紫外線でフィルターを自己消毒する透明マスクをHuamiが開発中

新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックでは、中国の製造業企業が次々に新型コロナ対策備品の製造に乗り出すことになった。深圳拠点の電気自動車大手BYDはいち早く世界最大とうたうマスク製造プラントを立ち上げた。杭州市拠点の音声知能スタートアップRokid(ロキッド)は米国マーケット向けにサーマルイメージングメガネを製造している。他にも多くの企業が似たような取り組みを展開中だ。

最新例となるのがHuami(ファーミ)によるものだ。NASDAQに上場しているウェアラブルスタートアップの同社は、Xiaomi(シャオミ)のMiブランドを製造し、また自社のAmazfitブランドのフィットネストラッキングウォッチを世界70カ国超で販売している。TechCrunchによる電話インタビューで、同社は紫外線をビルトインしたシースルーのプラスチックマスクを開発中だと述べた。USBポートを通じて電源につなぐと10分でフィルターを消毒できるというものだ。ただし、紫外線が消毒できるのはマスクの内側だけで、外側はユーザーがきれいにしなければならない。

Aeriのコンセプト。紫外線ライトをビルトインし、USBポート経由で電源につなげると10分でフィルターを消毒できる。

Aeriと呼ばれるマスクは取り外し可能なフィルターを採用していて、このフィルターはN95マスクと同等の濾過能力を持つ。コンセプトが実現すればフィルターは1カ月半使用可能と、サージカルマスクやN95レスピレータよりもずいぶん長く持つ。モジュラーのデザインは呼吸しやすいようファンのようなカスタマイズされたアクセサリーを取り付けることができ、「airy(風通しの良い)」と同音のマスクの名称Aeriはそこからきている。

Aeriの開発は、マスクの装着が顔認証の急速な浸透を妨害するかもしれないという想定で始まった。画像認識を手がける企業は虹彩や鼻尖といった他の顔の特徴を分析できるようアップグレードに取り組んでいる。

Huamiの工業デザイン担当副社長Pengtao Yu(ペンタオ・ユー)氏は、Aeriがマーケットにアピールするものになるかもしれない、という。「人々がスマホを顔認証でアンロックする必要があるかどうかはともかく、他人と交流するときは互いの顔を見たいものだ」とユー氏は話す。同氏はカリフォルニアを拠点とする中国人デザイナーで、Huamiに加わる前はNest Labs(ネスト・ラボ)、Roku(ロク)、GoPro(ゴープロ)、Huawei(ファーウェイ)といったクライアントと仕事をしていた。

研究・開発にフォーカスしているHuamiの米国オペレーションは2014年にスタートし、従業員は現在12人ほどだ。

パンデミック対応の製造に取り組んでいる多くの企業は主要事業で打撃を受けているが、Huamiはなんとか影響を免れている。同社の2020年第1四半期の決算では、純利益は前年の1060万ドル(約11億4000万円)から270万ドル(約2億9000万円)に減ったが、売上高は1億5400万ドル(約165億3000万円)で、前年同期比36%増となった。だが、同社の株価は1月に記録した最高値16ドル(約1720円)から5月中旬には10ドル(約1070円)に下がっている。

HuamiはAeriマスクのプロトタイプに取り組んでいる最中だ。深セン市に置く同社本部にはウェアラブル部門がある。同市はサプライチェーンリソースが豊富なため、アイデアから実際のマーケット投入までハードウェアプロダクトの開発期間は6〜12カ月だ、とユー氏は述べた。

Aeriはまだ初期段階にあり価格は決まっていない。しかし、同氏は医療関係者にアピールするというより、ウイルスに加えて日々の大気汚染から身を守るという世界中の「大衆消費者マーケット」をターゲットとしていることを認めた。Huamiがこれまで、儲けの少ないウェアラブルを製造してきたことを考えると、Aeriがかなり競争力のある価格になるのは何ら不思議ではない。

Aeriプロジェクトは、フィットネスモニターという域を超えてHuamiが総合ヘルス部門に参入するための足掛かりのひとつだ。同社は、ウェアラブルを使った呼吸系疾患追跡でZhong Nanshan(ゾン・ナンシャン)博士のラボとこのところ協業してきた。同氏は新型コロナ対策において中国を代表する人物だ。Huamiはまた、スマートウォッチで作動するウイルスモニタリングのアプリでドイツの公衆衛生当局と協議していることもTechCrunchに明らかにした。

画像クレジット:Huami’s concept of the self-disinfecting mask, Aeri

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(翻訳:Mizoguchi

気化した過酸化水素で除染すればN95マスクも再利用可能に

N95マスクの不足が全国的に続いているので保健医療施設は、COVID-19への暴露の危険性が最も高い医師や看護師を保護するために、マスクの洗浄と再利用するための方法をなんとか見つけ出そうとしている。

デューク大学は、過酸化水素を使ってマスクの除染する方法を発見したと考えている。

このプロセスでは特殊な装置を使って過酸化水素を気化させ、その蒸気をマスクのすべての層に通して、その素材を劣化させずにウイルスも含め殺菌する。

同大のバイオセーフティー実験所の副所長であるScott Alderman(スコット・アルダーマン)氏は、声明で 「これは我々が長年使ってきた除染技術だ」と言っている。

同大の労働環境安全室のディレクターであるMatthew Stiegel(マシュー・スティーゲル)氏によると、は有効性が証明されており、3つの大学病院のすべてで利用を開始する予定だという。

病院は常に新しいマスクを使い、汚染除去の必要がないことが理想的だが、しかし現在は、そんなことを言ってる場合ではない。

デューク大学におけるN95マスクの消毒に過酸化水素を使う決定は、2016年に発表された研究に基づいているが、マスクの不足でなかったこともあり広く普及していなかった。またこれまでの研究では、クリーニング後のフィットなどは行われていなかった。しかし今回、同大学では実際の現場でその実用性のテストを行っているという。

医学博士で准教授、そして感染症の専門家でもあるCameron Wolfe(キャメロン・ウルフ)氏は「必要不可欠なN95マスクを再利用できれば、深刻なマスク不足に陥っている現在も、最前線で働く医療従事者を保護する能力を高めることができる」という。

Duke University Health SystemのMonte Brown(モンテ・ブラウン)氏は、このテクニックを学外にも広めたいと言う。彼によると、いくつかの医療システムと製薬企業には必要な装置がすでにあるが、現在は他の目的に使われている。しかしそれぞれの地元病院の支援に向けることは可能だとのことだ。

さらにブラウン氏は「我々がスタッフの前で、確信を持って何年も前に実証された除染方法を使ってることを言うことができた。これだけでは問題は解決しないが、今の不足状態の中ではマスクを一度か二度再利用できるだけでも大きな利益になる」。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

人の感情に反応して動く3Dプリントで作ったソフトロボットのマスク、でも一体何のため?

この奇妙奇天烈なマスクは、キティーちゃんと人の顔に貼り付いて血を吸うエイリアン(face-hugger)のあいの子みたいだが、ソフトな電子回路と着色した液体でできている。これはSirou Peng, Adi Meyer, そしてSilvia Ruedaらの修士論文のプロジェクトがベースで、ハーバード大学のSoft Robotics Toolkitを使用している。

マスクは着用者の顔の各部に対応し、筋肉センサーMyowareを使って、笑ったり、眉をひそめたり、心配したりしたときのパターンを判別する。そしてマスクが感知した感情に応じて、毛細管から液体を射出したり吸ったりする。それによって、マスクの装着者が今何を感じているかを、非常に奇妙な形で表す。

なんでこんなものを? うーん、Burning Manはもう終わっちゃったから、次はハロウィーンで使えるかな。それ以外では、自分の感情を多くのオーディエンスにブロードキャストすることに使えるだろう。 そう、世界は3Dプリントされたソフトロボットのシリコン製マスクだ、ということわざもあったよね。

自分で作ってみたい人は、ここへどうぞ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))