2年以上前、Ludwig Schoenack(ルートヴィヒ・シェーナック)氏、Nikolaus Volk(ニコラウス・ヴォルク)氏、Francesco Wiedemann(フランチェスコ・ヴィーデマン)氏の3人は、米国のほとんどの都市部で利用可能なスクーターサービス、ライドハイリングアプリ、公共交通機関、カーシェアリングといった選択肢の数々に注目し、モビリティ市場にニッチがあることを発見した。
自家用車を所有したくはないが、数日から数週間ほどクルマが必要な消費者には「空港や市街地の郊外によくあるレンタカーセンターに向かう」「カーシェアリングプラットフォームを利用する」という2つの選択肢がある。3人の友人同士(全員がドイツからの移民でサンフランシスコで出会った)は、BMW、McKinsey(マッキンゼー)、Uber(ウーバー)に関する専門知識を結集し、多数の車両を所有して維持するというコストのかかるビジネスをすることなく、新しい種類のレンタカー体験を創造するためにKyte(カイト)を立ち上げることを決めた。
Kyteは、ユーザーがアプリやウェブサイトを通じて車両をレンタルできる車両物流プラットフォームを構築した。都心のハブに配置された車両は、ギグエコノミーの労働者が借り手の自宅まで届けてくれる。Kyteは車両のピックアップと給油も無料で行う。
「私たちは、人々がクルマを所有するのは、ドアを開けたらすぐの場所にクルマがほしいからだと考えています。だから、そこまでクルマを持って行ってあげればいいと思いました」。
シェーナック氏は最近のインタビューでそう語っている。
Kyteは多くの車両を管理するレンタカー会社などの企業と提携しており、このスタートアップ企業は消費者とテクノロジーに焦点を絞ることができる。
2018年後半に創業しボストン、ロサンゼルス、サンフランシスコで事業を展開している同社は、投資家の注目を集めている。
Kyteは米国時間1月5日、DN Capital(DNキャピタル)とAmplo VC(アンプロVC)から900万ドル(約9億2000万円)の資金調達を行ったと発表した。モビリティ業界の個人投資家も多数参加しており、その中には元Uber幹部のEd Baker(エド・ベーカー)氏、Jörg Heilig(ヨルグ・ハイリグ)氏、Josh Mohrer(ジョシュ・モーラー)氏、William Barnes(ウイリアム・バーンズ)氏をはじめ、Lime(ライム)の共同創業者Toby Sun(トビー・サン)氏、Kayak(カヤック)とTravelocity(トラベロシティ)の共同創業者Terry Jones(テリー・ジョーンズ)氏などが含まれる。
今回調達された資金は、ワシントンD.C.から始まったKyteの市場拡大のためにすでに活用されている。
Kyteの創設者達はその収益について、月々「6桁は確実」ということ以外、開示しようとしなかった。シェーナック氏は、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が広まる中、より多くの人々がクルマに乗るようになった2020年3月から、Kyteの月次収益が400%成長したことを加えた。
「新型コロナウイルスが流行する前から、我々はクルマとの関わり方を変える必要があることは明らかでした」と、シェーナック氏は述べている。新型コロナウイルスが多くの人々を空の旅から遠ざけてしまったため、代わりにKyteのような代替品を試してみようと思う人が増えている。
このような急成長にもかかわらず、シェーナック氏によると、Kyteの予約は半分以上が定期的に利用するユーザーからのものだという。
Kyteはまた、クライアント(シェーナック氏は国内最大手のレンタカー会社としか表現しようとしなかったが)が意欲的で熱心であることも発見した。そのレンタカー会社が抱える車両を、Kyteは消費者の手に渡す手助けとなるからだ。レンタカー会社は、営業所の多くが空港にあるため、新型コロナウイルスによって大打撃を受けた。これらの企業には、収益を生み出すことがなかった数百万ドル(数億円)分の減価償却資産が残されていた。
DNキャピタルの共同創業者で取締役社長のSteve Schlenker(スティーブ・シュレンカー)氏は、Kyteがモビリティの未来を担う中核的なビルディングブロックになると考えている。
「新型コロナウイルス感染流行の影響で、都市や消費者行動の交通機関に関する変革が加速しています」と、シュレンカー氏はいう。「Kyteの独自のオペレーションレイヤーは、他のソリューションでは対応できないレベルのサービスと利便性を提供しながら、この変革を促進させます」。
カテゴリー:モビリティ
タグ:Kyte、資金調達、自動車
画像クレジット:Kyte
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(翻訳:TechCrunch Japan)