利用者に行動を促すための仕組みを構築しているのだ。

Uberの利用券など、利用者に役立つ「ご褒美」を提供することで、Any.DO側とすれば利用者の習慣を学習する機会を得ることができる。またアプリケーションを使おうとする利用者のモチベーションを高めることにもなる。「広告らしくない広告」の正しい実現方法があるとするなら、Any.DO + Kiipがまさにそこを狙っているのかもしれない。

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(翻訳:Maeda, H)