Amazonの新ツールが機械学習モデルを支援、少ない画像でオブジェクトを認識

Amazon(アマゾン)は米国時間11月25日、情報が限られている場合でも機械学習モデルを訓練し一連の対象物を理解できる新機能 「Amazon Rekognition Custom Labels」 を発表した。

一般的に機械学習モデルは、犬他の動物との写真を見分けるために大規模なデータセットを処理する必要がある。一方、Amazon Rekognition Custom Labelsでは限られたデータセットを使用し、固有のオブジェクトグループにおける特定のユースケースのアルゴリズムを教えることができる。

Amazonは新機能を発表するブログ投稿にて「機械学習の専門家と、何百万もの高品質なラベル画像を必要とするモデルをゼロから訓練する代わりに、顧客はAmazon Rekognition Custom Labelsを使って画像解析の需要における最先端のパフォーマンスを達成できる」と伝えた。

例えば、特定のユースケースに大きな意味を持つエンジン部品のセットといった、限定された一連の情報を識別するようにモデルに指示できる。このような情報が少ない場合、ほとんどの機械学習モデルでは問題になるが、Amazon Rekognition Custom Labelsは特に少ないデータから学習するように設計されている。何百、何千という画像の代わりに、同機能はオブジェクトの識別を学習するために、10枚程度の画像でも利用できる。

Amazonは過去にACLU株主から、顔識別を手助けするためにAmazon Rekognitionを法執行機関に販売したとして非難を受けている。今回の機能は、同様のテクノロジーをより柔軟な形で提供する。この新機能は12月3日、ラスベガスで開催されるAmazonの顧客向けカンファレンスことAWS re:Inventに合わせて公開される。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

InboxのSmart Replyはユーザーに代わって着信Gmailに返信する―Googleの機械学習は進歩中

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一部では「メールはもう死んだ、次第に滅びるだけだ」と考えられているらしい。しかしGoogleはそう考えていない。高度な機械学習と人工知能テクノロジーをinboxに適用してメールを大きく進歩させようとしている。

Inboxは言うまでもなくGmaiをベースにしたメール・クライアントだが、今回の改良で人々がコミュニケーションを図る方法が改善され、いわばメール体験の効率性を測定するバーが跳ね上がった。今日(米国時間11/3)、Googleが公開したSmart Replyはユーザーに代わって自動的に返事をするテクノロジーで、同社としてInboxに対する最大のアップデートの一つだろう。

Googleによれば、Smart Replyは今週中に一般に利用できるようになるという。機能は概ねこうだ。ユーザーがメールを受け取ると、Smart Replyがその内容を「読む」。そして内容に応じて、予め設定されている3種類の基本的な返信の一つを選んで送信する。返信内容は画面下部に表示される。

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Googlesでこのサービスの開発を担当したエンジニアのBálint Miklósは次のように説明する。「メールの返信をいささか貯めこんでしまうユーザーの場合、Smart Replyはコミュニケーションをたちどころに大きく加速させる。ユーザーは即刻返信のメールを出すことができる」。

「たちどころの加速」の秘密はInboxに設定された短い自動返信メッセージだ。これがSmart Replyの処理の入り口となる。

このアプリはまた使用するにしたがって自ら「学習」する。もしX氏が開発したプロダクトに関する情報をメールで送ってきたとき、ユーザーが何も介入しなければシステムは自動的に「さらに詳しい情報を送ってください」という短いメッセージを返信する。 以後同じ人物から製品情報が送られてきた場合、Inboxはユーザーにいちいちオプションを表示することなく、同じメッセージを(繰り返し)返信することになるだろう。

受信トレイの混雑を解消しようというのは他にも多くのアプリが試みているが、Smart ReplyはTL;DRという小さなアプリを思い起こさせた。これは今はシャットダウンされているEverything.meというAndroidのアプリ・ランチャーの共同ファウンダーの一人が開発したもので、読むのに手間を食う長いメールをメッセージアプリのメッセージのように短く要約し、さらに返信の雛形も提示してくれる。

このアプリもSmart Replyもそうだが、重要な点は、一般ユーザーにとって大量のメールの返信をスマートフォン上で書くのが苦痛だという点にある。そこでこの苦痛を軽減するテクノロジーというのは理にかなっている。

今回のSmart Replyは、モバイル・アプリが次第に認識、予測能力を高めていることの証でもある。他の分かりやすい例としてはAppleのSiriや
Google Nowなどがある。また連絡相手がユーザーの付近に来るとその旨表示するLinkedInのアプリもその仲間かもしれない。スマートフォンの小さな画面での大量の入力を省き、ユーザーにアプリを使いやすいものにさせることが大きなトレンドだ。また入力量だけの問題でなく、こうしたアプリはさらに高度な知能を獲得し、われわれを助ける能力も増大している。

もちろん、デベロッパー側ではこうした方向に努力をせざるを得ないという面がある。スマートフォンのホーム画面アプリのアイコンでごった返すようになると、われわれは使いにくいアプリを開かないようになる。それでもすべてのアプリがやがて知能化していくことは大きな流れだろう。

Googleは長年にわたって大量の優秀な人材を機械学習、自然言語処理、人工知能などの開発の分野に投じてきた。その成果が検索やモバイル・アプリを始め各方面に現れている。

その意味で、Smart Replyは単に Inboxの改良と見るべきではないだろう。2015年5月にこうしたテクノロジーに基づくアプリがInbox始め多数公開された。 Googleはその後も予定を通知するリマインダーや旅行を管理するアプリなど、われわれの生活を「助ける」ソフトを多数発表してきた。こうしたアプリはそれぞれささやかな形ではあるが、われわれが「次にどうすべきか」を教えてくれる。Smart Replyの場合、Googleのエンジニアはディープ・ニューラル・ネットワークのテクノロジーを用いている。これはGoogleの音声認識による検索やYouTubeに適切なサムネールを表示する技術の基礎をなすものだ。Smart Replyのテクノロジーに関してはこちらが詳しい

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

翻訳サービスのUnbabelが翻訳者にヒントを提供するSmartcheck機能を導入

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人間による編集と機械学習を併用する、Y Combinator支援の翻訳プラットホームUnbabelが今日(米国時間9/11)、Smartcheckと呼ばれる新しい機能を発表した。

Unbabekの基本システムは、インテリジェントな翻訳エンジンをベースとする翻訳サービスだ。仕事を求める翻訳者はそこに登録し、翻訳者を探している顧客は言語や専門分野などで検索する。現在は22の言語の45のペア(スペイン語を英語に翻訳、など)をサポートしている。

その機械学習の部分では、翻訳システムがシステム内で行われる翻訳から学習する。翻訳のパターンを認識して、特定の語句の特定の翻訳のされ方を覚え、それを基準として正しい翻訳とそうでない翻訳を見分ける。

UnbabelのCEO Vasco Pedroはこう述べる: “システムが徐々にお利口になっていく。人間編集者の仕事をモニタして、よくある誤訳を見つけるとコミュニティにフィードバックする”。

翻訳料金は語数ベースで、翻訳者の能力は1時間800語以上が期待されている。翻訳者の報酬は時間給なので、Unableとしては速い方がありがたい。そこでスピードアップとエラーの減少の二兎を、Unableは追わなければならない。

そこで登場したのが、Smartcheckだ。この機能は翻訳の過程で誤訳の可能性を指摘するだけでなく、正しい訳のヒントも与える。

Shows example of the Unbabel Smartcheck feature.

“翻訳者が翻訳をしていく過程でヒントを与え、検討を要する部分を高輝度化する”、とPedroは説明する。

指摘は単語のスペルのような単純な問題もあれば、主観的な言い方を避けよ、とか、顧客が求める文体でない、など高度な指摘もある。

システムはこれらのヒントを、翻訳エンジン内の翻訳者の仕事をモニタすることによって習得する。つまり人間翻訳者は機械から教わるが、その前に機械は人間翻訳者から学ぶのだ。

同社の登録翻訳者は今約32000名で、およそ380社が利用している。7月は同社の売上が初めて10万ドルを超えるという、最高記録に達した。

今同社の料金制度は、それまでの月額会費制から、語数ベースの翻訳料へ移行しつつある。

同社はY Combinatorの2014年冬季クラスに参加し、150万ドルを調達した

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa