テスラが初めてスーパーチャージャーネットワークを他のEVに開放

Tesla(テスラ)は、オランダで10カ所のSupercharger(スーパーチャージャー)をTesla車以外の電気自動車(EV)に初めて開放するパイロットプログラムを展開中だ。

Tesla以外のEVユーザーがスーパーチャージャーを利用するには、まずTeslaのアプリをダウンロードしてアカウントを作成する必要がある。Teslaのオランダのウェブサイトによると、そこから「Charge Your Non-Tesla」を選択し、場所を検索して支払い方法を追加すれば充電することができる。

Tesla以外のEVを運転するドライバーは、完全シームレスな充電体験ができるわけではない。Teslaドライバーはプラグを差し込んだり外したりするだけでよいが、Tesla以外のドライバーは、充電の開始と停止をアプリで指示する必要がある。また、Teslaドライバーは電気料金が変わらない一方で、Tesla以外のドライバーには「多数の異なる車への充電に対応し、他ブランドの車に適するようにするための追加コスト」が発生するという。

このパイロットプログラムに参加できるのは、CCS規格接続のEVのみだ。米国では、Teslaのスーパーチャージャーは独自のコネクタを使用しているが、CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は7月の第2四半期決算説明会で、北米の充電拠点でアダプターを販売・提供し、これにより米国でネットワークがオープンになる可能性を示唆していた。

今回の試験運用で「経験を積み、ローダーでの流れを監視し、ユーザーからのフィードバックを収集する」とTeslaはウェブサイトで述べた。同社は、ドライバーに10カ所の拠点を通常通り利用するよう呼びかけているが、これは同社のメーンユーザーがどのような影響を受けるか、適切なデータを得られるようにするためだと思われる。また、Tesla以外の車がテスラ車よりも遅く充電される場合、充電時間が遅くなることの影響も今回の試験では測定するようだ。

マスク氏は以前から、同社が「Non-Tesla’s Supercharger Pilot」と呼んでいるこのようなプログラムをいずれ導入する可能性を示唆していた。7月には、年内にTesla以外のユーザーにもネットワークを開放することを認めており、今回のパイロットはまだ始まったばかりのようだ。同社はウェブサイトで「近い将来」プログラムに参加する国を追加する、と述べている。

Teslaのスーパーチャージャーネットワークは2万5000台以上の急速充電器を有し、自動車メーカーが所有・運営するネットワークとしては世界最大だ。

「より多くのドライバーにEVへの乗り換えを促すために、スーパーチャージャーネットワークをTesla以外のEVにも開放することを常に目指してきました」とTeslaは話す。

同社のパワートレイン・エネルギーエンジニアリング担当上級副社長のAndrew Baglino(アンドリュー・バグリーノ)氏は7月の決算説明会で、Tesla以外のEVにスーパーチャージャーネットワークを開放することで、全体的に電気代が安くなるかもしれない、と説明した。

「ネットワークの利用率を高めることでコストが削減され、顧客のために充電料金を下げることができます。そして、ネットワークの収益性が高まり、ネットワークをより早く拡大することができます」と述べた。「何としてでも、ネットワークのキャパシティを引き続き積極的に拡大し、充電速度を向上させ、イーロンが述べたようにダイナミック・プライシング(変動料金制)を用いて充電施設の混雑を防ぐための旅行計画ツールを改善していきます」。

画像クレジット:Tesla

原文へ

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。