Facebookは昨年8月にウェブとモバイルでTwitter風のTrending Topics(人気の話題)のテストを開始していたが、今日(米国時間1/16)、このTrendingを右サイドバーのトップに組み込んだ新デザインを正式にリリースした。
現在、新デザインが公開されているのはアメリカ、イギリス、カナダ、インド、オーストラリアだ。個人別にカスタマイズされた「現在もっとも大きい反響を呼んでいる単語、フレーズ」のリストには、それぞれに反響を呼んだ理由が簡単に解説してある。項目をクリックすると 友達からのコメント、関連ページ、フォローしている相手の公開投稿などが表示される。
TrendingセクションがFacebookのユーザーに好評であれば、ユーザー・エンゲージメントを改善するのはもちろん、それより重要な点だが、Facebookを新たなリアルタイムのニュース源として認識させる効果があるだろう。Facebookはニュース性という点では長年Twitterに水をあけられていた。
人気の話題:Facebook対Twitter
FacebookのTrendingセクションは説明が入るためTwitterのシンプルなリストに比べていくぶん煩雑に見えるものの、その分わかりやすいというメリットもある。Twitterの人気の話題リストはなぜこのテーマが話題になっているのか理解に苦しむことがよくある。たとえばサッカーファン以外は#SuperDraft;というハッシュタグがメジャーリーグ・サッカーのドラフトのことだとすぐには分からない。
Facebook版では24項目をリストするだけでなく、たとえばクリチャーノ・ロナウドであれば「レアル・マドリードで昨年大活躍し、今年のFIFA欧州年間最優秀選手賞を獲得した」という説明が入る。
Facebook Trending (Left) vs Twitter Trending Topics (Right)
私の取材に対して「Facebookはユーザーに対する豊富なデータを利用して個人別にカスタマイズした「人気の話題を提供する。Facebook全体での反響の大きさと個人の関心の双方を考慮している」と語った。
ただし、項目をクリックした後で表示されるFacebookのTrendingページ(上のスクリーンショット)はTwitterに比べてシンプルだ。ここに表示されるのはページ、著名ユーザー、フォローを許可しているユーザーからの投稿へのリンクの一覧だ。TwitterのTrendingのページのほうが写真やフォローのすべきユーザーの推薦などが入っており、わかりやすい。
しかもTwitterはリアルタイム・ニュースのメディアとして確立されており、またほとんどの投稿が公開であるということもあって、Trendingの内容も豊富でリアルタイム性も高いようだ。
[アップデート:Facebook Trendingを実際に利用してみた]
さきほど私のところでもTrendingが使えるようになったので、実際に使ってみた感想を報告しよう。「人気の話題」に簡単な解説がつくのは便利だが、内容の選択がパーソナル化されているという感じはあまりしなかった。私は熱心なスポーツファンではなく選手はチームをフォローしたりスポーツ関連の投稿を「いいね!」したり共有したりしたことは一度もない。それなのにトップにスポーツ選手のスキャンダルの話題が2項目も入っていた。
また24項目のうち10項目はニュースメディアの記事へのリンク、あるいはまるごと引用した投稿へのリンクで埋まっていた。こうしたことからみて、このセクションがTwitterのようなユーザーからの投稿のトレンドを知る場というよりニュースメディアや著名人の配信チャンネルになりのえはないかと懸念される。
TwitterのRTに比べてFacebookのシェア・ボタンは利用される率が低い。そこで著名人でないユーザーからの投稿はたとえ面白いものでもなかなか広まらない。
また時間の逆順での表示が必ずしも守られていないので、現在何が起きているかをリアルタイムで知るというようり高度3000メートル上空からの鳥瞰図のような印象を与える。両者の目的と実現手法にはやはりかなりの違いがあるようだ。
TwitterのTrendingがその瞬間の世界の鼓動を伝えるのに対してFacebookのTrendingは「その日の大きな事件の見出し」だ。双方それぞれに役立つ。
もちろんFacebookのTrendingはきわめて初期のバージョンであり、ユーザーからのフィードバックを受けて今後どのように改良されていくか注目だ。いずれにせよFacebookのTrendingの有用性が高まるためにはもっと公開投稿が増える必要があるだろう。
公開の対話をモニタする
実際、それこそ現在Facebookが懸命に努力している目標だ。昨年マーク・ザッカーバーグはハッシュタグ、認証ユーザー、投稿のエンベッドなどTwitterの機能を次々にコピーしてFacebookに取り入れた。’またニュースフィードをTwitter式に時間の逆順に最新の投稿をトップに表示するように変えた。またビジネスパートナーがfirehose(全投稿のフィード)にアクセスしやすくした。最近ではスポーツニュースのフィルターサイト、SportStreamを買収している。
こうした一連の動きはすべてFacebook上で公開の対話を盛り上げることが狙いだ。 Twitterはテレビの人気番組、アカデミー賞などの発表、スポーツ試合などを巡って膨大な投稿を吸い上げている。こうした公開の対話は広告ターゲティングの精度を改善するためにも重要な要素となる。
火曜日のスタンフォード大学でのインタビューでザッカーバーグはFacebookの新たな目標は人口知能を利用して世界の現状を理解するモデルを構築することだと述べた。この野心的計画を実現する上でもTrendingの収集と正確な分析、そして何より公開の会話の強化は必須となるだろう。
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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+)