3Dプリントした部品などの表面を安全に平滑化するZortraxのApoller平滑システム

ZortraxApollerは、同社がSmart Vapor Smoothing(電脳気化平滑)と呼ぶデバイスで、3Dプリントされたオブジェクトの表面を溶剤を使ってなめらかにする。その結果、製品は射出成形で作った品物のようになり、FDMプリンティングに必ずある細いラインがなくなる。

そのシステムは電子レンジのようなボックスの中で複数のパーツを一度に処理できる。そのボックスの中で、霧状にした溶剤でパーツを覆い、溶剤にその仕事をさせる。終わったら、残った霧状溶剤を回収室に吸い取る。溶剤が少しでも残っているとボックスのドアが開(あ)かないので、人間が大量のアセトンを吸い込むおそれがない。デスクトップで使うデバイスであり、クリスマスパーティーをやってるオフィスの空気中に溶剤の雲が生ずる危険性もあるので、このことは重要な配慮だ。

同社の説明より: “霧状溶剤で平滑化したものは、射出成形で作ったパーツのように見える。使ったフィラメントによって、表面はつやがあったり、マットだったりする。二段階濃縮により、300ミリリットルの溶剤で複数回のプリント結果を平滑化できる。そのため、場合によっては、典型的なFDMプリンター4台の一週間ぶんの出力を一日で自動的に平滑化でき、しかも質的劣化はない”。

FDMプリントは構造的にちゃちっぽく見えることが多いから、この平滑化は一種の化粧処理であり、たぶん理論的には、3Dプリントしたパーツからモールド(型)を作ることができるだろう。実際には、アセトンで平滑化したパーツは、つやつやして外見が良いから、これから射出整形やフライス盤などで作る最終製品の姿を正しく理解できるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Amazonの60ドルのAlexaレンジを近くで見てみた

Amazonは今日のイベントで、21世紀の電子レンジはほとんど変わっていない、とひとこと指摘した。おそらくそれは、遍在するこの家電製品に対する正当な批判だろうが、Amazonbasics Microwaveは、スペースエイジテクノロジーというよりは、Alexaをさらにキッチンに呼び込むための製品といえるだろう。

昨年のEcho Buttonsと同じく、この製品も社内のリファレンスデザインとして出発した、と同社は言う。言い換えれば、Amazonは単なる消費者向け電子レンジを作ろうとしたわけではない。むしろ同社は、Amazonbasicsの低価格製品群にこれを加えたことを喜んでいるように見えた。

最後の部分には説明が必要だろう。これは、なんといっても60ドルの製品だ。多くのハイエンド高級レンジにある便利な機能はついていない安物の電子レンジなので、もしリフォームしたての新しいキッチンに置くための素敵な新商品を探しているのなら、残念だがマリオ、きみの電子レンジは別のお城にある。

新商品の狙いは何よりもまず利便性であることは、同社がポップコーンのDashボタンをレンジそのものに組み込んだことから明らかだ。「笑ってもらって結構」と壇上の担当者がこの純然たるばかばかしさを認めた。そうは言っても、電子レンジ本体にEコマースを統合するなら、ポップコーンは何よりも適した出発点に違いない。

この製品を作るためにはAmazonの裏方が大きな仕事をする必要があった。実は、Wi-Fi信号と共存する電子レンジの設計は極めて困難だ。意味はあるものの、おそらくGeneral Electricに勤めていない限り本気で考えることはないだろう。どうしてもWi-Fiが必要なのは、”Ask Alexa” ボタンがついているにもかかわらず、このレンジがアシスタントを呼ぶためには、Echoなどの外部ハードウェアが必要だからだ。

つまるところ、この電子レンジは…ただの電子レンジだ。そして、低価格製品を目玉商品やリファレンスデザインとして市場に送り出すことで、サードパーティーが独自ハードウェアを開発するよう仕向ける同社の方針に沿っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アシックス、マイクロ波を利用してカスタムミッドソールを15秒で作成

ここ数年のハイテクスニーカーは、Nikeの自動ひも締め靴やAdidasの3Dプリントミッドソールの実験から 生分解性の糸まで目覚ましい発展を見せている。こうした最先端技術競争にはあまり関わってこなかAsicsが、魅力的な新製造プロセスを提供する。

台湾のTayin Research & Development Co.と共同開発したこの新技術は、カスタマイズ性と比較的持続可能な靴製造ソリューションという、衣料業界で共存が難しいとされる2つのコンセプトを提供する。Asicsによると、本方式はマイクロ波が生成する熱を使って様々な材料を溶かし合わせて靴底の中間部分(ミッドソール)を作る。

新技術はまだテスト段階にあり、Asicsはごくわずかな部分を公開しただけだが、計画通りに運べば小売店で展開される可能性はある。同社はどこかの段階で実際のマイクロ波製造装置を店舗に配置して客が自分でカスタムシューズを選べるようする計画だ。これは現在Adidasがニューヨークの旗艦店で行っているカスタマイズと似てなくもないが、加工プロセスは最低15秒で終わるので、店内を見回る時間を著しく減らすことができるはずだ。

これは多くの会社がスニーカーの開発に使おうと研究している3Dプリント方式と比べても大幅な時間短縮だ。また、現在同社が使用しているミッドソール製造技術と比べてエネルギー消費を90%近く削減できる。

今のところAsicsは、上に貼ったチーズの塊のようなビジュアル以上の情報は提供していない。スケーラビリティーもかなり大きな問題だ。将来は「一部のフットウェア店舗」で展開すると同社は言っているが、3Dプリントと同じく、少なくとも当面は限定ノベルティ商品になりそうだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook