フェイスブックやグーグルはインドの新IT規則を遵守、法令順守担当者を任命

Google(グーグル)、Facebook(フェイスブック)、Telegram(テレグラム)、LinkedIn(リンクドイン)、そしてTiger Globalが出資しているインドのスタートアップShareChat(シェアチャット)やKoo(クー)はいずれも同国の新しいIT規則を全面的あるいは部分的に受け入れ、順守している。この件に詳しい情報筋、そしてTechCrunchが入手した政府のメモで明らかになった。

2021年2月に発表されたインドの新しいIT規則では、懸念を解決すべく企業に法令順守、判断基準、苦情処理を担当する代表者を任命して連絡先を共有することを求めている。

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上記の企業はこの要件を満たしたと政府のメモにはあり、情報筋もそのように述べた。企業は今週までに新ルールを順守するよう求められていた。

Twitter(ツイッター)はまだこのルールに従っていない。「Twitterは担当者ならびに苦情処理責任者としてインドの法律事務所で働いている弁護士の詳細を昨夜遅くに連絡してきた」とインド政府のメモにはあり、ルールではそうした担当者は直接雇用している従業員でなければならない、とも書かれている。

Twitterとインド政府の間ではこのところ緊張が高まっている。今週、デリの警察はインドの政治家のツイートを誤解を与えるものと分類したことについて調べることを「正式に通知する」ためにTwitterのオフィスを訪れた。Twitterは従業員に関する懸念を指摘してこの動きを脅迫の形態と呼び、市民の言論の自由を尊重するよう政府に求めた。

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WhatsApp(ワッツアップ)は新規則に則っているが、トレーサビリティについての要件は満たしていないと情報筋はTechCrunchに語った。WhatsAppは今週初め、メッセージの発信者を追跡する方法の確保を求めている要件について、インド政府を相手取って訴訟を起こしている。このルールを満たすようにするにはあらゆるユーザーのプライバシーを危険にさらすことになるとWhatsAppは指摘した。

iMessageを展開しているApple(アップル)、そしてSignal(シグナル)がこのルールに従っているか、現時点では不明だ。

TechCrunchが真っ先に報じたように、インドの電子情報技術省は現地時間5月26日、ソーシャルメディア企業にコンプライアンス状況をアップデートするよう求めた

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FacebookやGoogleを含む一部のテック大企業にとってインドは鍵を握る海外マーケットだ。前述の2社はユーザー数においてインドを最大のマーケットだと認識している。隣国パキスタンは2020年、インドと同様のルールを提案したが、テック大手が結束してパキスタンから撤退すると脅したのち、パキスタンはルールを撤回することとなった。

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

TwitterがインドのShareChatを買収、MojをTikTokの世界的ライバルにすることを模索

Twitter(ツイッター)は最近、同社が世界第2位のインターネット市場でのプレゼンスを拡大し、TikTokの世界的なライバルを構築する方法を模索している中、インドのSNSスタートアップShareChat(シェアチャット)を買収するための交渉を行ったと、この件に詳しい3つの情報筋がTechCrunchに語った。

バンガロールを拠点とするShareChatにすでに投資している同社は、設立して5年になるインドのスタートアップを11億ドル(約1155億円)で買収することを申し出、9億ドル(約945億円)の追加投資を約束したと2人の関係者は語った。Lightspeed Partners India、Elevation Capital、India Quotientなどの支援を受けたShareChatは、これまでに約2億6000万ドル(約273億円)を調達している。

今回の協議は取引には至らなかったと、この件は非公開であるため匿名を要求している情報筋2人は語った。TechCrunchは、両社が協議を終了した理由を特定できなかった。

2つの情報筋によると、TwitterはShareChatが所有するショートビデオアプリMojを国際市場に展開し、中国のTikTokのライバルとして位置づける意図を表明していたという。

この件についてTwitterはコメントを差し控えており、ShareChatにもコメントを求めたが同社は応じなかった。

2020年のインドでのTikTok禁止は、国内のスタートアップや国際的なテック大手によるショートビデオ分野への進出を促した。

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すでに8000万人以上のユーザーを持つMojは、このカテゴリの最大手の1つとして浮上している。2021年2月初め、Snap(スナップ)はShareChatとMojショートビデオアプリにCamera Kitを統合する契約を結んだ。Snapがインドの企業とこの種のパートナーシップを結んだのは初めてのことである。

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買収の交渉は決裂したため、ShareChatは新たな資金調達ラウンドのために他の投資家との協議を再開した。これらの投資家にはGoogle(グーグル)やSnapが含まれていると情報筋は述べている。

TechCrunchは2021年1月に、ShareChatが2億ドル(約210億円)以上を調達するために、GoogleやSnapだけでなく、Twitterを含むいくつかの既存の投資家と協議していると報じた。Twitterによる買収の可能性があったことで、投資協議は長期化した。

同社によれば1億6千万人以上のユーザーを擁するShareChatは、インドの15の言語でSNSアプリを提供しており、インドの小さな都市や町に多くのファンを持っている。Blume VenturesのベンチャーキャピタリストであるSajith Pai(サジット・パイ)氏が「インド2(India 2)」と呼ぶユーザー層だ 。インドのスタートアップエコシステムの中で、このセグメントにリーチしているプレイヤーは非常に少なく、「インド3(India 3)」と呼ばれるより小さな田舎町や村のユーザーの貢献もあり、近年オンライン利用が拡大しているという。

2020年のTechCrunchインタビューに対し、ShareChatの共同創業者兼CEOであるAnkush Sachdeva(アンクシュ・サクデバ)氏は、同社の主力アプリは「飛躍的」な成長を遂げており、ユーザーは平均して1日30分以上をアプリに費やしていると述べた。

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Twitter自体は、インドの大都市や町以外での進出に苦労してきた。業界の幹部がTechCrunchと共有したモバイルインサイト会社AppAnnieのデータによると、Twitterアプリは、2020年1月にインドで約7500万人のユーザーに達した。また同社は、インドのニュースソーシャルアプリDailyhuntと契約を結び、ニュースやその他のローカルイベントに関するキュレーションされたツイート集である「Moments(モーメント)」をGoogleが投資しているDailyhuntアプリに導入した。

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Twitterは、アクティビスト投資家から成長を加速させるよう圧力がかかる中、この1年製品提供を拡大してきた。

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(文:Manish Singh、翻訳:TechCrunch Japan)

グーグルとSnapがインドの都市部以外でも人気のSNS「ShareChat」への投資を協議中

2019年にTwitter(ツイッター)を投資家に加えた(未訳記事)インドのソーシャルネットワークShareChat(シェアチャット)が、間もなくさらに2つの米国企業から支援を受けるようだ。

バンガロールを拠点とするこのスタートアップは、ツイッターを含む複数の既存の投資家だけでなく、Google(グーグル)とSnap(スナップ)から資金を調達するための協議を進めている段階にあると、この件に詳しい3人の情報筋がTechCrunchに語った。

この新たなシリーズEの資金調達ラウンドは、2億ドル(約206億円)を超える規模になる予定で、グーグルだけでも1億ドル(約103億円)以上の資金になると、匿名の情報源はいう。また、そのうち2人によれば、このラウンドでShareChatの価値は10億ドル(約1031億円)以上になるという。

この件についてShareChat、グーグル、Snapはコメントを求めてもすぐに応じなかった。ShareChatはこれまでに約2億6400万ドル(約272億円)を調達しており、2020年は7億ドル(約722億円)近い評価を受けていた

ただし、この取引条件は変更される可能性があり、協議が投資に発展しない可能性があると、情報筋は注意もしている。地元のテレビチャンネルET Nowは2020年、グーグルがShareChatを買収するための協議に入ったと報じている。

ShareChatの社名を冠したアプリは、インドで使われている15の言語に対応しており、同国の小都市や町で多くのフォロワーを得ている。一方、ツイッターとSnapはこの世界第2位のインターネット市場で、都市部を超えてユーザーを獲得するのに苦労している。大手モバイル調査会社によると、ツイッターとSnapchatのインドにおける月間アクティブユーザー数は、両社ともに5000万人程だという。

2020年のTechCrunchによるインタビューで、ShareChatの共同創業者で最高経営責任者であるAnkush Sachdeva(アンクシュ・サクデバ)氏は、同社のアプリが「飛躍的に」成長しており、ユーザーは毎日平均30分以上このアプリを使っていると語った。

今回の資金調達が成立すれば、アプリ「Snapchat(スナップチャット)」の開発元であるSnapは、インドのスタートアップ企業に初めて投資することになる。一方、最近のグーグルはやりたい放題で、2020年12月はDailyHunt(デイリーハント)とInMobi(インモビ)グループに属するGlance(グランス)に投資。どちらもショートビデオアプリを運営している企業だ。

これら両社と同様、ShareChatもショートビデオアプリを運営している。「Moj(モジ)」と呼ばれるそのアプリは、2020年9月の時点で8000万人以上の月間アクティブユーザーを獲得したと、同社は当時語っていた。これらのショートビデオアプリのいくつかと、Times Internet(タイムズインターネット)傘下のMX Playerが運営する「MX TakaTak(MXタカタック)」は、ニューデリーが2020年半ばにByteDance(バイトダンス)のTikTok(ティックトック)や他の数百もの中国製アプリを禁止したこともあり、ここ半年程で加速的な成長を見せている。

グーグルは2020年、インドに5年から7年かけて100億ドル(約1兆310億円)を投資する計画を発表した。その数日後、同社はインドの通信大手Jio Platforms(ジオプラットフォームズ)に45億ドル(約4640億円)を投資。グーグルと、同年Jio Platformsに57億ドル(5878億円)を投資したFacebook(フェイスブック)は、同国で4億人以上のユーザーにリーチしている。

グーグル、フェイスブック、ShareChat、DailyHunt、Glanceは、収益のほとんどを広告で得ている。インドの広告市場の約85%は現在、フェイスブックとグーグルによって支配されている、とBank of America(バンク・オブ・アメリカ)のアナリストは、2020年の顧客向け報告書に記している。「私たちは、この市場が2024年までに100億ドルに上ると見積もっており、フェイスブックの市場シェアはJIOとの提携によって、4年間で4%増加すると見ています。フェイスブックは2024年までに47億ドル(約4847億円)の収益を上げる可能性があると推定されます」と、TechCrunchが入手したその株式調査報告書には書かれている。

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タグ:GoogleSnapShareChatSNSインド資金調達

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(翻訳:TechCrunch Japan)