自動運転トラック開発のTuSimpleが貨物ネットワーク構築に向けRyderと提携

2021年初めに上場した自動運転トラック開発のTuSimple(トゥーシンプル)は、自動運転トラック輸送をサポートする貨物ネットワークを構築する計画の一環としてRyder(ライダー)と提携した。

7月26日の週に発表した取引の下、Ryderの車両メンテナンス施設はTuSimpleの貨物ネットワークのためのターミナルとなる。AFNと呼ばれているTuSimpleの自動運転貨物ネットワークは、2024年までに米国中で展開されることになっている自動運転トラック輸送網のための配送ルートとターミナルの集合体だ。TuSimpleが上場する前に同社の少数株を獲得したUPS、運輸会社​​U.S. Xpress、Penske Truck Leasing、そしてBerkshire Hathawayのグローサリー・食品サプライチェーン会社McLane IncがAFNの立ち上げ時のパートナーだった。

TuSimpleのAFNは自動運転トラック、デジタルマッピングされたルート、貨物ターミナル、顧客が自動運転ロラックのオペレーションをモニターし貨物をリアルタイムで追跡できるシステムから構成される。

Ryderの施設は主に、TuSimpleのトラックがメンテナンスを受けたり、調整された自動運転システムが使われているセンサーを必要に応じて搭載したりできる戦略的ターミナルとして機能する。一部のケースでは、ターミナルは貨物をピックアップしたい小規模オペレーターのための移送ハブのようにも使われる。しかしこれは、TuSimpleの会長兼CEOのCheng Lu(チェン・ルー)氏によると、顧客がやって来て貨物をピックアップするハブ・ツー・ハブを意図するものではない。

「これらのトラックは修理やメンテナンスが受けられる必要があり、長い稼働時間を持っていなければなりません。これは、自動運転だろうがなかろうが、すべての運送業者が気にかけていることです」とルー氏は話した。

小規模の荷主と運送業者は、貨物のピックアップやドロップオフのためにこれらのターミナルを使うかもしれない。しかし大半の場合、特にUPSのような大規模オペレーターのために、TuSimpleは貨物を直接顧客の配送センターへ運ぶ。Ryderの施設はTuSimpleがより広範な地理的領域でより多くの顧客にリーチすることができるようになる結節点、あるいは停留場となる、とルー氏は付け加えた。

提携は徐々に導入される。TuSimpleは安全オペレーターが運転席に乗り込む50台の自動運転トラックを保有し、アリゾナ州、ニューメキシコ州、テキサス州で顧客のために貨物を運んでいる。提携ではこれら地域にあるRyderの施設をまず使用し、米国中にあるメンテナンス施設500カ所へと徐々に拡大する。

TuSimpleは2021年後半にフェニックスとオーランド間で貨物を運び、東海岸へと事業を拡大する予定だと述べた。同社は新しいトラック25台を注文していて、納車され次第、車両群に加わる。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

TuSimpleのIPO申請で明らかになった中国と関係がある自動運転スタートアップのハードル

米国と中国の政府が技術的なデカップリング政策を推進する一方で、民間のテック企業は両国のリソースを活用し続けている。自律走行車の分野では、中国のスタートアップ企業、あるいは中国とのつながりが深いスタートアップ企業が米中両国で事業を事業を展開したり、投資を模索するのはよくあることだ。

しかしこれらの企業が成熟してグローバルに展開するにつれ、中国との関係がより綿密に調査されるようになってきた。

サンディエゴに本社を置く自動運転トラック企業のTuSimpleは、今週NASDAQ(NASDAQ)にIPOを申請したが、その目論見書には、中国の資金源による規制リスクが記載されていた。

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米国時間3月1日、対米外国投資委員会(CFIUS:Committee on Foreign Investment in the United States)は、中国最大のマイクロブログプラットフォームSina Weibo(新浪微博)を運営するSina Corporation(新浪公司)の関連会社であるSun Dreamによる投資について、TuSimpleに書面による通知を求めた。Sun DreamはTuSimple社の最大の株主であり、クラスA株式の20%を保有している。WeiboのCEOであるCharles Chao(チャールズ・チャオ)氏とCFOのBonnie Yi Zhang(ボニー・イー・ジャン)氏は、ともにTuSimple社の取締役だ。

米国政府がSun Dreamの投資が同国の国家安全保障を脅かすと判断した場合、同投資家はTuSimpleから投資撤退するダイベストメントを指示される可能性があると、その要請書は指摘している。

WeRide.ai、Pony.ai、AutoXなど、中国に拠点を置く自律走行スタートアップはカリフォルニア州に研究所を置き、米国でのテストを行うための規制当局の許可を得ているが、ほとんどの企業は米国での商業計画を明らかにしていないようだ。

一方TuSimpleは今のところ米国に焦点を当てており、同社のレベル4セミトラックのうち50台は米国で、そして20台は中国で使用されている。

中国の自動運転スタートアップのある幹部は、匿名でTechCrunchにこう語った。「中国と強い繋がりがあることが、彼らの米国に焦点を当てた戦略にとって足かせになり得ます」。

TuSimpleは、IPO前の沈黙期間中であるためコメントを差し控えた。

このような障害は、米国市場(またはその同盟国)を狙う中国系テック企業にとっては目新しいニュースではない。有名な例では、CFIUSはByteDance(バイトダンス)が10億ドルを投じて買収したMusical.lyをTikTok(ティックトック)に統合する際に、国家安全保障に関する調査を開始した。2020年12月の時点では、CFIUSはByteDanceとの間で売却完了に向け「交渉を行っている」とロイターが報じていた

自動運転関連のベンチャー企業は中国との関係を断ち切るためにダイベストメントという道もあるが、Momentaの幹部が指摘したように、グローバルな結びつきが強い業界で短期的にサプライチェーンの独立性を実現するのは、より複雑なことかもしれない。

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(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)

中国の自動運転トラックスタートアップTuSimpleがIPO申請

TuSimple(ツー・シンプル)は多様な戦略的投資家集団が支援する自動運転トラックの会社で、Volkswagen AGの大型トラック部門であるThe Traton Group、Navistar,Goodyear、および運送会社のU.S. Xpressが出資している。米国時間3月23日、同社は上場申請書を提出した。

TuSimpleは、最近特に電気自動車や自動運転車のスタートアップでトレンドとなっている特別買収目的会社(SPAC)との合併ではなく、伝統的方法で上場しようとしている。

提出された書類によると、発行する株数と売出し価格の範囲はまだ決まっていない。TuSimpleは普通株をNASDAQ Global Select Marketにティッカーシンボル「TSP」で登録するつもりだ。Morgan Stanley、Citigroup、およびJ.P. Morganが引受会社になる。

3月23日に提出された同社のS-1書類によると、TuSimpleは償還可能型転換優先株の販売および株主からの借入を事業の主な費用に充ててきた。同社の主たる資金源は3億1080万ドル(約337億5000万円)の現金および現金相当物で、150万ドル(約1億6000万円)の制限つき預金は含まれない。現金および現金相当物は、主に銀行口座にある預金および預金証明書からなる。

S-1書類によると、TuSimpleの2020年営業損失は1億7790万ドル(約193億3000万円)で、前年の8480万ドル(約92億2000万円)から2倍以上なった。2018年の営業損失は4500万ドル(約48億9000万円)だったという。同社の2020年12月31日時点の累積赤字は4億520万ドル(約440億3000万円)だった。

普通株保有者に起因する2020年の純損失は1億9880万ドル(約216億1000万円)で、前年の1億4500万ドル(約157億6000万円)より増えた。

売上は2020年に180万ドル(約2億円)へと増加した。前年は71万ドル(約8000万円)だった。

2015年に設立されたTuSimpleは、今やAurora、Embark、Kodiak、Waymoが名を連ねる小さくても活気のある業界における自動運転トラックスタートアップのはしりだった。TuSimpleの創業チームおよび初期の出資者であるSinaとComposite Capitalは中国出身だが、多くの事業は米国内で運営されており、グローバル本社はサンディエゴにある。TuSimpleはエンジニアリングセンターとトラック基地をアリゾナ州ツーソンに置き、無人運転を支援する施設を最近テキサスに作った。なお無人運転車者は非常時用ドライバーが常時同乗している。TuSimpleは北京と上海でも操業している。

事業拠点とパートナーが米国主体であるにも関わらず、同社株式の大部分は中国投資家が保有している、とS-1目論見書に書かれている。クラスA株式の主要株主はSun Dream Inc.(20%)、Composite Capital Master Fund(7.28%)、およびNavistar(6%)など。現在NavistarはVolkswagen GroupのTheTraton Groupが所有している。TuSimpleの共同ファウンダーであるMo Chen(モウ・チェン)氏とXiaodi Hou(シャオディ・ホウ)氏は、クラスA株式をそれぞれ9.1%と8.5%持っている。2人はクラスB株式を50%ずつ保有している。

Sun Dreamを最終的に支配しているCharles Chao(チャールズ・チャオ)氏は取締役の1人だが、おそらく最もよく知られているのはSinaの会長としてだろう。SinaはWeiboの親会社だ。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Nikolaの会長スティーブ・ガースキー氏が輸送関連への投資を検討

Steve Girsky(スティーブ・ガースキー氏)が自動運転トラックのスタートアップであるTuSimple(ツーシンプル)に投資する交渉を進めていると4人の関係者が明かした。同氏はGMの元副会長であり、現在はコンサルタントで投資家だ。同氏の特別目的買収会社(SPAC)はこの夏、水素燃料電池のスタートアップであるNikola(ニコラ)と合併した。

取引が成立していないため匿名を希望した情報筋によると、ガースキー氏がマネージングパートナーのMary Chan(メアリー・チャン)氏と共同で経営するコンサルティングおよび投資会社であるVectoIQ LLC(ベクトルQ LLC)が出資する。取引は早ければ10月中旬に完了する可能性がある。

TuSimpleとガースキー氏はコメントを控えた。

TuSimpleが資金を求めていることはよく知られている。TechCrunchは6月、TuSimpleが投資家から2億5000万ドル(約270億円)の調達を模索していると報じた。この動きに詳しい複数の情報筋によると、同社は資金調達のため投資銀行であるモルガンスタンレーを雇った。すでにSina、UPS、ティア1サプライヤーのMando Corp.から投資を受けていたが、さらにNavistarと、最近ではTraton Groupとの提携を発表した。

ガースキー氏は最近、Nikola絡みで見出しを飾った。同氏は今やNikolaの会長だ。同社は空売り会社のHindenburg Research(ヒンデンブルク・リサーチ)の痛烈なレポートで詐欺だと非難され、打撃を受けたNikolaの創業者のTrevor Milton(トレヴァー・ミルトン)氏は辞任し、その後ガースキー氏が9月に会長に就任した。2018年にガースキー氏が設立したSPACであるVectoIQ Acquisition Corp.は3月にNikolaとの合併を発表し、同氏が6月に上場を指揮した。取引に詳しい情報筋によると、ガースキー氏は元上司であるGMのCEO兼会長だったMary Barra(メアリー・バーラ)をNikolaに紹介した。9月中旬までにGMはNikolaとの20億ドル(約2100億円)相当の提携を発表した。

ガースキー氏はもうすぐNikolaの新会長に就任する。経営幹部の経験は確かにあるが、近年の活動は、アドバイザー、投資家、仲介役が中心だった。同氏は長い間、モビリティ関連の企業に関心を持っていた。自身の会社であるVectoIQ LLCは、企業への助言や、自動運転車技術、電化、コネクテッド、サイバーセキュリティー、Mobility-as-a-service(サービスとしてのモビリティ)に取り組むスタートアップと大企業を結びつけることを専門としていた。

VectoIQは、LiDAR(ライダー、光を用いたリモートセンシング技術)のスタートアップであるLuminar(ルミナー)に投資した。Luminarは、SPACであるGores Metropoulos Inc.と合併し、合併後の市場評価額34億ドル(約3570億円)で上場すると発表した。ガースキー氏はまた、自動運転車のスタートアップであるDrive.ai(ドライブai)の取締役会にも名を連ねている。Drive.aiは解散を検討していたところをApple(アップル)に買収された

情報筋によると、TuSimpleへのガースキー氏の投資は、クラス8(大型)トラックの生産をまだ開始していないNikolへの関心とは別モノだ。

2015年に発売され、中国、サンディエゴ、アリゾナ州ツーソンで事業を展開するTuSimpleは、クラス8のトラックが人間の運転手なしで動く自動運転車両技術に力を入れている。TuSimpleは米国で40台の自動運転トラックを運行しており、テストのほか、アリゾナ・テキサス間の貨物輸送に使用している。

TuSimpleは、Navistar(ナビスター)と提携し、2024年までに自動セミトラックトレーラーの開発・生産を開始する計画を7月に発表した。Volkswagen AG(フォルクスワーゲンAG)の大型トラック事業であるTraton Group(トラトングループ)は9月、自動運転トラックを開発するためのTuSimpleとの合意の一環としてTuSimpleの少数株主持ち分を取得したと語った。いずれの会社も提携の金銭的条件や少数株主の割合は明らかにしていない。取引に詳しい匿名の情報筋によるとTratonはTuSimpleへ直接投資をしたようだ。現物出資が含まれているかどうかは不明だ。

画像クレジット:TuSimple

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(翻訳:Mizoguchi

VWのTratonグループが中国TuSimpleと自動運転トラック開発で提携、スウェーデンで実証実験へ

VW(フォルクスワーゲン)の大型トラック事業を手掛けるTraton(トラトン)グループは、自動運転(自律運転)トラックの開発に関する合意の一環として、中国の自動運転トラックのスタートアップであるTuSimple(トゥーシンプル)に少額出資した。

両社ともパートナーシップの財務条件や少数株主持分の割合は明らかにしていない。この取引に詳しい情報筋によると、TratonグループはTuSimpleに直接資本投資を行ったという。現物出資が含まれていたかどうかは不明だ。なお今回のTratonの投資は、シリーズEラウンドで2億5000万ドル(約262億円)の調達を目指すTuSimple(未訳記事)の最近の資金調達ラウンドとは異なる。

両社は9月23日、TuSimpleの自動運転車技術を搭載したTratonのScaniaトラックを使用する開発プログラムを発表した。テストはスウェーデンのSödertälje(セーデルテリエ)とJönköping(ヨンショーピング)の間のルートで開始されるという。最終的にTratonは、スウェーデン、ドイツ、その他の国の道路で、ドライバーレストラックのテストを計画している。

なお、Tratonブランドのトラックのレベル4自動運転(特定の場所ですべての操作を完全自動化)を開発するために「緊密に協力」する計画を発表した以外、両社はプログラムの範囲やスケジュールの詳細は明らかにしていない。しかしTratonは「これらのトラックにレベル4の能力を持たせることを目標としており、定められた走行条件の下で、人の手を借りずに完全な自動化を達成し、すべての市場に適用する」と表明している。

Tratonによると「自動運転による走行は、中期的に増加するドライバー不足に対抗する手段として機能する可能性がある」と述べている。そして「最初の導入事例は、特別に区切られたエリア以外の場所で、特に頻繁に利用されるハブ間のルートで実施される可能性がある」と続けた。

この提携によりTuSimpleの自動運転事業は、米国と中国を超えて欧州にまで拡大することになる。Sina、NVIDIA、UPS、そしてTier 1 (ティア1)サプライヤーであるMandoの支援を受けているTuSimpleは、米国で40台の自動運転トラックを運営しており、すでにアリゾナ州とテキサス州の間のテストや貨物輸送に使われている。2015年創業の同社は、中国、カリフォルニア州サンディエゴ、アリゾナ州ツーソンで事業を展開中だ。

今回の提携は、Traton、TuSimple、Navistarの関係をより強固なものとする。TuSimpleは7月、Navistarと提携して2024年までに自動運転型セミトラックを開発し、生産を開始する計画を発表した。計画では、TuSimpleが現在使用しているNavistar Internationalの商用トラックを改造するのではなく、自動運転に特化設計したセミトラックを開発するとしている。戦略的パートナーシップには、NavistarがTuSimpleの非公開株を取得することも含まれている。

一方のTratonは、2016年9月に2億5600万ドル(約268億円)相当で取得したNavistarの16.6%の株式を保有しており、両社は最終的により連携を深める可能性がある。というのも1月にTratonは、所有していないNavistarの残り株を35ドルで買い取るという敵対的買収提案を発表している。そしてTratonは今月、そのオファーを1株43ドル、約39億ドル(約4093億円)に引き上げたという(Bloomberg記事)。

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タグ:VW Traton TuSimple 自動運転

画像クレジット:Traton Group

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(翻訳:TechCrunch Japan)