アメリカの読者にはQRコードがアジアでどれほど普及しているかぴんと来ないかもしれないが、つまらない(と皆さんが思っている)QRコードに革命が起きている。ともあれ「ドットレス」のビジュアルQRコードを開発したイスラエルのスタートアップ、VisualeadとスポンサーのAlibabaは、そう言っている。AlibabaはこのドットレスQRコードの最初期からの採用者であり、この1月にはVisualeadに正確な額は公開されていないが、数百万ドルを投資したと報じられている。
Visualeadの共同創業者、CEOのNevo Alva toldはTechCrunchの取材に対して「新しいQRコードにはさまざまな利点があるが、その最大のものはドットに邪魔されずにスペースのほとんどを使って画像が表示できることだ。小売業者は新QRコードを利用してブランドやメッセージを表示できる。またセキュリティーも大きく向上した」と語った。
「われわれの新フォーマットは現行のビジュアルQRコードの次世代版だ。われわれはマーケットからの声に耳を傾けてこのフォーマットを開発した。新フォーマットは消費者との対話を大いに活発化する」とAlvaは言う。
Visualeadによれば新QRコードは「偽造がほとんど不可能」だという。これはAlibabaを始めとする小売業者を悩ませる偽造商品対策を大きく前進させる。偽造商品の販売に関連して先週、アメリカのラクシャリー製品のメーカーから訴訟を起こされたAlibabaは、i淘宝(タオバオ)マーケットプレイスで新しいドットレスQRコードを利用したBlue Starsキャンペーンを展開している。これによると、タオバオのマーチャントはドットレスQRコードを印刷して商品に貼り付けなければならない。商品を受け取った消費者がQRコードをスキャンすると商品が真正であることが確認できる。
最初に述べたように、アジアではQRコードはビッグ・ビジネスだ。特に中国ではオフラインからオンラインへ消費者を誘導するための中核的な役割を担っている。 北京の地下鉄に乗ればすべての広告にPRコードが印刷されているのに気づくだろう 。Alvaは「われわれのビジュアルQRコードは従来のものに比べて消費者の反応を4倍に高める」と主張する。
創業者の言葉をうのみにするわけにはいかないが、その主張を裏付ける事実もある。Alibabaの投資―同社として初めてのイスラエルのスタートアップへの出資―自体ものその一つだ。またVisualeadはすでにフリーミアム・サービスに50万以上の顧客を獲得しているという。Alvaは「何十万社がなんらかの形で有料サービスを利用している」と述べた。
しかし新しい規格を浸透させるには時間がかかる。AlvaはAlibabaに採用されたことが普及を大きく加速するものと期待している。
欧米への普及に関してもAlvaは望みを捨てていない。多少の時間はかかるだろうが、適切なパートナーを得られれば、欧米でも新QRコードの価値は必ず認識されるようになると考えている。
「欧米の専門家は『QRコードは死んだ』と5年も言い続けている。しかし啓蒙と浸透によってO2O [オンラインとオフラインをまたいだコマース]でQRコードは必ず成功する」とAlvaは言う。
Messengerをプラットフォーム化し、支払を可能にしたことで、Facebookは一段とeコマースに近づいた。ライバルのメッセージ・アプリのひとつ、Tangoは先週、ショッピングを全面的にサポートした。Amazonも定期的に購入するアイテムの保管場所に取り付けておき、 ボタンを一回押すだけで補充注文ができる物理的デバイス、Dashを発表した。 O2O分野でのこうしたさまざまな努力と比較すると、QRコードの柔軟性と汎用性が際立つ。アジアでは以前からメッセージ・アプリがeコマースの有力なチャンネルだったが、アメリカでもそうなりつつある。これはアメリカにおけるQRコードにとっても追い風かもしれない。
Alavaはすでにアメリカ企業とも接触していると語った。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)