労務管理クラウドの「SmartHR」がAPI公開、社内システムなどと連携可能に

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社会保険や雇用保険など労務手続き自動化をするクラウドサービス「SmartHR」。サービスを提供するKUFUは5月25日、開発者向けに「SmartHR for Developers」を公開した。

SmartHR for Developersでは、他社製クラウドサービスとのデータ連携を実現するためのAPIやWebhookを提供しており、すでにマネーフォワード、キメラなどクラウドサービスを提供する4社と連携、もしくは連携に向けて協議を進めている。概要は以下の通り。

マネーフォワード:クラウド給与計算ソフト「MFクラウド給与
従来は給与計算ソフトには社会保険関係の情報を含む膨大な従業員データの入力が必用だったが、本連携により、入社手続きを行った従業員情報を1クリックでMFクラウド給与に取り込むことが可能になる。※すでに実装済み

キメラ:クラウド型採用管理サービス「Talentio

Talentioはキメラが提供する採用管理クラウドサービス。SmartHRとの連携により、入社が決定した内定者のデータを1クリックで同期し、そのまま入社手続を行えるような仕組みを提供する予定。将来的には在籍期間まで含めた採用KPIの分析機能の追加も視野に入れる

ソネット:クラウド型勤怠管理システム「AKASHI
本日公開のクラウド型勤怠管理システム。SmartHRとの連携では、勤怠データを1クリックで取り込み、勤務実績に応じて必用な手続きの有無を自動判別、そのまま手続を作成、役所へウェブ申請まで行えるような仕組みを提供する予定

ヴェルク:受託ビジネスに特化したクラウド型業務サービス「board
受託ビジネスに特化したクラウド型業務システム。連携では、SmartHRが持つ人事情報を活用し、人件費まで考慮された案件単位の損益管理機能を予定する

またSmartHR導入企業であれば、内製の社内システムとSmartHRの自社アカウントをシステム連携できるようになる。すでにSmartHRを利用するメルカリ、VASILYなどが社内システムとの連携を進めている。

各種クラウドサービスとSmartHRのシステムを連携することで、例えば従業員の入退社をトリガーにして各種クラウドサービスへ従業員情報を登録するなど、登録されている従業員データを様々な活用が可能になる。将来的には、外部サービスからデータを取り込んで必要手続きを自動作成したり、シングルサインオンを活用した各種クラウドサービスのアカウント管理をしたりと昨日を拡張させていく予定だ。

「クライアント企業からも『社内システムとSmartHRで従業員データのマスタを二重に持つことは面倒だ』という声があったことからAPI提供に至った」(KUFU代表取締役の宮田昇始氏)。もともと中小規模向けにサービスを提供してきたが、現在では1000〜4000名規模の企業もSmartHRの導入検討を進めているのだという。そういった背景もあり、API提供によるシステム連携に加えて、IP制限や二段階認証など、大企業のニーズにも応えられる機能開発を進めていくとしている。

労務管理サービス「SmartHR」に年金事務所やハローワークへのオンライン申請機能

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KUFUは3月3日、労務管理担当者向けのクラウドサービス「SmartHR」上でオンライン申請機能を追加した。

この機能は総務省が提供する電子政府の外部連携API(eGov API)を利用して、SmartHRユーザーが年金事務所やハローワークでの社会保険・雇用保険に関するウェブ申請を実現するというものだ。

eGov自体は2008年から提供されているもの。2010年には一括申請機能、2014年には外部連携APIの仕様公開、2015年にはAPIの運用が開始されたが、現状の利用率はわずか4.2%。他の領域での電子申請では、例えば国税申告(確定申告など)が52.7%、登記が57.8%まで拡大しているのにも関わらず、だ。

KUFU代表取締役の宮田昇始氏はこの理由について、「電子証明書」の存在があると説明する。電子証明書とは、eGovを利用する際の本人を識別・証明するためのデータ。この証明書の取得には、認証局との契約や証明書の取り込みといった作業と、2年で約1万5000円ほどのコストがかかる。しかもこれは1社ごとに取得が必要なのだという。「150社ヒアリングしても、証明書を取得しているのは1、2社だった」(宮田氏)

これに対して SmartHRでは、同社の外部アドバイザーである社会保険労務士法人スマートエイチアールによる代行申請を行うことで、企業各社の負担を下げていると説明する。申請はSmartHRのサービス上で、3ステップで実行可能だ。

新機能はSmartHRの有料ユーザーであれば無料(追加料金なし)で利用できる。「実際に年金事務所やハローワークに行くと、待ち時間も含めて半日、1日仕事だった。それがオンラインで実現できる」(宮田氏)

労務管理クラウド「SmartHR」運営のKUFUが資金調達、あわせて社労士法人を立ち上げ

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2015年11月に開催したイベント「TechCrunch Tokyo 2015」。その目玉企画である、創業3年未満・サービスローンチ1年未満のスタートアップ限定のプレゼンコンテスト「スタートアップバトル」で優勝したKUFU。労務クラウドサービス「SmartHR」を提供する同社は1月27日、East VenturesおよびDGインキュベーション、Beenextの3社を引受先とする第三者割当増資資を実施したことをあきらかにした。金額や出資比率は非公開だが、数千万円程度と見られる。同社は今回の調達をもとに開発やサポートの体制を強化する。

またKUFUではこれにあわせて、SmartHRの運営に携わる社会保険労務士(社労士)の 海野慶子氏が「社会保険労務士法人スマートエイチアール」を立ち上げたことを明らかにしている。

これまでにも紹介している通りだが、SmartHRは社会保険や雇用保険など、労務に関わる手続きを自動化するサービスだ。各種の手続きに応じて、画面上のフォームに必要事項を入力していけば、書類を自動作成できる。総務省が提供する電子政府「e-Gov」の外部連携APIと連携することで、今冬にもウェブから役所への申請も可能になる予定だという。料金は従業員数にあわせて月額980円から。以前、サービス開始から3カ月半の導入企業数が200社以上と聞いていたのだが、現在その企業数は480社にまで増加。売上も月次約170%のペースで成長しているという。

例えば税務会計ではfreeeやMFクラウド会計といったクラウドサービスが登場し、税理士がこれらのサービスに対応していくという動きがあるようだが、SmartHRの登場によって、社労士でも同様の動きがあるという。つまり、社労士の仕事を奪うのではなく、社労士の仕事をクラウドサービスでサポートするということだ。実際従業員数50人以上の企業の多くが社労士とアカウントを共有してSmartHRを利用しているという。

KUFU代表取締役の宮田昇始氏によると、最近は社労士から「社労士事務所向けの管理画面を作って欲しい」という要望も届くのだそうだ。最近ではサポートにも注力しており、実績をサイト上で公開するなどの取り組みも行っている。また社労法人スマートエイチアールでは、社会保険労務士の視点からSmartHRの導入を支援していく。今後はKUFUと協力してSmartHRの改善を図っていくほか、社労士向けの機能の提供も進める。

KUFUでは今後、SmartHRで対応する手続きを拡充。さらに人事情報管理システムの強化を進める。同社は2016年内に3000社、2017年内には2万社の導入を目指すとしている。

バトル応募企業紹介:難病での休職、妻の産休手続き——起業家の経験が生んだ労務支援サービス「SmartHR」

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スタートから5年を数えるOpen Network Lab(Onlab)のインキュベーションプログラム「Seed Accelerator Program」。4月に開催された第10期のデモデイで最優秀賞に輝いたKUFUのサービス「SmartHR」がクローズドベータ版のサービスを開始した。事前に募集をしていた約300社に対して順次アカウントを提供している。あわせて、SmartHRのサイト上で、新規のクローズドベータ版ユーザーも追加募集している。

SmartHRは「入退社の書類作成」「社会保険の手続き」といった労務手続きをサポートするサービスだ。例えば入社時の書類作成の場合、新入社員の氏名や住所などを入力すると、印刷すればそのまま利用できる役所提出書類などを自動で作成。さらに画面上にToDoリストを表示し、必要な作業を指示してくれる。今秋をめどに政府が提供する電子申請システム「e-Gov」と連携し、オンライン上での書類申請も可能になるという。ビズグラウンドの「Bizer」のほか、freeeやマネーフォワードが提供するクラウド会計サービスの機能の一部が競合にあたるだろうか。

自身の病気、妻の産休がサービスのきっかけに

KUFUの設立は2013年1月。代表取締役の宮田昇始氏は、かつてスタートアップで勤務していたが、数万人に1人発症するかどうかという難病にかかって顔面左半分麻痺、聴覚障害、視覚障害という経験をしたのだという。しばらく休職して病気から回復したが、自分の生き方や働き方を考えた上で独立しようとなったのだそう。そこでフリーランスで活躍していたデザイナーやエンジニアと作ったチームが同社の母体となった。

KUFU代表取締役の宮田昇始氏

KUFU代表取締役の宮田昇始氏

受託を受けながらいくつかサービスを企画。その1つを持ってonlabの門を叩き、見事にプログラムに採択されるも、「スタートして1カ月くらい『本当にそこにユーザーの課題があるのか』とヒアリングを続けていた。深掘りして考えて行くと課題があるのか分からず、数えるだけでも9回のピボットをした」(宮田氏)のだという。

そんなタイミングで思い出したのが前職での休職経験。その際、休職時の手当の申請などで社会保険労務士(社労士)にはお世話になったのだそう。また時を同じくして宮田氏の妻が産休をすることになったが、会社で手続きをしてもらえなかったために宮田氏が代行。その面倒さを痛感したという。

「ここにユーザーのニーズがないかと思ってヒアリングしたところ、特に10人程度の会社だと、労務の専任者がおらず代表が労務手続きをしているというケースが多かった。コストが合わないため、労務は面倒だが社労士を雇えないのだという。そういった課題を解決できるサービスを考えた」(宮田氏)

デモが動くようになって各所に話をしたところ、反応が良かったのは小規模の会社だけではなかった。「実は30〜50人規模の会社の反応が一番いい。その規模でも労務専任の人材がおらず、経理や人事が兼任している状況」(宮田氏)。現在はベータ版でサービスを提供しているため、利用は無料。今後は月額課金を中心にしてサービスを提供する予定だが、詳細については現在検討中だという。

同社はOnlabのほか、DGインキュベーションおよび非公開の1社からシードマネーを調達している。金額については非公開となっている。

なお同社は、11月17日、18日に渋谷・ヒカリエで開催予定のイベント「TechCrunch Tokyo 2015」の目玉企画「スタートアップバトル」に応募頂いている。

スタートアップバトルは2日目の11月18日午後に予定している企画で、100社以上の応募の中から書類審査を勝ち残った約10社が投資家や起業家、経営者、スタートアップ関係者、大手ネット企業の事業担当者などを含む観客の前でプロダクトのお披露目をするコンテストとなっている。

もちろんSmartHRが登壇するかどうかは審査が終わるまで分からないが、早く正式版のサービスをお披露目してもらいたいと期待している。

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