ブログのように簡単な個人出版プラットホームTablo、KindleやiBookで再出版もできる

21歳のAsh Daviesが作った個人出版プラットホームTablo.ioが、Y CombinatorのパートナーKevin HalePaul Reiningから40万ドルを調達した。Tablo.ioは、テキストのYouTubeと呼ばれるWattpad的な個人出版サイトだが、ルックスはずっと良い。それに、ここで作った作品を、AmazonやiBooksであらためて再出版することも簡単にできる。

Daviesはこう言う: “ぼくはブロガーだったから、何かをタイプして[Publish]ボタンをクリックすることに慣れっこになっていた。でもこれからは、まだ無名の著者たちに創作と共有と読者につながる場を提供したいと思った。Tabloで本を出版することは、ブログをパブリッシュすることと同じぐらい簡単で、しかも作品が完成したら、すでに読者がそこにいるんだ”。

このサービスは今、およそ100か国の著者たち約10000名が利用している。各著者のプロフィールもあり、また読者を招待して作品の評価について彼らをフォローすることもできる。このサービスのインタフェイスはとてもなめらかで使いやすく、ブックエディタの画面でテキストを入力したら、それをすぐにパブリッシュ/出版できる。本の各章はこのサービスの中の‘ポスト’(投稿)として扱われ、ユーザがそれらを読んだり、会員登録をしてアップデートの通知をもらったりする。

インディー出版のためのツールはすでにいろいろあるが、Daviesは良いデザインと使いやすいインタフェイスで人気を得たいと考えている。なかなか魅力的な取り組みだし、今回のシード資金でさらに細部を磨くことができるだろう。なお、今このサイトが無料で提供している超常現象を扱ったおとぎ話は、とても楽しい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Amazon、Hachetteの著者に「交渉が決着するまでeブック売上の100%を支払う」と提案

AmazonはHachetteとの戦争が長引く中で新しい手を打ってきた。New York Timesによれば、AmazonのKindleコンテンツ担当副社長、DavidNaggarはHachetteの一部の著者に向けて「交渉が決着するまで売上の100%を著者に払う」と提案するメールを送ったという。このメールはAmazonの宿敵、AuthorsGuildにも転送された。

Naggarのメールにはこうある。

Hachetteとの交渉が長引く中、これに巻き込まれた著者が不利益を被っていることをわれわれは認識している。特に新人、中堅の著者に与える影響が深刻であることに留意している。しかしHachetteはわれわれの提案に対してなかなか反応せず、交渉を進展させようという意欲に著しく欠けている。Hachetteがこの態度を劇的に改めない限り、交渉は非常に長引くだろう。

Hachetteが同意するなら、この交渉が続く期間中、Hachetteの著者はAmazonが販売するeブックの売上の100%を受け取ることにするようわれわれは提案する。AmazonとHachetteは双方ともに、新たな合意に達するまでの期間中、eブック売上からの利益を放棄するものとする。

これと同時に、AmazonはHachetteの印刷版書籍の在庫、販売価格についてもすべて従来のレベルに戻す。また近刊書の予約受け付けも再開する。

この書簡に対してAuthors Guildは「著者を助けると見せかけてHachetteを骨抜きにしようとする企みだ」とブーイングしている。しかしAmazonが出版社を必要とする度合いよりも出版社がAmazonを必要とする度合いの方が大きい。主にAmazonの支援によって、インディー出版社は質量ともに四半期ごとに急成長しつつある。インディー出版社が既存の巨大出版社を追い越す日も近いのではないか。

出版社に対する著者の感情も厳しくなっている。先週、ミステリー作家のRobert Chazz Chute はAuthors GuildのAmazonに対する頑な態度について「Amazonは市場で競争に勝っているに過ぎない。これを独占と呼んで非難するのは奇妙だ」と批判した。

Amazonが著者が失っている収入の埋め合わせをするのは正しい。しかしこれがAmazonにできる最良のことかといえばもちろんノーだ。しかし両者とも簡単には引き下がらないだろう。SF作家のコリー・ドクトロウが論じたように、出版社は海賊行為を恐れるあまり、最大、最強の海賊、ジェフ・ベゾスに権利を預けてしまった。出版社が2000年代にeブックにDRMを設定することを決めたとき、われわれがAmazonの鉄の腕に囲いこまれるという運命が決まってしまった。AppleでさえAmazonからわれわれを救い出すことはできなかった。

いずれHachetteは妥協を余儀なくされるだろう。Amazonの支配力は一層増すに違いない。Authors Guildはまたもやイノベーションに歯ぎしりして食ってかかるチャンスを得るだろう。そうした中で割を食うのはいつも著者だ

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


eブックの価格と販売量を分析する―英米で大きな傾向の相違があった

編集部:この記事は本の比較サイト、LuzmeのファウンダーRachel Willmerの寄稿

読者はeブックにいくらなら払ってよいと考えているだろうか? 9.99ドル? 0.99ドル? 逆に売る立場だったらどうだろう?

 昨年、Luzmeは大量のeブックの販売データを入手して分析を試みた。以下に私が興味を感じた結果を紹介したい。決して包括的な分析ではないが、議論を始める材料になるのではないかと期待している。

対象はAmazonで2013年にLuzmeを経由して販売されたAmazonのeブックの実際の価格である。

アメリカ市場

アメリカ市場のデータについては10ドルを基準としてグラフ化してみた。

グラフはそれぞれの価格帯で何冊売れたかを表している


価格の安いほうの端でいちばんたくさん売れており、価格が高くなるにつれて次第に減少している。しかし10ドルの部分に局所的な山がある。

10ドルの山を別にすればだいたい予期されたとおりの結果だ。ただし意外だったのは10ドル以上の高価格帯のeブックの売れ行きだった(この点については後で触れる)。

では価格帯別の売上高を見てみよう。

ここでは9-10ドルの価格帯の山がもっとはっきり見える。これはおそらく版元側が10ドルという価格を適正と考えて値付けしていることの表れだろう。.

イギリス市場

ところがイギリス市場の様子はアメリカとまったく異なる。こちらも6-7ポンド(おおよそ10ドルに相当)を中心に正規化してある。

イギリス市場では、1ポンド以下(主として0.99ポンド)の価格帯の販売量が断然多い。価格に反比例して販売量は減少していき、5ポンド(7.50ドル)以上では全くといっていいほど売れていない。


売上高についても同様で、5ポンド以下の価格帯が大部分を占める。

10ドル以下の価格帯で大部分の本が売れていることについて理解は難しくない。

Luzmeのユーザーにインタビューした結果では、大きく2つのカテゴリーが存在することがわかった。一つは毎週のように新しい本を買う熱心なユーザーで、どんな本であれその時点で安い本を好む。もう一つは層は特定のジャンルの本に関心を持つユーザーで、そう頻繁に本を買うわけではないが、値段はあまり気にせず欲しい本があれば買う。

しかしそれにしてもアメリカとイギリスではこれほど差があるのだろう?

イギリスではAmazonと新規参入したeブック・プロバイダとの間に激烈な価格競争がある。以前はソニーとNookだったが、現在はSainsburysが主要なライバルだ。以前はソニーが0.2ポンドの特別価格で攻勢をかけていた。現在では安売りは00.99ポンドが主流のようだ。

これに対してアメリカではNetflix、Spotifyなどeブック市場への新規参入組は定額(サブスクリプション)モデルで既存のライバルに挑戦している。

要約

Luzmeから見た2013年の意外なeブック事情

アメリカ

  1. アメリカではeブックは1ドルから10ドルまでのどの価格帯でもほぼ同じように売れている。
  2. 売上冊数がもっとも多いのは1-2ドル。
  3. 売上高がもっとも多いのは9-10ドル。
  4. 100ドル以上の高価な特別版も売れている

イギリス

  1. アメリカと様相が大きく異る
  2. 5ポンド(7.5ドル)以上のeブックはほとんど売れていない。
  3. 売上冊数がもっとも多いのは1ポンド以下。
  4. 売上高がもっとも多いのも1ポンド以下。
  5. 高価な特別版が売れている様子はほとんどない。

ちなみに、

  1. Digital Signal Processing in Power System Protection and Controlは134.84ドルもする!

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独立系書店がカムバック中―町の本屋を殺したのはそもそもAmazonではない

一見不思議なことが起きている。独立系の書店がカムバックしつつある。その理由が興味深い。電子書籍の台頭が書店に打撃を与えたという話は毎日うんざりするほど見聞きする。しかしここでは別の要素が働いているようなのだ。

下のグラフはAmerican Booksellers Associationのデータなので独立系書店だけの動向を見るにはやや不向きだが、全体像を理解するには便利だ。過去10年間でみると、2005年くらいまで独立系書店は憂慮すべきスピードで減少を続けた。ところがその後減少は底を打ち、やがて上向きになって、2010年ごろから増加に転じている。

しかしこのデータを見ただけでも書店を殺した犯人がAmazonではないことが分かる。実は小規模な独立系書店を殺したのは大規模書店チェーンだった。そもそもKindleが最初に登場したのは2007年で、書店数の減少が底を打った後だ。The Digital ReaderのNate Hoffelderはこう書いている。

重要なのは1995年から2002年にかけて書店の減少が急激だった時期にAmazonはこれというほどの規模になっていなかったという点だ。つまり独立系書店を殺したのはAmazonではない。その栄誉は〔この時期に拡大を続けていた〕Burns& NobleやBordersのような大型チェーン店に帰せられるべきものだ。

私は印刷物を売る書店はまだ泥沼を脱してはいないが、将来に十分な希望があると考えている。レコード音楽の登場がコンサートを殺さなかったのと同様、著者も読者と直接コミュニケーションができる場所が必要だ。書店は地域の本好きな人々のコミュニティーのハブとなれるし、著者との交流イベントの舞台ともなれる。また書店がeブックの販売から何らかの利益を上げる方法があれば(私はあると信じている)それも助けになるだろう。

現在多くの書店は「本も売っているコーヒーショップ」になっている。これは便利だし、書店というエコシステムの活性化に重要な役割を果たしている。そして最近の巨大書店チェーンの破綻は、本の選択やアドバイスに優れた能力のある独立系の書店の成功のチャンスを大きく広げるものだ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


KindleのDRMを1ページずつ外していくレゴ・ロボット

「レゴを通じて体制に抵抗する」シリーズの新しい事例として、われわれはKindle本を1ページずつめくり、コンピューターにeインク画面の写真を撮るよう指示してOCR処理を行い、完全DRMフリーのテキストを作るロボットを紹介する。早い話、これは知能的複写機であり、理論的には、完全に合法だ。

ウィーン工科大学のPeter Purgathoferが作ったこのプロジェクトは、実用的技術というよりはアート作品なので、この計画がThe Pirate Bayに登場することを期待してはいけない。Purgathoferは、本の貸し借りや転売に関するAmazonの当初の約束は破られ、出版業界もAmazonと歩調を合わせるように著作権法を強化していると信じている。「このDIY Kindleスキャナーは、Jeff Bezosが一度は守ったが、後に取り上げたわれわれの権利の消滅を反影したアート表現だ。これはまた、DRMの無益さを訴える声明でもある」とPurgathoferは書いている。

「これは私がプライベートな時間に個人として行ったプロジェクトであり、私の個人的見解を反映したものであることを留意していただきた。これはウィーン工科大学における私の仕事ではないと考えている」。

このプロジェクトは、公正使用の原則の下にコンテンツの撮影を許しているDMCAの「アナログ・ホール」と呼ばれるカテゴリーに属すものだ。撮った写真をコンピューターに入れた段階で少々怪しくなるが、デジタル著作権法では合法だ。それにほら、レゴだし。
via BB

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(翻訳:Nob Takahashi)


Amazon、独自のコミック出版、Jet Cityをローンチ―ニール・ステーヴンスンやジョージ・R・R・マーティンが参加

Amazonが今度はMarvelとDCに挑戦するようだ。今日(米国時間7/9)、Amazonはコミック専門の新しいインプリント〔出版事業のブランド〕をローンチするとプレスリリースで発表した

ブランド名はJet City Comicsで、ニール・スティーヴンソン(Neal Stephenson)のSymposiumが最初の出版物となる。今年中にジョージ・R・R・マーティン(George R. R. Martin)原作のコミックも刊行される。また2014年にはディストピアものSFのWoolがグラフィックノベルとしてシリーズ化される。

当面Amazon Jet CityはSFとファンタジーという手堅い分野を専門にするようだ。強力なオリジナル・シリーズを揃えるMarvelコミックスやDCコミックスを直接脅かすような存在ではないが、これはおそらく他の分野へ進出するための地ならしなののだろう。

今回のJet Cityの他に、Amazonの既存のインプリントとしてはMontlake Romance(ロマンス)、Day One(短編、新人作家)、Skyscape(青少年向け)などがある。 Amazonは独自出版事業の拡大に全力を挙げている。今回は著名SF作家の作品でJet Cityを立ち上げたが、急速にオリジナル作品(Amazonのセルフ出版事業からの作品の採用が有望だろう)によってタイトルを拡充していくはずだ。

中長期的に見ると、Amazonの新しい出版ブランドはコミックや小説の出版にとどまらず、オリジナル・ビデオやグッズなどとのタイアップ事業にも役立つだろう。Amazonはメディア関連事業のあらゆる分野に進出して独自の環境を建設する考えだ。そうなれば著作権も一元的に管理できるし、利益を確保するのに非常に好都合だ。

またこれはKindleコミックでもあるので、Kindle Fireの普及にも役立つし、他のプラットフォームでの電子書籍販売も促進できる。デジタル・コミックスはcomiXologyなどがリードする急成長分野だ。Amazonの参入で競争は激化するだろう。ともあれJet Cityから出版される作品がどんなレベルであるかを早く見てみたい。

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