メッセージ機能を含むPayPalの新しい「スーパーアプリ」が立ち上げ準備完了

PayPal(ペイパル)が自らを「スーパーアプリ」に変身させる計画が、立ち上げに向け動き出した。

PayPalのCEOであるDan Schulman(ダン・シュルマン)氏が、今週行われた第2四半期の決算説明会で投資家に向けて語ったところによると、同社の新しい消費者向けデジタルウォレットアプリの初期バージョンの「コードは完成」しており、同社はゆっくりと立ち上げに向け準備を整えているとのことだ。今後数カ月の間に、同社は米国内でのサービスを十分に強化し、四半期ごとに新しい決済サービス、金融サービス、コマース、ショッピングツールを提供していく予定だ。

これは、PayPalを、中国のWeChat(ウィーチャット)やAlipay(アリペイ)、インドのPaytm(ペイティーエム)の米国版にしようとするプロダクトの方向性の転換だ。こうしたアプリと同じように、PayPalはモバイル決済だけでなく、多くの消費者サービスをワンストップで提供することを目指している。

PayPalは過去の四半期で上記の新機能には、高機能な口座振替、小切手現金化、予算管理ツール、請求書払い、暗号資産サポート、サブスクリプション管理、今買って後で支払う機能などが含まれる可能性があると述べていた。また、2019年に40億ドル(約4400億円)を投じて買収したHoney(ハニー)のモバイルショッピングツールにより、商取引機能を統合するとも述べている。

これまでPayPalは、Honeyを単独のアプリケーション、ウェブサイト、ブラウザの拡張機能として運営してきたが、スーパーアプリには、取引検索や価格追跡など多くの機能を組み込む可能性があるという。

シュルマン氏は米国時間7月28日の決算説明会で、スーパーアプリには他にもいくつかの機能、すなわち、高利回りの預金、口座振替資金への早期アクセス、ピアツーピア決済以外のメッセージング機能(アプリのユーザーインターフェースにより家族や友人と直接チャットできること)などが含まれることを明らかにした。

PayPalは、これまでメッセージ機能を搭載する計画を発表していなかったが、今思えば、人々がチャットとピアツーピア決済を組み合わせることが多いという点で、この機能は理に適っている。例えばユーザーは、アプリから自動でリクエストを送るのではなく、自分で送りたいと思うかもしれない。また、お金を受け取った後に「ありがとう」などの感謝の言葉を伝えたい場合もある。現在、このような会話は、決済アプリの外で、iMessageなどのプラットフォーム上で行われている。だが、これは変わる可能性がある。

「これにより、プラットフォーム上で多くのエンゲージメントが得られるようになると考えています」とシュルマン氏は話す。「メッセージをやり取りするために、プラットフォームを離れる必要はありません」。

PayPalは、ユーザーのエンゲージメントが高まることで、アクティブなアカウント1件あたりの平均収益が向上すると見込む。

また、シュルマン氏は「暗号資産関連の機能追加」についても示唆したが、詳細は不明だ。PayPalは今月初め、米国内の適格なPayPal顧客を対象に、暗号資産の購入限度額を2万ドル(約220万円)から10万ドル(約1100万円)に引き上げた(年間購入限度額なし)。また、同社は2021年、消費者が暗号資産を使って何百万ものオンラインビジネスで決済することを可能にした。この場合、まず暗号資産を現金に換え、次に米ドルで決済する。

アプリのコードは完成しているが、シュルマン氏は今後もプロダクトエクスペリエンスを試行錯誤していく予定だと語り、初期バージョンが「すべてではない」と述べた。つまり、四半期ごとに着実にリリースし、新機能を追加していく予定だ。

ただし、初期の新機能としては、高利回りの貯金、ユーザーエクスペリエンスを向上させた請求書払い、請求先やアグリゲーターの増加、口座振替の早期利用、予算管理ツール、新しい双方向メッセージング機能などがあると話した。

すべての新機能をスーパーアプリに統合するため、PayPalはユーザーインターフェースの大幅な見直しを行う。

「明らかに、ユーザーエクスペリエンスは再設計されつつあります」とシュルマン氏は話す。「リワードとショッピングを追加します。また、クラウドソーシングや慈善団体への寄付など、寄付に関する機能も充実しています。さらに、今すぐ購入して後払いする機能も完全に統合されます。前回数えたところでは、スーパーアプリに搭載される予定の新機能は25個ほどになりました」。

また、デジタルウォレットアプリは、エンドユーザーに合わせてパーソナライズされるため、同じアプリは2つとない。これは、人工知能と機械学習の両方の機能を利用して実行され「各顧客の体験と機会を向上させる」とシュルマンは述べている。

PayPalの業績は、第2四半期の売上高については、ウォール街が予想した62億7000万ドル(約6900億円)に対して62億4000万ドル(約6860億円)となり、1株当たり利益は予想1.12ドル(約123円)に対して1.15ドル(約127円)となった。また、顧客からの総支払額も、アナリストが予想していた2952億ドル(約32兆4700億円)に対し、40%増の3110億ドル(約34兆2100億円)となった。しかし、eBayが独自のマネージドペイメントサービスに移行したことが影響し、第3四半期の見通しを下方修正したことから、同社の株価は下落した

なお、PayPalの新規アクティブアカウントは第3四半期に1140万件の純増となり、アクティブアカウント総数は4億300万件に達した。

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カテゴリー:フィンテック
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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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