Instagram、「使いすぎ警告」ツール導入へ――有力企業各社もネット中毒対策に乗り出す

身近にインスタ使いすぎのユーザーはいないだろうか? iOSとAndroidのダッシュボードには次のアップデートでアプリの利用時間を管理する機能が追加されるあるが、Facebook傘下のSNS、InstagramではこれをOSまかせにせず、アプリ内に使いすぎをチェックできる機能を追加しようとしている。先月、TechCrunchはInstagramの Usage Insights機能について報じたが、同社のCEO、Kevin Systromはこれを近く一般公開する予定だと確認した。

Systromはわれわれの記事に触れたツイートで、「事実だ。 …われわれはインスタのユーザーがこのアプリ内で過ごす時間を知るツールを開発している。どんな時間も建設的かつ有意義に使われるべきだ。…ユーザーがアプリ内で過ごす時間がどれほどであるか理解することはユーザーにとって重要な情報だ。この点について率直になることはあらゆるテクノロジー企業の責務だ。われわれは問題を解決する側にいたい。私はこの問題をきわめて真剣にとらえている」と述べた。

この機能が実際にどういうものであるか、われわれはJane Manchun Wongのツイートで見ることができた。Android APKコードから新機能をいち早く探り出す優れた能力があるため、Wongは情報源として最近TechCrunchのお気に入りだ。Usage Insights機能は正式リリースまでにまだ修正される可能性はあるが、Wongのスクリーンショットで、このツールがおよそどういうもののであるかつかむことができる。Instagramでは「今のところ特に発表する情報はない」としてこのツールに関するコメントを避けた。

まだ一般公開されていないが、このUsage Insightsツールはアプリ内でユーザーが過ごした時間を1日単位で教えてくれる。ユーザーは利用時間の上限を設定でき、利用時間がそれを超えると警告の通知が行く。また通知の設定に対するショートカットが用意され、Instagramがうるさすぎないようにできる。またスクリーンショットではスライドして開くプロフィール・ページに新しいハンバーガーメニューのボタンが設置されている。これを開くと+Discover Peopleのオプションの下にUsage Insightsが表示される。

もちろん設定された利用時間上限を超えててもInstagramにログインできなくなるとかグレーアウトされて使えなくなるとかするわけではない。そんなことをすれば広告主の怒りを買うことになりビジネスに悪影響が出る。それでもOSのダッシュボードを開かねば利用時間がわからないのと比べて、ユーザーに直接通知されるというのは進歩だ。

InstagramはUsage Insightsをさらに厳格にすることでSNSとして正しいロールモデルを示すことができると思う。 たとえば、1日の上限に達したときに、一回だけ警告の通知をするのではなく、たとえば、15分ごとに警告するなどだ。アプリ内に常に警告フラグを表示してもよい。ユーザーは自分で決めた上限をオーバーしていることに常に気付かされることになる。

Instagramはユーザーが新しいフィードをすべて見てしまうと全部見ましたという注意を表示してそれ以上スクロールしないよう促す機能をすでに追加している。

他のアプリも利用時間に関してiOS 12のScreen TimeやAndroid PのDigital Wellbeingといったダッシュボード機能にまかせず、自ら利用時間の制限を強く推し進める方向で努力すべきだと思う。【略】

上のスクリーンショットは近く公開されるスマートフォンの利用時間を管理するツールで、左がiOS Screen Time、右がAndroid Digtal Wellbeingだ。The Vergeによれば、Instagramは世界でもっとも利用されているアプリの一つだという。これは同時にもっとも乱用されやすいことも意味する。友達の生活を羨み自分も対抗して何から何まで写真に撮って投稿したり、モデルの美しい体型を果てしなくスクロールしたり、とても有意義とはいえない時間の使い方をする「インスタ中毒」をよくみかける。Instagramはテキストを入力したりリンクを貼ったり送信先を指定したりする必要がほとんどない。Facebookでも延々と受動的に記事を読み続けるゾンビー的利用がもっとも危険性が高いという調査結果を発表している.

われわれは「注意力の奪い合い」という危機の中にいる。モバイル・アプリのビジネスモデルはアプリの利用時間を最大化することによって広告収入やアプリ内課金を最大化しようとする方向に動きやすい。しかしわれわれのポケットの中のデバイスでインターネットという底なしのブラックホールにユーザーの時間を飲み込んでいこうとする競争が行われることは望ましくない。人々の注意力を奪い、教育を妨害し、抑うつ状態を招く危険性がある。いわばスマートフォンの画面を眺めることで脳内麻薬が放出されるような状態だが、これには必ず反動がある。

Instagramその他のアプリで友達の生活をリアルタイムで眺めるのには交流を深めるメリットもある。しかし自分自身の生活を生きることととのバランスが大切だ。テクノロジーの有力企業がこのこの点について責任を果たそうとし始めたのは良いことだ。

画像:Bryce Durbin / TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook、「有意義な時間」重視で、利用時間が「1ユーザー1日当たり2分」減少

Facebookは短期的利益にこだわっていないことを、口先だけではなく行動で示している。ユーザーの幸福度向上のためにバイラルなビデオの存在を減らしている。今日(米国時間1/31)Facebookの2017年Q4決算報告で、CEOの Mark Zuckerbergは、「すでに前四半期からバイラルビデオの露出を減らし人々の時間が有意義に使われるようにシステムを変更してきた。その結果Facebookに費やされた時間は、全体で1日あたり5000万時間減少した。

現在Facebookのユーザー数が14億人だとすれば、1日1人あたり約2.14分の減少だ。後にZuckerbergは、Facebook全体の消費時間が5%減少したと語った。

バイラルビデオを減らした結果、米国・カナダ地域では1日のアクティブユーザー数(DAU)が70万人減った。これは2004年のスタート以来成長を続けてきたFacebookにとって前例のない下落だ。Facebook CFOのDavid Wehnerは、これは一時的な現象でありトレンドではないと考えていると語った。それは、Facebookが今後何回こうした変更を行うかによるかもしれない。

Facebookは、仮に米国・カナダのデイリーユーザーを70万人減らさなかったとしても、四半期毎のDAU成長は2.24%となって過去最低だった。2.18%という数字は2016年Q4と2017年Q4の3%成長よりもかなり低い。

それでも、米国・カナダのDAUの減少がバイラルビデオと幸福度のための変更の結果だとFacebookが説明したあと、時間外取引きの株価は4%安から4%高へと急上昇した。投資家は、Facebookがこの変更でユーザー数を大きく減らすことはなく、全体的な成長傾向は続くと信じているのかもしれない。

Facebookは前四半期の決算会見でZuckerbergが話した「私たちのコミュニティーを守ることは利益を最大化するよりも重要」という約束を果たそうとしている。Facebookは、今月発表したビデオやニュースなどの受動的閲覧を減らし、親しい友人との積極的対話を推進するニュースフィードの大改訂を、着実に遂行している。

今日Zuckerbergは、人々に最も意味のあるコンテンツを見せることから、最も意味のある交流を促すコンテンツを見せることへと、社員への指示を変更したことを説明した。これは地味だが重要な変更であり、ユーザーが有益で楽しいと感じるコンテンツであっても、シェアしたりそれについて話したくなるほど特別でないものは露出が減るかもしれないという意味だ。Zuckerbergによると、今後は、「オンラインオフラインを問わず、人々が有意義だとわれわれに報告した交流の数」で会社を自己評価すると語った。

Facebookが、利益よりもユーザーの幸福を優先する意向を推進していることは、大企業としては異例だ。これを思いやりのある行動と見る向きもある。一方ではこれを、大がかりな「Facebookを捨てろ」運動が起きて今日発表された消費時間減少どころではない打撃を受けることを防ぐための、長期的戦略にすぎないと考える人たちもいる。

しかし今のところ投資家たちは、この会社がより意味のある、受動的ではないニュースフィードを機能させられると信じている。消費時間が短くなれば広告のインプレッションは減るが、誰もが見るような深い交流は入札競争を呼び広告費が高くなる可能性がある。Zuckerbergはこれについて、もし意味のないコンテンツに慣れてしまうと、ニュースフィードの中身をスキップすることが益々習慣になり、それが広告にも波及しかねない、と説明した。

つまりFacebookは、ユーザーの無意識なスクロール中毒への依存をやめても、変わらず収益を上げられるのかもしれない。

Facebookの〈有意義に過ごす時間〉への取組みの詳細については、本誌の特集記事、“The difference between good and bad Facebooking.”を参照されたい。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook