Diver-Xが寝ながら使う据え置き型VRデバイスHalfDiveの開発発表、3000万円の資金調達も

人が基底状態にいながらにして(つまり布団の中で寝ながら)最大限の行動、体験ができるような世界を目指すというDiver-X(ダイバーエックス)は9月13日、寝ながらの使用に最適化したVRデバイス「HalfDive」(ハーフダイブ)を発表した。2021年11月6日から、クラウドファンディングKickstarterでの支援者募集を行う予定。価格はベーシックモデル(8万円程度)、フルセット(12万円程度)、可変焦点機能対応モデル(40万円程度)を想定している。ハンドコントローラーは9月末にYouTubeで情報公開予定。また同時に、DEEPCOREを引受先とし、シードラウンドにおいて第三者割当増資による3000万円の資金調達実施も発表した。

現在普及しているVRヘッドマウントディスプレイ(VR HMD)は、そのほとんどが装着して動き回ることが想定されているため、小型化・軽量化に重点が置かれている。それに対してHalfDiveは、寝ながら使うことに最適化した据え置き型なので、小型軽量のための性能上の制約を受けない。

主な特徴は次のとおり。

最大134度の視野角と映像美を実現する可変焦点機能(最上位モデル)に対応する独自光学系

フレネルレンズを使用した通常のVR HMDとは異なり、10枚の非球面レンズを組み合わせることで、フレアや映像の歪みをなくし、最大134度の視野角と鮮明な映像を両立。最上位モデルには可変焦点機能も搭載される。

球状の筐体を活かした没入型サウンドシステム

頭全体を覆う球状の筐体に合計4つのスピーカーを配置し、没入感のあるサウンドを提供。

多数の感覚フィードバック

2基のファンによる風フィードバックにより、顔に風を感じさせることで没入感の高いVR体験を提供する。送風で装着者の快適性を保つこともできる。

またワイヤーを用いた力覚フィードバックにより、VR空間内で物に触れる感覚、剣で切った感覚、摩擦感などを表現する。

エキサイターを用いた振動フィードバックでは、モンスターの足音、銃声、環境音などの振動を伝える。

足コントローラーおよびエミュレーションシステムでは、左右の足首の傾きでアバターの動作をエミュレート。寝ていても立っているときと同じ動作表現が行える。

モジュラーおよびオープンソース設計

据え置き型なので、感覚フィードバックモジュール、無線通信モジュールなどの拡張モジュールによる増設が可能。筐体側面には拡張モジュールを接続するためのRJ45端子とねじ穴が存在する。

モジュールの設計や通信プログラムはオープンソース化する予定なので、サードパーティーやユーザーが独自のモジュールを開発できる。これにより「より質の高いVR体験の実現に向けたエコシステムの構築」を目指す。

「布団に入ったまま学校に行きたい、仕事を終わらせたい。誰しも一度は考えた事があると思います」とDiver-Xは話す。さらに「完全据え置き型という時代に逆行した、寝ながらに最適化しているからこその長所を最大限に生かし、これまで小型化軽量化のトレードオフの中で切り捨てられきた多くの機能やインターフェイスを実装し、新たな体験を生み出す」という。

だが、単に楽をするための機器ではなく、想定されるユースケースには医療や介護のための利用法も含まれている。寝たきりの人が社会活動できる機会が広がる可能性がある。

Diver-Xは、慶応義塾大学在学中の迫田大翔氏とコロンビア大学在学中の浅野啓氏が2021年3月に共同創業したスタートアップ。「布団の中に居ながらにして学校にいるのと同等の体験、職場にいるのと同等の生産ができるようになれば、人類のQOLは大きく向上するはず」と彼らは言う。「そこで得られる価値、体験が同じであるならば、人はよりモチベーションが低くとも実行できる手段をとるはずであり、必要なモチベーションが低ければ低いほどより多くの物事に対して働きかけられるようになると仮定するならば、寝ながらという人間にとっての基底状態は、もっとも行動に適した状態である」とのことだ。

仕様

    • 自由度:4.5dof
    • 光学系:合計10枚の非球面レンズを用いた独自の光学系(可変焦点機能に対応)
    • 最大視野角:水平約134度
    • 解像度:片目1600×1440px 両目3200×1440px
    • リフレッシュレート:90Hz以上
    • ダイアル式物理IPD調節:58~82mm
    • オーディオ:4つのスピーカーを用いた没入型サウンドシステム
    • マイク:単一指向性コンデンサマイク
    • コントローラー:両手・足コントローラー
    • トラッキング:LightHouse対応・足コントローラーよるアバター動作エミュレーションシステム
    • カメラ:キーボードオーバーレイシステム
    • インターフェース:DisplayPort 1.2、USB 2.0/3.0、3.5mmオーディオジャック、12V電源、RJ45(I2C:モジュール接続)
    • プラットフォーム:SteamVR完全対応(OpenVR・OpenXR)
    • SDK:Unity(VRchat専用機能あり)、Unreal Engine

JVCケンウッドが視野角水平120度・解像度片目2560×1440の透過型ヘッドマウントディスプレイ発売

JVCケンウッドが視野角水平120度・解像度片目2560x1440ドットの透過型ヘッドマウントディスプレイ発売

JVCケンウッドは2月16日、透過型で高画質・広視野角を実現したヘッドマウントディスプレイ「HMD-VS1W」を発表しました。受注生産で3月下旬から発売します。一般コンシューマー向けではなく企業ユースを意識した製品です。

片目2560×1440、両眼で5120×1440という高精細なパネルを利用しているほか、従来のVRヘッドセットのようにレンズを通さず、ミラーを介して直接映像を見ることが出来るため、周辺の色収差や映像に格子状の模様が見えるスクリーンドアも発生しないとのこと。水平視野角も120度と広く、中心からずれても映像がぼけずにクリアな映像を再現できるとしています。また、視線を動かしても疲れにくい、広いアイボックス(映像が綺麗に見える範囲)も実現しています。

JVCケンウッドが視野角水平120度・解像度片目2560x1440ドットの透過型ヘッドマウントディスプレイ発売

外観的な特徴にもなっている本体前面には独自のハーフミラーを採用しており、装着したまま外の様子も確認できます。これにより、遅延のないダイレクトな操作が可能になるとのこと。たとえば、ドライビング/フライトシミュレーターで利用すれば、実際のハンドルや計器類を見ながら操作でき、リアリティーの向上にも繋がります。また、バーチャル映像を見ながらマニュアルを見る、メモを取るなどの行動も行えるため、トレーニング効率の向上も謳っています。

なお、SteamVR Tracking System2.0と互換があり、市販のベースステーション(SteamVR Base Station 2.0)を利用して、トラッキングも行えるとのことです。

(Source:JVCケンウッド(1)(2)Engadget日本版より転載)

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:ウェアラブル(用語)JVCケンウッド(企業)SteamVR(製品・サービス)ヘッドマウントディスプレイ / HMD(用語)日本(国・地域)