Leap Motionの立ち位置はずっと微妙である。彼らは手の動きをリアルタイムに追跡するコンピュータービジョンに注力し、1億ドル以上の資金を調達したが、そのこと自体は大変上手く行っている。ただ、彼らの仕事は常に説得力のあるデモを生み出して来たものの、8年が経って、会社そのものはまだデモの段階を抜け出せていないように感じる。
本日(4月9日)サンフランシスコを拠点とするスタートアップは、AR/VR世界での野望を広げようと、新しい拡張現実ヘッドセットを発表した。なおこれは直接的な製品化を狙ったものではない。Project North Starは単なるプロトタイプのリファレンスデザインであるが、その設計書をオープンソースとして公開している。実際にヘッドセットを装着すると、まるで巨大な虫のように見えてしまうものの、これはとても興味深いもののようだ。
スタートアップによれば、この低コストヘッドセットは、量産することで100ドル以下の提供が可能になると言うことである。他のARヘッドセットとの比較を行った場合のコスト削減の要因は、光学系の単純さにある。この形で、多くのいかついVRヘッドセットに対して遜色のない映像を生み出すのだ。120ヘルツで動作する2枚の1600×1440のLCDディスプレイが、ユーザーに合わせて100度の視野を提供する。このヘッドセットにはもちろん、必要なハンドトラッキングセンサーも内蔵されている。
おそらくLeap Motionは、自身のハンドトラッキング技術をデモンストレーションするために必要なセンサーを統合した、広い視野のヘッドセットを必要としていたのだが、その要求にぴったりなものが世の中にないことに気が付いて、自ら製作に乗り出したのだろう。
Leap MotionのCTOであるDavid Holzは、ブログ記事の中で「私たちは、これらのデザインが、新しい実験的なARシステムを触発してくれることを望んでいます。すなわちARシステムがどのように見えるべきかという議論から、AR体験はどのように感じるべきかという議論への移行を促したいのです」と書いている。
同社は過去数週間の間に、数多くの非常に興味をそそるビデオをリリースし、拡張現実感のために同社のハンドトラッキング技術をどのように適用していくかの取り組みについて取り上げている。彼らが披露した内容には強い説得力がある。
Introducing Virtual Wearables pic.twitter.com/LPvknKBlnO
— Keiichi Matsuda (@keiichiban) 2018年3月22日
仮想ウェアラブルを紹介します pic.twitter.com/LPvknKBlnO
Leap Motionは、ずっと私のお気に入りのスタートアップである。なぜなら彼らは揺らぐことのない視線で対象に集中し、結果としてとても素晴らしいものを提供してきたからだ。それにもかかわらず、同社が提供しているものは、開発キットの段階からあまり踏み出すことのない、ハードウェア用のSDKに過ぎない。このことが意味することは、同社が構築するAR機器が他の多くのハードウェアよりも優れているものに見えたとしても、おそらくARヘッドセットマーケットが成熟するには、まだ何年もかかるだろうということだ。
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(翻訳:sako)