アップルがOprah’s Book Clubシリーズを公開してポッドキャストの活用を拡大

Apple(アップル)はポッドキャストへの投資を拡大している。米国時間9月8日、Apple BooksとOprah Winfrey(オプラ・ウィンフリー)氏は「Oprah’s Book Club」ポッドキャストの公開を発表した(Appleプレスリリース)。オプラ氏が本を紹介するOprah’s Book Clubで取り上げられたベストセラーで、ピューリッツァー賞を受賞したジャーナリストのIsabel Wilkerson(イザベル・ウィルカーソン)氏が書いた「Caste: The Origins of Our Discontents」に関連するテーマを8本のエピソードで探る。このポッドキャストは、アップルのストリーミングTVサービスであるApple TV+との初のクロスオーバーとなる。

2020年1月、アップルはApple TV+の番組と関連するオリジナルのポッドキャストの制作を計画しているとにBloombergは報じた。ポッドキャストはApple TV+のコンテンツと連携して提供され、Apple TV+オリジナル作品の成長に活用されると見られていた。

ポッドキャストを開発中であるという記事は、ほかにもあった。例えばApple TV+のアンソロジーシリーズ「リトル・アメリカ」のエグゼクティブプロデューサーであるLee Eisenberg(リー・アイゼンバーグ)氏Forbesとのインタビューで、この番組にはオリジナルのポッドキャストもあると述べていた。しかしそのポッドキャストはまだ公開されていない。

アップルはOprah’s Book Club以外のポッドキャストについてはコメントしなかった。

とはいえ、Oprah’s Book Clubが新たな拡張の始まりであることは明らかだ。

画像クレジット:Apple Podcasts、スクリーンショット作成はTechCrunch

アップルは現在、Oprah’s Book ClubシリーズをApple TV+でストリーミング配信している。アップルは、このブッククラブのコンテンツをさまざまなチャネルで宣伝できる。新しいポッドキャストシリーズに加え、オプラ氏が選んだ本はApple Booksで購入できるし、Apple Booksでディスカションガイドも利用できる。Apple Newsで「Caste」からの引用を限定で読んだり聴いたりすることもできる。Apple Music Radio(以前のBeats 1)でも著者インタビューを公開している

新たに公開されたポッドキャストの最初のエピソードでは、著者のウィルカーソン氏が『Caste』を書いたきっかけや、社会には人種差別について語る新しい方法が必要だという同氏の考えがとり上げられている。アップルによれば、今後のエピソードは著書に書かれているカースト制度の具体的な要点を語るものになるという。新しいエピソードは9月8日を皮切りに、今後週に2回、火曜日と木曜日に公開される。

Spotify、Pandora、Amazon(アマゾン)といった競合はポッドキャストに対してかなり力を入れているが、アップルはこれまでポッドキャストにあまり投資してこなかった。Spotifyは数百ものオリジナルプログラムや限定プログラムをユーザーに提供している。SpotifyはGimlet、Parcast、Anchor、The Ringerといったポッドキャストネットワークやスタートアップも買収した。

Pandoraは親会社であるSiriusXMの資産を活用してトークショーをポッドキャストにしたり(未訳記事)、ポッドキャストと音楽の新しいフォーマットであるPandora Storiesを開発したりしている(未訳記事)。アマゾンはAudibleのポッドキャストをプレミアムコレクションとしてまとめ、プライム会員に提供している。

一方のアップルは、Apple Keynotesや四半期ごとの業績発表といった一般的な企業活動をポッドキャストとして公開している。Apple Storeでは以前にポッドキャストをテーマにしたイベントを開催していたが、アップデートされていない。Apple Newsは「Apple News Today」をプロデュースしている。Apple Musicは「The Zane Lowe Interview Series」や「Songs for Life」をプロデュースし、Apple Musicでもストリーミング配信している。

Apple Booksはオプラ氏のポッドキャストの共同制作者であって、Apple TV+の共同制作者ではない。したがって、Apple TV+と連携した初のシリーズとして「正式に」カウントすべきではないかもしれないことは付記しておきたい。

Spotifyの取り組みとは異なり、アップルのポッドキャストはまさにポッドキャストだ。すなわち、Apple Podcastsで無料で聞くことができ、ポッドキャスト形式の条件であるRSSを利用してほかのポッドキャスト聴取アプリに追加することができる。

カテゴリー:ネットサービス

タグ:Apple ポッドキャスト

原文へ

(翻訳:Kaori Koyama)

マーク・ザッカーバーグ、「今年の挑戦」はブッククラブ―最初の推薦書は即刻売切れ

FacebookのCEO、マーク・ザッカーバーグは若い世代にとってのオプラ・ウィンフリーになりつつある。ザッカーバーグは、恒例の「今年の挑戦」のアイディアをFacebookで募集した〔過去の挑戦の中には「自分で殺した動物の肉以外は食べない」というものもあった〕。その結果、ザックは「ブッククラブを始める」というアイディアを採用した。さすがにザックの影響力はすさまじく、最初に選ばれた本、 The End of Power〔権力の終わり〕のペーパーバックはAmazonで即座に売り切れてしまった。

指導者と個人の間の権力の配分を考察したこの本はすでに以前から高い評価を受けている。フィナンシャルタイムズの2014年のベスト・ブックに選ばれているし、アリアナ・ハフィントンもAmazonで推薦している。しかしザッカーバーグが推薦するまで売り切れることはなかった。

それに版元のバーンズ&ノーブルからも入手できないようだ。古本ならBarnes and Noble Marketplaceで売りに出ているかもしれない。 ハードカーバー版はAmazonマーケットプレイスにかなり出ている。もちろんKindle版は売り切れていない。

ザックは自身のFacebookページで、さまざまな挑戦のアイディアを提供した5万人のFacebookユーザーに感謝し、「良い本を読む」というアイディアが一番多かったとして次のようにと 述べた。「2015年の挑戦は『2週間ごとに1冊新しい本を読む』ことに決めた。異なる文化、信念、歴史、テクノロジーを学ぶことに主眼を置きたい」。

ザックはA Year of BooksというFacebookグループを作った。すでに10万人以上が「いいね!」を押してフォローしている。

オプラ・ウィンフリーは数年前にOprah’s Book Club 2.0というデジタル・ブッククラブをオープンしており、クラブの公式Twitterアカウントには13万8000人のフォロワーがいる。ただしFacebook上には公式ページはない。しかしオプラには自分のFacebookページに1000万人以上のファンがおり、デジタル雑誌のO, The Oprah Magazineのページには66万人のファンがいる。またOWN, the Oprah Networkのページには300万人のファンがいる。しかし、オプラならこれぐらいは当然かもしれない。

しかしザッカーバーグ自身のFacebookページには2300万人のファンがおり、これはオプラのファンの2倍以上だ。しかしこれもザッカーバーグだから当たり前なのだろう。

オプラは出版社にとってある種のゴッドマザーだ。「オプラ効果」と呼ばれるオプラの推薦は無名の本を100万部単位の一大ベストセラーに変える。Nielsenの調査によれば、Uwem Akpanの Say You’re One of Themはオプラの推薦で売れ行きが一挙に8.5倍になったという。

しかしザックもベストセラー・メーカーとして十分にオプラに匹敵しそうだ。出版社はオプラ効果を十分に承知しているので、推薦を受けた本はすぐに大増刷する。そこで最新の推薦書、Sue Monk KiddのThe Invention of WingsはAmazonでもBarnes&Nobleでも品切れになっていない。今年、出版社はFacebookのファウンダーがの本を推薦するか注意している必要がある。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+