ライブストリーミング配信のTwitchが著作権付き音楽を使えるストリーマー向けツールを導入

Twitch(ツイッチ)は9月30日、クリエイターが自分のストリームに著作権付きの音楽を加えられる新たなツール「Soundtrack by Twitch」を導入した。昨年から開発していたこの機能は著作権をクリアした音楽を簡単に探し出せるようにするだけでなく、クリエイターが直面しているアーカイブ消音問題を解決することも意図している。

立ち上げに際しては、Soundtrack by Twitchがさまざまなレーベルや配信パートナーと協業しているが、大手とは提携していない。提携しているパートナーの初期ラインアップには以下のとおりだ。

  • Soundcloud
  • Monstercat
  • Distrokid
  • cdbaby
  • Empire
  • Westwood Recordings
  • United Masters
  • Alpha Pup
  • Popgang
  • Text Me Records
  • Dim Mak
  • Create Music  Group
  • Chillhop Music
  • Anjunabeats
  • Soundstripe
  • LabelWork
  • mxmtoon
  • future classic
  • Nuclear Blast
  • Season of Mist
  • Chilled Cow
  • Pure Noise Records
  • Symphonic
  • Blkbox
  • Songtradr

「こうしたラインアップによってクリエイターは、Above & Beyond、mxmtoon、Porter Robinson、RAC、SwuMといったアーティストを含むさまざまなジャンルの音楽にアクセスできる」とTwitchは説明する。ユーザーは全部で100万曲以上を無料で使える。

ただ、Twitchはパートナーとの提携条件の詳細については明らかにしなかった。

Spotifyのプレイリストなど、Twitchの一部の音楽パートナーはすでに無料で使用できる音楽を公開してクリエイターに提供してきた。以前からTwitchと提携してきたダンス音楽レーベルのAnjunabeatsは、Twitchストリーム向けに昨年350曲の著作権をフリーにした(Engadget US記事)。一方、Soundcloudはつい最近、新しい音楽探検に興味のある視聴者とつながることを目的に、自前のチャンネルをTwitch上で立ち上げた(未訳記事)。Twitch統合の詳細は一部の参加者が事前に明らかにした。

これまでTwitchの音声認識システムは、ユーザーがストリームでかけるのに必要なライセンスを持っていない音楽に自動でフラグを立てていた。多くのクリエイターが、購入した音楽だったり、あるいはストリーミングサービス料金を払っていれば、その音楽を自分のストリームで流せると誤って認識している。それは正しくない。

実際には、クリエイターが法律をクリアして流せる音楽はかなり少なく、ジャンルも限られている。自身が所有している音楽、あるいはライセンスが供与されているものとなる。

つまり、音楽に関連するTwitch上のさまざまなコンテンツは許されない。ここには、ラジオスタイルのリスニング番組、DJセット、カラオケ、リップシンク、カバー曲など、クリエイターが音楽を使っているもの、また歌詞を表示しているものが含まれる。

TwitchはAudible Magicと過去のVOD(ビデオオンデマンド)をスキャンして著作権違反を調べてきた。そして音楽にフラグが立つと、そのVODは消音されることになる。

Twitchは、2015年にTwitch Music Libraryを立ち上げて音楽著作権問題を解決しようと試みたが、これは昨年何の説明もなく使用中止となった(Raddit記事)。

Soundtrack by Twitchの立ち上げで、音楽が自分のオーディオチャンネルに入ることになり、クリエイターは消音や自身のチャンネルに対するストライキの心配をせずに曲を流すことができる。クリエイターは一連のステーションとTwitchのスタッフが管理するプレイリストから、「リラックス」「Lofi Hip Hop/Beats」「ラップ」といったテーマやジャンル別に音楽を選ぶことができるようになる。

新型コロナウイルス感染症パンデミックの影響でライブストリーミングプラットフォームのTwitchはアーティストに受け入れられ、Soundtrackの立ち上げは音楽がTwitchエクスペリエンスの大きな部分を占めるようになっていることを受けてのものだ。

同社はAmazon Musicとの提携のもとにStream Aidという慈善興業も開催(Twichブログ)し、Diplo、Barry Gibb、Ryan Tedder、Lauv、Charlie Puth、Die Antwoordといったアーティストを特集した。以来、数多くのミュージシャンのライブストリームをホストし、7月には「音楽・パフォーミングアート」カテゴリーが前年同月比387%増となった。

Twitchはまた、SpotifyのTracy Chan(トレーシー・チャン)氏を音楽プロダクトエンジニアリング責任者として迎え入れ、Bandsintownと提携した。そしてアーティストがTwitch Affiliateのステータスを最速で獲得できるいくつかの方法の提供を開始した。Twitchのライブストリームは今月Amazon Musicのアプリにも統合された。

Soundtrack by Twitchの初期バージョンは9月30日から提供され、PCのOBS、Twitch Studio、そして間もなくStreamlabs OBSで利用できる。

画像クレジット:Twitch

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(翻訳:Mizoguchi

ゲーミングビデオ実況配信のTwitchがみんなで視聴できるウォッチパーティー機能をグローバル展開

Twitch(ツイッチ)はゲーミングビデオ実況配信の場所以上のものになろうとしている。昨秋、Amazon(アマゾン)傘下のTwitchは「Watch Parties(ウォッチパーティー)」という新機能のテストを開始した。

ウォッチパーティーでは、クリエイターがAmazonプライムビデオのコンテンツをAmazonプライムのビューワーにストリームできる。今春、Twitchはウォッチパーティーを米国で最大のストリーミングチャンネルで使えるようにし、プライムビデオが扱う70以上の映画やテレビ番組のサポートで提供を開始した。そして9月2日、世界中のクリエイターがウォッチパーティー機能を使えるようになった、と明らかにした(Twicchブログ投稿)。

グローバル展開により、Twitchストリーマーはそれぞれの地域で提供されているプライムまたはプライムビデオにある作品でウォッチパーティーを主催できる。もちろん、もしクリエイターが居住国外のオーディエンスにストリーミングするときは、オーディエンスのみんなが視聴できるコンテンツを探したい。そうしたコンテンツは「Broadly Available」というラベルで見つけることができる。Twitch上の大半のプライム会員が視聴できる、という意味だ。

コンテンツが視聴者にストリームされる際は、ストリーマーのウェブカメラがチャットの上のビデオプレイヤーに表示される。なので視聴者みんながどのような反応をしているのかを見ることができる。視聴者は、Bitsのような機能を使ったりストリーマーをフォローしたりするなどしてストリーマーに対するサポートの意を示すことができる。

ウォッチパーティーを使うには、ストリーマーは最初にストリームマネジャーにウォッチパーティーQuick Actionを加え、それからウォッチパーティーを自分のプライムまたはプライムビデオアカウントとつなげる。ストリームするときは観たいテレビ番組やビデオを選んでライブするだけだ。

この機能の提供は、コビューイング体験が新型コロナウイルスのために注目されつつある中でのものだ。隔離やロックダウンで家に閉じこもっている人々が家族や友人とつながるためにコビューイングに目を向けた。米国ではパンデミック初期にブラウザ拡張機能のNetflix Party(ネットフリックスパーティー)が流行り、それ以来、プライムビデオやHulu(フル)を含む大手ストリーミングサービスがそれぞれコビューイング機能を展開してきた。

Twitchはまた、パンデミック中にゲームではないコンテンツの「ホーム」としての引き合いがあることも気づいた。たとえば、ミュージシャンはファンにストリームするためにTwitchに目を向けた。(未訳記事)。「Just Chatting」のようなTwitchのサイトもまたブームになった(The Verge記事)。

Twitchは、ウォッチパーティーをモバイル端末でも利用できるよう取り組んでいるとのことで、今後数カ月以内に提供される見込みだ。

画像クレジット: Twitch

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(翻訳:Mizoguchi

アマゾンのTwitch PrimeがPrime Gamingとしてリニューアル

米国時間8月10日、AmazonプライムにPrime Gamingが登場しゲームのサービスが強化された。

Prime GamingはTwitch Primeの新バージョンだ。Twitch Primeは、Amazon(アマゾン)が2014年に人気のゲームストリーミングプラットフォームを買収し(未訳記事)、2016年に始めたサービスだ(未訳記事)。

これまでのTwitch Primeと新しいPrime Gamingのどちらも、通常のプライム会員特典の一部として追加料金なしでゲーム、ゲーム内コンテンツ(武器やスキンなど)、Twitch.tvのサブスクリプションを利用できる。今回の発表でアマゾンは、Prime Gamingには「さらに多くのゲームのための新しいコンテンツに加え、多くの無料ゲームやTwitchチャンネルの月ごとのサブスクリプション」が含まれると述べた。

eスポーツの専門家であるRod Breslau(ロッド・ブレスロー)氏は米国時間8月10日の早朝に、このリブランドがリリース間近であることをツイートしていた。

Prime Gamingでは現在、GTAオンライン、レッドデッドオンライン、Apex Legends、EAスポーツFIFA 20、League of Legendsなど、20を超えるPC、コンソール、モバイルゲームのゲーム内コンテンツが提供されている。毎月、PCゲームを無料でダウンロードすることもできる。今月はSNKの40周年コレクション、Metal Slug 2、Treachery in Beatdown Cityなど20種類以上の無料ゲームが対象となっている。

Prime GamingのLarry Plotnick(ラリー・プロトニック)GMは発表の中で「Prime会員にはすでに最高のTV、映画、音楽を提供してきた。今回は最高のゲームなどエンターテインメントのサービスを拡張する。我々はお客様に、すべてのプラットフォームで好きなゲームをもっと楽しむための新しいコンテンツを提供する。お客様はPrime Gamingを利用すれば、どんなゲームでも、どこでプレイしても、これまで以上に楽しめる」と述べている。

画像クレジット:Amazon

関連記事:Amazonプライムビデオにユーザープロフィールが加わる、子供用含め最大6人ぶん

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(翻訳:Kaori Koyama)

ヘイトに満ちた投稿で停止されていたトランプ大統領のTwitchアカウントが復活

RedditとTwitchが利用約款に違反する政治的投稿だとしていくつかのアカウントを停止してから2週間が経った。この重要な決定ではトランプ大統領のTwitchの公式アカウントも対象となっていた。ただし同社は「(停止は)一時的なもの」だと述べていた。

すでに報道されている(The Verge記事)が、我々の取材に対してTwitchは「大統領のアカウントが復活した」ことを認めた。

同社の広報担当者はこの問題に対する最初の声明を繰り返し「Twitchではヘイトスピーチは禁止されている。利用約款に基づき、Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領のチャンネルからのストリーミングは一時的に停止されたが、当該の問題あるコンテンツは削除された」と述べた。

アカウント停止の原因となったのは2つのコンテンツで、1つは大統領選キャンペーンの開幕を告げるコンテンツに含まれていた「メキシコは一番優れた人々は送ってよこさない。……連中はドラッグを持ちこむ。犯罪を引き起こす。強姦魔もいる」という悪名高い部分だ。

もう1つはその後のタルサのキャンペーン集会における発言で「おい、今は明け方の1時で非常に嫌な時間だ(と想像してくれ)。ときどきこの『hombre(スペイン語で男)』という言葉を使うのだが、非常にタチの悪いヤツが夫がセールスマンか何かで出張中の若い女性の家の窓を破って入りこんでいる」というものだ。

Twitchは当時「政治家も他のユーザー同様に、我々の利用規約とコミュニティガイドラインを守る必要がある。政治的価値または報道価値があっても例外は認められない。違反が報告されたコンテンツに対しては(規約に基づく)措置を取る」と述べていた。

Twitterその他のソーシャルメディアと政権の激しい対立の中でこの問題が発生した。逆に共和党議員らは ユーザーコンテンツに関する訴訟からプラットフォーム運営者を免責する通信品位法230条を無効化することを要求している。これについては大統領行政命令も出ている。

選挙集会とオンラインメディアの双方でトランプ陣営の主張がヒートアップしているため、2020年11月の選挙に向けてこうしたトラブルが繰り返される可能性は高い。

画像クレジット:Brian Heater

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Twitchは第2四半期に総視聴時間50億時間を突破し記録更新、先行きには不安材料も

Twitchは、コロナウイルスによるロックダウンの最中だった2020年第1四半期に、視聴記録を更新(gamesindustry.biz記事)していたが、第2四半期にはその記録とその他の記録をいくつか再び破ったようだ。

StreamlabsとStream Hatchetからの新しいレポートによれば、この第2四半期にTwitchは、総視聴時間を2020年第1四半期から62.7%と大幅に伸ばして50億時間に達した。

前年比で比べた場合、この数字は83.1%の増加であり、いまや67.6%の市場シェアを占めるTwitchがゲームストリーミングサービスのリーダーとしての地位を固めるのに役立っている。

またレポートによれば、Twitchは第2四半期に、ストリーミングされた時間数、ユニークなチャンネル数、平均同時視聴数の記録も更新した。

ストリーミングに関しては、Q1(第1四半期)の1億2140万時間からQ2(第2四半期)の1億9270万時間へと58.7%増加した。またユニークチャンネル数は、Q1の610万から、Q2では1000万近くへ63.9%増加した。また平均同時視聴数、つまりTwitchを同時に視聴している視聴者の数は前四半期から63.4%増加し、Q2では240万人に達した。

画像クレジット:StreamlabsとStream Hatchet

もちろん、第2四半期のヘッドラインニュースは、ゲームストリーミングサービスのMixerをシャットダウン(The Verge記事)する予定だというMicrosoft(マイクロソフト)からの発表だった。

Mixerは7月22日に終了し、マイクロソフトはFacebookと協力してユーザーに新しい場所を提供する。しかしこれは、Mixerユーザーの切り替えを保証するものではない。おそらくMixerの終了により、Twitchが現在よりもさらに多くの市場シェアを獲得できるようになる可能性があるだろう。

画像クレジット:StreamlabsとStream Hatchet

Mixerは間もなく終了するが、このQ2はこれまでで最高の四半期の1つだった。総視聴時間は1億600万時間に達し、これはQ1に比べると30.6%の増加だ。また、ラインアップのチャンネルを500万個以上に増やした。しかし、より広く市場の状況を眺めた場合、Mixerは大きな影響を与えることはできなかった。第2四半期までにわずか1.4%の市場シェアを確保することができただけだった。これは、実際には前の四半期から0.5ポイント以上低下した数値なのだ。

一方、YouTube Gaming Liveの総視聴時間はQ1からQ2にかけて39.6%増加し、15億時間に達した。この成長は、ある程度は、Jack “CouRage” Dunlop(ジャック・カレッジ・ダンロップ)氏とRachell “Valkyrae” Hofstetter(レイチェル・バルキリー・ホフスタッター)氏を含む最近のトップタレントの獲得と、CouRageの継続的な成功から生じていると報告書は述べている。

画像クレジット:StreamlabsとStream Hatchet

また、YouTube Gaming Liveは、第2四半期ではストリーミング時間数が19.1%増加して1690万時間に達し、ユニークチャンネル数はこの四半期に22.7%増加して110万になった。

Facebook Gamingが、もくろみどおりにMixerの終了の恩恵を受けるかどうかを知るにはまだ時期尚早だ。しかし、Facebook Gamingの総視聴時間はこの四半期に48.5%伸びて8億2200万時間となった。ストリーム時間は610万時間、そしてユニークチャンネル数は20万3554に達した。しかし、Facebookはいまだに市場の11%のシェアしか握っておらず、Q1以来それは変わっていないとレポートは伝えている。

画像クレジット:StreamlabsとStream Hatchet

コロナウイルスが大流行している中、自宅で楽しむ方法を求める消費者が増えていることから、Twitchや程度は低いにせよ他のゲームストリーミングサービスも、明らかに利用が増えてはいるものの、今年はTwitchにとって順風満帆とは言えない状況だった。

Twitchが堅牢な検索ツールや一括削除機能を提供していなかったために、新しくRIAA(米国レコード協会)から取り下げ通知を大量に受けたTwitchのストリーマー(The Verge記事)は、何百時間もの過去の映像を苦心して掘り返して侵害コンテンツを見つけなければならないという事態に陥った。

しかし、さらに懸念されているのはTwitchが 虐待や嫌がらせ(NewYork Times記事)からコミュニティメンバーを適切に保護できなかったこと、大人のストリーマーから子供への略奪的行動を防げなかったことなどの問題で非難されている(The Verge記事)ことだ。6月には、ゲーム業界の70人を超える人々が、性別に基づく差別、嫌がらせ、性的強要に関する申し立てを提起した。Twitchは改善することを誓ったが、初期段階でコミュニティーに対して適切な反応を返すことに失敗したことは、この先足を引っ張りかねない。

これまでのところ、これらの問題はTwitchの成長を視聴率や市場シェアの観点からは弱めてはいないが、収益を生み出すビジネスとしての将来性を損なう可能性がある。すでにTwitchは、広告収入を生み出すのに苦労(The Infoemation記事)しており、コミュニティをな特区させることに失敗した場合には、事態はさらに悪化するだけだ。

現代のマーケティング担当者たちは、自分たちのメッセージが差別的な発言やその他の対立的で有毒なコンテンツの横に配置されることへの懸念をますます強めている。現在進行中の、Facebookへの広告ボイコットは拡大し、現在400以上の広告主が含まれている。たとえばユニリーバ、コカコーラ、ファイザーなどの大手企業がFacebookのソーシャルネットワークへの広告費を見合わせている。こうした広告主たちは、性的虐待を制御できないゲームストリーミングサイトで、自社の製品やサービスを売り込む機会に飛びつくことはないだろう。

StreamlabsとStream Hatchetの完全なレポートはこちらから。

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(翻訳:sako)