スイスで郵便業務を行うSwiss Postが、配送システムとしてのドローンの開発を行なっているMatternetのシステムを使って、ドローン配送に取り組む予定なのだそうだ。今年の夏にも実証実験を行うことにしているとのこと。「法規制面や運用上の問題点を明らかにし、ドローンを活用する上での技術面およびビジネス面での課題を明らかにする」ことを目的としている。
実証実験段階ではあるわけだが、ともかく郵便物をロボットが配送するような時代になってきたわけだ。
Matternetが提供するONEという名前のドローンは、1度の充電で重さ1kgの荷物を20kmの距離まで運ぶことができる。薬や資料、あるいは機械のパーツなどの配送で試してみたい考えだ。
MatternetはAndreas RaptopoulosおよびPaola Santanaが設立した企業だ。Raptopoulosの、空を飛ぶ車を作ってみたいという夢から生まれてきた。NASA Ames Laboratoryで開催されたシンギュラリティ・ユニバーシティにサマープログラムに参加したのち、活用範囲の広い小型クワッドコプターの開発を行うMatternetを設立をしたのだった。Flextronics、Scott Banister、およびNasなどからシード資金として220万ドルを集めている。
Matternetはこれまでにも、ハイチにおける配達困難地域に対して薬や生活用品などを配送する実証実験を行なっている。今回はスイスにて何種類かの実験を行いたい考えだが、既に他社の追随を許さない飛行経験を持っているといえる。
「配送ソリューションに、弊社のプロダクトを組み込む形で参加したいと考えていました。そんなときに話をしにきてくれたのがSwiss Postです。その結果生まれたシステムについては、技術面ではすべて弊社が担当し(ドローン、離着陸施設、バッテリー、充電ステーション、クラウドソフトウェア等)、その運用をSwiss Postに任せる考えです」とRaptopoulosは言っている。
「クアッドコプターというのは、乗り物に関わる発明品として、内燃エンジンにまさるとも劣らない史上最大級のものだと思うのです。技術的には非常にシンプルでありながら、今後3年ないし5年でますます発展していくソフトウェアによって、さまざまな応用可能性が開けているのです。天候やGPSの状況によらずに安定して飛行し、また障害物を検知して避けるための技術なども磨かれていくこととなり、10年以内にはいっそう便利なツールとして各所に広がっていくことでしょう。“software eats xxxxx”というような言い回しが流行ったことがありました。クアッドコプターの世界では、まさにソフトウェアの進化がドローンの輸送部門への進出にまっすぐ繋がっているのです」。
迅速な配達がほとんど不可能な地域にも、都市部並みの商品配送を行えるようにする可能性を探ることが実験の目的だ。自律的に動作する安全なドローンを何台か飛ばすことで、自律的で安全な、そしてもちろん迅速な配送システムを構築しようとしている。
Raptopoulos曰く「時代の曲がり角にきているのです」とのことだ。
[原文へ]
(翻訳:Maeda, H)