Sony若手チームが「物のメッシュネットワーク」でクラウドファンディング…”事前知名度”をねらう

昨年、シンプルなeペーパースマートウォッチをクラウドファンディングしたSonyが、またIndiegogoにプロジェクトを出している。どうもSonyにとってクラウドファンディングは、新しいアイデアの有効性を、宣伝しながらテストする試験紙なのかもしれない。

その最新のプロジェクトMeshは、すでに目標額の半分近い22000ドルを集めている。それはセンサを使うDIYのためのプラットホームで、複数のデバイス上のセンサはBluetoothで互いに通信し、またiPadのアプリとワイヤレスで対話する。それら物のネットワークの機能を、アプリのドラッグ&ドロップインタフェイスで構成する。その用途例は、Indiegogoのページの最初の方に書かれている。

MeshのセンサコンポーネントはTagと呼ばれ(上図)、LEDと動き検出センサとワイヤレスのボタンとデジ/アナ入出力用のGPIOなどが用意されている。システムはそこから、対象デバイス(照明器具、モーターなど)のセンサと対話することになる。

またソフトウェアのTagもあり、たとえば天気予報のサービスからアラートを送ったり、カメラやマイクなどタブレット上のハードウェアを使ったりする。

複数のMesh Tagが接続され、iPadアプリで構成される。アプリのインタフェイスがシンプルなので、複数のTagが接続されたプロジェクトを技術者でない人でも作れる。またMeshのSDKがあるので、デベロッパは独自のソフトウェアTagを作って、より高度なカスタムプロジェクトを作れる。

いわば複数の多機能なTag群をメッシュネットワークで接続して一つのプロジェクトを仕上げるのだが、具体的にはどんなプロジェクトだろうか? Sonyが例として挙げているのは、たとえば、ドアが急に開いたらその瞬間に、びっくり顔の自己像を撮る写真撮影システムとか、何かが持って行かれそうになったら通知をするシステムなどだ。あるいはゲーマーの動きをTagが感知して、それにふさわしい効果音を発する、とか。要するにいろんなTagを組み合わせた作った一つのメッシュネットワークが、特定の、ユーザやデベロッパが狙った機能を発揮するのだ。アイデアやニーズは、無限にありえる。

クラウドファンディングの目標額が得られれば、Meshのキットは5月にまず、合衆国と日本で発売される。Indiegogoの支援者なら、ベーシックなキットが105ドル、GPIO Tagはやや高くて、別途55ドルだ。

過去に類似製品として、ワイヤレスのセンサキットSAMや、デベロッパ向けにはrelayrのWunderBar、健康とフィットネス専門のBITalinoなどがあった。しかし何よりも興味深いのは、今回のように消費者電子製品の大企業が、クラウドファンディングに頼るスタートアップのような形で、社内の創造性を育てようとしていることだ。

MeshのチームはIndiegogoのページ上で、“Sonyの社内起業育成事業から生まれた熱心な技術者たちの小さなチーム”、と言っている。Bloombergの記事によると、Sonyは昨年から、既存の組織分けになじまないような新しいプロジェクトを見つけて、スピーディーにそれらを育てるための、新しい部署を作った。いわばSonyの社内の起業家的社員たちが、Sonyという名の社内VCにアイデアを売り込んで、必要な資金とともにゴーサインをもらう、という形だ。最初のアイデア売り込み大会は、昨年6月に行われたそうだ。

このMeshも、その最初のピッチ大会から生まれて、その後のプロトタイピング等により実現のめどが立ったので、今年の前半までに製品化できる、という確信を持ったのだろう。クラウドファンディングの目標額は5万ドルで、期限まであと53日ある。

でも、Sonyほどの有名大企業が、なぜクラウドファンディングを頼るのか。それは、このところ企業イメージがひたすらダウンしている旧タイプの古参企業が、スタートアップ全盛のこの時代に、そういう新しい世界の一員になって、AppleやSamsungに負けないフレッシュな企業イメージを確立したいからだ。言い換えるとクラウドファンディングを利用することによって、Sony自身からも体にたまった垢が落ち、自分自身も、若い熱心な技術者チームが引っ張る若い企業になれる。少なくともイメージ的には。

しかもクラウドファンディングには、資金が得られるだけでなく、コミュニティが形成されるメリットがある。そこでは彼らは、エリート企業のエリート社員ではなく、ふつうの若者として、コミュニティの一員になれるのだ。しかも、忌憚のないフィードバックが、無料で得られる。

“Meshをさらに良くしていくための、どんなアイデアでも歓迎します。あなたならどんなものを作るか、それを知りたいのです”、とチームはIndiegogのページのオーディエンスに語りかけている。

Sonyという老朽企業が、滝に打たれて若返るための、謙虚な修行の場。それが、彼らにとってのクラウドファンディングと、スタートアップ界隈のコミュニティだ。それは、世の中に対して教える企業から、世の中から教わる企業への、180度の変身だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Google Glassはインターネット接続が面倒, メッシュネットワーク(Open Garden)を使えば簡単

サンフランシスコのOpen Gardenは、AndroidやWindowsやMacなどのユーザ同士がメッシュネットワークを作ってインターネットに接続するためのサービスだ。ここが今日(米国時間5/14)、Google Glassもそのメッシュネットワークに加われるようになった、と発表した。Glassのユーザはテザリングプランを使ってインターネットに接続することが多く、そのために携帯のキャリアに毎月20ドルぐらい払うことになるから、メッシュの意義は大きい。Open Gardenを使うと、余計な料金を払うことなく自分の携帯に接続できるようになる。

Open Gardenの協同ファウンダでCEOのMicha Benolielによると、Glassのユーザがインターネットに接続するためには、そのほうがずっと楽である。通常は、WiFiアクセスをセットアップするためにGoogleのコンフィギュレーションページへ行き、GlassでQRコードをスキャンしてWiFiに接続する。家でなら、GlassとスマートフォンをBluetoothで結ぶ方法もある。しかしBenolielによると、OpenGardenなら自動的にインターネットに接続するから面倒な手間がまったくない。

“これからは、Android OSを使ったウェアラブルデバイスがいろいろ出てくるだろう”、とBenolielは言う。“Google Glassもその一つだ。Open Gardenはそういう機器のユーザ体験を強力に支え、機器がインターネットに常時接続しているためのデフォルトのソリューションになりえる”。

CTOで協同ファウンダのStanislav Shalunovも、同じことを言う: “GlassでOpen Gardenを動かし、メッシュネットワークを作れば、Glassの全ユーザが、インストールとか接続とか構成など面倒なこといっさい不要で単純にインターネットを使える。そのためには、Googleがその気になってくれるだけでよい”。今の市場動向の中で、果たしてGoogleがそれを許容するか、それが問題だ。

昨年のTechCrunch Disrupt NYでデビューしたOpen Gardenは、今ではそのソフトウェアを250万あまりのユーザがインストールしている。Open Gardenはまた、KicksendTextMeなどのアプリデベロッパが、そのリーチを拡大するために利用している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))