スウェーデンのEVメーカーPolestar(ポールスター)は、特別買収目的会社(SPAC)のGores Guggenheim Inc.(ゴアズ・グッゲンハイム)との間で合併によるIPO(新規株式公開)に向けて合意したと発表した。これにより、Polestarの評価額は200億ドル(約2兆2200億円)に達する見込みだ。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は米国時間9月26日、この取引に詳しい関係筋を引用して、SPAC合意が間近に迫っていると報じていた。TechCrunchは、公式発表の情報を反映してこの記事を更新した。合併が完了すると、統合後の会社は、Polestar Automotive Holding UK Limitedという新しい公開企業が保有する。この会社は「PSNY」というティッカーシンボルでNASDAQに上場する予定だ。
PolestarはVolvo Car Group(ボルボ・カー・グループ)のEVパフォーマンスブランドに該当するが、PolestarとVolvoはともに、中国の自動車メーカーであるZhejiang Geely Holding(浙江吉利控股集団有限公司)が所有している。
今回の発表により、Polestarは、過去2年間にSPACを通じて上場した、Arrival(アライバル)、Nikola(ニコラ)、EVgo、Proterra(プロテラ)、Lucid Motors(ルーシッド・モーターズ)、Bird(バード)などのEVおよびEV関連企業の仲間入りを果たす。
Polestarは、EV製造業界におけるライフサイクルアセスメントの枠組みを構築することを目指している。製造、販売、廃車のプロセス全体が透明でトレーサブルであり、カーボンニュートラルな自動車を作ることができるというものだ。同社は、6月に初のSUVであるPolestar 3(ポールスター3)を米国で製造する計画を発表し、2022年にはグローバルに生産を開始する予定だ。高品質の部品と米国での製造施設は、決して安い取り組みではない。今回の報道が事実となれば、IPOはPolestarが目標達成に必要な資金を得る手段になり得る。
また、この合併は、PolestarがTesla(テスラ)に対抗するために、米国での市場投入を早めることにもつながる。Polestarは、セダンタイプのPolestar 2をTeslaよりも優れたクルマと位置づけているが、EV業界で同じような知名度を持ち、信頼されるためには、資金が必要だ。2020年、Polestarは部品の不具合により、全世界の車両のリコールを余儀なくされた。
SPAC(特別買収目的会社)であるGores Guggenheimは、3月のIPOで8億ドル(約888億円)を調達し、7月にはBloombergがPolestarと交渉していると報じていた。
関連記事
・Polestarが2030年までに温暖化ガスの排出量をすべて見直して初の「クライメートニュートラル」なEV開発を目指す
・ボルボの高級EVブランドPolestarが初のフル電動SUV「Polestar 3」を米国で生産へ
・
画像クレジット:Geely holdings/Polestar
[原文へ]
(文:Rebecca Bellan、翻訳:Aya Nakazato)