サプライチェーンの問題は、引き続きスマートフォンメーカー各社に大きな影響を与えていることが、アナリスト会社のCanalys(カナリス)が新たに発表した数字からわかった。2021年最終四半期の世界全体におけるスマートフォン出荷台数は、前年同期比でわずか1%の増加に留まっている。この数字は、部品供給をめぐる同様の問題から、全体で6%の減少を記録した同年第3四半期の報告に続くものだ。
Canalysは、オミクロン変異株の発生による新型コロナウイルス感染症の再燃をその要因と見ている。これによって多くの地域が、約2年前のウイルス感染流行初期を彷彿とさせる操業停止に陥っている。この影響は、新しいサプライヤーを見つけるのに最も苦労している市場の小さなメーカーが、最も大きく受けていることを、Canalysは指摘している。
「部品メーカーは辛うじて追加生産を行っていますが、大手チップメーカーが生産能力を大幅に向上させるには数年を要するでしょう」と、Canalysのモビリティ担当VPを務めるNicole Peng(ニコル・ペン)氏は、今回の発表に関連した声明の中で述べている。「スマートフォンブランドは、この状況を最大限に活用するため、すでに新しい取り組みを取り入れています。入手可能な素材に応じてデバイスの仕様を調整したり、ICの新しい供給源を確保するために新興のチップメーカーにアプローチしたり、ベストセラーモデルに製品ラインを集中させたり、新製品のリリース時期をずらしたりしています」。
より大規模な企業では、全体的に部品不足やボトルネックによる影響が少ない状態が続いている。当四半期には、Apple(アップル)が3四半期ぶりに世界市場の総合トップに返り咲いた。これはiPhone 13の成功と、世界最大のスマートフォン市場である中国本土での極めて堅調な業績によるものだ。
アップルの市場占有率は、前四半期の12%から23%に増加した。前四半期の落ち込みは、ここ数四半期に多くの地域で需要を満たすのが難しかったことにも一因がある。
「アップルのサプライチェーンは回復しつつありますが、それでも第4四半期には主要部品が不足して減産を余儀なくされ、需要に見合うだけのiPhoneを製造できませんでした」と、アナリストのSanyam Chaurasia(サンヤム・チャウラシア)氏は述べている。「優先順位の高い市場では適切な納期を維持していましたが、一部の市場では顧客が最新のiPhoneを手に入れるために待たなければなりませんでした」。
一方、Samsung(サムスン)は市場全体の23%から20%へ占有率を減らし、2位に順位を下げた。3位から5位は、中国メーカーのXiaomi(シャオミ)、Oppo(オッポ)、Vivo(ヴィーヴォ)が占めている。
画像クレジット:Apple event photo
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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)