オープンソース版の登場に対してWhat3Wordsがセキュリティ研究者に法的警告を送付

デジタル・アドレス・システムWhat3Wordsを開発しているイギリスの企業がセキュリティの研究者に法的警告を送り、オープンソースのソフトウェアの共有を他の研究者たちに持ちかけたことは著作権を侵犯していると主張している。

XMissionのシステムズアドミニストレータAaron Toponce氏は、木曜日(米国時間4/29)にWhat3Wordsを代表している法律事務所から、オープンソースの代替システムWhatFreeWordsに関連するツイートの削除を求める書簡を受け取った。その書簡は、彼がそのソフトウェアのコピーを共有した者の身元を同法律事務所に開示し、今後そのソフトウェアを作らないことと、彼が現在保有しているコピーを削除するよう求めている。

その書簡は、要求遵守の日限を5月7日とし、それを過ぎれば「貴殿に対する関連の主張を追求するいかなる資格をも放棄する」、つまり、これ以上あれこれ主張するのをやめて告訴に踏み切る、と言っている。

当のToponce氏は「これは戦う価値のない戦闘だ」とツイートし、本誌には、今後の法的影響が怖いから要求には従った、と語った。削除せよと言っているツイートのリンクをその法律事務所に尋ねたが、答はなかったそうだ。「ツイートによっては、従わないこともありうる。その内容次第だ」、と彼は述べた。


Aaron Toponceに送られてきた法的警告(画像: 本人提供)

英国の企業であるWhat3Wordsは、世界全体を一辺が3メートルの正方形に分割して、そのそれぞれに他と重複しない3語のラベルをつける。それのどこが良いのかというと、緊急時などに現場の正確な地理的座標をいちいち調べて電話するよりは、3つの言葉を共有する方が簡単だからだ。

しかしセキュリティ研究家のAndrew Tierney氏が最近発見したところによると、What3Wordsは、1マイルも離れていない二つの正方形に似た名前をつけることがあるので、人の所在などで混乱を招くことがある。その後の記事でTierney氏は、安全性がきわめて重視される状況でWhat3Wordsを使うのは適切でないと言っている。

欠点はそれだけではない。批評家たちはかなり前から、「救命」を謳っているWhat3Wordsのプロプライエタリなジオコーディング技術は、問題の性質やセキュリティの脆弱性を調べづらくする、と批判してきた。

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What3Wordsがオープンでないことへの懸念も、WhatFreeWordsの開発に導いた動機のひとつだ。そのプロジェクトの現在のWebサイトにはコードがないが、オープンソースバージョンはWhat3Wordsをリバースエンジニアリングして作った、と言っている。そのWebサイトは曰く、「仕組みが分かったので私たちはその実装をJavaScriptとGoで書いた。What3Words社の著作権を冒さないために、彼らのコードはいっさい使っていない。相互運用性のために必要な最小限のデータを含めただけである」。

しかしそのプロジェクトのWebサイトは、いずれにしてもWhat3Wordsの弁護士たちが提出した著作権取り下げ要求の対象になってしまった。コードのコピーのキャッシュやバックアップの所在を示すツイートも、弁護士たちの要求でTwitterにより削除された。

Toponce氏はセキュリティの研究者としてTierneyの研究に協力し、Tierney氏は彼の所見をツイートした。Toponce氏によると、彼はWhatFreeWordsのコードのコピーを他の研究者たちと共有し、What3Wordsに対するTierney氏の当時進行中の研究を助けた。Toponce氏は本誌に、コードの共有を持ちかけたことと、What3Wordsの問題点を見つけたことが合わさって法的警告という結果になったのかもしれない、と言っている。

What3Wordsは、Toponce氏宛の書簡で、WhatFreeWordsには同社の知財が含まれており、同社はそのソフトウェアの「流布を許容できない」と言っている。

しかし、そのコードのコピーはすでにいくつかのWebサイトにあり、Googleで検索できる。そして本誌が見たところによると、Toponce氏が法的警告を公表してから、WhatFreeWordsのコードのリンクのツイートがいくつか登場している。Tierney氏は自分の研究にWhatFreeWordsを利用していないが、ツイートでは、What3Wordsの反応は「今やオンラインで誰にでも簡単に見つかるものに対して法的権利を主張するなんて、常軌を逸している」、と言っている。

本誌はWhat3Wordsに、裁判所がWhatFreeWordsの著作権侵犯を認めたら本当に訴訟をするのか、尋ねてみた。What3WordsのスポークスパーソンMiriam Frank氏は、コメントの複数回の要求に、応じなかった。

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: TechCrunch(スクリーンショット)

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Here Technologiesの車載APIにwhat3wordsのシンプルなアドレスシステムが統合

ジオコーディングのスタートアップであるwhat3wordsは、世界を一辺が3mの正方形に分割し、それぞれにユニークな3つの単語ラベルつけて、位置情報の共有を簡単にしている。同社はこのほど、歴史的に自動車業界と縁の深いマッピング企業であるHere Technologiesとの提携により、新たに車載用の統合機能を獲得した。

米国時間10月22日、Hereのナビゲーションプラットフォームを使用しているOEMは、それ自体を統合する必要はなく、Here Search APIを介して直接what3wordsを車載ナビ機能として含めることができると両社は発表した。既存のプラットフォームユーザーは、アップデートを介してwhat3wordsのアドレッシング技術にアクセスできるようになる。

Hereによると、同社のマップデータサービスは現在、世界中の1億5000万台の車に搭載されているという。

what3wordsのこのような統合は決してこれが初めてではない。登場後、シンプルな語呂がいいアドレシングシステムは車両との相性が意外と良いことがわかった。2013年に創業(未訳記事)された同社は、2019年にFordと提携し、またDaimlerも同社に投資している(what3wordリリース)。

ドライバーが話たり、3つの単語を入力して車のGPSシステムに位置情報を入力するkとおには、正確に住所をしているするよりも楽で明確なメリットがある。what3wordsは一般的な郵便番号よりも位置を具体的な場所をピンポイントで特定することができ、またハイキングコースや特別の待避所、キャンパスの入り口など、住所がない目的地も指定できる。

what3wordsによると、同社の技術はMercedes-Benz、Tata Motors、DB Schenker、Hermes、Cabifyといった世界中の自動車企業やロジスティクスのプロバイダー、モビリティアプリなどが採用しているという。

最近では、この新しいアドレシングシステムはAirbnbに気に入られており、モンゴル遊牧民のゲルなといった通常の位置指定ができない宿泊先(未訳記事)の位置を簡単に共有できるようになった。

what3wordsのCEOで共同創業者のChris Sheldrick(クリス・シェルドリック)氏は、今回のパートナーシップについて 「自動車メーカーやモビリティサービスからの需要が、明らかに増加している。今回、Hereに組み込まれることになり、私たちのアドレスシステムは新しい車両でも古い車両でもシンプルかつ容易に利用できるようになった」と声明で語っている。

一方、Here Technologiesの上級副社長でプロダクト最高責任者のJørgen Behrens(ヨルゲン・ベーレンス)氏は、「自動車OEMやティア1サプライヤーは、自社で統合する必要がなく、 Here Search APIを介してwhat3wordsのサービスを顧客に提供できる。これによりドライバーは、標準的なアドレス方式を採用している混み合った都市環境でも容易に移動したり、地元のパブや登山道の入り口など、あらゆる場所へシームレスにたどり着けるようになる」と別の声明で述べている。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:ジオコーディングHere Technologieswhat3words

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa