Momentusが4K解像度の無料衛星ライブストリーミングサービスへ衛星打ち上げへ

宇宙輸送スタートアップのMomentus(モメンタス)は、英国の衛星テレビ放送会社のSen(セン)が4K解像度のリアルタイムビデオストリーミングサービスを構築するために、宇宙への輸送と展開を提供する新しい契約を提携した。Senは、個人向けに無料、開発者とサービス作成者向けにオープンソースのデータプラットフォームを介して、高品質な地球のライブビューを提供する。

米国カリフォルニア州サンタクララを拠点とするMomentusは、打ち上げ後にペイロードを移動させたい衛星会社にサービスを提供する。人工衛星の軌道を変更したり、あるいはSpaceX(スペースX)のFalcon 9のような、他のロケットに搭載されたペイロードのラストワンマイルの輸送を提供したりできる。

Momentusは軌道上での転送のVigorideを使用して、Senの衛星を軌道に乗せる予定だ。水プラズマベースの推進機のVigorideは年内に最初の試験飛行を行い、2021年までの実用化を目標としている。そして2022年にはSenのためにミッションを実施する。

Senの技術では、複数のカメラを搭載した小型衛星からの映像を提供し、最終的にはMomentusが打ち上げる最初の5機の衛星で構築されたコンステレーション(衛星システム)全体が運用される。この映像は個人がウェブやスマートフォンのアプリを介して無料で閲覧できるだけでなく、企業向けにプレミアムサービスとしても提供される予定だ。

MomentusはVigorideを打ち上げた後、2022年か2023年はArdorideと呼ばれる新バージョンの装置を計画しており、より大きなペイロードとより高い軌道への輸送、さらには月までの移動にも対応できるようになる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

宇宙のペイロード輸送サービスMomentusがSpace Xのミッションで6スロットを購入

宇宙におけるペイロード輸送サービスのMomentusが、SpaceXのSmallSat Rideshare Programミッションで6個のスペースを購入した。

ミッションには太陽同期軌道への5回の打ち上げと、中高度低軌道への1回の打ち上げが含まれ、Momentusの小型輸送機は打ち上げ後に、顧客のペイロードを指定された投入高度の軌道へと運搬する。

Momentusによると、同社の軌道間輸送機VigorideはすでにSteamjetやNuSpace、Aurora Space Technologiesなどの顧客を獲得している。

Momentusは、増え続ける宇宙でのラストワンマイルシャトルサービスの1つだ。現在、地球を周回する衛星の数は増えているが、それにつれて衛星運用会社にとってはカスタマイズされた、あまり混雑していない軌道の選択肢が増えることになる。

Momentusの最高経営責任者ことMikhail Kokorich(ミハイル・ココリッチ)氏は声明で、「我々は、Falcon 9のライドシェアがより画期的なものになることを示したいと考えている。1回の打ち上げで複数の軌道にペイロードを運ぶことで、宇宙へのアクセスに革命をもたらし、システムの能力が倍増する」と述べた。

Momentusによると、Vigorideはさまざまな高度、軌道に最大300kgの貨物を投入できるという。またSpace Xのライドシェアの顧客は、シャトルサービスを利用することで中間傾斜軌道や太陽同期軌道の場合、高度300kmから1200kmまでの範囲で軌道を指定できるという。

顧客にとってこの機能は、監視を同期化、つまり衛星が特定の場所の画像を同じ時刻に取得できることを意味し、その分析やデータの管理を容易にする可能性がある。

MomentusはこれまでにMountain Nazca、Quiet Capital、Y Combinatorなどから5000万ドル(約52億円)のベンチャー資金を調達している。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

ベゾス、Blue Originの月植民計画と着陸船を公開

今日(米国時間5/9)、ホワイトハウスからほど近いワシントンの会場で、Amazonのファウンダー、ジェフ・ベゾスが2024年までに有人月旅行を実現する計画の詳細を発表した。聴衆にはプレス、企業と政府の幹部に加えて大勢の中学生も招かれていた。同時にBlue Moonと呼ばれる月着陸船も公開された。

ベゾスによれば月は資源の宝庫だと言う。ベゾスが私費を投じて運営している宇宙企業、Blue Originは、今年中にNew Shepardロケットで有人宇宙旅行を行う予定だ。

イベントのステージは最初に月を歩いた人間、ニール・アームストロング宇宙飛行士の「人類にとって大きな一歩」という有名な言葉をモチーフにしていた。ここでベゾスは「人口が1兆人に達したとき人類はどこに生存のための資源を求めるべきか?」という非常に深刻な問題に答えようとした(こちらはベゾスの過去のビジョン関係の発言)。

宇宙というユートピアに進出する上で最大のハードルは、巨大通販会社のファウンダーとして熟知している問題、すなわちロジスティクスとインフラのコストを実現可能なレベルに削減する方法だ。

ベゾスは「われわれの世代の役目は宇宙旅行のインフラの構築だ。われわれは宇宙への通路を開かねばならない」と述べた。

アメリカ政府機関と特にNASAの研究によれば宇宙への道は月を経由するという。ベゾスが今日のイベントで月着陸船を披露した)理由の一つはそこにある。

アメリカのペンス副大統領はこの3月、国家宇宙委員会(National Space Council)の総会でNASAに対し、「2024年までにアメリカの有人宇宙船を月周回軌道に乗せ、月の南極に着陸させるためにあらゆる手段を活用する」よう指示した。

南極が目的地として選ばれた理由は氷だ。NASAのジム・ブライデンスタイン長官は「われわれの科学者の調査によれば、4.5億トンの氷が月の南極に存在する」と述べている。

月の自転軸の傾きにより南極には太陽の光が射さない極めて低温の場所がある。南極のクレーター中に摂氏マイナス160度という低温により蒸発を免れた大量の氷が埋まっているとNASAの科学者は推定している。氷はロケットの推進剤に利用することができる。

マイク・ペンス副大統領は3月の国家宇宙委員会総会で大統領のコミットメントが裏付けだとしてこう述べた。

今世紀、われわれは新たな野心を抱いて月に戻る。単にそこに行くだけではなく、永久に日照のない南極のクレーターの底の氷から原子力によって水をつくり、酸素や宇宙ロケットの推進剤を得る。そうした補給があればわれわれの宇宙船は数年ではなく数ヶ月で火星に到達できるだろう。

Y Combinatorが支援するスタートアップ、Momentusは水を推進剤とするロケットを建造中だ。このロケットは原子炉から得られた電力で水を加熱し、水プラズマによって推進力を得る。

しかしこれまでNASAの有人宇宙プロジェクトは予算の削減などにより遅延を重ねてきた。月に戻るというのは非常に高価な事業となる。NASAもアメリカ政府も推定金額がどれほどになるか明らかにしていない。(略)

「アメリカは月に戻る」というのは2017年にトランプ大統領が署名した宇宙政策指令1号(Space Policy Directive 1)に基づくものだが、NASA のプランの具体的内容は不明だ。

これがBlue Originが重要な役割を担って登場した背景だ。

今日披露されたBlue Moon月着陸船に加えて、Blue Originは2種類の宇宙ロケットを開発している。New Shepardロケットは低軌道を短時間飛行して宇宙飛行に関するテクノロジーやノウハウの収集を行うことを目的としている。ペイロードを地球周回軌道に打ち上げるのはNew Glennロケットの任務だ。 2021に最初の打ち上げが予定されており、45トンのペイロードを地球周回低軌道に投入できる。ロケットはどちらも垂直着陸によって回収され、複数回利用される。

先週、Blue OriginのNew Shepardは低軌道を弾道飛行して各種の実験を行うことに成功している。これは11回目のミッショだった。New Shepardは成層圏と宇宙の境界である高度100キロメートルまで上昇してカプセルを切り離した後、逆噴射と垂直着陸によって回収された。カプセルは慣性で上昇を続け、こちらはパラシュートによって無事回収された。

ベゾスはこのカプセルを一般人向け宇宙観光旅行にも利用する計画で、昨年のReutersの記事によれば、チケットは20万ドルから30万ドル程度だという。

一方、イーロン・マスクのSpaceXはこれとは異なるアプローチを採用してきた。SpaceXは大型ロケットを開発し、さらに超大型ロケットの開発に進んでいる。同社として「最新、最大のロケット、Falcon Heavyは63.8トンのペイロードを地球周回軌道に投入できるSpaceXではさらに惑星間飛行を視野に入れた次世代宇宙船、Starshipを開発中だ。こちらは100トンのペイロードを低軌道に乗せることができるという。Starshipの最初の打ち上げは2020年に予定されている。.

これ以外にも活動中の民間宇宙企業は数多い。スタートアップとしてはリチャード・ブランソンのVirgin Galacticを始め、Rocket Lab、Vectorなどが打ち上げプラットフォームの開発に取り組んでいる。スタートアップは現在の衛星打ち上げ事業の主流となっているロシアのソユーズ、アメリカのロッキード・マーティンとボーイングの合弁企業ULA、EUのアリアンスペースといった巨大企業のロケットと競争しなければならない。またロケット以外にも衛星、着陸船、制御システムなどの重要部分を開発、製造するスタートアップも多数現れている。

ベゾスはイベントで「月に戻るときが来た。単に旅行するのではなく、われわれはそこに留まるのだ」と宣言した。

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滑川海彦@Facebook

Momentus、水噴射ロケットをマイクロ衛星でテストへ――ロシア生まれの連続起業家、新テクノロジー開発

Y Combinatorが支援するロケット・テクノロジーのスタートアップ、 Momentusのファウンダー、Mikhail Kokoricの野心は単に月に到達する以上のものだ。Kokoricはロシア生まれで同国を代表する大学の一つ、ノボシビルスク大を卒業した物理学者であり、ソ連崩壊語は連続起業家として資産を築いた。

Momentusのテクノロジーの核心は、ロケットの推進物質として高価な化学薬品ではなく、水を利用する点にある。

画像提供:Momentus

Kokoricによれば水の利用にはいくつもの利点があるという。まず、水は宇宙空間で豊富に入手可能な物質であり、水を噴射薬として利用することは地球外の低重力環境では極めて効果的になる。「化学推進薬で何かを月に送り込むことを考えてみよう。化学推進薬は強力な推進力を得るには適切な方法だ。しかし宇宙船がひとたび地球の重力井戸の外に出れば水のほうがはるかに効果的な推進薬となる」とKokoricは言う。

Phase 4のような会社はマイクロ衛星を定位置に誘導するためにキセノンのような希ガスをイオン化して推進力とする方法を用いている。Kokoricによれば、こうした方法ははるかにコストがかかりであり速度も得られないという。「イオン化推進は静止衛星を定位置に配置するために用いられるが、数ヶ月の時間を要する。水噴射なら半分の時間ですむ」という。

「われわれのテクノロジーを用いれば10トンの衛星を静止軌道にずっと早く送り込むことができる」とKokoricは述べた。

Momentusはすでにドイツを本拠とする衛星打ち上げサービス、ECM Spaceと契約を結んでおり、2019年初頭にマイクロ衛星にこの推進装置を搭載して初のテストを行う計画だ。

最初のロケットはZealと呼ばれ、最高出力30ワットのインパルス・ロケットで持続時間は150秒から180秒が予定されている。

Kororichはロシアで連続起業家として成功を収めていたが、「2011年に私はいわゆる中年の危機に襲われた。そこで私は(長年の関心の的だった)宇宙企業の創立に転じた」という。【略】

Utilisは衛星写真の解析により地下の漏水を探知する

クリミア併合以後のロシアと西側の関係の緊張の高まりに伴い、スタートアップの運営にも多大の影響が出たため、Kokoricはサンフランシスコに移ってアメリカで民間宇宙企業を創立することにした。【略】

それでもKokorichの抗議が功を奏し〔西側の対ロ経済制裁にも関わらず〕、Momentusはロシアにおけるパートナーとの関係をある程度維持することに成功している。
ロシアからの投資はOden Holdings Ltdを通じて行われている。同社に対しKokoricはロシア国外で創立した初の民間宇宙企業、,カナダに本拠を置くHelios Wireを通じて持ち分を所有している。Heliosはブロックチェーン・テクノロジーによってデータを暗号化し、安全な衛星通信のよるIoTの実現を目指している。

Kokoricがアメリカに移ってから2番目に起業した宇宙企業はAstra Digitalという衛星通信サービス会社だった。そして現在のMomentusでKokoricはロケット推進という宇宙ハードウェア技術の革新に挑んでいる。「移動のコストが低下するにつれて新たなビジネスモデルが多数生まれている。Momentusの推進テクノロジーは宇宙旅行のコストをさらに大きく削減する。これにより小惑星における採鉱事業や月の利用などに可能性が広がるはずだ」という。

Momentusのチームの目標は静止衛星の誘導にとどまらず、ビジョンははるかその先に広がっている。

Momentusでは水噴射ロケットのテクノロジーは月往復あるいは他の惑星への往復の基礎を築くはずだと考えている。

〔日本版〕記事には水を「燃料」と呼ぶなどいくつか不正確な表現があり、Koloric自身が投稿して疑問に答えている。Zealはプラズマ推進ではなく、水を推進物質に利用する電気抵抗加熱によるサーマル・スラスターであり、衛星を静止軌道の所定の位置に安定させることを目標としているため、ISP(比推力)はさほど大きい必要はないという。ただしMomentusが開発中のArdoride、Fervoride(一番下のイラスト)はプラズマ推進であり、比推力1000秒以上が実現できると書いている。別のコメントはFervorideのパワーソースは太陽光発電だろうとしている。また水を推進物質に利用する最大のメリットは地表から大重量の推進薬を軌道上に運び上げる必要がなく、月その他低重力の環境で調達できることだと推定している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+