ヤマト運輸と連携し、4月から全国一律料金の配送サービス「らくらくメルカリ便」を開始したフリマアプリ「メルカリ」。サービスを提供するメルカリは9月10日、そのらくらくメルカリ便において、出品者、購入者が互いの住所や氏名を相手に伝えることなく商品を送付できる匿名配送機能を提供することをTechCrunchに明かした。9月中旬より、希望者を抽選して試験的にサービスを開始。ユーザーの反応などを見て数カ月以内にも正式にサービスを開始する。
らくらくメルカリ便は、出品者がヤマト運輸の直営店に配送する商品を持ち込み、直営店にある端末「ネコピット」にQRコード(メルカリで契約成立した際にアプリ上で生成される)をかざすことで送り状が印刷され、サイズ・重さにより全国一律で195円から商品を送付できるというサービス。利用数などは非公開だが、「想定より多い。料金が全国一律で分かりやすく、しかも安い。ヤマト運輸でも新商品を提供するのと同じタイミングでスタートしたこともあって、ヤマト側としても一緒にやりやすかった」(メルカリ取締役の小泉文明氏)のだそう。
今回の匿名配送機能を利用する際も出品者のとるフローは同じだが、ネコピットで印刷される送り状は宛先欄・送付欄が空白のままになる。もちろんただ空白のままではヤマト運輸のドライバーが配送できないのだが、バックグラウンドでメルカリのデータベースとヤマト運輸のデータベースが連携しており、商品にはそれぞれドライバーだけが閲覧できるデータが紙で添付されるが、ドライバー以外が送付先の住所などの個人情報を知ることはないという。
またメルカリでは、この匿名配送機能と合わせて、補償サービス「あんしんメルカリケア」の提供も開始する。
これはらくらくメルカリ便利用時に限り、配送事故により商品が破損・紛失した際の商品代金を全額補償するほか、らくらくメルカリ便の使用に限らず、届いた商品が模倣品だと判明した場合に取引について調査し、その上で商品代金を全額補償するというもの。
メルカリいわく、こういった補償自体はカスタマーセンター(現在仙台約80人、東京約30人が24時間365日稼働し、問い合わせおよび規約違反への対応を行っている)への問い合わせベースで個別対応していたのだそうだ。だが「実質やっているのであればよりサービスへの安心感を持ってもらおうとなった。 2年サービスをやってきた中で財務的なノウハウもたまってきた」(小泉氏)ということで今回正式に発表することになったのだという。
メルカリのアプリダウンロード数は国内外2200万件以上(米国だけで400万ダウンロード以上)。月間の流通総額は数十億円で1日の出品数は数十万件と大きく成長した。そうなるとウェブサービスに不慣れなユーザーの割合も増え、「サービスが難しそう」「何かトラブルがあるんじゃないか」という不安が生まれることになる。前者に対してはアプリ自体の改善を進めるが、後者に対しては今回発表したような安心・安全に向けた取り組みをアピールしていくことで、さらなるサービスの利用に繋げる考えだ。