留守中に自宅のドアを開けようとする人がいれば泥棒だと思うのが普通だ。しかしAmazon.comはそんな思い込みを変えたいと考えている。
先週、Eコマースの巨人はWi-Fi内蔵ドアホンのメーカーであるRingを11億ドルで買収した。これは、同社が昨年Amazon Keyを発表したのを受けてのことだ。Amazon Keyはスマートロックとカメラを組み合わせた、商品を屋外に置かれたくない利用者向けの、宅内配達システムだ
しかし、玄関ドアテクノロジーに高い価値を置くのはAmazonだけではない。オンデマンド配達の時代、サービス提供者はローテクのドアを舞台に機能の拡張をはかってきた。スマートロックのメーカーやセキュリティー会社もこの分野に力を入れている。
数カ月前に本誌が報じたように、玄関のドアを開ける方法は100年来あまり変わっていない。ほとんどの人が金属製の板状のキーを錠に差し込んでドアを開いている。訪問者は昔ながらの呼び鈴を鳴らす。そして、誰がなぜ来たかを示すデジタル記録もないのが普通だ。
こうした現状を変えようと大きな資金が動いている。昨年以来ベンチャー投資家は、鍵、錠、入退室システムに関わる事業とテクノロジーに取り組む様々な会社に2億ドル以上を注ぎ込んできた。現在これらの会社が計5億ドル以上を保有していることをCrunchbaseのデータが示している。
Ringは、ベンチャー資金2億ドルを調達しており、最近数カ月の間に買収された会社の中でも多額の投資を受けている一社だ。昨年10月、スマートロックのメーカーで、ベンチャー資金を7000万ドル以上獲得しているAugust Homeが、ドア開錠製品の世界最大メーカーであるASSA ABLOY Groupに金額非公開で買収された。
スマートロックと入退室システムに良い流れが来ていると考えることには理由がある。まず、鍵と入退室関連の投資は、スマートホーム分野の延長線上にあり、スマートホームシステムの成長が、鍵やドアの新テクノロジーの入口になっている。
多くの既存企業も簡単にドアを開ける方法を必要としている。顧客のドアの内側あるいは外側に商品を届ける仕事は、全体で数兆ドル規模の企業価値がある。Amazonだけでも企業価値は7000億ドルだ。
さらに、逸話的ではあるが、近年都会の人々は益々怠惰になりつつある。洗濯物、即席食品、ひげそり用品からペットの食料まで宅配を望んでいる。かつて、店まで買い物にいくのが面倒だと思ったのと同じように、家の外にでてけ荷物を受け取ることさえも不便に感じるようになっていくのだろう。
こうした傾向は、人間性にとって好ましい現状ではないかもしれない。しかし、スマートロック業界にとっては強気の指標に違いない。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook )