FacebookはF8デベロッパー・カンファレンスで新しいグループチャット・ボットを発表する予定だと判明した。このボットはFaceook Messenger内で作動し、ユーザーにリアルタイムでニュースなど有用な情報を提供する。コンテンツにはスポーツの試合経過、通販の商品配送情報などが含まれるという。Facebookの開発状況に詳しい3人の情報源がこのことを確認した。
FacebookはMessengerボットの発表のためにトップクラスのチャットボットのデベロッパーと緊密に協力しているという。またFacebookはデベロッパーが独自にボットを作れるようAPIセットを公開する。もちろんFacebookの広報担当者は私の取材に対して「われわれは噂や推測にコメントしない」と決まり文句の返事をしてきたが、TechCrunchの情報源はわれわれがつかんだ事実を確認した。
たとえばフットボールのファンからなるMessengerグループの場合、スレッドにスポーツ・ボットを加えることができる。このボットは刻々の点数、ビッグプレイ、その他試合の進行に関連する情報を配信してくれる。eコマース・ボットであれば、職場にランチが配達されるところであると伝えてくれる。グループのメンバーはいつまでも腹を空かしている必要がないことを知って安心できるだろう。
Facebook MessengerにはすでにtheScoreのようなスポーツメディアやNBAのSacramento Kings、またピザ配達のDominosなどと協力してこうした情報を配信している。
グループ・チャットボットの発表はFacebookからMessengerボットが昨年のF8で公開されたときすでにTechCrunchが指摘した問題に対する解答だ。
まずこのグループ・ボットは「本物の人間のふり」をするのは止めて、リアルタイムのニュースメディアとして振るまう。そういう意味ではこれは「チャットの相手」という意味のチャットボットではない。他のチャットボットのようにユーザーが1対1で会話することはできないので、むしろ「インフォメーション・ボット」と呼んだほうがいいだろう。
AIテクノロジーが不十分なため人間の質問を正しく理解できず、ユーザーはFacebookのチャットボットに失望気味だ。FacebookのMessengerの責任者、David Marcusは TechCrunch Disruptで、「〔ボットの能力が〕あっという間に過大評価されてしまったのが問題だった。われわれが当初提供したボットの能力はもっと伝統的なユーザー・インターフェイスを上回るものではなかった」と認めた。
そこでグループボットの目的は人間のようにふるまうという圧力から解放され、「会話の相手」という役割にこだわらず特定の役割を効果的に果たす仕組に切り替えられた。
第2に、これまでボットというのは利用のきっかけが得にくいサービスだっため、グループチャットはバイラルにボットの利用を広げるプラットフォームととらえ直された。
現在ユーザーがボットを利用するにはMessengerの検索ボックスにボットの名称を入力する必要がある。どういうボットが利用可能なのか全体を眺める方法は事実上ない。そこで企業がボットを開発しても、利用してもらうためにはニュースフィードへの広告掲出などによってユーザーの頭に正しい名称を刻み込む必要がある。これはマーケティングとしてなかなか困難な目標だ。そこでサードパーティーによるBotlistのようなサービスが登場する。
今回のグループボットは1人が設置すれば他のメンバーにも見える。メンバーは自分の他のスレッドにも導入することになり、そのスレッドの他のメンバーもボットボットの存在を知ることができる。こうしたバイラルな発見によりボットのユーザーと同時にボット・プラットフォームそのものを拡大する。これはチャットボットの開発により多くのデベロッパーの参加をうながす効果があるだろう。
ただし、ユーザーがどのようにしてボットの存在を知るのか、Messengerのグループに追加するのか、具体的な手順はまだ明らかでない。Facebookには今のところボットストアや「おすすめのボット一覧」のようなサービスは存在しない。しかし来月18日、19日にサンノゼで開催が予定されているF8デベロッパー・カンファレンスではボットの発見を容易にするなんらかのメカニズムが発表されるはずだ。われわれはカンファレンスに参加してFacebookの発表について報告する予定だ。
将来は本当に人間と会話ができる人工知能も出現するだろうが、Facebookが当面、グループボットをメディア的な存在として扱うことにしたのは賢明だ。
画像: Bryce Durbin/TechCrunch
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)