クリエイターのための経済オペレーティングシステム

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター「The TechCrunch Exchange」へようこそ。

先週のTechCrunchでは、Pico(ピコ)の650万ドル(約7億円)の資金調達を取り上げた。そこでは同社を「ニューヨークのPicoは、オンラインのクリエイターやメディア企業がお金を稼げて顧客データを管理できるようにする」と紹介した。The Exchangeは以前にもPicoを取り上げたことがある。最も近いところでは2020年半ばに、独立系出版やサブスクリプションメディアの世界での話題を紹介している。

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Picoのラウンド記事では、Anthony Ha(アンソニー・ハー)記者がすばらしい仕事をお届けしたが、私もまた同社とZoom(ズーム)コールを行った。なぜなら、彼らの新しい資金調達は一種の再出発のようなものであり、その件について私はもっと理解したかったからだ。

Picoのチームは、クリエイティブなデジタルツールの歴史的変遷を説明しながら、彼らのビジネスの中で何が変わったのかを説明してくれた。彼らによれば、以前、この世界はコンテンツのホスティングや配信を中心に展開していたという。同社の考えでは、クリエイティブに特化した新世代のツールが登場することで、Substack(サブスタック)やWordPress(ワードプレス)のような、CMS(コンテンツ管理システム)がツールの中心ではなくなる時代がやってくる。むしろ、マネタイズが中心となるのだ。

そこに賭けたPicoは、クリエイター市場向けのオペレーティングシステムを開発することにしたのだ。私の直感では、マネタイズを中心としたクリエイティブなデジタルの世界は、それまでの時代よりも収益性が高いと思える。

Picoの想定では、クリエイターが最初にどこでオーディエンスを獲得したかに関わらず、最終的にはマルチSKU(管理単位)、あるいはマルチプラットフォームになるため、顧客データを一元管理することが重要になる。

スタートアップが提供する今回改良されたサービスは、これまでのようなちょっとしたマネタイズのためのツールであると同時に、CMS(コンテンツ管理システム)やその他プラットフォーム上のデジタルアウトプットの上に置くことができる、クリエイターに特化したCRM(顧客関係管理システム)なのだ。これまでのところ、同社の顧客数は順調に伸びていて、2020年は約5倍の伸びを記録した。この先、Picoがそのビジョンにどこまで乗れるのか、クリエイター経済中の中流階級の形成に貢献できるのかどうかを見極めていきたい。

現実世界の食料品店革命

コロナ禍の期間中、Instacart(インスタカート)の驚くべき飛躍が取り沙汰されるなかで、ほとんどの人びとが、まだ果物や野菜を買うために実店舗に行っているという事実がやや忘れられている。

もちろん食料品店はその事実を忘れてはいない。しかし、彼らは歴史的に薄利多売であり、Instacart時代には顧客獲得競争も激化しているため、あまり安心していることはできない。彼らが顧客との関係を第三者に委ねることなく、よりデジタル化された戦略を追求するにはどうすればよいのだろうか?

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その答の1つが、Swiftly(スイフトリー)かもしれない。このスタートアップが開発している技術は、あらゆる規模の食料品チェーンがデジタル化を進め、最新のモバイル技術を活用し、広告によってより多くの収入を得るとともに、消費者により多くの買い物の選択肢を提供できるような技術だ。イイ感じかも?

Crunchbaseのデータによると、このスタートアップはこれまでに1500万ドル(約16億2000万円)強を調達しているが、米国で無数の店舗を展開する消費者向け小売業者Dollar Tree(ダラー・ツリー)との取引を開始したことで、再び私たちの記憶を呼び起こした。

私はSwiftlyについては昔から知っていた。共同創業者のHenry Kim(ヘンリー・キム)氏がSneakpeeq(スニークピーク)(後のSymphony Commerce[シンフォニー・コマース])を開発していた頃に会ったことがある。Symphony Commerceは、最終的にQuantum Retail(クオンタム・リテイル)に買収された。しかし、サンフランシスコ近辺で長年にわたってキム氏と会話をしてきた中では、Symphony Commerceを創業する前に彼が経験していた食料品市場の話が繰り返し出されていた。

5年以上前から、キム氏が食料品店とデジタルの可能性を声高に語っているのを聞いていたので、彼の希望と計画から生まれた会社が有力なパートナーを獲得したのを見るのはうれしい。

Swiftlyは2つの主要製品を提供している。リテールシステムとメディアサービスだ。リテール部門は、モバイルを使う買い物客に対して、レジ精算サービス、ロイヤリティプログラム、パーソナライズされた特典などを提供している。また、メディア部門は、実店舗に対して、通常は見逃されている消費者向けパッケージ商品(CPG)の広告費を手に入れるチャンスを提供する。同時にアナリティクスを活用することで、販売した広告の効果をより正確に把握することができる。

Swiftlyは、現在大きな公開取引案件を抱えているので、今後数四半期でより多くの資金を調達することになると思う。何か分かり次第お知らせする。

UiPath、SPACそしてすてきなベンチャーキャピタルラウンド

先の2週間、The ExchangeはUiPath(ユーアイパス)のIPOについてかなりの量の記事を書いてきた。おそらく書きすぎといわれるくらいに。しかし、念のためにいっておくなら、同社の最初のIPO価格帯は、出された評価額が予想よりも少し低くなったため、レイトステージ投資家に対する警告のようなものとなった。そして同社はその価格帯を引き上げて、私たちの懸念を払拭はしないまでも和らげてくれた。そして、最終的なプライベートラウンドに比べればまだ割安ではあるものの、調達した価格帯を上回る価格をつけた。その後、取引を開始してからは順調に推移して、CFOも「順調だ」と語っている。

同社のプライベート〜パブリック評価額の経緯を詳しく知ろうと、The Exchangeは、Battery VenturesのジェネラルパートナーでB2B投資家であるDharmesh Thakker(ダーメッシュ・タッカー)氏に、IPOの価格よりも少し高めだった同社の最終的なプライベートラウンドに対する彼の見解を尋ねた。彼の言葉を紹介しよう。

あのラウンドには、スマートマネーが絡んでいました。そうした人びとは、Twilio(トゥイリオ)、Atlassian(アトラシアン)、MongoDB(モンゴDB)、Okta(オクタ)、Crowdstrike(クラウドストライク)などがIPO後に価値を5~10倍に上げたように、重要な価値創造はIPO後3~5年で起こることを理解しているのです。

現在、UIPathは、600億ドル(約6兆5000億円)のオートメーション市場の中での普及率は、わずか1%に過ぎない6億800万ドル(約659億円)です。COVID以降、反復的なタスクのためのインテリジェントなプロセスオートメーションに関する緊急性は高まる一方なのです。企業は、自動化を使ったコスト管理を必要としています。よってUiPathは、ターゲット市場に徐々に普及し成長していく中で、継続的な価値をもたらして行くことになるでしょう。それをIPO直前やIPO段階での投資家たちが実感したのです。彼らは忍耐強く待つでしょう」。

つまり彼は強気だということだ。UiPathのIPOについては、PitchBook(ピッチブック)のアナリストであるBrendan Burke(ブレンダン・バーク)氏が、より辛辣な意見を述べている。彼は同社やその市場について以下のように語っている。

RPAは、自動化の需要に応じて急速に拡張されてきましたが、依然として限定的なソリューションであり、恒久的な価値を持たない可能性があります。私たちはカスタムスクリプトに依存しているRPAを、AIネイティブな挑戦者からの競争リスクに直面している、クラウドネイティブなAIオートメーションへの橋渡しをするテクノロジーであると考えています。エンタープライズオートメーションの未来は、フロントラインのユーザーに対して、ダイナミックなデータストリームに適応し、正確な判断を下すことができるクラウドネイティブな機械学習モデルを提供するところにあります。UiPathの実装はクラウドネイティブではありませんし、インテリジェントな意思決定のためには約75のAIモデルベンダーとのサードパーティ統合が必要です。さらに同社は、事業のリスク要因として、AIエンジニアの採用能力を挙げています。UiPathが、AIバリューチェーン全体に展開できる能力があるかどうかが、長期的な展望にとって重要となるのです。

このような発言を引用したのは、一般的なアナリストの世界では、失礼な発言であることを恐れるあまり、実際のネガティブな発言を引き出すのが難しい場合があるからだ。

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先を急ごう。先週は紹介しておきたい新しいSPACの案件があった。SmartRent(スマートレント)がFifth Wall Acquisition Corp(フィフス・ウォール・アクイジション・コープ)と合併する。Crunchbaseのデータによれば、SmartRentは非公開時代にRET Ventures、Spark Capital、Bain Capital Venturesなどから1億ドル(約108億1000万円)以上を調達している。

そのため、SmartRentに22億ドル(約2377億3000万円)の株式評価額が与えられた今回のSPAC取引は、VC支援による重要なエグジットとなっている。その投資家向け資料はここから見ることができる。私たちがSmartRentに注目しているのは、やはりSPACを行おうとしているLatch(ラッチ)と同じような分野で活動しているからだ。賃貸住宅のインフラ企業同士の激突となるか?こいつは楽しみだ(LatchのSPAC案件についてはこちら)。

今回の主たる話題の最後になるが、HYPRが先週3500万ドル(約37億8000万円)を調達した。先週書きたかったけれど書けなかったベンチャーキャピタルのラウンドの中で、同社を取り上げたのは、HYPRがパスワードのない未来を約束しているからだ。そして、シリーズC調達を行ったばかりだが、その目的を達成できるチャンスがあるかもしれない。ああ神様、どうか実現しますように。

その他のことなど

先週は、Y Combinatorを卒業したばかりのメンバーが行った資金調達を取材した。Queenly(クイーンリー)とAlbedo(アルベド)の記事を書いている。読んでみて欲しい。

そうそう、Afterpay(アフターペイ)の最近の業績を見る限り、Buy-now-Pay-Later(後払い販売)の市場は今も急速に成長しているようだ。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:The TechCrunch ExchangePicoInstacartUiPathSPAC

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

無名スタートアップから企業価値3.8兆円のRPAユニコーンに登りつめたUiPath成長の軌跡

TechCrunchが2017年にUiPathのシリーズAを取り上げた時、この会社はロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)と呼ばれるほとんど知られていないエンタープライズソフトウェア分野に取り組むルーマニアの小さなスタートアップだった。

その後、同社は次々と数十億ドル(数千億円)の企業評価額をつけられる成長を遂げた。複数の調達ラウンドを経て、2021年2月の7億5000万ドル(約790億円)のラウンドでの評価額は、驚きのの350億ドル(約3兆8399億5000万円)だった。

米国時間3月27日、UiPath(ユーアイ・パス)は速射砲のような進化過程の次期ステップとして、上場のためのS-1書類を提出した。この会社がどれほどの速さで上昇してきたかを知るべく、これまでの資金調達の歴史を見てみよう。

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画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

RPAは、最近ではSAP(サップ)、Microsoft(マイクロソフト)、IBM(アイビーエム)、ServiceNow(サービスナウ)などの大手エンタープライズソフトウェア会社が参入したことでよく知られている。RPAを導入することで、企業は保険の申請などの面倒な作業を自動化し、業務を自動的に遂行することで、人間は必要不可欠な作業に専念できる。例えば人がメールからスプレッドシートに数字を移し替える代わりに、RPAが自動的にやらせることができる。

2019年6月に大手調査会社のGartner(ガートナー)はRPAについて、エンタープライズソフトウェアで最も急成長している分野であり、年間60%の伸びで投資家だけでなく大手エンタープライズソフトウエア企業もひきつけていることを報じた。RPAの成長スピードは成熟とともに鈍化したものの、2020年9月のGartnerレポートによると、成長率は19.5%と堅調で2021年の売上総額は20億ドル(約2190億円)に達すると予測している。Gartnerは、UIPath、Blue Prism(ブルー・プリズム)、Automation Anywhere (オートメーション・エニウェア)らのスタンドアロンRPAが市場をリードしていると伝えている。

市場規模は、会社評価額と比べてやや小さく感じるが、この分野まだ生まれたばかりだ。この日のS-1申請書類には、獲得可能な市場規模(TAM)は600億ドル(約6兆5713億円)、というバラ色の展望が描かれている。TAMの予測は概して大きめになる傾向があるが、UIPathはこの数字について、純粋なRPAから同社が「Intelligent Process Automation(インテリジェント・プロセス・オートメーション)」と呼ぶものへと変遷することを見込んでいると説明している。そこにはRPAだけでなく、プロセス発見ワークフロー、ノーコード開発などさまざまなかたちのオートメーションが含まれている。

実際、TechCrunchがプロセスオートメーション市場の急成長について書いたように、UiPathがさらに成長するためには、これらの分野へも進出する必要があるだろう。特に、エンタープライズオートメーション市場を巨大企業と競っていることを考えればなおさらだ。

UiPathは上場前の沈黙期間の真っ只中にいる間に、Cloud Elements(クラウド・エレメンツ)の買収を発表した。APIインテグレーションを提供する会社で、エンタープライズのオートメーションにとって重要な要素だ。UiPathの共同ファウンダーでCEOであるDaniel Dines(ダニエル・ダインズ)氏はこの買収について、オートメーションツールのための大型プラットフォーム構築のためだと語った。

「Cloud Elementsの買収は、当社が柔軟でスケーラブルなエンタープライズ向けプラットフォームを構築し、顧客企業を完全オートメーション化する方法の一例にすぎません」と同氏は声明で述べた。

声明の多くはCEOトークだったが、会社がより大きなオートメーションストーリーを描いていることを示す真実もあった。同社は並外れた資金調達で得た現金を使って、独自のビジョンを拡大し、プロダクトロードマップに欠けている部分を埋めるための小さな買収を始められる。

同社が急速に展開する市場で戦うためには、それ以上のことを成し遂げる必要がある。事業のさまざまな部分を多くのベンダーが狙っているからだ。上場への旅を続ける間に、UiPathはより多様なオートメーション分野のさまざまな部分に手を広げ売上を増やす新たな方法を見つける必要があるだろう。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:UiPathRPA新規上場

画像クレジット:Visual Generation / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ロボティック・プロセス・オートメーションのUiPathがIPO申請

米国時間3月26日午前、よく知られたロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)のユニコーンであるUiPath(ユーアイ・パス)が上場申請した。

同社はこのS-1書類提出に至るまでに、非公開企業として数十億ドル(数千億円)の資金を獲得しており、史上有数の資金豊富なスタートアップに数えられている。たとえば2020年だけを見ても矢継ぎ早に資金を調達し、12カ月以内にシリーズEシリーズFを完了している。

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UiPathの申請書類には同社の急成長ぶりが詳しく書かれている。2020年1月31日までの会計年度から2021年1月31日までの会計年度の間に、UiPathの売上は3億3620万ドル(約368億8000万円)から6億760万ドル(約666億6000万円)へと81%近い成長を見せた。この売上増によって、GAAP純利益は2020年1月年度の-5億1990万ドル(約-570億4000万円)から2021年1月の-9470万ドル(約-103億9000万円)へと改善された。

UiPathの非公開市場での企業価値は、2020年7月の102億ドル(約1兆1191億2000万円)から、2021年2月の350億ドル(約3兆8399億5000万円)へと跳ね上がった。

同社に出資している27の投資家にとって、今回のIPO申請は非常に重大な出来事になる。もしもUiPathがその恵まれた非公開評価額を維持できれば、IPOは成功と見ることができる。しかし、最新ラウンドの出資者たち(Alkeon CapitalとCoatue、両者はシリーズEもリードした)は、同社の市場価値がさらに上昇することを望んでいる。

果たして、UiPathの公開市場価値が350億ドルを超えるかどうか、それはまだわからない。

同社の財務状態は、急成長企業らしく会計2020年度の出費は非常に大きかった。UiPathは営業・マーケティングコストから研究開発費、一般管理予算にいたるまで最新年度で切り詰めた。その結果同社の総利益率は費用削減の効果で大きくなった。そしてその結果、収益性と現金創出が劇的に向上した。

S-1書類によると「UiPathの2020年1月末会計年度と2021年1月末会計年度の営業キャッシュフローはそれぞれ、-3億5940万ドル(約-394億2000万円)と292万ドル(約3億2000万円)、フリーキャッシュフローは-3億8040万ドル(約-417億3000万円)と260万ドル(約2億8000万円)」だった。これは著しい好転であり、同社のGAAP純利益率の向上よりも目覚ましいと言えるだろう。

UiPathからはさらに情報がでてくるはずで、中でも4半期決算の詳細は「今後の目論見書の修正」に入ると同社は言っている。

全体を通じて、UiPathは最新会計年度で営業面の大幅な増益を果たした。これは上場するソフトウェア会社の誰もができることではない。

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タグ:RPAUiPath新規上場

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook

業務自動化のUiPathが約790億円調達、IPOもまもなく

急成長中のロボット・プロセス・オートメーション(RPA)分野におけるリーダーの1社であるUiPathは米国2月1日、350億ドル(約3兆7000億円)という驚くべきポストマネーバリュエーションで7億5000万ドル(約790億円)のシリーズFラウンドをクローズしたと発表した。

既存投資家のAlkeon CapitalとCoatueが共同で本ラウンドをリードし、Altimeter Capital、Dragoneer、IVP、Sequoia、Tiger GlobalそしてT. Rowe Price Associatesのアドバイスを受けたファンドや個人投資家も参加した。Crunchbaseによると、ニューヨーク拠点のUiPathの累計調達額は20億ドル(約2100億円)近くになった。

UiPathは2005年に設立されたが、2015年まで機関投資家から資金を調達しなかったとCrunchbaseにある。2020年12月にCNBCはUiPathの年間売上高が約3億6000万ドル(約380億円)で、 Amazon(アマゾン)やBank of America、Verizonなどを含む6300もの顧客を抱えていると報じている

自らのミッションは「Fully Automated Enterpriseを使えるようにし、そして自動化を通じて労働者に力を与えることで人間の創造性と工夫を解き放つこと」だとUiPathは謳う。同社のオートメーションプラットフォームは、さまざまな部門でオートメーションを構築して動かす方法を企業に提供することで「人間の働き方を変革する」のが目的だ。

同社は「世界中の企業や行政組織のために何百万回も繰り返される気が遠くなるようなタスクを自動化し、生産性や顧客エクスペリエンス、従業員の働きがいを改善する」のに人工知能(AI)と機械学習を使っている。最終目標は労働者により複雑な業務にフォーカスするための精神面でのエネルギーと時間を与えることだ。競合相手としてはMicrosoft Power Automate、Blue Prism、Automation Anywhereなどがある。SAPも最近この分野に進出した。

UiPathは信じられないほど成長してきた。筆者が2019年4月に5億6800万ドル(約600億円)のシリーズDについて記事を書いたとき、同社は200カ国に40万ものユーザーを抱えていた。当時、同社は2017年4月に800万ドル(約8億4000万円)だった年間経常収支(ARR)が2億ドル(約210億円)に増えたと語った。その後同社は、従業員数を2年間で16倍の2500人超に増やしたと明らかにした。またIPOを検討していることも匂わせた。

言葉どおり、同社は証券取引委員会にIPOのためのドラフトを提出した。そのため、大きな資金調達をこのタイミングで行ったというのはなおのこと興味深い。

UiPathの上場は2021年版のSnowflakeのIPOとなるかもしれない。後払い決済サービスを提供するAffirmも最近、IPO申請前に5億ドル(約520億円)を調達するという似たようなアプローチを取った。

UiPathは今回のラウンドについてプレスリリースにある以上のコメントは拒否している。

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タグ:UiPath資金調達RPA

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi)

業務自動化のUiPathが新規上場のための書類を米証取委に非公開で提出

ものすごい勢いで成長しているロボットプロセスオートメーション(RPA)のスタートアップUiPath(ユーアイパス)が、今後予想されているIPOに先立ち、米国時間12月17日米国証券取引委員会(SEC)に非公開で書類を提出した。

同社は声明の中で「UiPath,Inc.は本日、米国証券取引委員会(SEC)にA種普通株式の公開に向けた登録届出書の草案を、非公開で提出したことを発表しました。A種普通株式の売出株式数および公開時の売出価格帯は未定です。UiPathは、SECによる審査プロセスの完了後、市場やその他の条件を勘案して、公募を開始する予定です」と述べている。

同社はこれまでAccel、CapitalG、Sequoiaなどの投資家から、12億ドル(約1240億円)以上の資金を調達している。これまで最大の調達額は70億ドル(約7230億円)という印象的な評価額で2019年4月にCoatueが主導した5億6800万ドル(約586億9000万円)だった(未訳記事)。2020年7月に評価額が102億ドル(約1兆500億円)に急騰した際には、Alkeon Capitalが主導して2億2500万ドル(約233億円)を調達した

7月の増資時には、CEOで共同創業者のDaniel Dines(ダニエル・ダインズ)氏は、IPOの考えを包み隠さず私に話した。

市場の状況を評価している最中ですし、漠然としたことはいいたくないのですが、この日に上場するという日はまだ選んでいません。市場の機が熟したときには自分たちの準備が整っているべきだというのが本心ですが、それがこれから12~18カ月後のことになっても不思議ではありません。

今回の動きは間違いなくその予想された期間の中に入っている。

RPAとは、企業が反復性の高いマニュアルタスクを取り込んで自動化する作業を支援する。たとえば請求書から数字を取り出して、スプレッドシートにその数字を記入し、買掛金としてメールを送信するタスクを、人間が触れることなく行うことができるようにするサービスだ。

企業が既存システム(レガシーシステム)を、崩したりリプレースしたりすることなく、自動化を活用することができるので、現在大きな魅力を持っている技術なのだ。同社は多くの資金を調達し、その評価額が急上昇してきたが、Airbnb、C3.ai、Snowflakeのような企業と同じように、好意的な市場の反応を得られるかどうかは興味深いところだ。

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画像クレジット:Visual Generation / Getty Images

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(翻訳:sako)

近年の評価額上位のスタートアップは慣習に反して非上場を続けている

Bessemer Venture Partnersは2020年のCloud 100 Benchmarkレポートを最近発表し、TechCrunchのAlex Wilhelm(アレックス・ウィルヘルム)がその大まかなトレンドに着目している(未訳記事)が、そのデータを見ると評価額上位の企業に注目すると、近年のトップ企業は何らかの理由で慣習に反していることがわかる。

このレポートはプライベート企業を対象としたもので、上場すると掲載されなくなり、毎年、企業の入れ替わりがある。たとえば初期のレポートでは、2016年と2017年にはDropboxが100億ドル(1兆円)規模の評価額で断然トップだったが、2018年に上場(未訳記事)して以降はいなくなった。

100億ドルという指標は、クラウド企業に対する投機的でない堅実な評価額としてはかなり大きめの額だが、評価額でそれを吹き飛ばした企業がいる。その並外れた大きさは、2020年9月初めの上場(未訳記事)の前に120億ドル(約1兆2700億円)を超えた(未訳記事)Snowflakeさえ小さく見えてしまうほどだ。

その企業は、360億ドル(約3兆8000億円)という途方もない評価額のStripeだ。同社の、トップを目指す快進撃は2016年と2017年に始まったが、2016年には60億ドル(約6300億円)、2017年には約80億ドル(約8400億円)でDropboxの背中を見ていた。2018年にDropboxがこのチャートを去ると、評価額は200億ドル(約2兆1100億円)に跳ね上がり、Dropboxがいたとしても抜かれていただろう。2019年は230億ドル(約2兆4200億円)にまで駆け上がり、2020年には360億ドルと大きく飛躍した。

Stripeが並外れているのは評価額の大きさだけでなく、それでもまだ上場していないことだ。TechCrunchのIngrid Lunden(イングリッド・ランデン)が2020年4月に指摘していた(未訳記事)ように、同社はその意図について沈黙を守っているが、最近ではIPOが近いという推測もある(Forbes記事)。

Stripeがそのクレイジーな評価額を稼いだ主因は、インターネット上における最大の企業の一部がクラウド決済のAPIとしてStripeを使っているからだ。今やAmazon(アマゾン)も、Salesforceも、Google(グーグル)も、ShopifyもStripeの顧客であるため、これだけ大きな評価額になっても不思議ではない。

Stripeは、誰もが自分のアプリやウェブサイトに決済の仕組みを簡単に導入できるサービスとして登場した。決済の部分のコードを自分で書くとしたら、ものすごく時間がかかってしまう。しかしStripeを使えば、開発者がやることはそのサービスのタイプを選ぶだけだ。あとは誰かがその決済のゲートウェイを通るたびに、Stripeが少額の手数料を徴収する。

世界最大の企業の一部が使っており、大小さまざまな企業もStripeを使って決済を実装しているため、その売上の合計(手数料の合計)は膨大な額になっている。それが、驚くべき評価額に繋がっている。

ここでもうひとつ注目したい企業は、RPAサービスのUIPathだ。同社は100億ドルを超える評価額でSnowflakeの次に位置している。レガシーなワークフローを自動化するRPAが、決済のAPIと並ぶほど長寿なものか、それはまだわからないが、この2年間はとても強かった。

レポートに登場する企業の多くが、初登場から2年後にはユニコーンになり、評価額が高騰し最終的に上場している。Stripeは現時点でその道を選んでいないため、相当に異例な企業だといえる。

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カテゴリー:その他

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa