住宅ローン貸付のRocket CompaniesがTruebillを約1450億円で買収、なぜこの取引は高くなかったのだろうか?

Rocket Companies(ロケット・カンパニーズ)は米国時間12月20日朝、Truebill(トゥルービル)を現金12億7500万ドル(約1450億円)で買収すると発表した。

Rocket CompaniesはRocket Mortgageという製品でよく知られている。一方のTruebillは消費者向けのアプリで、消費者のサブスクリプションの管理、貯蓄の自動化、予算編成をサポートする。今回の買収額は、Truebillの株主にとって有利なものになる。PitchBookのデータによると、Truebillの最終的な非公開評価額は、前回のラウンド後に5億3000万ドル(約600億円)だった。同ラウンドの4500万ドル(約50億円)の投資は2021年初めに行われた

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つまり、Truebillの最終投資家にとっては2倍以上、初期の支援者にとってはさらに大きなリターンとなるわけだ。悪い話ではない。

さあ、倍率を推測してみよう!

Truebillが13億ドル弱で販売されるということで、このスタートアップの年間経常収益(ARR)の見積もりを出すために必要な情報を持っていることになる。大雑把に、年間売上高はどの程度になるだろう?

もしあなたが5000万ドル(約57億円)前後と予想したなら、私たちの予想と同じだ。テック会社のバリュエーションは、最近の下降傾向にもかかわらず高く、フィンテックの会社もホットだ。なので、20ドル台半ばの倍率は妥当な推測に思える。

しかし、そうではない。Rocketは次のように述べている。

この新事業は、Rocket Companiesの毎月の売上も安定させることになります。現在、住宅ローン貸付事業に顧客から支払われる毎月の支払いは、年率換算で13億ドル(約1480億円)のサービス収入を生み出しています。Rocket Companiesは、250万人の顧客を抱え、業界最高の91%の顧客維持率を誇っています。Truebillは、年間1億ドル(約114億円)の経常収益を上げる勢いです。この数字は一貫して増加しており、2021年の売上は2020年の2倍以上となる見込みです。

熱い。驚きだ。

Truebillは、我々が予想した約2倍のARRで2021年を締めくくることになる。そしてさらに、同社は毎年2倍の規模に成長している。大きな収益と速い成長。これは、まさしく企業が株式公開前に打ち出したいプロフィールだ。にもかかわらず、Truebillは株式公開する代わりに、現在のARRの13倍以下で売却している。この数字は、時間が経つにつれて圧縮され、2022年には一桁になる。ただし、新年度にTruebillが成長を維持することができればの話だが。

正直言って、かなり割安感がある。

この取引がすべて現金であることは、Rocketが一種の割引を得たかもしれないことを意味する。株式は現金よりも安く、Truebillはおそらく取引が、例えば50%の株式であれば、もう1億ドルをなんとか獲得できたかもしれない。ただし、我々が話している数字は非常におおまかなものだ。

それでも、この取引はある種の朗報であり、また前兆でもある。100%成長、ARR9桁近いフィンテック企業が、なぜかろうじてユニコーン並みの金額で売れたのか?前述の通り、この価格はTruebillの出資者にとってはかなり甘い年末の流動性を意味するが、他のフィンテック企業にとっては、年末に歓迎されない無料招待券を受けただけで、この数字は強気とは言い難い。正直なところ、少しソフトな印象を受ける。

おそらく、Nubankのやや低調なIPOの影響があるのだろう。あるいは、ここ数四半期で見られた、ソフトウェア業界の倍率の全般的な下降傾向の影響かもしれない。または、Truebillの内部に何かまずいものがあるのかもしれない。おそらく、同社は我々が予想するよりもはるかに大きな販売およびマーケティング費用を持っており、Rocketと融合することで顧客獲得コストを下げ、同社の経済状態を改善することができるのかもしれない。

いずれにせよ、RocketがTruebillを含む最初の四半期を報告する際に、より多くのデータを得ることができるはずだ。この買収は2021年中に完了する見込みだ。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

サブスクリプション管理や自動貯金に加え資産・負債の一元管理も目指す「Truebill」

パーソナルファイナンスのスタートアップ「Truebill」は、Accelが主導して4500万ドル(約49億3000万円)のシリーズD資金調達を実施した。同社がシリーズCで1700万ドル(約18億6000万円)を調達したのはわずか数カ月前のことだ。設立以来の調達合計額はこれで8500万ドル(約93億円)となった。

今回の資金調達ラウンドには、既存投資家であるBessemer Venture Partners、Cota Capital、Eldridge Industriesも参加している。

Truebillは、米国に住む人々の財務管理を支援するいくつかのツールを提供している。このアプリの主な特徴の1つは、すべてのサブスクリプションを1カ所で管理できることだ。ユーザーは、アプリで不要なサブスクリプションをキャンセルすることもできる。携帯電話やケーブルテレビの料金については、Truebillが値引き交渉まで行ってくれる。

最近になって、同社はこのアプリを経済的なパートナーにするための機能を追加している。支出に関するインサイト、健全な毎月の予算の作成とアプリによるその追跡、クレジットレポートの閲覧などが可能になった。

Truebillでは、自動的にお金を貯めることもできる。Truebillはユーザーの口座を分析し、お金が残っているときに貯金することができる。

現在、同社はすべての資産と負債を一元管理するウェルスマネジメントダッシュボードの開発に取り組んでいる。ウェルスマネジメントはお金のあるアカウント1つ1つに接続する必要があり、そうしないと全体像が見えないため少々煩雑だ。

共同創業者兼CEOのHaroon Mokhtarzada(ハルーン・モクタルザダ)氏は、声明でこう述べた。「自分の財務状況をより良く理解し改善するために、毎日1万人以上の会員がTruebillに登録しています。今回の資金調達により、Truebillをオールインワンの総合的なプラットフォームに変革し、会員のみなさまがサブスクリプションや支出を管理するだけでなく、貯蓄を最適化したり、財務状況を改善するために、情報に基づいた意思決定を行えるようにします。Truebillは、一般消費者にとって最も価値のあるメンバーシップに急速になりつつあります」。

ご覧のとおり、このスタートアップは急速なペースで成長している。2020年11月以降、ユーザー数は100万人から200万人へと倍増した。同社は月間400億ドル(約4兆3800億円)のトランザクション量を分析している。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:Truebill資金調達サブスクリプションアプリ

画像クレジット:Truebill

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(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)